薬師アレンとエルフのリズレ 作:ルゥー創作するのは間違っているだろうかー
リズレはそれから3日間
俺の言うことを聞かず、飯を食べる以外は屋根で過ごした
「ちゃんと休んでるか?」
「...」
「いつ寝てるんだ?」
「話しかけるな」
森を、その先をじっと見つめて動かない
エルフの体力は無限なのか?
そうじゃないだろ、普通
「一体、何をみてるんだ?」
どう見てもいつもと変わらない静かーーー
静かすぎる森だった
鳥が飛び立つ
ゴゴゴゴゴ...
「なんだ?」
地響きがした
バキッ
バキバキバキッ
そして、リズレのいる場所めがけて木の幹が伸びていく
「リズレッ!!!」
そのまま屋根を突き破って破壊した
ドガガガガガッ
「だぁーっ?!屋根が?!」
アレンが叫ぶ
「何が起こったんだ?!リズレ」
「アレは私を追っている、ここから離れるな」
「離れるなって、屋根壊れてますけど?!」
「...あとで弁償する」
リズレはそう言って重症とは思えないスピードで駆け出した
「馬鹿っ!無理するなって言ってるのに」
リズレが口ずさむ、歌
金色の瞳に光が宿り煌びやかに輝く
リズレの周囲の森は攻撃してこなくなった
「凄い...何がどうなってやがる」
しかし遠方から伸びてくる枝、根
切れる葉が容赦なく襲ってくる
リズレは短剣を抜き、根本の元を断ち切っていく
「これ、ジリ貧だよな...」
汗が頬を伝う、数が多すぎる
リズレが歌う。
それは言葉というより、空気を撫でる音だった。
金色の瞳が淡く発光する。
その瞬間――森の動きが止まった。
「……止まった?」
アレンは目を見開く。
さっきまでうねっていた枝が、
まるで“命令待ち”のように空中で静止している。
だが。
ゴッ……!
遠く、森の奥で音が鳴った。
止まっていた枝が、再び動き出す。
「効いてないのかよ!」
リズレは舌打ちする。
「完全には無理か……」
短剣を抜く。
アレンには見えない“何か”と戦っているようだった。
枝が走る。
まるで槍だ。
一本が地面を抉り、もう一本が屋根の残骸を貫く。
「っ!」
リズレは跳ぶ。
着地と同時に枝を切る。
スパッ。
だが切った瞬間、切断面から新しい枝が生える。
「再生してる……?」
アレンが呟く。
リズレは答えない。
その代わり、歌が変わった。
空気が重くなる。
音ではない“圧”が森に広がる。
枝の動きが鈍る。
「今度は……押さえてるのか?」
だがリズレの肩がわずかに震える。
無理をしているのが分かる。
(長くは持たない)
そのとき。
森の奥から“太い一本”が現れた。
他の枝とは違う。
まるで意思そのもの。
ゴオッ――!
「っ、来る!」
リズレが叫ぶ。
枝は避けるという概念を無視して、空間を貫いてくる。
リズレは横に跳ぶが、間に合わない。
その瞬間。
アレンが叫ぶ。
「リズレ!!」
何もできない。
ただ叫ぶだけ。
リズレは一瞬だけアレンを見る。
そして――
小さく笑った。
「下がって」
次の瞬間。
歌が“命令”に変わる。
金色の光が爆ぜる。
森が一瞬、完全に沈黙した。
枝も、風も、音も止まる。
まるで世界が息を止めたように。
「……なに、今の」
アレンは息を呑む。
リズレの周囲だけ、空間が歪んでいた。
だが――
その歪みの中心で、リズレが膝をつく。
「……っ」
血がにじむ。
森が“反発”するように動き出す。
ゴゴゴゴッ!!
「まだ来るのかよ!」
アレンは初めて理解する。
これは戦いじゃない。
「森が……リズレを殺そうとしてる……?」
リズレは立ち上がる。
短剣を握り直す。
金の瞳が揺れる。
「こいつ、何と戦ってるんだ……?」
アレンは薬舗へ入ると薬棚へと走った
「これでも食らえッ!!!」
魔力反応を抑える薬を混ぜた
"強力除草剤"を森に撒き散らす
「アレン!森が死ぬッ、やめて」
リズレは血を吐きながら反発していた
「っ、そんなこと言ってる場合じゃないだろ!!」
構わず遠くへ放り投げ出す
パリンッ
パリンッ
連続して割れる瓶
アレンはリズレの元に辿り着く
森が後退していく
「やった、のか?」
「馬鹿...」
リズレは血を拭いながら瞳を閉じた
リズレの身体から力が抜ける
「早く手当を」
アレンはリズレを抱き上げた
リズレは瞳を開けた
「もう、襲ってこないみたい」
「みたい...?分かるのか」
「森を、殺したく、ないのは...相手も、私と、同じだから...」
そう言って完全にフリーズしたリズレを寝台に寝かせた
「それって、つまり。相手もエルフってことか?」
アレンは片眉を上げる
「目が覚めたか?」
リズレは包帯と湿布を取り替えて丸3日眠ったままだった
かなり魔力の消耗が激しかった
しかも碌に寝ていなかったのもあるだろう
あとはちゃんと食事を摂って休んで欲しいものだ
つきっきりの看病で人のこと言えないのが恥ずかしいが...
「世話になった」
起きて早々リズレは呟いた
「無理するなって」
痛みを堪えながら起き上がるリズレに手を貸す
「触るな...」
相変わらずの拒否反応
「俺がまた手を貸すから、何か入れておけ」
力無く抵抗するリズレを心配する
体力が限界に近い
顔も真っ青
健康状態は最悪だった
鍋を温め直しにいく
「ここを出る」
ベッドからふらふらと立ち上がるリズレ
魔力低下は予想通り足元を危うくする
どこに行けるというのか?
「いつ?」
「今」
「飯は?」
「...要らない」
「おい、それはダメだ」
一歩、一歩ゆっくりとドアへ向かうリズレの腕を掴む
「離して」
「ダメだ、座れ」
「行かなきゃ」
「どこに?」
「また巻き込む...」
「それでも、行かせることはできない」
はっきりとアレンはリズレに向かって言った
その時「ドンッ」ドアが吹き飛んだ
「ドア-っ?!」
アレンが叫ぶ
空気が冷える
開放的になった場所に向かってリズレがゆっくりと進む
「リズレ、戻れ」
外には見覚えのない"エルフ"がいた
「...また、来るね」
そう言ってリズレは忽然と消えた
いなくなった
「リズレッ」
「ありがとう、僕たちの姫を守ってくれて」
「リズレをどこに連れて行った?!」
「あれは彼女の意思だ」
「まだ治療途中だ」
「あとは僕たちで治す」
「重症だぞ?」
「僕たちには薬より効果的な、方法がある」