ヒュドラは秘密基地の奥へと進んでいく。カルキノスもその後を追った。
奥へ進めば進むほど、そこには昔集めた物や、この五年間で増えたらしい物が置かれている。
見覚えのある物もあれば、まったく覚えのない物もあった。
「なんだあれ、知らないうちに俺の作った秘密基地改造されてる。色々広くもなってるし、すげぇなヒュドラ。」
「ふふっ。その程度で驚いてたらこの先なんて見てられないよー。後もうちょっとだから、ちゃんと着いてきてね。」
「りょーかい。話終わったらここら辺のやつもちゃんと教えろよー」
そして。
一番奥へ辿り着いた時、カルキノスは思わず足を止めた。目の前には今まで見たことのないような大きな扉が道を塞いでいたからだ。
「あれっ?ここってたしか」
「そう。私たちで『オピス』を作ってたところ。オピスは今カルキノスが乗ってるから。今は違うことに使ってるんだ。」
「あぁ。やっぱこの身体って『オピス』だよな。記憶が少しずつ戻ってからなんか違和感あったんだよな。」
記憶が朧げながら戻り始めた時からずっと違和感があった。自分の鋏、自分の脚、自分の甲羅、そして自分の姿。全部外側から見た覚えがあった。
「でも、今は俺の身体が『オピス』なんだよな。そうだとしたら今この奥には何があるんだ?それに人間のときの俺の身体はどこいったんだ?」
「うん。その全部の答えがこの先にあるよ。・・・・・・・・・・・・ねえ、カルキノス。今までも何回か聞いたけど知らない方がいいことって世界には沢山あるんだよ。それでもキミはこの先にすすむ?今すぐ戻るならこのことは忘れて二人で楽しく生きていこう。カルキノスがいない間に色々人間のことについて勉強したんだ。あの姿になれば毒も極力抑えられるから人間が作った道具で料理とか、他にも楽器とかも演奏出来るようになったんだよ。だから、・・・・・・だ、から・・・・・・」
「ありがとな。ヒュドラ。でも俺は知らないといけないんだ。家族やお前について知りたいってのもある。でもそれ以上に!これが今!俺が一番やりたいことだから!たとえ後悔することになっても。俺はやらない後悔より、やる後悔を選ぶ人間だ!だから教えてくれ、ヒュドラ」
「・・・・・・・・・・・・やっぱり変わってないな。カルキノスは。でもそこは変わってて欲しかったよ。分かったよ。じゃあ行こっか。」
そう言ってヒュドラは扉の前に立つと大きな音を立てて扉が開く。
しかし、その奥には何もなかった。いや何もないわけじゃないけど、何か衝撃的なものがあるわけでもなくただ、あの頃の、『オピス』を作るために作られたまんまだった。
「あれ、ヒュドラ。あんな言ってたのにこれだけ?変わってなかったのは嬉しいけどあんなに言うほどでもないと思うぞ。」
「・・・・・・・・・・・・」
「ヒュドラ?いきなり黙ってどうかしたのか?」
「私があんなにここにくるのを引き止めたのはね。ここに入れたくなかったからじゃないの。ここにきたら話す覚悟を決めてたってだけ。・・・・・・よしっ。準備はいい?」
「おい。何する気だお前。」
「これがバレたらカルキノスに嫌われるかもって思うと絶対にこれだけは知られないようにしようって思ってた。・・・・・・じゃあ話すよ。」
「待て。少し話を聞く覚悟をさせてくr」
「カルキノスの身体は私の中にはいってるの!」
「はっ?」
「いや私がしたくてしたんじゃなくて止むに止まれぬ事情があってそうしないといけない状況だったというかそうしないとカルキノスが死んじゃってたと言うか今思えば他にもっとやりようはあったとは思うんだけどそれでもあの時は私も焦ってまともに判断できなかったというかとりあえずごめんなさい!気持ち悪いとか嫌いだとか思わないでください!まあ確かに私の中にカルキノスがいるって状況に嬉しさを感じてなかったって言ったら嘘になるけどそれでもちゃんと年齢に合わせて身体も成長させてるし、精神も急遽『オピス』に避難させたから悪影響はないしむしろあの状態から治しきったことに感謝してほしいというかというか元はと言えばなんでお母さんはカルキノスを今連れてきちゃったのカルキノスに外を旅してもらってる間にいい感じの言い訳を考えておこうと思ってたのにそうだよお母さんが悪いんだこれのせいでカルキノスに嫌われて出ていっちゃったらお母さんのこと地の果てまで追いかけて殺そううんそうしようそれにカルキノスだって悪いんだよ私が散々記憶思い出すのは後にしない?って言ってるのに俺は思い出すんだって言うから結局知らせちゃったんだよ。それに・・・・・・」
「おーい。ヒュドラー?大丈夫かー?俺の声聞こえてるー?」
「はっ!?つまりはねカルキノス!これは私があなたのためにしたことであって悪いのはあの時村を襲ってきたあいつら!私はカルキノスを助けた恩人だからね!」
「おーおーいったいなんの話してんのか全くわかんねぇや。とりあえずなんでそうなったのかについて教えてもらっていいか?」
「・・・・・・引いてない?」
「引いてない」
「・・・嫌いになってない?」
「俺がお前を嫌いになるはずないだろ」
「気持ち悪いとか思ってない?」
「どうゆう感じなのかは分かんないけど俺のこと助けてくれたんだろ?ならそんなことおもわねぇさ。」
「そっか。良かった。じゃあカルキノスの人間の身体、取り出すね。」
そういうとヒュドラの首の一つが入り口から現れる。そして目の前までくると全身が光り、バラバラになる。すると、そこから18歳ほどの少年が出てきた。
「おぉー。なるほどこれが俺の身体。思ってたより普通だな。」
「そんなことないよ!とってもかっこいいよ!・・・・・・ところでなんだけど、なんで私の中にカルキノスがいるって知った時そこまで大きな反応しなかったの?」
「身長も体格もその辺の一般人と同じくらいだな。・・・・・・って何?なんで気持ち悪がらなかったのかって?」
「そう」
「そりゃぁ、俺はこのギリシャを五年も旅してきたんだぞ。それ以上にやばいことされたやつなんて星の数ほど見てきたよ。それに比べればお前のしてきたことなんて可愛いもんだよ。」
「そうだったんだ。良かった。カルキノスに嫌われたらもう全部壊してやり直すしかなかったよ。」
「はは!俺の身体を守ってくれたことに感謝こそすれ、嫌いになったりなんてするもんかよ。」
「よかった。本当に安心したよ。・・・・・・・・・・・・それじゃあ改めて教えることにするよ。この身体がカルキノス本人の身体であることがあって、カルキノスは大怪我しちゃったんだ。それを治すためにカルキノスをまず『オピス』の中に入れたの」
「そりゃなんで?」
「私が怪我したカルキノスを背負ってどうしようどうしようって焦ってた時にね、オピスの機能を思い出したの。」
「オピスの機能?」
「うん。オピスは元々は私が入ってカルキノスと一緒に旅をする為に作ったものなの。それで私が入るとなるとそれなりに弱体化させて入らないといけないから、いざという時のために治療する機能もつけてたの。それで何とか間に合って少しずつカルキノスの身体は治っていったんだけど、その途中で襲われちゃって。しかも私じゃなく『オピス』の方が先に襲われたからカルキノスの身体がぽーんって出てきちゃったの。けどオピスは川に落ちちゃって。なんとか一つだけオピスにヘビをつけることができたんだけど私は毒のせいで沼からでると英雄や神に目をつけられちゃうから出れなくて。しかも、カルキノスの身体は治ってたのに心がどっかいっちゃってて。オピスの方に心があってしかも記憶喪失だった時の私の驚きが分かる!?本当に大変で大変で大変だったんだよ!」
「なるほどな。そりゃどうも。じゃあ次は俺とヒュドラが出会った話をしてくれよ。」
「そんな恥ずかしいことするはずないでしょ!何の為に今身体を出したと思ってるの。多分意識を身体に戻せば記憶も一緒に元に戻るはず。記憶が一気に戻って大変だろうけど、私もカルキノスの心の中に入って整理を手伝うからこれからは自分の記憶から知りたいことは調べてね。・・・・・・よしっ!これで準備かんりょー!いくよー。」
そういうとヒュドラはカルキノスの身体とオピスにコードなどを取り付ける。
「いや待てだからそういうのは一度心の準備をしてかr」
「カルキノスの心と身体を〜〜〜・・・・・・、「
「だから!人の話を!!聞きやがれええええぇぇぇぇぇぇーーーー!!!」