異世界に転生したら俺が二人になってた。【新生】   作:鳩夜(HATOYA)

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第5話 ゼブ達の探索

 数日後、家の中は朝からどこか慌ただしかった。

 

「二人とも、今日は帰りが遅くなるわ」

 

 ティタはそう言いながら、普段着ではなく革と鉄板を組み合わせた防具を身につけていた。

 いつもより動きやすそうで、同時に戦う人の装いだ。

 

「今日はどこに行くの?」

 

 俺がそう聞くと、ティタはくるりと一周してみせる。

 

「いつものお仕事よ。少しだけ、危ない場所ね」

 

「ティタ、その姿はいつ見ても可愛いよ」

 

 ゼブが間髪入れずにそう言うと、ティタは照れたように肘で小突いた。

 

 ――いや、革鎧だよな?

 横でネビアも同じ顔をしている。

 

「じゃあ、僕たちも森へ行ってきますね」

 

 ネビアがそう言って外へ向かおうとすると、

 

「テントの場所よね? そこまで一緒に行きましょうか」

 

 ティタが荷物を担ぎながら言った。

 

 正直に言えば、今日は“ついてこられると困る日”だったが、断る理由もない。

 俺とネビアは顔を見合わせ、揃って頷いた。

 

 こうして俺たちは、両親と一緒に森へ向かった。

 

・・・

 

 しばらく歩いたところで、テントに到着。

 ゼブとティタは俺たちを置いてさらに先へ進む。

 

「ゼブ、ダンジョンはここから先よ」

 

 ゼブの視線の先には、瘴気が濃く漂う一角がある。

 

 ――ダンジョン。

 

 俺とネビアは、無言で視線を交わした。

 ここに、シャドウナイトがいる可能性がある。

 

 目的は一つ。

 場所を知ること。

 

 俺たちはしばらくしてから小さく息を整え、闘気を薄く広げた。

 

 柔型中級剣技――シャドウウォーク。

 

 存在感を限りなく薄め、気配を森に溶かす。

 ネビアも同じように魔力を抑え、俺の背後についた。

 

・・・

 

 ゼブたちは、シャドウをいくつも倒しながら進んでいった。

 ティタの剣は鋭く、ゼブの触媒紙は正確だ。

 

 だが――俺が倒した五メートル級のシャドウは、まだ姿を見せない。

 

 やがて、瘴気はさらに濃くなった。

 

 息が少し重い。

 視界も、どこか歪んで見える。

 

 その先に、崩れかけた洞窟があった。

 

「モトゥル、カレナ! いるか?」

 

 ゼブの声に応じて、洞窟の影から二人が現れた。

 

 小柄だが岩のようにがっしりしたドワーフ族の男――モトゥル。

 そして、白い肌のエルフ族の少女――カレナ。

 

「来てくれて助かるわ」

 

 ティタはカレナを抱きしめ、カレナは少し照れたように笑った。

 四人は短い打ち合わせを終え、洞窟の中へと入っていく。

 

 ――俺たちは、これ以上近づかず、息を潜めて見送った。

 

・・・

・・

 

 ――森のダンジョン内 ゼブパーティ

 

「よし、しっかりついてくるんだぞ」

 

 モトゥルが先陣を切り、斧を構える。

 

「瘴気が濃いな……」

 

 ゼブが呟く。

 

 村を覆う瘴気は、ここでは明らかに別物だった。

 [浄化の光]の外に一般人が出られない理由が、肌で分かる。

 

「四人で潜るのは久しぶりね」

 

 ティタは少し楽しそうに笑った。

 

 その時だった。

 

「――来るぞ」

 

 モトゥルの低い声と同時に、巨大な影が前方に現れた。

 

 五メートル級。

 黒い瘴気に覆われたコアが、はっきりと見える。

 

「入口でこのサイズか……!」

 

 モトゥルが斧を振るい、コア周辺の瘴気を削ぐ。

 

「ゼブ!」

 

「ああ!」

 

 触媒紙が弾け、氷の槍が突き刺さる。

 

 ――バリンッ!

 

 コアは砕け、シャドウは消えた。

 

 だが、全員の表情は硬い。

 

「まだ序盤よ」

 

「油断できないな」

 

 ゼブはその場に[浄化の光]を設置し、瘴気を払った。

 

 一本道の洞窟。

 幅は広いが、逃げ場はない。

 

 やがて、人型に近いシャドウが現れた。

 

「……シャドウウォーカーだ」

 

 動きが速い。

 

 ゼブの魔法が削り、ティタが斬る。

 だが、直後――

 

「後ろだ!」

 

 天井の瘴気から、さらに二体。

 

「ぐっ!」

 

 モトゥルが一撃を受け、盾が軋む。

 カレナの治癒が間に合い、ティタが前に出る。

 

 炎を纏った剣が閃き、青いシャドウが爆ぜた。

 残る一体も、連携で討伐。

 

 ――だが。

 

 全員が気づいていた。

 剣は欠け、盾は割れ、呼吸が荒い。

 さらに奥から、別格の気配が流れてくる。

 

「……今日は、ここまでね」

 

 ティタがそう言った。

 

「これ以上進めば、帰れなくなる」

 

 誰も反対しなかった。

 

 四人は撤退を決め、ダンジョンを後にした。

 

・・・

・・

 

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