薬師アレンとエルフのリズレ 作:ルゥー創作するのは間違っているだろうかー
「ベルが魔法使えるようになったら、アレンより強くなっちゃうかも?」
リズレは寝台で眠るベルを見て呟く
「こいつはいつか1人で立つんだから、必要だ」
アレンもベルを見て呟く
「そうかもね」
リズレは伸びをして欠伸をする
「もう寝ろ。明日はベルの魔法特訓だろ?」
アレンは薬草を手に机に向かう
「うん」
リズレは頷くと寝台に向かった
「っ!」
ベルが目を覚ました
宿には、誰もいない...
「リズレさんっ!僕、魔法が...魔法が使えるようになりましたっ」
ベルは外に向かって1人駆け出した
朝日が昇り始めたばかりの街は静かで、人通りも少ない。
「リズレさん!」
辺りを見回しながら走るが、その姿は見当たらない。
ふと、街の外れにある草原の方から聞き覚えのある声が聞こえた。
「うわっ?!おい、お前らなんで逃げるんだよ」
アレンだった。
ベルは声のする方へ駆ける。
草原では、リズレが珍しくお腹を抱えて笑っていた。
「リズレさん!」
ベルの声に、二人が振り返る。
「ベル!」
「目が覚めたのか!」
息を切らしながらベルは叫んだ。
「魔法です! 僕、魔法が使えるようになったんです!」
「何魔法だった?」
リズレは微笑む
ベルは何度も頷いた。
「多分...火だと思います、見ててください、いきますよ!」
ベルは右の掌に左手を添えてを一本の木に向かって伸ばした
「ファイアボルトッ!」
火球が飛んだ
リズレは驚いた表情のままアレンを見る。
「短文詠唱?!」
「……普通じゃないな」
アレンもわずかに眉を上げた。
魔法の才能がある者でも、唄を歌ったり呪文を唱えたりする
だがベルは、たった一言で魔法を成功させてしまった。
「もう一回、見せてみろ」
アレンに言われ、ベルは緊張しながら両手を前に出す。
胸の奥にある温かな力を意識する。
「ファイアーーーボルトッ!!!」
すると――
ボオォオッ!!!
掌から火球が飛び出し木が燃える
小さな火球。
だが確かに魔法だった。
「できた……!」
ベル自身が一番驚いていた。
リズレは嬉しそうに笑う。
「へぇ、凄い!結構火力ある」
アレンは眉をひそめる
そして低く呟く。
「……ただ魔法が使えるようになった、だけじゃないな」
「ベル、その魔力――欲しがるやつが出てくるぞ?」
「魔力ですか?僕は全然...」
「短文詠唱は、即戦力になるからな」
「やっぱり、アレンより強くなった」
リズレは口角を上げアレンを見る
「俺は薬師だから強くなくていいんだよ」
ふっと鼻で笑うアレン
「そう」
つまらなさそうにリズレはベルに視線を移す
その頃、当のベルは――。
「ファイアボルトッ!」
ボッ!
「ファイアボルトッ!」
ボッ!
「ファイアボルトォオオオオオッ!!」
ボオォォッ!!
次々と火球を放ち、草原のあちこちを焦がしていた。
「すごい……! 本当に出る!」
ベルは興奮した様子で笑う。
「おい」
アレンが呆れた声を漏らす。
「調子乗りすぎだろ」
「うん」
リズレも苦笑した。
だが次の瞬間だった。
「ファイア――」
ベルの身体がふらつく。
「……あれ?」
顔から血の気が引いていく。
膝ががくりと折れた。
「ベル!」
リズレが駆け出す。
倒れる寸前のベルをアレンが支えた。
「だから言っただろ」
アレンはため息をつく。
「魔力は無限じゃねぇ」
「え?」
「初心者が連発すれば魔力切れを起こす」
ベルは青い顔のまま瞬きを繰り返した。
「でも……楽しくて……」
「子供か、お前は」
アレンは呆れながらも、どこか安心したように笑う。
リズレもくすりと笑った。
「才能は本物みたいだけど、まずは魔力の使い方からかも」
ベルは恥ずかしそうに頬を掻いた。
「すみません……」
「じゃあ、今日はとことん魔力切れまでやろうか。ある程度は極限の状態に慣れたほうがいい」
「それ特訓なんですか!?」
草原にベルとアレンの笑い声が響いた