レルネーの友   作:餅もち

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第十三話

♢♢♢♢♢

 

「それでねそれでね!今はカルキノスと一緒にロボットを作ってるんだ!見てこの設計図!私が描いたんだよ!」

 

「ふふっ。なるほど。楽しそうですね。ロボットは私にとっても身近なものですし、良ければお手伝いしましょうか?」

 

「大丈夫だよ。私たち二人の友情の証だから!ありがとうお母さん!」

 

「そうですか。設計図を見る限りこれはカニ型のようですね。これを考えたのはカルキノスでしょう?」

 

「うん。『俺の名前はカルキノスだから、カニ型にしてみるか』っていう感じで決まったみたい。」

 

「他にも色々な機能がありますね。貴方の口から教えてもらえますか?」

 

「もちろん!まずは空を飛べるようにする為のエンジンがあって、鋏からはビームが出るようにしようと思ってるの。ここら辺はあの真体の欠片の集合体を使おうと思ってるんだ。それに防御力を上げる為に甲羅に森の動物の皮を張って上にあの時の竜の鱗をつけて防御を強くするんだ。それから、力はね・・・・・・」

 

「そうですか、よく出来ていますね。ですが、この『戦う時は山より大きくなって戦う』という機能は入れなくて良いのですか?」

 

「それね、どうにかしてしようと頑張ってたんだけどどうしてもダメだったの。だから一旦それは諦めて他のところを作ってから足せたらなって」

 

「ふむ、であれば出来ないようなら教えてください。貴方たち二人へのプレゼントとしてそれを渡します。」

 

「うーん。・・・・・・あと5年くらい出来なかったら貰うことにする」

 

「ええ、それで構いません。」

 

ヒュドラはヘラに色々なことを話した。でも、森でした色んなことよりもカルキノスと会ってからの数日間の思い出が多くの割合を占めていた。怪物の時に会って出会い頭に殺されたこと。それからカルキノスが気になって数日間ずっと見ていたこと。それから襲われてたのをカルキノスに助けてもらったこと。そして友達になったこと。そしてロボットを作ることになったこと。全部を話していた。

しかし、ヒュドラは最後にため息を吐く。

 

「でも、名前が決まらないの。」

 

「名前、・・・・・・ですか?」

 

「うん。どんな名前にするべきか分からなくて。お母さんならどうする?」

 

「自分で考えなさい。」

 

「即答!?うぅ、カルキノスとおんなじだよぉ」

 

ヘラは微笑んでヒュドラを撫でる。

 

「名前なんて何でも良いのです。」

 

「よくないよぉ」

 

「良いのです。・・・・・・大切なのはなんと呼ぶのかではありません。」

 

「どういうこと?」

 

「その名前に意味を与えることです。」

 

ヒュドラは少し考え込む。でも、分かるような分からなくてような微妙な感覚だった。ヒュドラは考えている中で、カルキノスとの会話を思い出していた。

 

 

 


 

「名前思いつかないから俺に決めろだぁ?そんなのささっと決めれば良いだろうが。」

 

「難しいんだよ。カルキノスも考えてよー。」

 

「だから前に言っただろ。お前が決めなきゃロボットの名前は『カルキノス2号』にするって」

 

「真面目に考えてよー。手伝ってくれるだけでもいいからさぁ。」

 

「はあ、まあ少しは手伝うか。」

 

「本当!?どんな名前考えてたの!?」

 

「そういうのじゃねえよ。俺の名前の由来を教えてやる。」

 

「うー。まあ、それでもいいか。教えてカルキノス!」

 

「ったく。・・・・・・俺が生まれた時にな、家の前を大量のカニが行列になって通ったらしい。」

 

「ふむふむ。」

 

「・・・・・・」

 

「・・・・・・あれ?続きは?」

 

「終わり」

 

「えー!?そんな理由で決まったの!?」

 

「うるせぇよ!俺の村ではカニは厄災やら何やらを退けるとかで縁起物なんだよ!だから、困難を乗り越えられるように、とかでこの名前になったんだよ!文句あるか!」

 

「・・・・・・素敵な名前じゃん!やっぱり名前考えるのって難しいよ!カルキノスも手伝って!」

 

「今手伝ってやっただろ!後は自分でやれ!」

 


 

カルキノスの名前の由来。素敵だったなぁ。

 

「あっそうだ!お母さん!私の名前ってどんな理由でつけられたの?」

 

「名前、ですか。・・・・・・私と貴方が初めて会った時のことを覚えていますか?」

 

「えーっと、たしか、川で水浴びしてたんだっけ?」

 

「そう。だから水という意味のヒュドールを言い換えてヒュドラという名前をつけました。名前とはそうやって決まるものですよ。」

 

ヒュドラは静かに聞きながら、考えていた。そして呟く。

 

「名前って、そんなものなんだ。」

 

「ええ、だから貴方も自分で決めなさい。大丈夫、きっと素敵な名前をつけられますよ。」

 

「・・・・・・うん。ありがとうお母さん。頑張ってみる。」

 

それから、ヘラが帰った後もヒュドラは一人で設計図を見ながら考えていた。

せっかくならなにかすごい名前をつけようと思っていたけど、名前なんて何でも良いんだってわかった。だから、今までの思い出を思い返していた。

 

「名前。・・・・・・そういえばこのロボットって姿はカルキノスを表してるんだよね。なら、名前は私を表すようなのがいいよね。うーん、そうだ!蛇にしよう。蛇をそのままで『オピス』!うん、これにしよう!」

 

ヒュドラはそのまま設計図の上に大きく書き込む。それから嬉しそうに笑った。

 

「これでよし!明日カルキノスに見せよーっと。・・・・・・ふわぁ〜あ〜。久しぶりに眠くなってきたな。とりあえず少し寝て、それ、から、片付け・・・・・・て」

 

そう言ってヒュドラは眠りについた。隠れて見ていたヘラは眠っているヒュドラを抱き上げると、ヒュドラが起きないように移動してベッドに眠らせた。

 

「おやすみなさい、ヒュドラ。良い夢を。」

 

そう言ってヒュドラに笑いかけるヘラの顔は自分の子供を見守る母親のようだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあおやすみ、お母さん、お父さん。」

 

「おう。おやすみ。」「おやすみなさい。カルキノス。」

 

カルキノスは今日もいつものように帰ってきて、ご飯を食べて、寝る。そして毎晩、自分の中にいる『魔』と話をする。

 

『あら来たのね。元気にしてた?』

 

「いや、お前見てるから分かってるだろ。最近はロボット作りしてんだよ。アイツと一緒にな。」

 

『そうだけど、コミュニケーションは大切よ。・・・・・・それで、今日もするのかしら?』

 

「ああ、頼む」

 

『分かったわ。・・・・・・死んでも死なないでね?』

 

「おう、任せとけ。・・・・・・よしっ、こい」

 

そう言った瞬間、カルキノスの身体は消し飛んだ。

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