はい、今回は真選組の主役回です。
一体何故、前回の最後であんなにボロボロになっていたのか……
その謎が明らかになります。
時は前回から少し遡り、万事屋一行がヴィクトリア家政やC&Cと共に共同任務に当たっていた頃のことである。
複合都市の警察オールスターズにガチボコにされ、全身包帯姿で屯所の居間に転がっていた土方十四郎、沖田総悟、近藤勲の3人は、新装開店早々の絶望に打ちひしがれていた。
「……おい土方さん。この街、やっぱりおかしいですぜ。警察の権力が10円玉3枚分しかないなら、俺たちこれから何を取り締まればいいんでさァ。とりあえず、隣の万事屋の家賃滞納を理由に、あの銀髪の頭をバズーカでブチ抜く許可をくだせィ」
「許可出すわけねーだろ。っていうか、今あいつら留守だ」
土方が痛む脇腹を押さえながらタバコに火をつけた、まさにその時。
カツン、カツン、と、極めて洗練された、しかし一歩一歩が冷徹な殺気を孕んだ「足音」が、屯所の廊下に響き渡った。
それは、昨日のおふざけ混じりのご近所トラブルとは明らかに一線を画す、ガチの「頂点(トップ)」が放つ威圧感だった。
「―――失礼する。江戸の武装警察『真選組』の局長は、こちらでお間違い無いか」
障子が開け放たれ、屯所の居間に足を踏み入れたのは二人。
一人は、長い黒髪と狐の耳を持ち、腰に極上の太刀を帯びた凛々しき少女ーー新エリー都が誇る絶対の防衛線、対ホロウ特別行動部第六課の課長、星見雅。
そして、その隣に静かに佇むのは、白毛の虎の顔を持つ、圧倒的な風格を纏った大柄な獣人。本来なら『ドラゴンクエストIX』で帝国三将軍の一角を担う伝説の剣士、ギュメイ将軍であった。
驚くべきことに、そのギュメイ将軍の巨体には、雅と全く同じ、スタイリッシュな対ホロウ第六課の制服(浅葱色の羽織)が完璧に着こなされていたのだ。
「ゲッ……!!」
土方が思わず刀の柄に手をかける。その隣で、沖田の目つきが瞬時に「人斬り」のそれに変わった。
「……星見雅に、ギュメイ将軍だとォ!?」
土方が冷や汗を流しながら叫ぶ。
「おいおいおい、ゼンゼロの最高峰の刀使いと、ドラクエ界きってのガチの神速の剣士じゃねーか!! なんでその二人が同じ部隊の羽織を着て並んでやがるんだコラァ!!」
「フッ、この街の引力は奇妙な縁を結ぶものでな」
ギュメイ将軍が、その鋭い虎の目を細め、ドスの利いた声で静かに微笑んだ。
「我らは共に対ホロウ第六課。この複合都市に新設された、特務の刃だ。……近藤殿とお見受けする。本日は、貴殿ら真選組に『ある申し出』があって参上した」
近藤が包帯まみれの体を起こし、「申し出……だと?」と問いかける。
雅が懐から、治安維持局の公印が押された厳重な書類を取り出し、ちゃぶ台の上に静かに置いた。
「我が第六課と、他世界から編入された貴殿ら真選組による、【合同演習】および【合同任務】の要請だ。この複合都市の治安を維持するためには、互いの剣技と連携を知る必要がある」
雅の放つ、一分の隙もない佇まい。そしてギュメイ将軍が背負う名刀から漏れ出る、一瞬で首を飛ばされそうな神速のオーラ。
「……おい土方さん、あの二人、昨日のワンちゃん(デカマスター)とか宇宙刑事とはまた違うベクトルでヤバいですぜィ。特にあの虎の旦那、俺の『三段突き』より速いスピードで『魔神斬り』とか『さみだれ斬り』してきそうな気がしやす」
沖田が珍しくゴクリと息を呑む。
「断りてえ……ガチで断りてえ……」
土方が心の底からそう思ったものの、書類の最後に書かれた「任務達成時の特別報酬」の桁を見た瞬間、真選組の財政状況(予算ゼロ)を思い出して、喉が完全に詰まった。
こうして、万事屋が高級メイドたちと優雅にお茶をしばいている裏で、真選組は全次元最高峰の「獣人剣士コンビ」による、地獄の合同演習の幕を開けてしまうのだったーー。
「おいおいおい、何だこのハイテクすぎる空間はァァ!!」
土方の絶叫が、対ホロウ第六課の広大な専用演習場に響き渡った。
元の世界の木造の道場とはワケが違う。全面がエーテルシールドの障壁で囲まれ、ホロウ内部の過酷な環境を再現できる超近代的な戦闘エリアである。
「ようこそ、真選組の皆様」
雅とギュメイ将軍に続いて前に出てきたのは、眼鏡をクイッと上げながら、タブレットを手に丁寧な一礼を見せる女性――第六課の副課長、月城柳であった。
「私は副課長の月城柳です。今回は他世界との戦術データ収集も兼ねています。どうぞよろしく。……あ、悠真、ゲームを辞めて挨拶しなさい」
「え〜? 今いいとこなのに。……あ、どうも。浅羽悠真で〜す。仕事終わったら即直帰してパチンコ行きたいんで、演習は適当にサクッと終わらせましょ」
制服のネクタイを緩め、だるそうに携帯ゲーム機を弄る浅羽悠真。
「お前ェェ! 演習前に直帰だのパチンコだのほざく奴があるかァァ! うちの局長でももうちょっと緊張感あるわ!!」
土方が青筋を立ててツッコむが、真選組を襲うツッコミどころはゼンゼロ勢だけではなかった。
「お腹すいたァァァ! お肉! 演習終わったらお肉いっぱい食べられるってナギねぇが言ってた!!」
巨大なのぼり旗のような大鉈をブンブンと振り回してお腹を鳴らしている鬼族の少女、蒼角。
そして、その蒼角の両脇に、地響きを立てながら並び立った巨漢と怪鳥――彼らこそ、ギュメイ将軍に続いて対ホロウ第六課の制服(※特注サイズの羽織)を身に纏った、帝国三将軍の残り二翼であった。
「ガハハハハ! 演習だとォ!? どいつもこいつも、俺の鉄球で一撃よォォ!!」
丸々とした巨体にパツパツの制服を着込み、巨大な鉄球を弄ぶ猪の獣人、ゴレオン将軍。
「おだまりなさいゴレオン! 知性なき暴力は美しくありません! 我が第六課の魔術と戦術の美を、この江戸の田舎侍どもに見せつけてやるのです!」
漆黒の羽織を誇らしげに羽ばたかせ、不気味な杖を掲げる梟の獣人、ゲルニック将軍。
「待て待て待てェェェ!!!」
今度は新八の代わりに土方の叫びが演習場を支配した。
「おかしいだろ! ギュメイ将軍だけスタイリッシュだからって、残りの猪(ゴレオン)と鳥(ゲルニック)まで第六課に就職してんじゃねーよ!! 帝国三将軍だろお前ら! 完全にガナサダイ(ガナン帝国皇帝)裏切って街の治安守る側に転職してんじゃねーかァァ!!」
「土方さん、落ち着きやせィ。あの鳥の旦那、焼き鳥にしたら結構美味そうですぜィ」
沖田が死んだ目のまま、ゲルニック将軍に向けて刀をスラリと抜く。
「誰が焼き鳥ですかァァァ!!」
ゲルニック将軍がキィキィと怒る中、課長の星見雅が静かに前に歩み出た。彼女の手が、腰の太刀の柄にかけられる。
「ーーお喋りはそこまでだ。真選組の諸君、これより【合同演習】を開始する。我が第六課の『刃』と『力』、その身で確かめてもらう!」
『演習モード:ホロウ環境・深度3、起動』
柳が淡々とシステムを入力した瞬間、演習場全体の重力とエーテル濃度が激変した。
雅の目が鋭く光り、ギュメイ将軍が「神速」の構えを取り、ゴレオンが鉄球を振り回し、蒼角が突撃の雄叫びを上げる!
「上等だコラァァ! 江戸のバラガキを舐めんじゃねえぇぇ!!」
土方の怒号と共に、真選組の面々は、全次元最高峰の「獣人チート剣士が率いる戦闘のプロ集団」という、戦闘力のインフレを起こした第六課との地獄のガチンコ演習へと突入するのだった!
「ハァ……ハァ……クソがァァァ!!」
全面シールドの演習場に、土方の悲鳴に似た怒号が響き渡った。
真選組の隊士たちは、文字通り「塵」のように床に転がっていた。
沖田の変態的なスピードの剣撃は、ギュメイ将軍の「神速の構え」から繰り出される容赦のない魔神斬りによって正面からねじ伏せられた。
そして土方に至っては、星見雅の居合――抜刀の一瞬で空間の階層ごと切り裂く次元違いの剣技の前に、刀を構える暇すらなく風圧だけで30回は吹き飛ばされていた。
ゴレオン将軍の鉄球が床を砕き、ゲルニック将軍のバギクロスが隊士たちを踊らせ、蒼角が「お肉ー!」と叫びながら大槌を振り回す。
「これ……演習ってレベルじゃねーだろ!! 完全に一国家を更地にする殺意の塊じゃねーかァァ!!」
土方がボロボロになった包帯を引きずりながら立ち上がる。しかし、第六課の面々は服のシワ一つ乱れていない。
「……ふむ、流石は異世界の治安維持組織。我が課の猛攻にこれほど食らいつくとは、良いデータが取れました」
月城柳が冷徹にタブレットをタップする。隣で浅羽悠真が「あー、定時定時。お疲れ様でした〜」と帰宅の準備を始めた、その瞬間だった。
ピ、ピ、ピ、ピ、ピピピピピピピピ!!!!!
演習場に、脳髄を刺すような赤い緊急警報のアラートが鳴り響いた。
「柳、状況は」
雅の目が一瞬で冷酷な「戦鬼」のそれに変わる。
「ーー深度3、郊外の無人ホロウエリアに、超高濃度のエーテル反応を感知。ターゲットは現在、猛烈な速度でこの『複合都市』の市街地へと向かって侵攻中です」
柳の持つ画面に、おぞましい「植物と怪獣が融合した巨大な影」が映し出された。
「メタ知識をフル稼働しろ土方さん、あのシルエットは……」
沖田が初めて冷や汗を流す。
「あぁ、知ってる……。ゼンゼロのストーリーで全プレイヤーの心をボキボキに折ってきた、『相利共生体エーテリアス・ニネヴェ』だろォォォォォ!!」
土方が叫んだ。画面に映るのは、巨大な蜂の巣のような輝く結晶を背負い、無数の触手を蠢かせる最悪の災厄。
「おだまりなさい! 知性なき害虫がこの美しい街に近づくなど、このゲルニックが許しません!」
ゲルニック将軍が羽織をバサリと広げて憤慨する。
「ガハハハ! ちょうど演習で物足りなかったところよ! あのデカブツ、俺の鉄球でミンチにしてくれるわ!」
ゴレオン将軍が不敵に笑う。
「真選組の諸君」
雅が太刀を鞘に収め、冷たい目で土方たちを見据えた。
「これより【共同任務】に移行する。相手はホロウの生態系そのものを揺るがす特級の災厄だ。演習は終わった。ここからは……命のやり取りをしてもらう」
「選択の余地は無さそうですねィ、土方さん」
沖田がボロボロの隊服の袖をまくり、死んだ目で新しい刀を引き抜く。
「クソが……! 万事屋の奴らが今頃どこかで高級焼肉だのお茶会だの楽しんでるって時に、なんで俺たちは新章早々、ゲームのラスボスクラスの討伐戦に強制連行されてんだよォォォ!!」
土方の絶叫虚しく、演習場の下がそのまま巨大な出撃用カタパルトへと変形を始める。
真選組は息を整える間もなく、全次元最凶の剣士集団「対ホロウ第六課」と共に、市街地の壊滅を狙うニネヴェの迎撃作戦へと駆り出されるのだった。
ドゥズゥゥゥォォォォン!!!!!
郊外の荒涼とした大地を、ニネヴェの巨大な触手が激しく打ち据える。背負った巨大な結晶殻から放たれるエーテル弾の雨が、地表を文字通りクレーターの海へと変えていく。
「ッ、流石は相利共生体……! 殻の防御力がこれまでのエーテリアスとは桁違いです!」
月城柳が突風の中でタブレットを死守しながら叫び、蒼角が「うおー! お肉のためにペッちゃんこにしてやるー!」と武器を叩きつけるが、ニネヴェの障壁に弾かれる。
「ガハハハ! ならば俺の鉄球を喰らいな!」
ゴレオン将軍が対ホロウ仕様の特大鉄球を投げつけ、ゲルニック将軍が上空から魔導の呪文でニネヴェの触手を焼き払う。だが、ニネヴェはさらに無数の蜂型エーテリアスを周囲にポップさせ、全方位から一同を圧殺にかかった。
「……おい土方さん。昨日から天災ばっかり相手にして、俺ァもう体中がガタガタですぜィ」
沖田が死んだ目のまま、迫り来る蜂の群れを刀で叩き落とす。
「弱音吐いてんじゃねえ総悟!!」
土方は全身の包帯から血を滲ませながら、迫り来るニネヴェの巨大な質量を見上げた。
「いいかお前ら! 確かにあいつらの戦闘力はジャンプの枠をブチ抜いてる! だがな……さっきの演習で、俺たちはあの化け物どもの『理不尽な動き』を嫌ってほど体に叩き込まれたはずだろォォォ!!」
「おうよォォォ!! あの虎の旦那(ギュメイ)に比べりゃ、このデカブツのスピードなんて止まって見えるわァァ!!」
近藤がモザイクを撒き散らしながら吼えた。
その瞬間、真選組の男たちの目が変わった。
演習という名の「合法的ボコられタイム」の中で、彼らは第六課の神速の連携、そしてドラクエ三将軍の戦闘リズムを、極限の生存本能で完全に『学習』していたのだ。
「――第六課、これより一斉突撃を仕掛ける! 真選組、遅れるな!」
星見雅の凛とした声が響き、彼女の太刀が紺碧の光を放った。
雅が空間ごとニネヴェの障壁を切り裂いた、まさにそのコンマ数秒の隙。
「もらいやしたァァ!!」
沖田がギュメイ将軍の「神速の構え」と完全に同じ呼吸で地を蹴った。ギュメイ将軍がニネヴェの触手を『さみだれ斬り』で一瞬にして細切れにするその影に完璧に潜り込み、沖田の『三段突き』がニネヴェの核の装甲を正確にブチ抜く!
「キィィィ! 侍の分際で良い連携です!」
ゲルニック将軍が上空から『バギクロス』で退路を塞ぎ、ニネヴェが苦し紛れに放ったカウンターのエーテル光線に対し、土方がゴレオン将軍の巨体の影へと滑り込んだ。
ゴレオンが鉄球で光線を弾いた刹那、土方はその鉄球の回転の遠心力を利用して大跳躍!
「マヨネーズの怨み、たっぷり味合わせなァァァ!!」
土方の刀が、柳の電撃属性と見事にシンクロし、ニネヴェの結晶殻の亀裂へと深く突き刺さる!
「……素晴らしい。事前の連携シミュレーションを遥かに超えるシンクロ率です。浅羽、合わせなさい!」
「はいはい、残業代きっちり出してくださいね〜」
浅羽悠真がだるそうに弓矢を連射し、ニネヴェの体勢を完全に崩す。
演習でボコボコにされたからこそ成し得た、真選組と対ホロウ第六課による「他作品の壁を越えた奇跡のコンビネーション」。
桁違いの巨体を誇るニネヴェの身体に、着実、かつ致命的なダメージが刻まれていく。
「ーーこれで、終わりだ」
雅の冷徹な声と共に彼女の太刀が再び鞘へと収まり、気が爆発的に膨れ上がる。それは、複合都市の市街地を脅かす災厄を完全に消滅させる、最後の一閃の合図だった―――。
「ーー星見流、『深雪』」
星見雅の冷徹な呟きと共に、極限まで圧縮された紺碧の刃が閃いた。
空間の層ごと切り裂く一閃が、真選組の男たちが命がけで剥ぎ取ったニネヴェの首の装甲へ、正確無比に突き刺さる。
ズバァァァァァン!!!!!
凄まじい衝撃波が走り、桁違いの巨体を誇っていた『相利共生体エーテリアス・ニネヴェ』の頭部が、完全に宙へと刎ね飛ばされた。背負っていた巨大な結晶殻が輝きを失い、ガラガラと音を立てて崩れ落ちていく。
『グ……オ……ォ……』
最後の弱々しい呻き声を残し、最悪の災厄は、郊外の荒野へと完全に沈黙したのだった。
「ーーふぅ。お見事でした、真選組の皆様」
月城柳がいつも通り淡々と、しかしどこか満足げにタブレットを閉じ、丁寧にお辞儀をした。
「いやぁ、マジで助かりましたよ。皆さんがあそこで合わせてくれなきゃ、確実に定時を大幅にオーバーしてパチンコ屋が閉まるところでした」
浅羽悠真がスマホの時計を見ながら、心の底からホッとした息を吐く。
戦場には、戦いを終えた静寂が広がっていた。
包帯から血を流し、息も絶え絶えになりながら地面にひっくり返っている土方十四郎の前に、課長の星見雅が歩み寄る。
「真選組の諸君、見事な剣技だった。他世界の武人、侮りがたし。……これは約束の報酬、および我が第六課からの心ばかりの残業手当だ。受け取ってほしい」
雅から差し出されたのは、治安維持局から特別に下りた活動資金の入った、ずっしりと重いアタッシュケース。
「ハァ……ハァ……ちったぁ、見直した、かよ……。こちとら……江戸の、武装警察、真選組、だ……」
土方はプライドを捨てて報酬を死守しつつ、沖田や近藤、そしてボロボロになった隊士たちを引っ張るようにして、命からがら自分たちのホームである商店街への帰路に就いた。
――そして、場面は【前回(第3話)のラストシーン】へと繋がる。
「……お前らが……お前らが優雅にメイドたちとお茶会だのスパロボだのやってる間……俺たち真選組は……この『複合都市』のもう一つの洗礼を……ガチで、24時間、浴び続けてたんだよォォォ……!!」
アタッシュケースを抱えながら、目の下にドス黒いクマを作ってゾンビのようにふらつく土方。
同じく大金を稼いでホクホク顔だった万事屋の3人と定春は、「うわぁ……」とドン引きしながらその姿を見つめるのだった。
数日後。
万事屋も真選組も大金をゲットし、複合都市での生活は一気に潤う……はずだった。
「チッ、おい土方さん。またあいつらが来やがりましたぜィ」
屯所の縁側で、沖田がめんどくさそうにパフェを食べながら庭を指差す。
見れば、真選組の屯所の庭には、いつの間にか設置された特大のブルーシートが広げられていた。
「ガハハハハ! おいお前ら! 商店街の坂本商店で買ってきた骨付き肉だ! 早く焼こうではないか!!」
パツパツの制服を着たゴレオン将軍が七輪で豪快に肉を焼き、
「おだまりなさいゴレオン! お肉の前に、まずはこの私が持ち込んだ最高級の銘酒を味わうべきです!」
ゲルニック将軍が羽をバタバサさせながら、近藤勲と楽しそうに一升瓶を酌み交わしている。
「あはは! 鬼ごっこしよ! 鬼ごっこ! 近藤が鬼ねー!」
蒼角が武器を背負ったまま廊下をドタバタと走り回り、
「こら蒼角、屯所の中で走り回ってはいけません。……あ、土方さん。これ、新エリー都名物のマヨネーズ風味のクラッカーです。お口に合えば良いのですが」
月城柳が相変わらず丁寧にお土産を差し出してくる。
「……おい。何でパチンコに行こうとした俺を、ギュメイの旦那が『神速』で連れ戻して酒の席に座らせてんだよ。あと雅課長、何で我が物顔でうちの床の間に座ってマタタビの粉末をブレンドした緑茶を優雅に飲んでやがるんだ」
土方は縁側で頭を抱えていた。
あの大激戦の合同任務以来、真選組の泥臭いガッツと剣技を妙に気に入ってしまった対ホロウ第六課のメンバーは、プライベートで頻繁に屯所に遊びに来たり、事あるごとに飲みに誘いに来るようになってしまったのだ。
「いいじゃねーか多串くん! ご近所さんと仲良くなるのは良いことだろ!」
万事屋の窓から、銀時が高級焼肉の余りのカルビを齧りながらゲラゲラと笑う。
「うるせえ万事屋!! お前んとこの駄神楽もどさくさに紛れて俺たちの肉を横取りしてんじゃねーよォォォ!!」
「美味いネ! 猪将軍、もっと肉焼くヨロシ!!」
「ガハハ! よし任せろチャイナ娘!!」
複合都市の万事屋の周辺は、真選組と第六課の『最凶剣士連合(但しプライベートは宴会)』が加わったことで、さらに混沌の度合いを増していくのだった。
(第2章・第4話「真選組合同演習&任務編」 完)
はい、というわけで真選組&対ホロウ六課の合同演習&任務でした。
実は銀魂の真選組も対ホロウ六課も元ネタは同じ実在した『新撰組』なんですよね。
実は雅さんとギュメイ将軍は1章2話依頼の出演なんですよね。
あの時は2人とも非番でOFFモードでした。
それではまた次回に!