魔法少女のパパだが、娘が怪我をしたら俺が出るしかないだろ。   作:ワタリ3@ぼちぼち浮上

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お待たせしました今週最初のエピソードです。


7-7 代わりじゃない

 

 少し前。

 

 エミカは、一人で雨玻町を歩いていた。

 

 目的があったわけではない。

 どこかへ行きたかったわけでもない。

 

 ただ、家にいると息が詰まりそうだった。

 

 SAOTOME GYMの中には、会員たちの明るい声が響きわたる。

 いつもなら、その空気は嫌いではなかった。

 

 けれど今は、何を見ても、自(・)分(・)だ(・)け(・)が(・)立(・)ち(・)止(・)ま(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)ような気がしてしまう。

 

 だから、外へ出た。

 

 松葉杖はもう使っていない。

 長く歩くと右足の奥が少し痛むが、歩くことはできる。

 

 お父さんからは、今日はもう身体を動かすなと言われていた。

 それでも、散歩くらいなら大丈夫だと自分に言い聞かせ、エミカは歩き続けた。

 

 商店街の端を抜け、公園の前を通る。

 ベンチでは老夫婦が並んで座り、小さな子供たちが遊具の周りを走っていた。

 自転車に乗った中学生が笑いながら通り過ぎ、近くの店先では店員と客が楽しそうに話している。

 

 いつもの町だ。

 

 エミカが、フラワーメイデンとして守ってきた町。

 

 そのはずだった。

 

「……」

 

 胸の奥に、黒いものが沈んでいる。

 

 お父さんたちが町を守ってくれるのは嬉しい。

 ゲキ・マキシマムも、ローズ・アンリミテッドも、キヨナガ・スピリットも、頼もしい。

 

 それは決して嘘ではない。

 

 けれど。

 

 ――もうマジカルメイデンズはいらないな。

 

 コメント欄で見た文字が、頭の中から消えない。

 

 ――フラワーメイデンがいなくても、別に問題なくない?

 

 違う。

 そんなはずはない。

 

 そう思いたいのに、胸の奥の不安は消えなかった。

 

 自分が動けなくなったら。

 自分より強い誰かが現れたら。

 自分が守ってきた時間は、全部、過去のものになるのだろうか。

 

 守ってくれる存在なら、誰でもいいのだろうか。

 

 フラワーメイデンである必要は、もうないのだろうか。

 

 考えたくないのに、考えてしまう。

 

「お姉ちゃーん!」

 

 不意に、声がした。

 

 エミカが顔を上げると、歩道の端にサッカーボールが転がってきていた。

 公園の入口で、小さな男の子が手を振っている。

 

「すみませーん! ボール、取ってくださーい!」

 

「あ、うん」

 

 エミカはボールを拾い上げる。

 右足に気をつけながら、軽く転がすように返した。

 男の子はボールを受け取り、ぱっと笑った。

 

「ありがとう!」

 

 その笑顔に、エミカは少しだけ息を止めた。

 

 ただボールを拾っただけだ。魔法少女として戦ったわけではない。

 誰かの命を救ったわけでもない。

 

 ……それでも、感謝された。

 

 その小さな「ありがとう」が、思ったより胸に響いた。

 

「……うん」

 

 エミカは小さく手を振り返す。

 

 誰かに感謝されるために魔法少女をやっていたわけではない。

 褒められるためでも、必要とされるためでもない。

 

 守(・)り(・)た(・)か(・)っ(・)た(・)か(・)ら(・)、(・)戦(・)っ(・)て(・)い(・)た(・)。

 

 この町の、こういう笑顔を守りたかった。

 

 それだけだったはずだ。

 

「……大丈夫」

 

 エミカは自分に言い聞かせるように呟いた。

 

 怖いと思うことはある。

 悔しいと思うこともある。

 

 けれど、守ってきたものが消えたわけではない。

 誰かのコメント一つで、自分の時間がなくなるわけではない。

 

 そう思おうとした。

 

 その時だった。

 

 空が、紫色に歪んだ。

 

「え……?」

 

 公園の向こう。

 集合住宅の並ぶ方角から、黒紫の光が膨れ上がる。

 

 空気が一瞬で重くなった。

 町の音が遠ざかり、代わりに低いノイズのようなものが耳の奥に響く。

 

 悪魔空間。

 

 それが目の前で広がっていく。

 

「きゃああああっ!」

 

「あ、悪魔空間だ!」

 

「逃げろ!」

 

 人々の悲鳴が上がる。

 

 公園で遊んでいた子供たちが立ちすくみ、親たちが慌てて駆け寄る。

 通行人が足を止め、車が急ブレーキをかける。

 

 エミカの体は、考えるより先に動いていた。

 

「みんな、こっちへ!」

 

 声を張る。

 

 魔法少女に変身できない。

 相棒のミププもいない。

 

 それでも、何をすべきかは分かっていた。

 

 悪魔空間が発生した時、まず必要なのは避難誘導。

 パニックを抑え、境界から離れ、逃げ遅れを減らす。

 

 C.H.A.R.M.の講習でも、何度も教わった。

 フラワーメイデンとして戦ってきた中で、何度も実践してきた。

 

「公園の外へ! 道路の向こう側まで下がってください!」

 

 エミカは子供たちへ駆け寄る。

 

 走ると右足が痛んだ。

 それでも止まらない。

 

「大丈夫。落ち着いて。押さないで、手を繋いで!」

 

「お姉ちゃん、あれ何!?」

 

「見ないで。前を見て。大人の人のところまで走って!」

 

 子供の背中を押し、老人の手を取り、動けなくなった女性へ声をかける。

 

 その間にも、悪魔空間は広がっていた。

 

 紫色の薄闇が、集合住宅の一角を飲み込んでいく。

 空中には、黒いコメント欄のような枠が浮かび始めていた。

 

『役立たず』

『逃げても無駄』

『守れないなら消えろ』

 

 文字が流れる。

 

 その言葉を浴びた人々が、足を止めかける。

 

「聞かないで!」

 

 エミカは叫んだ。

 その時、悪魔空間の境界付近で、一人の女性が逆方向へ走ろうとしていた。

 

「待ってください!」

 

 エミカは慌ててその腕を掴む。

 

「危ないです! 中に戻ったら――」

 

「息子が!」

 

 女性は顔を真っ青にしていた。

 

「息子がまだ中にいるんです! さっきまで一緒にいたのに、人が押し寄せて、手が離れて……!」

 

「お子さんが?」

 

「お願いします、離して! 私が行かなきゃ!」

 

 女性は泣きながら悪魔空間へ戻ろうとする。

 エミカは腕に力を込めた。

 

 この人を行かせてはいけない。

 今入れば、この人まで巻き込まれる。

 

 だけど、子供を置いていくこともできない。

 胸の奥で、何かが熱くなった。

 

「私が行きます」

 

 女性が目を見開く。

 

「え……?」

 

「お子さん、私が探してきます。だから、お母さんはここで待っていてください」

 

「でも、あなた――」

 

「大丈夫です」

 

 大丈夫ではない。

 

 まともに変身して戦える状態ではない。

 魔法も使えない。

 右足も万全ではない。

 

 それでも、エミカはそう言った。

 

「必ず連れてきます」

 

 近くの工事用フェンスが、悪魔空間の圧で倒れていた。

 そこに、鉄パイプが一本転がっている。

 

 エミカはそれを拾い上げた。

 

 ずしりと重い。

 魔法のステッキとは違う。

 可愛くもないし、手に馴染むわけでもない。

 

 それでも、何も持たないよりはましだった。

 

「お願い、無茶しないで……!」

 

 女性の声を背に受けながら、エミカは悪魔空間へ踏み込んだ。

 

     Θ

 

「エミカァッ!」

 

 ゲキ・マキシマムの叫びが、悪魔空間に響いた。

 

 集合住宅の裏手。

 倒れたフェンスの近く。

 

 エミカは、鉄パイプを両手で握りしめ、スラングドールの前に立っていた。

 

 その背後には、小さな男の子がいる。

 膝を抱え、震えながら、エミカの服の裾を掴んでいた。

 

『守れない』

『弱い』

『生身』

『役立たず』

 

 スラングドールが黒い吹き出しの体を揺らしながら迫る。

 エミカは歯を食いしばり、鉄パイプを振った。

 

 鈍い音が響く。

 スラングドールの頭部に当たる。

 

 だが、倒れない。

 

 黒い文字が散っただけで、怪物はすぐに体勢を戻す。

 次の瞬間、別の一体が横から飛びかかった。

 

「っ!」

 

 エミカは男の子を庇うように前へ出る。

 右足に痛みが走り、膝が落ちかける。

 

 スラングドールの群れが、一斉に黒い吹き出しの体を膨らませた。

 

『弱い』『生身』『無駄』『守れない』

 

 黒い文字が弾丸のように滲み出し、エミカと男の子へ降り注ごうとする。

 

 その瞬間。

 

「エミカァッ!」

 

 低く、怒りを含んだ叫びが響いた。

 

 エミカの前に、巨大な影が飛び込む。

 

 ピンクの魔法少女衣装。

 そして、壁のような背中。

 

 ゲキ・マキシマムだった。

 

 ゲキは着地と同時に、両腕を大きく広げた。

 全身の筋肉が膨れ上がり、衣装に走る魔法のラインがピンクに輝く。

 

「下がれ!」

 

 叫びと共に、ゲキの両掌が前へ突き出される。

 

『マキシマム・マジカル波ァッ!!』

 

 轟音。

 

 ピンクの魔力が、衝撃波となって周囲へ爆ぜた。

 ゲキ・マキシマムの全身から放たれた圧倒的な魔力の波が、周囲のスラングドールをまとめて吹き飛ばした。

 

『不要』

『役立たず』

 

『消え――』

 

 黒い吹き出しの怪物たちが、言葉を最後まで吐き切る前に弾き飛ばされる。

 道路を転がり、フェンスへ叩きつけられ、壁にめり込み、黒い文字を撒き散らしながら崩れた。

 

 衝撃波はエミカたちを守るように円形に広がり、周囲にいたスラングドールを一掃する。

 

 一瞬だけ、そこに空白が生まれた。

 悪意の文字も、黒い吹き出しも届かない。

 ゲキが力ずくで作り出した、一時的な安全地帯だ。

 

「……お父さん」

 

 エミカは、鉄パイプを握ったまま呆然と呟いた。

 

 ゲキは振り返らない。

 ただ、肩越しに低く言った。

 

「……エミカ」

 

 短い声。

 怒っている。

 エミカには分かった。

 父の背中から、押し殺した怒りが伝わってくる。

 

 しかし、ゲキはすぐに怒鳴らなかった。

 

 彼の視線は、エミカの背後にいる男の子へ向いていた。

 

 震えている。

 泣きそうな顔で、エミカの服の裾を掴んでいる。

 

 エミカがなぜここにいるのか。

 なぜ無茶をしたのか。

 

 その答えは、そこにあった。

 

 ゲキは大きく息を吸い、奥歯を噛んだ。

 そして、低く言った。

 

「無事でよかった」

 

 エミカの顔が、くしゃりと歪んだ。

 

「……ごめん」

 

「話は後だ」

 

 ゲキは男の子へ視線を落とした。

 

「立てるか」

 

「う、うん……」

 

「よし。ローズ!」

 

「任せて!」

 

 ローズ・アンリミテッドが薔薇色の光をまとって駆け寄る。

 

「ローズさん、この子を外のお母さんの元に……」

 

「わかったわ。お母さんのところまで送ってあげる」

 

「お母さん……!」

 

「ちゃんと会わせてあげるわ」

 

 ローズは男の子を抱き上げると、優しく笑った。

 

「エミカちゃん。よく守ったわ」

 

 エミカは何も言えず、小さく頷いた。

 

 ローズは男の子を抱え、避難路の方へ走る。

 その行く手を塞ごうとしたスラングドールを、キヨナガ・スピリットの霊火が焼き払った。

 

「ローズ殿、道は開けました!」

 

「ありがと!」

 

 キヨナガはそのまま霊火を広げ、ゲキとエミカの周囲に薄い結界のような炎を巡らせた。

 

「ゲキ殿! ここは私がしばらく持たせます!」

 

「頼む」

 

「ですが、長時間は持ちませんぞ!」

 

「分かっている」

 

 ゲキはエミカを近くの壁際へ下がらせた。

 周囲では、スラングドールがまだ蠢いている。

 

 コメンテイター・デビガノイドの画面が明滅し、空には黒い文字が流れ続けていた。

 

『もう必要ない』

『代わりはいくらでもいる』

『忘れられた魔法少女』

 

 その文字を見た瞬間、エミカの肩が震えた。

 

 ゲキはそれに気づいた。

 

「エミカ」

 

「……悔しいの」

 

 エミカは、ぽつりと言った。

 声は震えていた。

 

「私が守ってきた町なのに」

 

 鉄パイプを握る手も、震えている。

 

「私が動けなくなったら、もういらないって言われて」

 

 涙が浮かぶ。

 こぼさないように堪えている。

 

「お父さんたちが守ってくれるのは嬉しいよ。本当に嬉しい。町が守られるなら、その方がいいって分かってる」

 

 分かっている。

 頭では、分かっている。

 

 守れないより、守れた方がいい。

 誰かが傷つくより、誰かが助けられた方がいい。

 

 それなのに。

 

「でも、怖かった」

 

 エミカは唇を噛んだ。

 

「みんなは守ってくれる存在だったら、誰でもいいのかなって」

 

 ゲキは黙って聞いていた。

 

「フラワーメイデンじゃなくてもいいのかなって」

 

 空から黒い文字が降る。

 

『そうだ』

『誰でもいい』

『強ければいい』

『古い魔法少女はいらない』

 

 ゲキは拳を握った。

 

「そんなことはない」

 

 低く、はっきりした声だった。

 エミカが顔を上げる。

 

「お前は、悪い声ばかり見すぎている」

 

「でも、書かれてた」

 

「ああ。書かれていた」

 

 ゲキは否定しなかった。

 

 見なかったことにはしない。

 なかったことにもできない。

 

 言葉は、確かにエミカを傷つけた。

 

「だが、それだけじゃない」

 

 ゲキは膝をつき、エミカに目線を合わせる。

 

「お前を待っている声もいっぱいある」

 

「……」

 

「フラワーメイデンに助けられた人間は、今も大勢いる」

 

 ゲキの声は静かだった。

 

「俺は知っている。お前がどれだけ戦ってきたか。どれだけ怖くても、どれだけ痛くても、この町を守ってきたか」

 

 黒い文字が、二人の周囲を漂う。

 

『過去』

『終わった』

『今はいらない』

 

 ゲキはその文字を睨んだ。

 

「俺たちは、お前の代わりになりたいんじゃない」

 

 エミカの瞳が揺れた。

 ゲキは続ける。

 

「俺たちは、お前が帰ってくる場所を守っているだけだ」

 

 その言葉が、エミカの胸に落ちた。

 帰ってくる場所。

 

 もういらないと言われた場所ではない。

 奪われた場所でもない。

 

 自分が戻っていい場所。

 ゲキは、そこを守っていると言った。

 

「フ(・)ラ(・)ワ(・)ー(・)メ(・)イ(・)デ(・)ン(・)は(・)、(・)お(・)前(・)し(・)か(・)い(・)な(・)い(・)」

 

 ゲキは少しだけ表情を緩める。

 

「俺がどれだけ暴れても、ローズがどれだけ華麗でも、キヨナガがどれだけうるさくても」

 

「……キヨナガさんに聞こえたら怒られるよ」

 

「構わん」

 

「しっかり聞こえておりますぞ、ゲキ殿!」

 

 エミカの口元が、ほんの少しだけ動いた。

 

「お前が守ってきた時間は、誰にも消せない……それは確かだ」

 

 その言葉で、堪えていたものが崩れかけた。

 エミカは俯く。

 

「……無茶して、ごめん」

 

「ああ」

 

 ゲキは深く頷く。

 

「とにかく無事でよかった」

 

「怒ってないの?」

 

「ああ、怒っている」

 

「だよね……」

 

「だが、今は無事でよかったが勝っている」

 

 ゲキはエミカの手元にある鉄パイプを見る。

 

「ただ、生身で鉄パイプは感心しないな」

 

「それは……うん」

 

「怪我が治ったら、生身で生き残る訓練だ」

 

 エミカは目を瞬かせた。

 

「ふつう、そこは止めるところじゃないの?」

 

「本当は止めたい。だが、お前は止めても動く」

 

 ゲキは真顔で言った。

 

「……なら、せめて帰ってこられるようにする」

 

 エミカは少しだけ呆れたように笑った。

 

「……お父さんらしい」

 

「当然だ」

 

 その時、霊火の結界が大きく揺れた。

 

「ゲキ殿!」

 

 キヨナガの声が飛ぶ。

 

「そろそろ限界ですぞ!」

 

『感動話』

『茶番』

『自己満足』

『誰も覚えていない』

『忘れられた魔法少女』

 

 空中のコメント欄が一斉にエミカへ向く。

 

 黒い文字が、弾丸のように降り注いだ。

 

「させん!」

 

 ゲキが前に出る。

 大きな背中で、すべてを受け止めた。

 

『父親』

『邪魔』

『お前が娘を弱くする』

『守ると言いながら縛っている』

 

 ゲキの肩に黒い文字が突き刺さる。

 

 だが、彼は動かない。

 

「縛らんさ」

 

 ゲキは低く言った。

 

「帰(・)る(・)場(・)所(・)を(・)作(・)る(・)だ(・)け(・)だ(・)」

 

 拳を握る。

 その背中に、エミカは手を伸ばした。

 

 迷ったのは一瞬だった。

 エミカは、自分からゲキに抱きついた。

 

 変身していない。

 戦えない。

 今の自分にできることは少ない。

 

 それでも、今伝えたい言葉があった。

 

「お父さん」

 

「なんだ」

 

「頑張って」

 

 エミカは顔を上げる。

 

「ローズさんも、キヨナガさんも」

 

 キヨナガと、男の子を送り届けて戻ってきたローズが振り返る。

 

「町を守って」

 

 そして、ほんの少し照れながら、それでもはっきりと言った。

 

「頑張って、マジカルドースリー!」

 

 ローズが目を見開いた。

 

「エ、エミカちゃんにまでその名前で呼ばれたら、もう逃げられないじゃない!」

 

「しかし、民の声援、確かに受け取りましたぞ!」

 

 キヨナガが霊火を燃え上がらせる。

 ゲキは、胸の奥から力が湧き上がるのを感じた。

 魔法少女の力の源は、声援。

 

 昔、エミカが言っていた言葉だった。

 

「魔法少女の力の源は声援だよ」

 

 エミカが小さく言う。

 ゲキは笑った。

 

「ああ、そうだったな」

 

 拳に力が入る。

 

「いつも以上に力が湧く」

 

 ゲキはエミカから離れ、一歩前へ出た。

 

「エミカ。お前も避難を——」

 

「大丈夫。私、応援してるから……先(・)輩(・)魔(・)法(・)少(・)女(・)として!」

 

「……言っても無駄そうだな」

 

 ゲキは厳しい表情で、エミカを見つめた。

 

「キヨナガ、新しい結界を頼む。エミカ、お前はそこから一歩も出るな」

 

「……うん」

 

「約束できるな」

 

「約束する」

 

「なら、そこで見ていろ」

 

 ゲキ・マキシマムの全身に、ピンクの魔力が走る。

 

「お前が帰ってくる場所を、俺たちが守る」




三連休はどうでしたか?
自分は普通に仕事でした。
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