第9話です。
今回はTYPE-MOONと吸血鬼すぐ死ぬから最強の2人が登場します!
「……いいかい新八、神楽。俺ァ今、究極の二択を迫られている。
選択肢A、今すぐこの『薄汚れた天然パーマの毛根』を複合都市の闇の毛髪ギルドに売却して、現金を毟り取る。
選択肢B、お前(新八)のその『本体(眼鏡)』を高級なサイバーパンクの光学レンズとして左隣の爆弾魔(アル)に売り飛ばして、現金を毟り取る。さあ、どっちがいい?」
「どっちも最悪の自己犠牲(というか僕のはただの強盗)だわァァァ!!! なんで家賃を完済した翌日に、身売りの相談をしなきゃいけないんですか!!」
悪徳企業『カイザーコーポレーション』からのガチ潜入作戦を完遂した翌朝。志村新八の悲鳴が、万事屋のボロ居間に虚しく響き渡った。
警察の裏予算2倍という破格の報酬を得たはずが、潜入前の1階のテラス席での「裏社会合同・大飲み会」のツケを大家のお登勢にジャストサイズで全額相殺され、彼らの財布は再び「完全なる無(ゼロ)」へと回帰していた。
「何を弱気になってるヨ銀ちゃん。毛根も眼鏡も売れないなら、1階のテラス席にいるORDERの大佛さんの丸鋸をコソ泥して、右隣のピンクウサギ(ニコ)の財布と物々交換すれば——」
神楽が鼻の穴をほじりながら物凄く物騒な提案をした、まさにその時だった。
バガァァァァァン!!!
「ひゃいっ!? カイザーの報復!?」
新八が飛び上がる。
万事屋の玄関の引き戸が、物理的に枠ごと吹き飛ぶほどの勢いで内側に倒れ込み、スモークと共に二人の男が雪崩れ込んできた。
「おい、万事屋ァァァ!!! 頼むから今すぐここにバリケードを築いてくれ! いや、そんなことより今すぐこの建物を1分の1ガンダム(左斜め向かい)の足元まで移動させてくれェェェ!!」
赤いコートをズタズタに引き裂き、愛銃を構えながら涙目で叫ぶのは、右斜め向かいのハンター、ロナウド。
「ヒィィィ!!! ロナウド君、遅い、遅いのだ! すでにあの二人の放つ『作画と世界設定の暴力』だけで、我輩のデリケートな高等吸血鬼の肉体が、半径10メートルに近づいただけで塵になりかけているのだぁぁぁ!!」
ロナウドの背中にコアラのようにしがみつき、ガタガタと震えているドラルク。
「お、おいおいおい、待て待て待て、新横浜のギャグ漫画コンビ!!」
坂田銀時が死んだ魚の目を限界まで見開き、ソファのクッションを盾にする。
「なんなんだよ朝っぱらから! うちの玄関、昨日直したばっかりだぞ!? っていうかお前んとこ、3秒に1回砂になる奴はデフォルトだろ! なんで本気で世界の終わりみたいな顔して逃げ込んできてんだよ!!」
「いいから外を見てみろよ、旦那!! うちの事務所の前の商店街の真ん中が、今、完全に『全次元・最凶真祖の頂上決戦場』になってんだよォォォ!!」
ロナウドが恐怖に顔を歪めながら窓の外を指差す。
銀時と新八が恐る恐る窓の隙間から大通りを見下ろした、その瞬間。彼らの脳細胞は、あまりの『設定の重厚さとカロリーの高さ』に一瞬でメルトダウンを起こした。
商店街の真ん中、お向かいの『坂本商店』の前の横断歩道。
そこで、奇妙なほど完璧なディスタンスを保ち、凄まじい大気の歪みを発生させながら向かい合っている二人の男女がいた。
「いや〜〜、複合都市というのは、実にモダンで賑やかな街じゃな。コンビニの『揚げ栗』というのも美味そうじゃ。……おや、そこのお嬢さん。お主、ずいぶんと純度の高い、かつ、私とは別の『月の血筋』の匂いがするのう?」
のんきにアロハシャツを着て、ダンディな老紳士の姿で佇んでいるのは、ドラルクの祖父であり、あらゆる吸血鬼の祖——『吸血鬼すぐ死ぬ』の御真祖様(おじいさま)だった。彼がただそこに立っているだけで、周囲の空間が「ギャグ時空(どんな攻撃を喰らっても死なない)」へと強制書き換えされ始めている。
しかし、その御真祖様と対峙している「金髪の美女」の放つオーラは、完全にギャグの領域を全否定していた。
「……ふ〜ん。おじいさん、あなた面白いね。形は吸血種(真祖)みたいだけど、私の中の『吸血衝動』が、あなたを吸血鬼ではなく、ただの“概念のバグ”だと告げているわ。……邪魔するなら、この街の空ごと、一瞬で『空想具現化』で消し飛ばしてあげようか?」
白いセーターにロングスカート、そして輝くような金髪をなびかせ、赤い瞳を妖しく光らせているのは、月姫(TYPE-MOON)の世界における絶対最強の真祖——アルクェイド・ブリュンスタッドだった!
「ま、魔界の王(サリバン)を通り越して、『TYPE-MOONのガチのレジェンド真祖』が商店街でメンチ切ってんじゃねーよォォォオオオ!!!」
新八の魂のツッコミが、ひび割れた窓ガラスを完全に粉砕した。
「アルクェイドォォォ!? なんであの、格闘ゲーム『メルティブラッド』とかリメイク版でファンを狂喜乱舞させた、地球の触覚みたいなバケモノ美少女がここにいるんだよ!! 隣のおじいさん(御真祖様)が『すごい催眠術(ほぼ神の力)』を放とうとしてるけど、あっちの金髪、すれ違いざまに空間ごと僕たちを爪でバラバラの線に引き裂いてくるからね!?」
「おいおいおいおい……」
銀時はガタガタと震えながら、洞爺湖の木刀を後ろ手に隠した。
「始まったよ、集英社と秋田書店とTYPE-MOONの、大人のライセンス料が1秒で数千万単位で跳ね上がるタイプの『真祖サバト』だ。見ろよ、お向かいの坂本商店の店長(坂本)が、あの二人の殺気の密度に気づいて、エプロンを脱いで一瞬で『スリムモード』になりながらレジの裏に匍匐前進で避難してるぞ。あの最強暗殺者が戦いを避けるレベルの地獄だろこれ!!」
「フフン、あの金髪のお姉さん(アルクェイド)、今の私と同じ『白い服』を着ててちょっと親近感が湧くネ」
神楽が網の上の鏖魔の肉の残骸を齧りながら言う。
「定春、あの二人の間に割って入って、おじいさんのアロハシャツを噛みちぎって、今日の物々交換の材料にするアル!」
「ガルルルルッ!」
「やめろ神楽ちゃん!!! そこに入ったら定春が一瞬で『空想具現化』によってタピオカの粒に変えられて、女子たちのお茶会にドナドナされるからァァァ!!!」
御真祖様の放つ謎のほんわか魔力と、アルクェイドの放つ極大の吸血純血オーラがぶつかり合い、商店街のコンクリートがバリバリと音を立てて結晶化し始める絶望のファーストコンタクト。万事屋一行の、命を賭けた「真祖襲来編」が、これ以上ない大爆発の予感と共に幕を開けるのだった——!
「——って、戦わないんかいィィィオオオ!!!」
万事屋の窓から身を乗り出し、志村新八の本日一発目の魂のツッコミが商店街に響き渡った。
空間が裂けるほどの殺気が激突するかと思いきや、横断歩道の真ん中で向かい合ったダブル真祖は、あろうことか満面の笑みで固い握手を交わしていた。
「いや〜、お嬢さん、お主の『空想具現化』というやつ、なかなか便利じゃのう! これで揚げ栗を無限に出せるかや?」
「うん、おじいさんの『催眠術』も面白いね! この街の面白いスポット、もっと教えてよ!」
「意気投合してんじゃねーよォォォ!!! 型月の最終決戦兵器と新横浜の創世神が秒速でメル友みたいなノリになってんじゃねーか!!」
坂田銀時がガタガタ震えながら木刀を床に置く。
だが、二人がその場で「じゃあ、ちょっと複合都市のビルを空想具現化で砂の城に変えて遊ぼっか☆」と無邪気に指を鳴らそうとした、その瞬間だった。
ガラララララッ!! ガラガラッ!!
道路の両側から、同時に激しい引き戸の音が響いた。
「おいコラァァァ!!! あんたたち、他所の高カロリーな設定を引っ提げて、うちの店の前でバカ騒ぎしようとしてんじゃないよ!! 常連のORDERどもが怖がってビールのおかわりが進まないだろ!!」
1階から煙管を掲げて怒鳴り散らす大家のお登勢。
(……おい。お前ら、店の前、邪魔。次やったら、二人まとめてレジ袋に分別して、30%引きの『訳あり生ゴミ(真祖味)』として店頭に陳列する……)
お向かいの『坂本商店』のレジ奥から、手書きの丸っこい文字のメモ帳を無言で掲げ、鋭い眼光を放つスリムモード寸前の坂本太郎。
「ひ、ひえぇぇぇ!!! 大家さんとお向かいのデブ店長が、全次元の最強真祖を同時にメンチで脅して追い払おうとしてるよォォォ!!! 肝が据わりすぎだろこの下町の自営業コンビ!!」
「わ、分かったから! おじいさま、アルクェイドさん、とりあえず場所を変えましょう! ね!?」
ロナウドと万事屋一行が必死に二人の手を引っ張り、なんとか商店街から数キロ離れた、複合都市の果てにある【無人の荒野(ただの荒地エリア)】へと連れ出すことに成功したのだった。
「ふぅ……。ここならいくら暴れても苦情は来ないネ。さあ、真祖の意地を見せて、どっちが先にこの不毛な大地を更地にできるか、タイマンのデスマッチを始めるアル!」
神楽が鼻の穴をほじりながら観客席(ただの岩)に腰掛ける。
「神楽ちゃん、デスマッチ煽るのやめて!! 平穏に、平和にお引き取り願う方向で——」
新八が言いかけた、その時。荒野のど真ん中で、ダブル真祖がのんきにジャンケン用のクッションを空想具現化で生み出していた。
「よし、それじゃあお嬢さん。ルールはシンプルに、我が魔界(新横浜)でも大人気の『叩いてかぶってじゃんけんポン』で勝負じゃ!」
「いいよ! 私、こういう庶民の遊びって一度やってみたかったんだよね!」
「平和的な遊び始まったァァァ!!! 良かった、これなら流石に地球が滅びるような戦闘は——」
新八がホッとしたのも束の間、二人がじゃんけんをした、その瞬間だった。
「「最初はグー! じゃんけん……ポン!!」」
アルクェイド:パー ️
御真祖様:グー ✊
「あ、勝った! えいっ!!」
アルクェイドが眩い笑顔で、目の前に具現化された『ピコピコハンマー(※ただし純度100%の星の魔力性)』を振り下ろした。
ドゴォォォォォォン!!!!!
「ぎゃあああああ!!! ピコピコハンマーの風圧だけで、背後の巨大な岩山が分子レベルで消滅したァァァ!!! 何だあの一撃必殺クラスの質量攻撃は!!」
新八の眼鏡が風圧で吹き飛ぶ。
対する御真祖様は、じゃんけんに負けた瞬間、超高速の催眠術アーツを使って『防御用のヘルメット(※ただし概念的な絶対防御バリア)』を一瞬で頭上に展開していた。
バリバリバリィィィン!!!と、宇宙がひび割れるような衝撃波が荒野を駆け抜け、二人の足元の地面が半径数キロにわたってクレーター状に陥没していく。
「ゲホッ……ゲホッ……おい、ちょっと待て」
銀時が砂まみれの天然パーマをガリガリと掻きむしりながら、死んだ魚の目を限界まで引きつらせた。
「これ、叩いてかぶってじゃんけんポンじゃねーよ!! 『余波で周囲の地形が吹き飛ぶ、神々の最終戦争』だよ!! 1回じゃんけんするたびに、複合都市のオーストラリアエリア(コロ落ちの舞台)並みにクレーターが増えてんだけど!!」
「ヒ、ヒィィィ!!! だから言ったのだロナウド君! あの二人がただのジャンケンをするだけで、我輩の肉体の存在確率が、衝撃波の余波で3秒に5回のペースで砂に強制変換されているのだぁぁぁ!!」
ドラルクがすでに砂の山と化しながら叫ぶ。
「おじいさま! 加減してくれ!! 複合都市の環境保護団体に怒られるだろォォォ!!」
ロナウドの悲鳴が荒野に虚しく響き渡る中、
「あはは! おじいさんガードが硬いね! じゃあ次いくよ! 最初はグー、じゃんけん……」
世界最強の真祖たちによる、一回の手拍子で地形が書き換わる恐怖のレクリエーション。万事屋一行の命を賭けた「真祖のじゃんけんポン観戦サバイバル」は、引き返すことすら許されない次元のインフレへと突入していくのだった——!
「あはは! おじいさん、本当にガードが硬いんだから!」
「フォフォフォ、お嬢さんこそ、なかなか景気の良いハンマーの振りっぷりじゃったのう」
数回の手拍子で周囲の山々を分子レベルで平らげ、荒野を完全に月のクレーター状態に変形させたところで、ようやく満足したのか、アルクェイドと御真祖様は光の粒子と共にピコピコハンマーと絶対防御ヘルメットを消滅させた。
「お、終わった……。世界を3回くらい滅ぼせそうなラグナロク(ただのじゃんけん)が、ようやく終わった……」
坂田銀時は、衝撃波の暴風でアフロヘアーを通り越して真っ白な灰になりながら、岩陰からズルズルと這い出してきた。
「よかった……! 僕の本体(眼鏡)の最後の予備が粉砕される前に、二人が飽きてくれて本当に良かったですよ……!」
志村新八が涙目で胸をなでおろし、ロナウドと(10回くらい砂から再生した)ドラルクも「生き残ったァァァ!!」と抱き合って歓喜の涙を流す。
しかし、全次元の最強真祖たちが、ただのジャンケンだけで大人しくお開きにするはずがなかった。
パチンッ!!!
二人が同時に楽しげに指を鳴らした、その瞬間だった。
荒野の空間が一瞬で「グニャリ」と歪み、眩い光の渦と共に、聞き覚えのある怒号と悲鳴が大爆発を起こした。
「——って、げぇっ!? なによここォォォ!!! 私、今さっきまでガレージで『邪兎屋』の今月の黒字決算(100円)をお祝いして、アンビーに高級ハンバーガー奢ってたところよ!?」
ニコ・デマラが、食べかけのハンバーガーを握りしめたまま尻尾を逆立てて絶叫する(もちろんアンビー、ビリー、猫宮もセット)。
「あら〜? 私たちの事務所(プレハブ)が、一瞬で世紀末の砂漠にスライドしちゃったわ☆ 社長、これはきっと新しいアウトローの神の悪戯よ!」
浅黄ムツキがクスクスと笑う横で、陸八魔アルが「な、何が起きたのよぉぉぉ!!」と白目を剥いてコートをなびかせている(もちろんハルカ、カヨコもセット)。
さらに、お向かいの『坂本商店』の品出しをしていたシンとルー、そして左斜め向かいのモダンなお屋敷の裏庭でトマトの手入れをしていたスレッタとミオリネ(背後に1分の1ガンダム・エアリアルを伴って)までもが、空間ごと完全にこの荒野へと強制連行(テレポート)されてきていた。
「ご、ご近所の何でも屋・トラブルシューター・ガンダム枠が、全員まとめて一瞬で拉致されてんじゃねーかァァァオオオ!!!」
新八のツッコミの暴風雨が荒野に木霊する。
「おやおや、みんな揃ったね! これだけ人数がいれば、次の『レクリエーション』がもっと楽しくなるよ!」
アルクェイドが眩い笑顔で、広大な荒野エリア(なぜか二人の魔力によって、新横浜の全域とほぼ同じ広さの巨大なゲームフィールドに強制拡張されている)を両手で指し示した。
「ルールは簡単! 今から私とおじいさんの二人が『逃げ役』になるから、商店街のみんなで、この広い荒野エリアで制限時間内に私たちを捕まえてみてね!」
「お、鬼ごっこォォォ!!!???」
新八が目玉をひっくり返す。
「そうじゃ! もし時間内にワシらを一人でもタッチできたら、この複合都市の『何でも屋組合』のプレミアム食事券(有効期限なしのガチのやつ)と、ワシの空想具現化で出した『純金100キロ』を賞金として進呈しよう!」
御真祖様がアロハシャツをはためかせながら、とんでもないボーナスを提示した。
「じゅ、純金100キロォォォ!!!???」
その言葉を聞いた瞬間、銀時、神楽、ニコ、そしてアルの4人の脳内回路が、本日最大の「CRミリオンゴッド・全回転ファンファーレ」の輝きと共に完全消滅した。
「……新八。俺、今さっき、この複合都市の『ご近所の親睦』を深めなきゃいけないっていう、ガチの町内会長(ただの金の亡者)としての魂が脳内にバーストしたわ。真祖のジジイと金髪美女……毟り取る、それこそが我が坂田塾の建白の理念よ」
「だから塾なんて経営してねーだろ!! 完全に純金100キロに魂をミリ単位まで売却して目が眩んでるよ!!」
「フフン、純金があれば、私の毎日のおやつが酢昆布から『魔界の特製・霜降りテール肉のソテー』にランクアップするネ! 逃がさないアル、あの真祖のジジイの腰の骨を夜兎の怪力でヘシ折って、タッチの判定を分からせてやるアル!」
神楽が戦闘オーラを爆発させる。
「銀さん……僕、もう分かりました。この鬼ごっこ、逃げる真祖の二人のスピードが光速を超えてるから、僕たちがタッチしようとした瞬間に、風圧の衝撃波で僕たちの肉体が分子レベルで蜂の巣にされますよ……!」
「新八、泣くな……。これが……これが集英社とHoYoverseとYostarと秋田書店とTYPE-MOONの大人たちが、裏でどんなえげつないライセンス契約を結んだか分からねー【荒野エリアのリアル】だ……。よし、みんな! ガンダム・エアリアルの巨大なマニピュレーター(手)に全力でしがみつきながら、真祖の捕獲作業へ……パンツァー・フォーォォォ!!」
「だから別の作品の戦車道の号令で他人のロボットを私物化しようとすんなァァァオオオ!!!」
「それじゃあ、スタート☆ 逃げるよ〜、おじいさん!」
「フォフォフォ、捕まえられるかな〜?」
アルクェイドと御真祖様が、音速を超えるステップで一瞬にして荒野の地平線の彼方へと消え去っていく絶望のゲーム開始。万事屋一行と商店街のオールスター連合軍の、命(と純金100キロ)を賭けた「全次元規模の真祖大鬼ごっこ」が、これ以上ない大爆発の予感と共に幕を開けるのだった——!
「アハハ! ほらほら、みんな足が止まってるよ〜! もっとスピード上げて追いかけてこないと、純金100キロはお預けにしちゃうんだから!」
「フォフォフォ、若いもんがこれしきの鬼ごっこでバテるとは情けないのう。ワシなんて、新横浜のキャバクラへの移動中にもっと俊敏に動いとるぞ」
新横浜全域と同じ広さに拡張された荒野エリア。音速の数倍、いや光速に近い残像を残しながら地平線を縦横無尽に駆け抜けるアルクェイドと御真祖様の前に、商店街のオールスター連合軍は文字通り「死に物狂い」で食らいついていた。
「ハァ……ハァ……ふざけんなァァァ!!! 走るたびに真祖の二人の風圧だけで、僕たちの髪の毛と作画の輪郭線が後ろへ吹き飛んでるんですけどォォォ!!! これ鬼ごっこじゃなくて、ガチの神々のマッハ戦闘の弾幕避けレースだよ!!」
志村新八の、本日5回目となる魂のツッコミがクレーターに響き渡る。
しかし、「純金100キロ」という究極の生活費(パチンコ全ツッパ軍資金)の魔力に目が眩んだ何でも屋たちの執念は、真祖のチート性能をも凌駕しつつあった。
「スレッタ! エアリアルの出力を最大にしなさい! ガンビットを展開して、あの金髪美少女の全方位の退路をグリッド状に完全封鎖するのよ!!」
ミオリネ・レンブランがお屋敷のベランダから(なぜかベランダごとワープしてきている)スピーカーで鋭く叫ぶ。
「は、はい、ミオさん……! 進めば二つ、退けば一つ……みんな、お願い、止まってぇぇぇ!!」
スレッタ・マーキュリーの叫びとともに、ガンダム・エアリアルのシールドが分離! 11基のビットが荒野の空間を縦横無尽に飛び交い、アルクェイドの周囲に絶対的な『幾何学の防壁』を瞬時にビルドした。
「わあ、すごい! ロボットが浮かぶ盾で通せんぼしてきた!」
アルクェイドが一瞬だけ足を止めた、その刹那!
「社長ォォォ!! 社長に純金100キロを貢ぐのを邪魔する真祖は……この私が、更地に、分子レベルで、広範囲絨毯爆撃しますぅぅぅ!!」
伊草ハルカが狂気の笑みを浮かべながら、エアリアルのビットの隙間をミリ単位で縫うようにして、数トン規模の特大クラスター爆弾を満載した地雷を大投下! 浅黄ムツキが「えい☆ 爆発しちゃえ〜!」と安全ピンを抜いた。
ドゴォォォォォォン!!!
爆炎の中から「フハハハ! 甘いわお嬢ちゃんたち!」と催眠術で爆風をねじ曲げて飛び出してきた御真祖様。しかし、その着地狩りを完璧に狙い澄ましていた影があった。
「——そこネ、真祖のジジイ」
神楽が夜兎の野生の勘で、御真祖様の出現位置を完全先読み!
さらにその横には、ニコ・デマラが「アンビー! ビリー! 猫又! 邪兎屋の総力、見せてやりなさい!!」と叫び、アンビーの電撃刀、ビリーの2丁拳銃の乱射、猫宮又奈の超高速の肉球アーツが同時に炸裂! お向かいの『坂本商店』のシンとルーも、店長から叩き込まれた「品出しの応用」によって、退路を完璧に潰していく。
「お、おいおいおい、見ろよ新八、神楽!!」
坂田銀時は、頭に突き刺さっていた爆弾の破片を引き抜きながら、死んだ魚の目をかつてないほどギラギラと輝かせた。
「ソシャゲのトラブルシューター、学園都市の爆弾魔、最新鋭ガンダム、そして新横浜のハンターコンビ(ロナウドが必死にアウラを盾にして走っている)……。これ、1回の手拍子で地球が滅びる真祖が相手じゃなきゃ、一瞬でコンプライアンスの彼方に消し飛ぶレベルの『全次元・最強オールスターコンボ(波状攻撃)』だぞ!!」
「銀さん、感動してる暇があったら走ってください!! 二人の残像のスピードが、みんなの連携のおかげで、ついに『時速30キロくらい』まで落ちてきてますよ!! 今です!! 全員で一斉に飛び込んでタッチするんですよォォォ!!」
新八の叫びと同時に、万事屋、邪兎屋、便利屋68、そしてガンダム・エアリアルの巨大な手が、地平線の果てで一瞬だけ動きを止めたアルクェイドと御真祖様に向けて、一斉に「お前らの純金100キロ、毟り取ってやるわァァァ!!」と、大人の欲望100%のダイブを敢行したのだった。
「——捕まえたァァァァァアアア!!!」
制限時間残り1秒。
ガンダム・エアリアルの巨大な手がアルクェイドの前に立ちはだかり、便利屋68の爆弾の煙に巻かれた御真祖様の背後から、坂田銀時、ニコ・デマラ、陸八魔アル、そして志村新八の4人が、泥泥の雑巾のようになってダイブを敢行した。
ペシィィィン!!!
銀時の木刀『洞爺湖』の先端と、ニコの空っぽの財布、そして新八の本体(眼鏡)が、奇跡的に二人の真祖の服の裾へと同時に「タッチ」したのだった。
「わあ! 捕まっちゃった! みんな凄いね、まさか本当に私とおじいさんに追いつくなんて!」
アルクェイドが嬉しそうに目を輝かせ、御真祖様も「フォフォフォ、見事じゃ。今の若いもんの執念(金の亡者オーラ)、ワシの長い歴史の中でもトップクラスの輝きじゃったぞ」と、アロハシャツをはためかせながら大絶賛した。
そして、二人がパチンと指を鳴らすと、約束通りの【眩いばかりの純金インゴット(計100kg)】と、組合のプレミアム食事券が荒野の真ん中にズドンと具現化した。
「う、うおおおおお!!! 獲ったァァァ!!! 本物のゴールドだァァァ!!! これでうちの万事屋の口座の氷河期は永久に終わり、明日からパチンコ屋のビルを丸ごと買い取って確率を常に100%にする裏コマンドを——」
銀時と神楽が純金に頬ずりして狂喜乱舞し、両隣の邪兎屋と便利屋68も「これで今月の黒字確定よ!」と、お互いの健闘を称え合って盛大なハイタッチを交わした。
その後、ダブル真祖の二人もすっかりこの街のローカルな雰囲気が気に入ったのか、一行と共に空間転移で『スナックお登勢』へと移動。
「ババア! いつもの生ビールとおつまみ、このおじいさんとお姉さんの分もじゃんじゃん持ってきな! お会計は……ほら、この純金の塊から差っ引いといて!」
銀時がドヤ顔でインゴットの一部をカウンターに叩きつける。
「あいよ。ずいぶんと景気のいいお客さんじゃないの。型月のレジェンドに新横浜の創世神ねぇ……。うちのORDERの連中よりは、まだ飲み方が上品で助かるよ」
お登勢がフッと紫煙をくゆらせながら、純金のインゴットを重さを量りもせずレジの奥へシュートした。
アルクェイドは「わぁ、この生ビールって美味しいね!」とノー天気にグラスを傾け、御真祖様も「お登勢殿、この『揚げ栗』というのも最高じゃ。また寄らせてもらうよ」と大満足の様子で、夜更けと共に「じゃあね〜!」と爽やかに夜空の彼方へと帰っていったのだった。
「……ふぅ。終わった……。世界を3回くらい滅ぼせそうな真祖の鬼ごっこが、今度こそ本当に、誰一人(ドラルクが20回くらい砂になったのを除いて)犠牲者を出さずに大団円で終わったんだ……」
新八が涙を拭いながら、ようやく冷えたウーロン茶を啜った。
「いいじゃねーか新八。今回はお登勢さんにツケを引かれても、まだ手元に数十キロの純金が残ってるんだ。俺たちの『バラ色の複合都市ライフ(第2章)』は、ここから約束されたようなもんだろ」
銀時が懐の純金のミニバーを愛おしそうに撫でる。
——しかし、万事屋一行は忘れていた。
相手は、思ったことをその場で現実の物質として世界に固定化する【空想具現化】のチート能力を持つ、この世で最も気まぐれな最強の真祖たちであるということを。
翌朝。
「……ねぇ、銀さん。ちょっと、窓の外見てみて。僕、自分の目が昨日の衝撃波のせいで完全にイカれたか、あるいは別のゲームの世界観がバグって我が家の目の前にスライドしてきたかと思ったんですけど……」
新八のカタカタと震える声に誘われ、銀時と神楽がのんきにアクビをしながら窓の外を見下ろした、その瞬間。彼らの脳細胞は今度こそ完全に分子レベルでフリーズした。
昨日まで、万事屋の建物のすぐ裏手に広がっていた、複合都市ののどかな「ご近所の山」。
そこが、なんと完全に丸ごと更地にされ、その跡地に……どう見ても現代日本の建築基準法とコンプライアンスを1000%無視した、そびえ立つ白亜の巨大なゴシック様式の魔城——【千年城】が、実寸大の1分の1スケールで、我が物顔でドーーーンと建っていたのだ!!
しかも、その城のテラスから、アロハシャツを着た御真祖様が「おーう、万事屋の旦那ぁ! 揚げ栗のコンビニが近くて便利じゃから、ここをワシらの『複合都市の別荘』にしたぞい!」とのんきに手を振っており、横でアルクェイドが「また今日も鬼ごっこしよ〜☆」と無邪気に笑っていた。
「ま、街の景観の破壊度と、ご近所さんの戦闘力のインフレの天井が完全に突き抜けたァァァ!!! 何でお向かいの坂本商店のすぐ裏山に、TYPE-MOONの絶対最高峰の最終防衛拠点『千年城』が違法建築(空想具現化)されて住み着いてんだよォォォ!!!」
新八の本日最大風速のメタ絶叫が、かぶき町エリアの空に空しく響き渡る。
「おいおいおいおい、待て待て待て真祖ども!!」
銀時は死んだ魚の目を限界までひっくり返し、懐の純金を落としそうになりながら頭を抱えた。
「ガンダム(左斜め向かい)の次は、千年城かよ!! なんだよこのうちを中心とした『各作品のメインビジュアル拠点』の過密スケジュールは!! コンプラどうなってんだよ!! あそこがちょっと真祖のだのじゃんけんだけで、うちの木造建築なんて1秒で空間のチリになるぞ!?」
「フフン、いいじゃないネ銀ちゃん。ご近所にあのデカい白物(千年城)が建ったってことは、あそこのバルコニーで、お土産の鏖魔(おうま)の肉を100キロ焼いて、最高に優雅な『真祖のフルコース・ダンジョン飯』の第2回大宴会ができるネ!」
神楽が満足そうにしながら、すでに城の方向へダッシュする準備を始めていた。
右隣、左隣、お向かい、斜め向かい。
学校に行けば魔王、スナックに降りれば最強の暗殺者、ダンジョンに行けばスパロボ。
そして我が家のすぐ真裏の山には、いつでも世界を空想で書き換える『ダブル真祖の居城(千年城)』が定住決定。
「銀さん……僕は今、確信しました。僕たちが家賃を完済しようが純金を100キロ手に入れようが、この【複合都市】での僕たちのポジションは、一生このバケモノたちの『おもちゃ箱のド真ん中』から抜け出せないシステムになってるんです……」
「新八、諦めろ……。これが……これが集英社と秋田書店とTYPE-MOONの大人たちが、裏でどんな壮絶な裏取引を完了させたか分からねー【新しいご近所さんのリアル】だ……。よし、みんな! 手元に残った純金を握り締め、明日の朝一番で、真裏の千年城の玄関のインターホンへ……パンツァー・フォーォォォ!!」
「だから別の作品の戦車道の号令で他人の最終決戦拠点に不法侵入(ご近所挨拶)しようとすんなァァァ!!!」
第1章・第9話「真祖襲来編」 完
はい、というわけでダブル真祖回でした!
やっぱりこの2人の強さと自由人さはバグってると思います。
では、また次回に!