万事屋一行の『複合都市』生活   作:ex(イクス)

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どうも!


第2章5話です!

今回は『オレカバトル2』に登場する最新(2026/6/13現在)の魔皇が登場です!
それに1人立ち向かうのは……アイドルの少女!?

果たしてこの歌合戦の行方は……!?



第5話:夏休みの予定がだいたい大寒波で吹き飛ぶのはお約束

カレンダーは8月になったばかり。

本来であれば、複合都市の住人たちが水着に着替えて海岸エリアへ繰り出し、間宮さんの海の家で冷えたラムネでもすすっているはずの、真夏の盛り。

しかし、その日のこの街の気候は、完全に狂っていた。

 

「ーーっくしゅん!! おい新八ィィ! 暖房だ! 暖房器具をありったけ持ってこい! あとジャンプを束にして燃やせ! 特に前章のバトル展開が熱かったあたりのページを重点的に燃やせ!!」

万事屋の2階。坂田銀時は、冬用のぶ厚いコタツ布団を頭からすっぽり被り、歯をガタガタと鳴らしながら震えていた。

「銀さん、無茶言わないでください! 8月ですよ!? なんで部屋の中で息が白くなってるんですか! 窓の外見てくださいよ、商店街のパチンコ屋の看板にツララが刺さってますよォォォ!!」

新八もまた、マフラーを3本巻きにして叫ぶ。神楽にいたっては、定春のフサフサの毛並みの中に完全に潜り込んで暖をとっていた。

「寒いネ……。せっかくヴィクトリア家政の依頼で大金を稼いで、今夜は『ハーゲンダッツ食べ放題祭り』を開催する予定だったのに、これじゃアイス食べたらそのまま凍結して『フリーレン』のアウラみたいに砕け散るアル……」

この異常気象は、万事屋の周辺だけではなかった。

お向かいの『坂本商店』では坂本店長が売り物の肉まんの蒸し器にしがみつき、左隣の『便利屋68』ではアル社長が「悪党は寒さに負けない……っしゅん!」と強がって鼻水を垂らし、真選組の屯所では対ホロウ第六課の蒼角が「寒いとお肉が凍って食べれないィ!」と武器を抱えて泣き叫んでいた。

全次元の戦闘力上限が崩壊したこの街の住人たちすら凍えさせる、絶対零度の大寒波。

その原因は、街外れの荒野に突如として出現した、異様な建造物にあった。

 

ズゴゴゴゴゴ……!!!

 

吹き荒れる猛吹雪の向こうにそびえ立ったのは、無数の巨大な鏡と、美しくも禍々しい氷の結晶で形成された、凍てつく城ーー『氷鏡の城』。

その城の玉座の間。

無数に設置された巨大なスピーカーと、重低音を響かせる大型アンプが埋め込まれた『音響の玉座』に、ドサリと腰掛ける一人の男がいた。

ーーいや、男というには、あまりにも異形。

その姿は、全身が鈍く光る機械仕掛けのスケルトンのような姿。顔には冷徹なサングラスをかけ、手には禍々しい冷気を放つマイクスタンドのような杖を握りしめている。

彼こそが、オレカバトル2の世界から複合都市へと襲来した、聴くもの全てを魅了し凍らせる『氷歌の魔皇』ーー魔皇ミードであった。

 

「……苦しいのか、焦がれる胸が」

 

ミードはサングラスの奥の虚無の瞳を複合都市へ向け、アンプに繋がれたマイク代わりの杖に、低く、しかし驚くほど響く歌声を吹き込んだ。

「なら聞かせてやる、凍らせてやる! さしずめそれが、俺の使命なんだろう」

 

ドォォォォォン……!!!!!

 

彼の呟きが玉座の大型スピーカーから大音量で解き放たれた瞬間、凄まじい音圧の「冷気の衝撃波」が走り、複合都市の地表がさらにバリバリと数メートル単位で凍りついていく。

サングラスの機械骸骨が奏でる、世界を凍らせる最悪のデスボイス。

手に入れた大金でぬくぬく過ごそうとしていた万事屋(とご近所さんたち)の前に、音響兵器のような玉座を引っ提げた、あまりにもロックで冷徹な『魔皇』が立ちはだかった瞬間だった――!

 

「おいおいおい! 冗談じゃねーぞ、あの機械骸骨! スピーカーとアンプをフルボリュームにして歌いやがって、完全に街のパチンコ屋の爆音より迷惑じゃねーかァァ!!」

耳当てをギチギチに巻き、懐の防寒具(※ヴィクトリア家政からもらった高級カイロ)でなんとか凍結を免れた銀時が、新八と神楽、そして隣の真選組(土方・沖田・近藤)や第六課の面々と共に、町外れの荒野にそびえ立つ『氷鏡の城』へと猛スピードで向かっていた。

道中、吹雪を遮るように違法駐車されていた『マーキュリー邸』のガンダムの影を通りかかった時、スレッタが青ざめた顔で万事屋一行に駆け寄ってきた。

 

「あっ、万事屋のみなさん! 真選組のみなさんも! 大変なんです! さっき、銀髪の、とっても綺麗なお姉さんが……『あの方の凍えるような悲しい歌を止めなきゃ』って、たった1人で、マイクを持ってあの城に向かっちゃったんです……!」

「何だってェェェ!?」

新八が叫ぶ。

「たった1人で!? バカかその女! あそこにはサングラスかけたターミネーターみたいな骸骨が、大出力のアンプ背負って待ち構えてるんだぞ!? 生身の女の子が1人で行って勝てる相手じゃないだろォォォ!!」

「急ぐぞお前ら!! 異世界の一般市民を死なせたら、俺たちの第2章の評価がガタ落ちだァァ!!」

土方が刀を抜いて叫び、一同は雪を蹴立てて氷鏡の城へと突入した。

 

大理石と氷でできた、巨大なライブステージのような玉座の間。

重低音を響かせるスピーカーの前に辿り着いた万事屋一行が目にしたのは、息を呑むような、美しくも緊迫した光景だった。

無数に並ぶ鏡の前に立ち、寒さに震えながらも、両手でしっかりとマイクを握りしめている一人の少女。

透き通るような銀髪と、星を宿したような青い瞳。アイドルマスターシンデレラガールズの世界からこの混沌に巻き込まれた、アナスタシア(アーニャ)であった。

「……Вот и все!(そこまでです!)」

アーニャはマイクを口元に寄せ、目の前の巨大な音響の玉座に腰掛ける機械の魔皇を、真っ直ぐに見据えて言い放った。その声は、震える吹雪の中でも決して折れない、確かな輝きを放っている。

「貴方の凍り付いた心……溶かしてみせまス!!」

スピーカーの超重低音を浴びながら、彼女の魂の歌が、今まさに紡がれようとしていた。

対するは氷歌の歌い手、魔皇ミード。

彼はマイクスタンドのような杖をトントンと冷たい床に打ち付け、アンプのボリュームノブをカチリと最大まで回した。サングラスの奥の暗黒の眼窩が、静かにアーニャを捉える。

「………いいだろう」

地響きのようなデスボイスが、城全体のスピーカーから解き放たれる。

絶対零度のサウンドを誇る冷血の魔皇VS心を溶かす銀髪の王道アイドル!

世界線の壁をブチ破った、複合都市・極寒の『頂上歌合戦』の幕が、今、完全に切って落とされた!!

 

「おいおいおい……何だこれは、ステージの熱量が……いや、気迫の次元が違いすぎるだろォォォ!!」

 

氷鏡の城の広大な玉座の間。銀時が耳当てを押さえながら、吹き荒れる音圧と冷気の渦の前に一歩も進めず立ち往生していた。

ステージの中心では、アーニャと魔皇ミードの、互いの魂とプライドを掛けた『歌声』の激突が繰り広げられていた。

アーニャがマイクを握りしめ、澄み切った冬の星空のような美声で心を溶かすメロディを紡げば、魔皇ミードはアンプに繋がれたマイクスタンドの杖から、聴く者すべてを凍らせる圧倒的な重低音のデスボイスの砲弾を解き放つ。

「す、凄いネ……! いつもなら『うるさいアル!』ってバズーカぶち込むところだけど、あんまり綺麗すぎて体が動かないアル……」

神楽が定春の毛並みから顔を出し、呆然と2人を見つめる。

「土方さん、あれは近づいたら音の衝撃波だけで鼓膜がミンチになりやすぜィ。俺たちの刀じゃ、あの領域のプライドには触れられねェ」

沖田が珍しく刀を収め、その尋常ならざる気迫のぶつかり合いにゴクリと息を呑んだ。真選組も対ホロウ第六課も、ご近所の最強たちでさえも、ただただ圧倒されてその場に釘付けになっていた。

だが、絶対零度の冷気をアンプから撒き散らしていたミードのサングラスの奥で、異変が起きていた。

 

(いつ以来だろうな……こんなに心が震えるのは………)

 

機械仕掛けの身体の胸の奥、凍りついていたはずのコアが、アーニャのどこまでも純粋で温かい歌声を真っ向から浴びて、激しく共鳴を始めていたのだ。

それが己の使命であるとして数多の世界を凍らせてきたミード。しかし、自分のすべてをぶつけても決して折れない銀髪のアイドルの光が、彼の虚無の心に、忘れかけていた熱を呼び覚ましていく。

『―――♪!!』

突如、ミードの放つ歌声の旋律が変化した。アーニャの歌声を圧殺するための冷気波ではなく、彼女の紡ぐ美しいメロディの「対旋律(カウンターライン)」へと、その重低音が変化していく。

「あ……」

アーニャが星の瞳を瞬かせる。しかし、彼女は歌を止めなかった。それどころか、ミードの心境の変化を敏感に感じ取り、さらに優しく、より深く手を差し伸べるように歌声を響かせた。

いつの間にか、2人の歌声は激突ではなく、奇跡のような【デュエット】へと昇華していた。

魔皇の重厚なロック・デスボイスと、ロシアの銀世界を思わせるアイドルの清廉な歌声が、複合都市の極寒の空の下で完璧に重なり合い、美しく響き渡る。

 

「……おい新八。俺の目の錯覚か? あのアンプのメーター、さっきまでレッドゾーンでバリバリ凍ってたのに、なんかちょっとメーターがピンク色に色づいてきてねーか?」

「銀さん、錯覚じゃありません! 城の鏡やスピーカーに張り付いてた氷が、2人の歌声の振動でパラパラと剥がれ落ちていってますよォォォ!!」

新八の言う通り、ミードの心は、アーニャの魂の歌によって、少しずつ、しかし確実に溶け始めていた。世界を凍らせる魔皇のステージが、今、複合都市の歴史に刻まれる「奇跡のセッション」へと変貌を遂げる―――。

 

「「―――――――♪!!!!」」

アーニャと魔皇ミード。二人の魂の歌声が、極限の熱量を持って重なり合い、最後の一節を力強く歌い上げた。

その瞬間、張り詰めた空気を震わせるような澄んだ音が響く。

 

パキィィィィィン!!!!!

 

氷鏡の城、そして複合都市の全域を覆っていた分厚い絶対零度の氷が一斉に、文字通り木っ端微塵に砕け散った。

降り注ぐのは、夏の太陽に照らされてダイヤモンドダストのようにキラキラと輝く、無数の氷の破片。先ほどまでの死の静寂が嘘のように、いつもの突き抜けるような真夏の青空と、ジリジリとした心地よい太陽の熱が商店街へと戻ってくる。

「……あ、溶けた。氷が溶けて、いつものクソ暑い夏が戻ってきたアル」

神楽が定春の毛並みから這い出し、顔を輝かせる。

「すごい……本当に歌だけであの魔皇のステージを攻略しちゃったよ……」

新八がメガネを拭きながら、感動のあまり呆然と立ち尽くしていた。

 

ライブステージの広間の中心。

マイクを優雅に下ろしたアーニャと、アンプ付きの玉座から静かに立ち上がった魔皇ミード。二人は言葉を交わす代わりに、お互いの目を見つめ合い、静かに名乗りを上げた。

「アナスタシア、です。……素敵な、歌でした。Спасибо.(ありがとう)」

「……ミードだ。お前の光、確かにこの胸に届いたぜ……合格だ、文句なしのな」

かつてはただ冷徹に全てを凍らせてきた魔皇は、どこか満足げな気配を漂わせながら銀髪のアイドルとガッチリと熱い握手を交わした。

 

 

それから数日後。

複合都市の夏の風物詩、屋外大特設ステージ。

そこには、満員の観客による凄まじい地鳴りのような歓声と、色とりどりのサイリウムの海が広がっていた。

 

「みんなーーー!まだまだ盛り上がっていこーーー☆」

 

あの伝説のトップアイドル・星野アイが歌を歌い終えてステージの袖に下がりながら笑顔で声援を送るその先、スポットライトを浴びてステージの中央に君臨していたのは、この世界に完全に居座ることを決めたミードと、アナスタシアの二人であった。

彼らが結成した超次元タッグバンド、その名も『Glacier & Stargazer』。

ミードのマイクスタンドの杖が放つ、魂を強烈に揺さぶるような爆音の重低音ロック・デスボイス。そしてアーニャの、星空を優雅に駆けるような清廉で美しいハイトーンボイス。冷気と星の輝きが融合したその圧倒的なパフォーマンスは、瞬く間に複合都市の音楽チャートを席巻。あの星野アイに並ぶほどの、全次元最高峰のトップアーティストへとスターダムを爆速で駆け上がっていくことになるのだった。

 

万事屋の2階の窓から、銀時は新しく発売された彼らの1stアルバムのジャケットを眺めながら、フッと鼻をほじった。

「いや〜、まさかあの機械仕掛けの骨野郎が、あんなゴリゴリのロックを奏でる本格派バンドのフロントマンになるとはね。しかも聞いた話によるとさ、原作(オレカバトル2)での魔皇ミードの戦闘BGM、実在するガチの超実力派ロックバンドの書き下ろし楽曲らしいぜ」

「ええっ!? 実在のバンドにBGMを書き下ろしてもらえるほどなんですか!? 道理であまりにもメロディの殺傷力とエモさの桁が違ってたわけですよォォォ!!」

新八がメタ知識全開で驚愕の声を上げる。

「道理で良い出汁が出そうな骨だと思ったネ! 今夜の『Glacier & Stargazer』のライブ、私も最前列で酢昆布振り回して応援してくるアル!」

神楽がすでにライブTシャツを着込んで拳を突き上げる。

大寒波から始まった歌合戦は、複合都市に新たなる伝説の音楽ユニットを誕生させ、最高に熱い夏の盛りの中で幕を閉じるのだった。

 





(第2章・第5話「魔皇襲来・歌合戦編」 完)

今回はアーニャ(アイマス)と魔皇ミードの歌合戦でした!

ミードは初めて見た時から惚れて、すぐにゲットして使ってます
BGMも神で言うことなし!

魔皇ミードのBGM(非公式)ここに貼っときますね。
https://www.youtube.com/watch?v=G1HTv-qWNSE

それではまた次回!
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