「だから!人の話を!!聞きやがれえええぇぇぇぇぇぇーーーー!!!」
その叫びを最後にして、カルキノスの意識は暗闇へと沈んでいった。
♢♢♢♢♢
━━━━冷たい。
身体が少しずつ沈んでいく。なんだこれ。あぁ、これ『沼』だ。
「って。沼に沈んだら死ぬわボケ!早く起きろ起きろ!」
「あぶねー。あのヤローやっぱ何回かぶん殴んねぇと気がすまねぇ。おい、ヒュドラ!お前な・・・に、しや・・・・・・が・・・・・・・・・・・・。ここ、どこだ。」
急いで立ち上がると気づく。いつのまにか外に出されていた。青空が見え、木々に囲まれ、足元は草の生い茂る地面となっていた。この空気、どこか懐かしい。
「いったいどうゆうことだ。ヒュドラは俺の記憶を思い出すためとか言ってたけど」
進もうとして歩き出し、気づく。歩きやすいし身体が軽い。身体が赤くないし手が鋏ではなく五本指になっている。足も2本で甲羅もない。
「俺、人間になってる。いや、人間に戻った・・・・・・の方が適切か。」
思わず手を握ったり開いたり、木を登ったり降りたり、歩いたり、走ったりしてみる。
「おぉ、やっぱ便利だな人間の身体。それになんだか、少し懐かしいような気もする。カニの身体ってクソだったな。」
そんなことを言っていると、後ろから小さな蛇が話しかけてくる。
「私たちの努力の結晶を『クソだった』とか言わないでもらえないかな。確かに不便だったろうけど。・・・・・・ていうか人間の身体に戻ったばかりなのにそんなに動けるものなんだね。時々動かしてはいたけど筋肉量とか落ちてるせいでまともに動けるはずないのに。やっぱりカルキノスはすごいね。」
「おぉ、ヒュドラお前そんなとこにいたのか。やっぱ人間の身体っていいな。動きやすいわ。」
「うーん。やっぱり普通に動けてる。・・・・・・まあいいか。カルキノス。身体で調子悪いところとかない?とりあえず夢の中でもし身体を動かすならこんな感じだよって教える為に再現してみてるんだけど。」
「若干動きにくいところはあるけど特に気になるところはないな。正直いえばカニの方が動きやすいってくらいか。っていうかこれやっぱ夢なんだな。」
「まあ、5年間もカニの身体だったからね。多少人間の身体に違和感があるのはわかってたことだよ。これから記憶の整理に行くけどオピスとそっち、どっちの身体で行く?」
「特に違和感はないしこのままでいいぜ。それじゃあ早いとこ記憶を全部思い出すとするか。」
「そっか、了解。それならせっかくだから私もこっちの姿でいようかな。」
ヒュドラは小さな蛇の姿からカルキノスと同じくらいの歳の少女の姿に変わる。一矢纏わぬ姿で。
「・・・・・・はぁ。とりあえず服は着ろ服は。その姿でその辺でたらすぐに襲われるぞ。」
「私を襲えるのなんて神でもいないよ。基本汗でも私の体液に触れたら死んじゃうんだから。・・・・・・あっでもカルキノスは効かないね。私のこと襲う?」
「襲わねえよ!ったく、いいから服を着ろ馬鹿が。」
「ひどーい!この姿は可愛いってお母さんからもお墨付きもらえたのに」
「はいはい、可愛い可愛い。だから服は着ろ、それか蛇に戻れ。目のやり場に困る」
「ふふーん。よろしい!じゃあちょっと待っててね!」
「りょーかい。はぁ、あいつ馬鹿なとこは変わんねぇな」
「馬鹿とは失礼な。親友相手に隠し事はもうしないっていう私の心が分からないなんて。カルキノス、私悲しいよ。」
「着替えるの早いな!?じゃあ記憶戻してくれ。」
「冷たい!冷たいよカルキノス!貴方のために着替えてきた私に感想の一つもないの!?」
「うるせぇよさっさと戻せよ」
「へーーーーー。そっちがそうゆう態度取るならこっちも考えあるもん!私の服可愛いって言って謝らないとこのまま一生2人きりだから!」
「・・・・・・・・・はぁーーーーーーーー。面倒くせえ。けどまあ、あとで数発殴るって決めてるしな。しゃーねぇ、可愛い服だな。ほら、言ったぞ。戻せよ。」
「なんか最初に言ってたことは聞いてないことにして。まあ、カルキノスにいい感じの褒め言葉なんて期待してないからまあそれでいいよ。行こっか。」
「行くってどこにだよ。ここで記憶戻せばいいだろ。」
「ダ〜メ。せっかくだから二人で一緒にみていこうよ。ほら、ついてきて。」
そういってヒュドラは先に進む。カルキノスは諦めて後ろをついてくる。
「ていうか、ここって俺の記憶の中ってことであってんのか?」
「そうだよ。だから、ここから先はカルキノスの記憶を辿ることになるよ。」
「なるほどな。そうゆう感じで思い出していくのか。」
「今心と身体を繋ぎ直してる真っ最中だから。一度に全部やっちゃうと色々悪影響が出ちゃうんだよ。だから、カルキノスに見てもらうことでゆっくり思い出してもらうのが一番安全だよ。」
「なるほどな。ていうかいつまで歩くんだ?記憶を見るのに歩く必要あるか?」
「もうちょっとで着くよ。・・・・・・あ、いた。あそこ見てみて。」
するとそこには12歳ほどの少年がいた。
いや、少年ではなく自分がいた。
過去の自分は泥まみれになりながら、森の猪と戦っていた。
素手で
「はっ?」
『おりゃーーー!!!!』
ピギィィィィィィィィ!!!
子供のカルキノスは自分の三倍以上の大きさの大猪に素手で挑んでいた。いや、猪の方は逃げていた。
『待てーーーー!!!俺の昼飯ーーーー!!!』
ピギィィィィィィィィ!!??
心なしか猪の声が泣いているように聞こえてくる
カルキノスは猪を追いかけている。しかし猪もカルキノスに負けじと逃げる。しかしカルキノスは猪に追いつく。そして猪の身体にしがみつくとそのまま猪の首をへし折る。
ピギィィィィィィィィ
『よしっ!昼飯ゲット!焼いて食べよー。』
「・・・・・・・・・・・・えっ?これほんとに俺?なんかやばくない?」
「うん。やばいよ。でも、カルキノス五歳の時からこっそり村からでて森で遊んでたらしいしこのくらいは出来て当然だと思うよ。まあ、正直カルキノスのすごいところは身体能力より別のところなんだけど」
「は?まだなんかあるの?・・・・・・ていうか!俺ってこんな強かったのか!?カニの時はあんな弱かったのに!?」
「そりゃそうだよ。だってカルキノス人間なんだから。人間がカニの身体をうまく使えるはずないじゃん。まあ、カルキノスは意識だけだったのと、オピスの製作者だったからまだマシだったけど。しかもカルキノスはオピスの操縦、身体から意識に命令だしてたから。離れてたせいで簡単な命令しかできなかったんだよ。オピスは元々そんなことに使う用じゃないし。」
「オピスの性能が悪かったってことか。やっぱカニの身体ってクソだな。」
「そうやってオピスがカニなことに文句いうのもいいけどオピスをカニ型にするって決めたのはカルキノスの方だからね」
「・・・・・・マジで?」
「うん。カルキノスが自分の名前的にせっかく作るならカニ型がいいって聞かなくて。せっかく私が・・・・・・」
『うーん。やっぱ焼くだけだとまずいな。まあもう慣れてるけど。あっ!そろそろ顔見せに行く時間じゃん!早く戻らないと!いそげーー!』
そう言って幼いカルキノスは急いで村の方に走っていった。
「・・・・・・まあ、細かい話は後にしてとりあえず今は記憶を思い出すことが先決だね。ついてきて、こっちが村だよ。」
「いや待てって。今ちょっとどころじゃないくらい混乱して」
「ほらほら、カルキノス!早くしないと置いてくよー!」
「だからもっと落ち着いて考えさせろや。・・・・・・ったく。仕方ねぇなまったく。」
カルキノスは神代のMORIで五歳から遊んでいた一般人の子どもです
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