日和に憑依転生、百獣海賊団√   作:早サ

9 / 9
分割した2話目です。


欲求不満

 再びワノ国を出て1日。

 永久指針をたどり、目的の島へと来ていた。

 港には標的の船であろう海賊船が浮かんでいるが、見張りはいないようだ。

 

「……無警戒ですね。今のうちに上陸しましょうか」

「分かりました!」

 

 総舵手が船を港へと寄せる。

 港から見える街は人がおらずもぬけの殻で、所々破壊された後を見るに略奪されつくした後だろう。

 部下に対して指示を出す。

 

「数人は船に残って見張りを、何かあれば報告するように。残り戦闘員は私についてくるように」

「はい‼」

 

 ゾロゾロと部下を引き連れ、街の奥へと入ってゆく。

 先ほどから見聞色に気配が引っ掛かっている。

 この先のひらけた土地を拠点にしているのだろう、ここからでも微かに声が聞こえる。

 そのまま足を進め、近づけば入り口付近にいた男に声をかけられた。

 

「だっだれだお前たち‼ ここは懸賞金2億のスタン様の縄張りだぞ……‼ 死にたくなかったらッ───」

「邪魔です」

 

 首をはねて黙らせる。

 それに気づいたやつらが騒ぎ出した。

 

「てッ敵襲‼ スタン様敵襲です‼」

「あァ!? 敵襲だとォ……?」

「すでに門番がやられました……‼」

 

 奥からひょろっとした汚らしい男が出張ってくる。

 奴が標的のスタン・スパインで違いないだろう。

 

「誰だお前らァ……」

「私は百獣海賊団のヒカゲと言います。あなたが痺棘のスタンとやらで間違いないでしょうか?」

 

 それを聞いたスタンは得意げに名乗り始める。

 

「いかにも俺様がスタン様だァ‼ 百獣海賊団だってェ~? なんだ敵討ちにでも来たのかァ?」

 

 スタンは拳を鳴らしてこちらに指先をこちらに向ける。

 

「だが残念だったなァ~‼ この俺様に哀れに殺されるんだからよ!喰らえ”麻痺棘銃(スタンガン)”ッ‼」

 

 パァン‼と指先から棘が飛び出した。

 しかしそんな見え見えな攻撃に当たるわけなく横に避ける……が、後ろにいた部下は避けれなかったようだ。

 

「ぐぁッ! なッなんだこれ、身体がうごかねェ…‼」

「───麻痺、ですか」

 

 スタンはにやにやした笑みを浮かべながら自慢するように話し始める。

 

「ギャハハハ‼ おれのこのトゲは武装色で防御しても貫くんだぜェ~!? 運よく避けたようだが、1発当たれば動けなくなって終わりだァ‼」

「”麻痺棘銃(スタンガン)”ッ‼」

 

 再度、パァン‼とこちらにめがけてトゲが飛ぶ……が、刀で弾き飛ばした。

 

「なにィ!? だが1発弾いた程度じゃどうしようもねェぞォ~!? 喰らえ必殺”麻痺棘銃(スタンガン)”ッ‼フルバーストッ‼」

 

 今度は同じようにはいかないといわんばかりに、十指すべてから棘が発射される。

 これは弾けずにあたるだろうと彼らはにやにやと笑みを浮かべる。

 

「……”氷刃・裏”」

 

 冷気を纏って斬撃を飛ばす。

 飛んでくる棘を消し飛ばし、スタンへと直撃した。

 受けたスタンは吹き飛ばされ後ろの木の幹にぶつかる。

 

「ギャァアアア‼」

「「「スタン様ァ!!!?」」」

「……本当に2億の実力があるんですかね? 前に戦ったフェールのほうがよほど強いのですが」

「ヒカゲ様! どうやらこいつ、麻痺でだまし討ちばかりしてるようで……」

「つまり懸賞金だけ高いタイプの海賊でしたか……期待外れです」

 

 倒れ無様に悲鳴を上げてるスタンに近づく。

 彼はどうやら痛みでこちらが近くにいることも気づいてないようだ。

 

「おッ俺様の手がァ…‼ これじゃ棘がうて、撃てねェじゃねェかよォ……‼」

「さて、どんなに弱くても任務は任務です。あなたが奪った悪魔の実、それを大人しく渡せば見逃しましょう」

「きッ貴様ァ!? よくも俺様の手を斬り落としてくれ───ヒッ!?」

「さあどうします? ここで無様に死ぬか、大人しく渡すか」

「わッ渡す‼ 渡すから見逃してくれェ‼」

 

 刀を首に突きつければ簡単に恐怖し命乞いをし始める。

 なんかあまりにも……小物というか、なんというか。

 

「───よろしい。それでどこに?」

「船ェ‼ 俺様の船の中に置いてあるッ‼ ほら言っただろこれで助けてくれェ……‼」

「……嘘はないようですね。良いです、見逃しましょう」

「ほ、ほんとだなァ!? たッたすかッ───」

「まぁ嘘ですが」

 

 ひと息に首を斬り飛ばしてやった。

 そして八つ当たりのように身体を粉々に斬り裂く。

 それにしても人を置かずに悪魔の実を船に放置とは……

 警戒心がないにも程がある。

 

「貴方達、辺りの残党をすべて殺しなさい」

「はい! お前らいくぞォ……‼」

「逃がすなよ‼」

「あッおい逃げんなー‼」

 

 指示を飛ばせば部下たちが残党を追いかけまわし殺し始めた。

 

「はあ……。それにしても飛び六胞を殺したとあればどれほど強いと思えば、こんな小物だったとは……なんだか気分が落ちてしまいますね」

 

 期待してきてみればこれである。

 先の遠征といい、最近は運が付いていないようだ。

 軽く落ち込む気分をなんとか立て直していると、船で見張りをしていた部下の一人がこちらへ走ってくる。

 

「───ヒカゲ様ッ‼ 報告です、海軍が向かって来ています‼」

「!」

「軍艦が一隻、見える限り『中将の”護盾”のエスクーデ』のようです‼」

 

 自らの口角が上がっていくのがわかる。

 あんなやつのせいで不完全燃焼だったのだ。

 あちらから来てくれるのだからこれほど丁度いいことはない。

 

「迎え撃ちます。 即座に戦闘準備を、もうすでに残党は狩り終えてるでしょう」

「は、戦うのですか!?」

「……何か問題でも?」

「いッいや! 滅相もありません……‼」

「ならば早く動くように」

「はいッ‼」

 

 すでに残党狩りを終えていた部下たちに指示を出す。

 

「聞いていたでしょう? 海軍が来るようですので迎え撃ちます。中将とは私が戦いますので他の有象無象を処理するように、いいですね」

「「「はいッ!」」」

「ああそれと、数人は悪魔の実を回収後船に乗って海上で待機しておくように。せっかく回収した実が奪われては元も子もないですから」

「了解しました!」

 

 それぞれが走り出す。

 それにしても、なんか勢いでやってしまったような気もする。

 任務のことを考えるならば逃げるのが正解なのだろうけど……

 

 

 あちらから来てくれるというのに、逃げるのは余りにも勿体無いでしょう?

 

 

「さあ早く、早く斬り合いましょう……‼」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




肉塊(スタン・スパインだったもの)
スタンはそのままの意味で、スパインは棘という意味です。
なんて安直な名前……
オリジナル悪魔の実(恐らく)のマヒマヒの能力者で、指先の棘を飛ばして当たった相手を麻痺させます。
このトゲが強くて並みの武装色であれば貫通します。まぁ悪魔の実の能力の定めというべきか、麻痺自体は覇気で無効化できます。
本人が強ければ厄介なタイプ。


書いててなんか主人公が戦闘狂みたいになっちゃった。
まぁ間違ってはないんですがね
今回回収した悪魔の実は海軍との戦いが終わってから明かします
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