薬師アレンとエルフのリズレ   作:ルゥー創作するのは間違っているだろうかー

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捜索依頼

月明かりの綺麗な夜だった。

 

 

 

ミミック討伐を終え、宿へ戻った三人は束の間の休息を取っていた。

 

アレンは薬草を手に。

 

ベルは風呂へ。

 

 

 

 

 

そしてリズレは、一人屋根の上で夜風に当たっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

梯子を登る音がする。

 

 

 

「リズレ。ちょっといいか?」

 

 

 

アレンだった

 

 

 

 

 

 

リズレは月を見上げたまま答えない。

 

 

 

「お前がどうやって天窓から降ってきたか分かったけど、その傷は...何と闘ってやられたんだ?」

 

 

 

「...教えない」

リズレは振り返ることなく短く応えた

 

 

アレンはそれ以上追及しない。

 

 

 

「じゃあ聞き方を変える」

 

 

 

「なんでエルフに会ってあんな顔したんだ?」

 

 

「追われてるから」

これも必要最低限の言葉だ

 

 

「何かしたのか?」

 

 

「教えない」

 

「そうか」

 

そう応えてもアレンは何も聞かない

リズレはいつ本当のことを打ち明けるべきか悩む

 

 

本当は、話そうか何度も迷っていた

 

でも、今じゃない

 

そう、言い聞かせていた

 

アレンとの関係が壊れてしまう気がして、臆病になる

 

 

 

「もうひとついいか?」

 

「何?」

 

 

「姫...と関係あるのか?」

 

その質問にリズレが振り返る

 

「......だったらどうする?」

 

 

リズレは少しだけ笑う。

 

 

 

試すような声音だった。

 

 

 

アレンは肩を竦めた。

 

 

 

「別に」

 

 

 

「別に?」

 

 

 

「ああ」

 

 

 

月明かりが横顔を照らす。

 

 

 

「お前が話したくないなら聞かない」

 

 

 

「……」

 

 

 

「話したいなら聞く」

 

 

 

それだけだった。

 

 

 

リズレは目を瞬く。

 

 

 

「興味ないの?」

 

 

 

「ある」

 

 

 

即答だった。

 

 

 

「でも無理やり聞いても仕方ないだろ」

 

 

 

夜風が吹く。

 

 

 

リズレは小さく息を吐いた。

 

 

 

「変な人間」

 

 

 

「よく言われる」

 

 

 

「嘘」

 

 

 

「いや本当だ」

 

 

 

少しだけ笑いが漏れる。

 

 

 

それ以上は聞かれなかった。

 

 

 

だからこそ――

 

 

 

少しだけ話したくなる。

 

 

 

そんな気持ちになるのが厄介だった。

 

 

 

 

「アレンさん、お風呂上がりました」

ベルが屋根に登ってくるとヒョコっと顔を出した

 

 

「なんの話をしていたんですか?」

 

「別に」

 

「え、絶対何か話してましたよね?」

 

 

ベルはリズレを見る

 

「別に」

ベルにそう口元を緩めるリズレ

 

「えー、僕だけ仲間はずれですか」

ベルは苦笑いする

 

「気が向いたら話してあげる」

リズレはそう言って屋根から飛び降りた

 

「ちょ、高いですよ?!ここ!!!」

ベルは恐る恐る下を確認する

 

リズレは何事もなかったように宿に入って行った

 

「エルフって凄いですね」

 

 

梯子を降りていくアレンに気づいたベル

 

「僕を仲間はずれにするのやめてくださいね?!」

アレンを追いかけ急いで降りた

 

 

 

 

「そろそろ飽きたし、別のにしない?」

リズレは掲示板を見て呟く

 

「そうだな、そろそろか」

 

「何にするんですか?」

 

「ここは、やっぱり」

 

3人声が重なる

 

「薬草採取」アレンが指差す

 

「山狼の討伐」リズレが指差す

 

「護衛依頼!」ベルが即答する

 

「...おい」

アレンが羊皮紙を掴んだ

 

「誰かのせいで薬草が足りないんだよ、これで決定だ」

当然のように薬草採取に決まる

 

 

「えぇ...いいんですか?リズレさん」

不服なベルは頬を膨らます

 

 

「わたしは勝手に山狼を狩るからいいけど」

リズレは顎に手をやり呟く

 

「おい...勝手な行動は控えろ」

アレンがリズレの言葉に溜息を吐く

 

「冒険者と言ったら、人助けじゃないですか?」

 

 

「まあ、確かにそれも一理あるが」

 

「討伐系の護衛ならどれでも良さそう」

腕を組みリズレは瞳を伏せる

 

「やった!2対1ですかね?!」

ベルは瞳を輝かせる

 

 

「行くとは言ってない」

アレンの言葉にリズレは眉を上げた

 

閃いたように提案する

「じゃあ、アレン1人で行けば?」

 

「おい...」

アレンは目を見開く

つまりーーー

 

「ベル、一緒に行こう」

リズレはベルを見た

 

視線が交わる

胸の奥がちりちりと燃えだす

「え?それって、いいんですか...」

 

いつもアレンさんと一緒のリズレさんが?

僕と一緒に?

 

 

それって、つまりーーー

リズレさんと2人っきり

 

で、で、で、デートなのでは?!

 

ベルは顔を真っ赤にする

 

「なんで赤くなるの?」

リズレは首を傾げる

 

 

「不安しか無い、本当に平気か?」

 

ベルを庇いながら闘えるか?

 

 

アレンは脳内計算を始める

 

見捨てたりは...流石にしないよな

 

 

 

「大丈夫、どうせ盗賊とか魔物しか出ないでしょ?」

 

「いや、それが危ないんだが?」

 

「いやったー!!!」

ベルは飛び跳ねて喜んでいる

 

 

ベルがはしゃいでいる横で、アレンは羊皮紙をめくり直す。

 

 

 

「……この護衛依頼、場所が変だな」

 

 

 

「変って、どういう意味ですか?」

 

 

 

ベルが覗き込むと、地図の端に小さく赤い印が付いていた。

 

 

 

「最近“戻ってこない護衛”が続いてる森だ」

 

 

 

空気が少しだけ冷える。

 

 

 

リズレが初めて、視線を上げた。

 

 

 

「人間?」

 

 

 

「いや……種族はバラバラだ」

 

 

 

アレンは羊皮紙を指で叩く。

 

 

 

「共通してるのは、“依頼内容だけは簡単だった”ってことだ」

 

 

 

ベルの笑顔が少しずつ固まっていく。

 

 

 

「え、それって……」

 

 

 

リズレが短く言う。

 

 

 

「罠ね」

 

 

 

「まだ決まったわけじゃないけどな」

 

 

 

アレンは肩をすくめる。

 

 

 

「だから確認しに行く」

 

 

 

ベルはごくりと喉を鳴らす。

 

 

 

「……デートは?」

 

 

 

 

 

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