Join Us   作:フキヤヒロミ

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Part4

 あかねさんのお料理はお世辞抜きでどれもおいしかった。いつもこんなおいしいお料理が食べられるなんてスバルくんが羨ましいです、なんて言ったら、あかねさんは、今日はミソラちゃんが来るからいつも以上に頑張っちゃった、ふだんはもっと手抜きしてるのよ、と笑っていた。

 

 先に出されたお料理だけでも満足だったのに、食後、あかねさんから出されたのはデザートのババロアだった。スプーンで一口ずつ味わいながら、もう終わっちゃうんだよなあ、と余計なことを考えてしまう。

 

 こんなおいしいご馳走をいただいて、楽しい時間まで過ごせて、至れり尽くせりで。これ以上望むものなんて何もないくらいなのに、懐かしいこの感じがまた明日から無くなるのか、と思うと少しやりきれない。

 

 ……ううん、少しじゃないかも。

 

 いろんな寂しさが顔を出そうとしているのを抑えている間に、目の前のババロアはお腹のなかにしまわれていた。

 

 あかねさんからはゆっくりしててと言われたけれど、ご馳走になったからにはと、食べ終わったお皿をキッチンへ片付けるお手伝いをした。スバルくんも食べ終わったあとのテーブル拭きを手伝っていて、聞くとふだんからこれが「スバルくんの担当」らしい。ワタシの知らないスバルくんが見られて、少し嬉しかった。

 

 最後の食器をキッチンに置いたところで、あかねさんへ言った。

 

「これで食器、最後です。ホントにご馳走さまでした」

 

「こちらこそお粗末様でした。ちょっと多かったかしら?」

 

「全然!すっごくおいしかったですし、ペロリと食べちゃいました」

 

「ふふ、何だかそこまで褒められちゃうと照れるわね」

 

 そう言うと、あかねさんがシンクの中の食器を慣れた手つきで洗っていく。

 

「少しお話相手になってくれない?」

 

「ワタシでよければ」

 

「ありがとう。もくもくと食器を洗うだけだとつまらないじゃない?助かるわ」

 

 あかねさんは笑い混じりに言う。

 

「さっそくだけど、ミソラちゃん知らないでしょうけど、スバルってよくミソラちゃんのこと話題にしてるのよ」

 

「えっ、そうなんですか?あんまりそういうタイプに見えないですけど……」

 

「そうでしょ?母親の私でもそう思うわ。でも例えば、ロッポンドーヒルズのディスプレイにミソラちゃん映っててさ、とか、今度どこどこでライブがあるらしいよ、とか。それこそ嬉しそうに話してくれるのよ」

 

 じわっと顔が熱くなる。ワタシのこと、おウチでいろいろ話してるみたいじゃない、スバルくん?

 そう、今すぐイジワルしにいきたいくらい、素直に嬉しかった。

 

「ミソラちゃんがテレビに出てるとね、あの子、つい見ちゃうのよ。で、見ながら、最近忙しそうだけど大丈夫かな、なんて言ったりして」

 

 つい気になって、当の本人をチラッと見る。スバルくんはテーブルを拭き終わり、大吾さんと何か話していた。

 

「ちょっと意外です。スバルくんも、そんなにワタシのこと気にしてくれてるなら、もっとメッセージくれたり、いっそ会いに来てくれてもいいのに」

 

「そうね、私も同感。そういうところがまだ足りないのよね、スバル」

 

 ワタシのいじけた言葉にも、あかねさんは頷き返してくれた。

 

「もしかしたら、ミソラちゃんには苦労かけるかもしれないわね」

 

「今のところ、なあんにもないです。困っちゃうくらい」

 

 あかねさんと目が合い、一緒にこっそり笑った。

 

 キッチンがひと通り片付くまで、いろんな話を聞いた。大吾さんとのなれそめや小さかったころのスバルくんの話。ワタシもドラマの撮影やグラビア、作曲のこと。聞いたり、聞かれたりして。

 

 ワタシにここまで気をかけてくれなくてもいいのに、と思うほど、子ども扱いしないであかねさんは話してくれた。

 

 だからワタシも、失礼にならないように気をつけながら、でも、よそよそしくならないようにいっぱいお話しをした。

 

……ワタシのこと、もう少し知ってほしいのもあって、ちょっと余計なことを話したかもしれない。

 

「本当にミソラちゃん、聞き上手だからいろんなこと話しちゃったわ。大丈夫?疲れてない?」

 

 ひと作業終わり、濡れた手を拭きながらあかねさんに聞かれた。ずっと立ちっぱなしだったことも忘れるくらい、夢中になってお話していた気がする。

 

「むしろ、ワタシもいっぱいお話しさせてもらっちゃいましたから。気がついたらこんな時間って感じで」

 

「そう?なら、お互い様ってことで」

 

 あかねさんが笑って、ワタシも笑う。次があれば、もっとお話しできるかな、なんて。欲張って次なんて考えてしまう。

 

 久しぶりに自分のことをたくさん話した気がする。ううん、違う。そうしたくなるくらい、ひとつひとつ、ワタシの話すことに耳を傾けてくれた。それが、居心地がよかったんだ。

 

 ふと、明日からのことを考える。今の時間を台無しにしそうな気がして、すぐに考えるのをやめた。

 

(もう、考えないようにしてたんだけどなあ)

 

 星河家はみんな、「元気なワタシ」でいさせてくれないみたい。ホントにズルいなあ、と思いながら、スバルくんに呼ばれたほうへ向かった。




二次創作SSとして書くのは初めてなので、Partごとに一貫性がもたせられていないかもしれないですが、生温かい目で見ていただければ……。あと1,2Partでエンドにします。
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