薬師アレンとエルフのリズレ 作:ルゥー創作するのは間違っているだろうかー
村の依頼人と交渉前にボア討伐は終わってしまった
リズレが強すぎる
負傷していなかったらどれだけ強いんだろうか...
「好きなだけ泊まっていってください」
食事も好きなだけしていいそうだ
ありがたい
早速、リズレの栄養状態が不安定なので食事に移る
「ベル、ある程度基本は抑えてからクエストに行こうと思うんだがいいか?」
「アレン、冒険者の経験あるの?」
リズレは首を傾げる
「あるよ、俺に興味無さすぎだろ」
今まで聞いてこなかったことに驚くアレン
「基本...ですか?」
「ああ。お前、誰からも教わってないだろ?冒険者ってやつを」
「はい、まあ...」
ベルは視線を落とす
「いいか、まずはさっきの戦闘だが」
ベルは息を呑む
怒られるんだろうか?
「ひきつけたのは凄くよかった、勇気があるな」
アレンはそう笑う
リズレもベルを見て微笑んだ
その表情に固まる
ベルは頰を染めて視線を落とす
嬉しい...
いつもルーキーだとか、馬鹿にされっぱなしだったけど
生まれて初めて褒められた気がした
「けど、その先だ。」
「...先?」
「足が止まってる」
リズレが言う
「まずは逃げろ。生き延びることを考えることが優先だ」
「逃げていいんですか?」
ベルは質問する
「いい」
アレンの言葉にリズレも頷く
「俺が臭いのやつをやっただろ?お前が逃げていれば被害はリズレだけで済んだ」
「おい」
リズレが突っ込む
「でも住人にまたボアが動いたら」
ベルはそうぽつりと呟く
「私がやる」
リズレはそう言い切った
「でも、それじゃ僕がいる意味って...」
俯くベル
「それはこれからゆっくりじっくり積み上げていくんだ」
アレンは笑う
「焦ることなんてない、焦りは失敗を招くから」
リズレもそう付け足した
村一番の客間に案内された3人はゆっくり寛いでいた
「リズレ、傷見せてみろ」
リズレの肩を掴むアレンとそれを拒むリズレ
「自分でやるって」
「いや、一応見ておかないと」
「2人とも距離、近くないですか?!も、もしかして2人って...」
ベルは赤面したり青くなったり忙しい
「「違う」」
声を揃えるアレンとリズレ
「俺は薬師だ、リズレは患者、しかも重症者だ」
「もう軽傷でしょう?」
「それを確認するんだって」
一歩も引かない両者にベルは見ていられなくなる
「それなら、リズレさんが良くなるまでこの村に滞在でも良さそうですね」
ベルはそう笑う
「いいこと言った、だってさリズレ」
アレンの手元から軟膏を奪うリズレ
「アレンが次の街、次のクエストって進んできたんじゃない?」
「俺のせいか?」
「おーい、冒険者様。討伐のお祝い一緒にしましょう」
そう言ってアレンとベルは顔を出しに行った
その隙にリズレは風呂を借りることにした
「なんかゆっくりするの久しぶりだな」
傷が染みることはなくなった
回復は順調にしている
リズレは掌を見つめた
酒に酔ったベルが風呂場に入って来た
「ちょっと、村の人と呑んでたんじゃないの?」
リズレは身体にタオルを巻いてベルに問いかける
「ごっ、ごめんなさぁあああい?!」
酔いが一瞬で吹き飛んだ。
ベルは慌てて後ろを向く。
しかし焦りすぎて足を滑らせた。
「うわっ?!」
盛大な水音が響く。
「……何してるの」
リズレは額を押さえた。
湯船に半分沈んだベルは真っ赤な顔で震えている。
「ち、違うんです! 本当に違うんです!」
「何が?」
「覗くつもりとかじゃなくて!」
「誰もそこまで言ってない」
ぐうの音も出なかった。
ベルはしゅんと肩を落とす。
その様子にリズレは小さくため息を吐いた。
「ほら」
桶で水を汲み、ベルの頭からかける。
「冷たっ?!」
「酔い覚まし」
「ひどい!」
「自業自得」
即答だった。
ベルは情けない声を漏らす。
その時、
「ベルー? どこ行ったー?」
風呂場の外からアレンの声がした。
「お、いたいた」
戸が開く。
「リズレ、そいつ来てな――」
そこで止まる。
風呂場。
タオル姿のリズレ。
湯船で縮こまるベル。
数秒の沈黙。
「……」
「……」
「……」
先に口を開いたのはリズレだった。
「回収して」
「はい」
アレンはベルの襟首を掴んだ。
「ぎゃああああああっ!」
そのまま引きずられていくベルを見ながら、リズレは再び湯船に浸かる。
「静かになった」
ぽつりと呟き、久しぶりの平和な時間を楽しむのだった。