薬師アレンとエルフのリズレ 作:ルゥー創作するのは間違っているだろうかー
ベルはまだ魔導書を開いてから、一度も覚醒していなかった
その日リズレはご機嫌だった
傷が回復してきているのだろう
柔らかな鼻唄が聞こえてきた
そのすぐ後、俺は飛び起きることになる
「ん?」
アレンは瞳を擦る
リズレの周りには小鳥たちが集まってきていた
「何じゃこりゃ、魔法か何かか?!」
「アレン、静かに」
人差し指を上に立ててリズレはアレンを見る
「求愛行動か?」
ある鳥は花を咥えてリズレの頭に落とす
またある鳥はダンスを披露している
「ちょっと外に出るね」
リズレはそのまま窓から外へ出ていく
鳥たちもみんな後を追っていった
「俺、うるさかったかな?」
アレンは眉を下げる
リズレの様子が気になり後を追いかけた
相変わらず鼻唄を歌い、今度は森の中で動物と戯れていた
野うさぎやリス、タヌキ、キツネ、鹿、猿、ヒョウまでいる
「なんか危ないのが混じってるな...」
アレンは苦笑いする
クマがやってきてリンゴをリズレに渡す
「ありがとう」
そう言ってクマは森へ帰っていく
「これがエルフの普通なのか?」
食料調達もしてくれる動物たち
頼もしい仲間だな
「違うから」
動物を呼べるのはごく一部しかいない
「よく話には出てくるだろ?」
「わたしには森と対話する唄がある、木々を伝い、風に乗って届く歌声に、動物たちが応えてくれる」
「へえ、あの森が動き出すのがお前の魔力なんだよな?」
「そう。かなり魔力消費が激しいんだけどね」
肩にいるリスに木の実をもらうリズレは微笑む
「使わないと溜まって爆発する前にこうして調整が必要」
リズレを取り囲むように動物が集まっていた
「面倒だな」
「はい、みんなもう解散して」
リズレが手を叩く
そして一斉にアレンを見て、数秒の沈黙。
次の瞬間、全員が蜘蛛の子を散らすように森へ逃げ帰った。
「俺のせいか?!」
なんだか悪いことしたみたいに後味が悪い
リズレが腹を抱えて笑っている
「そりゃ、動物も人間嫌いだよな」
アレンも続けて笑った
その時だった
ベルがリズレを呼ぶ声がした
魔導書を開いてから覚醒しなかったベルが起き上がってきた
「リズレさんっ!」
「ベル!」
「起きたのか!」
「僕、魔法が使えるようになりました!」
ベルが嬉しそうに木を燃やしていく
「僕、魔法が使えるようになりました!」
ベルが満面の笑みを浮かべる。
「ファイアボルトッ」
ベルが叫んだ、次の瞬間。
ボウッ!
ベルの掌から飛び出した火球が近くの木を燃やした。
「わあっ! 本当に使えた!」
鳥たちが一斉に飛び立つ。
動物たちは悲鳴を上げるように森の奥へ逃げていった
周囲を見渡す。
静まり返った森。
さっきまで集まっていた動物たちは一匹も残っていない。
「リズレ、みんな逃げたのは俺のだけのせいじゃないよな」
「また唄えばみんな戻ってくるから...大丈夫、きっと」
燃え広がる森を見ながら2人は笑い合った
そして次の瞬間
「笑ってる場合じゃない!」
消火をしながらファイアボルトを連発するベルを追いかけた