薬師アレンとエルフのリズレ   作:ルゥー創作するのは間違っているだろうかー

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善意

 

 

「傷、見せろ」

 

「胸が見たいだけじゃない?」

 

「そんなわけあるか」

 

仕方なく服を脱ぐリズレはアレンに掌を向けた

 

「自分で塗る」

軟膏を受け取るリズレ

 

「そうしてくれると助かる」

 

「助かる?」

 

「そう」

 

 

アレンは視線を逸らした。

 

 

 

耳が少しだけ赤かった。

 

 

 

アレンは薬草の調合を開始する

痛み止めはまだ必要だし...

 

 

「ちゃんと飯も食えよ」

 

「いっぱい食べてる」

暇さえあれば食料を押し付けてくるアレン

 

 

そしてアレンの薬湯の効果でリズレは気がつかないうちに寝落ちした

 

 

 

 

 

 

 

 

寝落ちしたリズレを抱き上げ、寝台へ横たえる。

 

毛布を肩まで掛けると、アレンは薬湯の残りを片付けた。

 

「無茶ばっかりしやがって」

 

小さく呟く。

 

そして自分は壁際の椅子に腰を下ろした。

 

次に目を覚ました時のために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リズレ、行くぞ」

次のクエストを引き受け、受付を済ませたアレンは依頼者の元へ急ぐ

 

 

「うん」

 

 

「おい、そこのエルフ」

 

「?」

リズレは一瞬だけ、視線を送る

 

「そう、お前だよ」

 

「何?」

 

「いいツラしてるじゃねえか、そこのヒモにつくより俺たちと一緒の方が楽できるぜ?」

 

 

「...」

アレンは何も聞いていないように、出口に進んでいく

リズレもまた同じように進んだ

 

「おいおい、無視かよ」

立ち上がりリズレの腕を掴もうとする冒険者の腕を白髪赤眼の少年が掴んだ

 

「やめてくださいっ!困ってます、その人...」

 

「...はあ?なんだテメェ、関係ねえくせに!ルーキーのくせにでしゃばってんじゃねえぞ」

少年の胸ぐらを掴み、壁に突き飛ばした

 

「!」

リズレは立ち止まる

 

「...っ!!」

少年は歯軋りをする

 

 

「行くぞ」

アレンはそう呟き、リズレも見て見ぬ振りをしてギルドを出た

 

 

 

「ああいうの日常茶飯事なのか?」

 

「大体ね」

 

「大変だな」

 

「無視する」

リズレは一泊置いて続ける

 

「でも...たまにああして庇ってくれる人間もいるの」

 

人間を警戒はしているが、そういう人間がいることもリズレはわかっている

 

 

あの少年のように

 

結果がどうあれ、見て見ぬ振りをできない人間もいる

 

 

 

「そうか」

 

 

依頼人の待つ村へ向かう道中。

 

森の小道を歩きながら、リズレはふと後ろを振り返った。

 

「気になるのか?」

 

アレンが尋ねる。

 

「少しだけ」

 

「あの少年か」

 

リズレは頷いた。

 

「ああいう人間は珍しい」

 

「そうかもな」

 

アレンはそれ以上語らない。

 

しばらく歩いていると、前方から魔物の唸り声が聞こえた。

 

アレンは腰の剣に手を置く。

 

「仕事だ」

 

「うん」

 

リズレも弓を構えた。

 

さっきまでの会話は終わり。

 

二人は息を合わせるように駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「村に出没する巨大イノシシ(ダイアボア)の討伐ね」

アレンは顎に手をやり悩んだ

 

「ちょっと強すぎないか?」

 

「狼よりは」

 

「まだ無理はできないだろ?」

 

「無理じゃないと思うけど?」

 

「まだ傷が」

 

「アレンがいるし」

 

「いや、俺は弱いし」

 

「薬が強い」

 

「そうだな」

アレンは否定しなかった。

 

 

 

自分の剣技に自信はない。

 

 

 

だが薬の調合だけは誰にも負けないと思っていた。

 

 

 

「じゃあ、それで行くか」

 

「うん」

 

 

その様子を見つめる白髪赤眼の少年がいた

アレンたちと同じ依頼の羊皮紙を見つめていた

 

 

 

 

 

 

 

「突っ込んできたぞ!!!」

 

「アレン、下がってて」

リズレは弓を弾き、牽制する

 

しかしボアの足は止まらない

スピードを上げ突進してきた

 

 

アレンは腰袋から薬瓶を取り出し地面に投げつけた

 

パリンッ

白い煙幕が一面に張る

 

横跳びして転がるリズレ

 

ガラガラガラッ...

後ろの建物が崩壊する

 

「...っ!!!」

住人が怯えているのを確認する

 

ボアの標的が住人へと変わる

リズレは身を翻し短剣を抜く

 

「おい、無茶するな」

 

「まだしてない」

リズレはボアに向かって走り出す

 

「おい」

 

ボアが住人に向かったその先に白髪赤眼の少年が飛び出す

 

「こっちだ!!!」

投石をしてボアの注意をひきつけた

 

住人から少年に向かって走り出すボア

 

「何やってんだ!」

アレンは叫びながら、薬瓶をボアに向かって投げつけた

強烈な臭いにボアの動きが鈍くなる

 

 

「いや、正解!」

リズレはボアに向かって飛んだ

 

 

少年の目の前に銀の線が疾る

 

「グォオオオオッ?!」

リズレの短剣がその巨体を切り崩す

 

 

「臭いっ!」

リズレが鼻を摘んで逃げ出してくる

それを見たアレンは少年を担いだ

 

「うぅうううう...」

少年は蹲って動けかった

 

 

アレンはその場から離れるとボアを確認する

「死んだな」

 

 

「ちょっと!あれ酷いでしょ?!」

リズレはアレンに怒鳴る

 

「死ぬ...」

 

少年は強烈な臭いに完全に伸び切っていた

 

 

 

「大丈夫か?」

 

 

鼻に効く薬湯を少年へ渡す

 

「すみません、ありがとうございます」

一口目を飲んだ少年はかなり気持ち悪そうだった

アレンは苦笑いする

 

「私にも早く頂戴」

 

「分かってるよ」

催促されたアレンは急いでリズレに渡す

 

「最悪」

一口飲んでリズレは感想を言う

 

「しばらくしたら効くから我慢しろ」

 

「うぅ...横になりたい」

少年は、ふとリズレに見られていることに気付く

 

「ひっ?!」

顔を赤くして視線を逸らしてしまう

 

弱い自分

格好悪い自分

全てが恥ずかしかった

 

「初心者よね?」

リズレは少年の装備を見ていた

ギルドから渡される初期装備はまだ傷ひとつない

 

「お前、死ぬ気か?」

アレンも心配するように見つめた

 

普通の人間なら動けない奴も多い

こいつは、早死にするタイプだと判断する

 

「え、えっと。実は、あなた達を追って来ました」

少年は白状した

 

「なんで?」

アレンが首を傾げる

 

「気づいてた」

リズレは見抜いていた

 

「気づいてたのかよ...」

アレンは苦笑いする

 

 

「えっと、その...」

チラッとリズレを見る

 

「嫌かもしれないですけど、エルフが好きで」

 

 

「...」

リズレは溜息を吐く

それだけであんな危険なことするのは困る

 

 

「なるほど」

アレンもリズレを見た

 

「あの。嫌じゃなかったらパーティご一緒させてもらえませんか?見習いってことで...」

人差し指をつつきながら、少年は恐る恐る提案した

 

「だってさ、どうする?」

 

 

「...良いんじゃない?また無理されると困るでしょう?」

 

「そうだな...勝手な行動は禁止だ。あとは死にそうになったら冒険者を辞めることも視野に入れろ」

アレンは真っ直ぐ少年を見て言った

 

「ありがとうございます、僕ベルって言います」

ぺこりとお辞儀をするベル

 

「アレンだ」

 

「よろしくお願いします!」

ベルはアレンと握手をして、リズレを見る

 

「リズレ」

リズレは握手はしなかった

 

それでもベルは嬉しかった

頬が染まる

「よろしくお願いします!リズレさんっ」

 

大きな声に沈黙するリズレは人差し指を口元に運ぶ

 

「元気がいいな」

アレンは笑う

 

「声が大きい、周りに聞こえるから静かにね?」

 

「は、はいっ!」

声のトーンは変わらなかった

 

「うるさいって」

 

「慣れるまでの辛抱だろ」

リズレは笑っていた

人間が嫌いというか、警戒心が強いだけなのかも

アレンは照れるベルとリズレの2人を見て笑う

 

 

 

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