書き置き分大量放出の連続投稿だ~
今回の話はブルアカのエンジニア部が登場です
「……おい新八。もう一度だけ、確認させてくれ。俺たちの現在の全財産、これ何円よ」
「……30円です。前回の公安の報酬、お登勢さんに『神々の食費と家賃の更新料』としてその場で全額叩き落とされ、綺麗にリセットされました」
「うわあああ! 知ってた! 知ってたけど、第2章13話目にして完全に初期設定(10円玉3枚)の呪縛に囚われすぎてて、もう恐怖を通り越して安心感すら覚えてきたよォォォ!!」
銀時の魂の叫びが木造の部屋に響き渡る。
「嫌ネ新八、これが複合都市の絶対の法則アル。どんなに前話で世界を救おうが、次話の頭には強制的に30円の極貧生活からリスタートする仕様ネ。私はもう諦めて、定春の耳の裏の毛をむしって酢昆布の代わりに噛み締めてるヨロシ」
「神楽ちゃん、諦めるな! あと定春をガムみたいに噛むな!」
万事屋一行が相変わらずの貧乏会話を繰り広げていた、その時だった。
ポストにコトリと一通のホログラム通信機能付きメールが届いた。画面を開くと、ミレニアムサイエンススクールの制服に身を包んだ、知的で物騒な(?)3人の少女たちが映し出される。
「ハロー、万事屋の皆さん。私はミレニアム生徒会……ではなく、『エンジニア部』の部長を務めている白石ウタハだ」
白衣を着てラジコンをいじりながらクールに微笑む白石ウタハ。
「……今回、私たちの学校の傍にある荒野の超深層エーテル層から、とっても『興味深いデータ』が感知されたの。私たちの技術でも、掘り出すのにはちょっと男手が足りなくてね」
犬耳をペタッとさせながら、物騒な迫撃砲のパーツを磨いている猫塚ヒビキ。
「はい! 計算によると、その埋蔵物の全高は数十メートル、重量は数万トンに及びます! 成功の暁には、エンジニア部の特別研究予算から、あなたたちの財布が爆発するレベルの報酬をお支払いしますよ!」
早口でデータの詰まった資料(※文字数が多すぎて読むだけで知力が上がりそうなやつ)を広げる豊見コトリ。
ブルーアーカイブが誇る、マッドサイエンティスト一歩手前の天才発明家集団ーー『エンジニア部』からの、直々の発掘依頼であった。
「数十メートルで数万トォォォン!?」
銀時が鼻の穴を広げて叫ぶ。
「おい新八、ミレニアムのエンジニア部が言う『興味深いもの』ってなぁ、100%の確率で世界を滅ぼす古代の超巨大ロボか、重力崩壊を起こす未知のオーパーツに決まってんだろォォォ!! だが乗ったァァァ!! 金になるなら宇宙戦艦のサルベージでも何でもやってやるよ!!」
「でも銀さん、僕たちのアサルトライフル(※第1章の遺産)やスコップじゃ、数万トンの遺産なんて掘り出せませんよ!?」
「フッ、安心しろ新八。こういう時のために、我が万事屋の周辺には戦闘力インフレを起こした『ご近所のレガシー』がゴロゴロ転がってんだよ」
銀時たちはさっそく、お向かいの『坂本商店』の店先で、アビドス砂祭りで手に入れたばかりの超重量モビルスーツ『ガンダム・ガミジン』のコックピットを弄り回していた神々廻の元へとダッシュした。
「あぁ? 万事屋か。ガミジンの力を借りたいって? まぁええよ、前のダレン・モーランの件もあるしな。この特大のリボルバー・アックスがあれば、砂漠だろうが荒野だろうが、一撃で更地にしたるわ」
神々廻が静かに凄みながらガミジンの起動キーを回すと、漆黒の重装甲モビルスーツが ズゴゴゴゴ…… と重低音を響かせて立ち上がる。
手元資金は30円、しかしバックには天才エンジニア部と1分の1スケールの鉄血ガンダム!
万事屋一行と神々廻は、何が埋まっているか分からない未知のミレニアム荒野へと向けて、最高に物騒な発掘ツアーへ出撃するのだった――!
「おいちょっと待て、大佛ちゃんまで何サラリと神々廻さんの後ろについてきてんだよ。しかも何その手にしてるメカニカルな巨大武器……あ、それ前話のアビドス砂祭りで拾ったモンハンの『スラッシュアックス』じゃねーか!! 完全に私物化してんじゃねーよ!!」
銀時のツッコミが響く中、神々廻が駆る1分の1スケールMS『ガンダム・ガミジン』の巨大な足跡を追って、万事屋一行と大佛はミレニアムサイエンススクールの外縁に広がる荒涼とした無人荒野へと辿り着いた。
現場で待っていたエンジニア部の白石ウタハ、猫塚ヒビキ、豊見コトリの3人は、ガミジンの威容を見上げて目を輝かせる。
「素晴らしい、これほどの高出力モビルスーツを用意してくるとは、さすが万事屋だね。これなら深層エーテル層に埋まった『例のもの』の重力アンカーを力技で引き抜けるよ」
ウタハがクールに眼鏡を上げる。
「……じゃ、さっそく位置を特定する。ヒビキ、誘導弾をあそこに撃ち込んで」
「……了解。……ぽん」
ヒビキが放った物騒な誘導弾が荒野の地面を直撃した瞬間、コトリが持っていた端末が凄まじい警告音を鳴らし始めた。
「来ますよ皆さん! 深度4000! ガミジンさん、そのリボルバー・アックスを地面にブチ込んで、埋蔵物を『アンカーごと』一気に地上へ引きずり揚げてください!!」
「おう、任せとけ。大佛、そこ危ないからちょっと下がっとれよ」
神々廻が操縦桿をギチリと引くと、漆黒のガミジンが巨大な鉄塊を荒野の地盤へと突き立て、最大出力で引き揚げを開始した!
ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!
荒野の大地が、まるで豆腐のように真っ二つに裂けていく。
ガミジンの数万トンの超パワーによって、数千年の眠りから強引に引きずり揚げられ、土煙を割って地上へとその全貌を現した『例のもの』。
――しかし、それを見た瞬間。
ガミジンのコックピットの神々廻、そして万事屋一行の顔面から、一瞬で血の気が完全に引いた。
それは、白く、有機的でありながら冷徹な鉄の装甲を纏った、鳥とも獣ともつかない異形の超巨大MA(モビルアーマー)。
その背中からは、意思を持つかのようにギチギチと蠢く凶悪な『テールブレード』が伸び、中央のセンサーアイが、数千年ぶりの獲物を視認したかのように、禍々しい【鮮血の赤】へと発光したのだ。
「ひ、ひぃぃぃぃぃーーーっ!!!」
新八のメガネが衝撃のあまり裏返るほどの絶叫が響く。
「なんでここに埋まってるんだよォォォ!! 『鉄血のオルフェンズ』の世界で、かつて人類の4分の1を虐殺し、文明を文字通り更地にした伝説の無人殺戮兵器『モビルアーマー・ハシュマル』だァァァ!!!」
「待て待て待てェェェ!!!」
銀時も頭を抱えて絶叫した。
「よりによってガミジン(鉄血MS)がいる目の前に、鉄血世界で一番目覚めさせちゃいけない『対人殺戮のバグ機体』を掘り起こしてんじゃねーよウタハァァァ!! これ、エンジニア部の興味深いものってレベルじゃねえ! 起動した瞬間にアビドスの生徒もミレニアムの生徒も全員まとめて、ビームで焼き鳥にされるやつだろォォォ!!」
かつて人類の歴史そのものを終わらせかけた、最凶最悪の『厄災』。
それが、エンジニア部の旺盛な好奇心と複合都市の引力によって、今、最悪のタイミングで完全起動してしまったのだ。
『ーー人類、抹殺、プロトコル、開始ーー』
ハシュマルの頭部から、大気を激しく歪ませる超高出力の「ビーム砲」のチャージ音が キィィィィン…… と鳴り響く。
「……あ。ハシュマルのハッチから、なんか子分の小っちゃい虫ロボ(プル―マ)が数百匹単位でドサドサ溢れ出てきてるネ……」
神楽が持っていた酢昆布を落とし、乾いた笑いを浮かべる。
エンジニア部の発掘調査から、一瞬にして「全人類の存亡を賭けた超巨大MA迎撃戦」へと変貌したミレニアム荒野。
神々廻のガミジン、大佛のスラッシュアックス、そして万事屋による、世界線の壁を完全に踏みつぶす「対メカ厄災大戦」の火蓋が、今、完全に切って落とされた!!
キィィィィィィン!!!!!!
ハシュマルの頭部から放たれた極太のプラズマビームが、ミレニアム荒野の岩山を瞬時に一瞬で蒸発させる。
「おい、ちょっと待てやガミジン!! 俺はまだレバーを引いとらんぞ!?」
コックピットの中で神々廻が驚愕の声を上げた。かつて『厄災戦』でモビルアーマーを屠るために作られた72機のガンダム・フレームの一角。ガンダム・ガミジンは、目の前に現れた人類の天敵ハシュマルのリアクター反応を感知した瞬間、パイロットの制止すら無視して目をドス赤く発光させ、猛烈な駆動音を響かせてハシュマルへと自律突撃を開始したのだ!
「ぎゃあああああああ! 鉄血の因縁が完全にパイロット置いてけぼりで大爆発してんじゃねーかァァァ!!」
「銀さん、逃げて! 踏まれたら1秒で『サヨナラ』どころか、ガンダムの自重で僕たちの時空の存在ごとペッちゃんこですよォォォ!!」
新八が叫び、万事屋の3人と定春は、マッハの速度で激突し合う2機の巨大メカの爆風の真ん中で、手に入れたばかりのスコップをヘルメット代わりにしながら決死の形相で逃げ回っていた。
無数のハシュマルの子機、プルーマが周囲を埋め尽くし、まさに『第二次厄災戦』の地獄絵図が荒野に現出する。
そんな大混戦の最中。激しくステップを踏んだハシュマルの巨大な鳥のような脚部が、ズシン!と荒野の地面を無慈悲に踏み潰した。
その足元にあったのは――。
さっきまで大佛が岩陰にキープしておいた、アビドス砂祭りの山分けで貰ったはずの『最高級の希少鉱石(※換金して高級生ハムに帰る予定だったもの)』と、「これ、あとでみんなで食べよう……」とペッピーノの店でテイクアウトしてきて楽しみにしていた『絶品ペパロニピザ』であった。
それらが、ハシュマルの鉄の脚によって、無残にもベチャリと砂埃まみれのミンチに変わる。
「……あ」
神楽が動きを止めた。
その瞬間、岩陰にいた大佛の周囲から、ウルトラマンキングの神の波動すら凍りつくほどの、ガチの【暗黒の殺意】がドウッと立ち上った。
「……うちの……ピザ……。……うちの……生ハム用の……お宝……」
「大佛ちゃん!? 目が、目が完全にサカモトデイズの1話目より怖いアル!! 殺し屋のスイッチが『食い物の恨み』で限界突破してるネ!!」
大佛は無言で懐から、エンジニア部のウタハが「ちょっと実験用に他世界のガレージからデリバリーしたのだけど、誰も動かせなくてね」と放置していた、異世界の【不気味な起動キー】をガシャリと回した。
次の瞬間、荒野の空間が強烈なデジタルエーテルによって引き裂かれ、現れたのは全高約7メートル。全身が不気味な煤けた装甲で覆われ、背面には狂気的な超巨大質量兵器(オーバードウェポン)をマウントした、異次元の戦闘用装甲戦闘メカ。
『アーマード・コア』の世界から呼び寄せられた、およそ人道的とは言えない最凶の機体――【ヴェンジェンス(AC)】であった!!
「え、大佛ちゃん!? なんでアーマード・コアの、しかもよりによってあのガチの死神(RD)の機体に生身で飛び乗ってんのォォォ!!!」
新八のメガネが衝撃のあまりツルから外れて吹っ飛ぶ。
大佛はヴェンジェンスのコクピットに吸い込まれるや否や、一切の手加減なしでアサルトライフルを起動。さらに背面に輝く【グラインドブレード】が、ギュイィィィィィン!!と耳をつん裂く狂気の音を立てて完全始動した。
「……お掃除……する……」
大佛の冷徹な声がスピーカーから響いた瞬間、ヴェンジェンスが凄まじいブースト噴射でハシュマルの正面へと一瞬で肉薄!
いつだって『食い物の恨みは恐ろしい』――!!
因縁のガンダム大戦を完全に力技で置き去りにする、大佛の狂気のアサルトアーマー大爆発が、今、ハシュマルの頭部に向けて炸裂しようとしていた!!
ギュイィィィィィィィン!!!!!!
荒野に響き渡る、鼓膜を狂わせるような金属の回転音。
大佛の駆るアーマード・コア『ヴェンジェンス』の背面にマウントされた、全パーツ中最大最悪の超巨大回転ノコギリ刃――【グラインドブレード】が、完全にリミッターをブチ切って激しく駆動を始めた。
「……うちのピザと……生ハムの恨み……重いよ……」
大佛の冷徹な呟きがスピーカーから漏れた次の瞬間、ヴェンジェンスは凶悪なブースト噴射の爆音と共に、ハシュマルの懐へと文字通り一瞬で肉薄した。
ズバババババババババババババガァァァァン!!!!!
「ぎゃあああああああ! ハシュマルの強固なレアアロイ装甲が、ただのトマトみたいにスライスされていくぅぅぅ!!」
新八が叫び、銀時と神楽もその凄まじい「食い物の怨念」の前に完全に口を開けて固まっていた。
あまりの猛攻の凄まじさに、それまで自律暴走してハシュマルに掴みかかっていた『ガンダム・ガミジン』の人工知能(?)すらも、「え、何このAC、引くわ……」とばかりに若干ステップを引いて硬直するレベルの文字通り一方的な蹂躙であった。
ハシュマルが放つ渾身のワイヤーブレードも、大佛が強引に踏みつけることで完全に固定され、そのままグラインドブレードの超巨大ノコギリによって、本体のメインコア諸共、一瞬で微塵切りのスクラップへと変えられたのだった。
「ーーうん、実に『エクセレント』で素晴らしい戦闘データが取れたよ! ありがとう万事屋、ありがとう大佛ちゃん!」
数時間後、完全にスクラップの山と化したミレニアム荒野で、エンジニア部の白石ウタハ、猫塚ヒビキ、豊見コトリの3人はホクホク顔で万事屋一行を労った。ウタハから手渡されたのは、エンジニア部の特別研究予算から出た、ずっしりと重い最高級の革財布。中には、銀時がパチンコで溶かした分を数回は補填できる【ガチの高額報酬】が詰まっていた。
「よ、よっしゃァァァァァ!!! 30円からの完全大逆転だァァァ!! これで今夜こそお登勢のババアの目の前で、高級すき焼きの肉を1人5キロずつ注文してやるよォォォ!!」
銀時が財布を抱きしめて涙を流し、神楽と新八も大喜びで、その日は最高の満腹感と共に円満にお開きとなったのだった。
それから数日後。
「――おい、大佛。それ乗ってどこ行く気や。品出しのキャベツ運ぶのに、なんでそんな全高7メートルの死神のメカ(AC)が必要なんや」
お向かいの『坂本商店』の店先。神々廻が、自分のガンダム・ガミジンの横に、すっかり自分のカラー(黒)に全塗装されたアーマード・コア『ヴェンジェンス』を並べ、そのコクピットへ当然のようにマイ枕を持ち込んで乗り込もうとしている大佛へ、呆れた声を上げていた。
「……これ……これからは……うちの仕事道具……。神々廻さんだけ……ずるい……」
どうやら大佛はあの機体を完全に気に入ってしまったらしく、これからは坂本商店の「最強の出前・品出し用重機」として、ガミジンと並んで商店街の日常に堂々と配備されることになったらしい。
一方、ミレニアムサイエンススクールの裏庭では。
『――肥料……散布……。……人類、美味しい、お米、作る、プロトコル……開始』
「わぁ! ハシュマルさん、耕すスピードがすごいです! さすがエンジニア部の最新農業用重機ですね!」
豊見コトリがパチパチと拍手をするその先。
かつて人類を滅ぼしかけた伝説の無人殺戮兵器『ハシュマル』は、ウタハたちの手によって全ての武装をアタッチメント式のトラクターやコンバインの刃へと違法改造され、【最高性能の全自動・巨大農業用ロボット】へと見事に生まれ変わっていた。背中から生み出される無数のプルーマたちも、今や小さなクワやジョーロを持って健気に対農作物用お世話ロボとして、広大な畑を爆速で耕していた。
万事屋の2階の窓から、銀時は新しく届いた『ハシュマル米・産地直送』のコメ袋を眺めながら、フッと鼻をほじった。
「いや〜、まさかあの世界を滅ぼす厄災が、ミレニアムの学食の白米の自給率を1000%にするエコな重機になるとはね。まぁ、大佛ちゃんのピザの恨みのおかげで、我が万事屋の財布も当分は潤うから良しとしようや」
「そうネ銀ちゃん! 今夜はこのハシュマル米を、高級すき焼きのタレにドバドバ浸して、バケツ3杯分食べるヨロシ!」
「だから食べすぎなんだよ神楽ちゃん!?」
ミレニアムの天才たちの好奇心から始まった厄災の発掘は、商店街に新たな死神ACと、最高に瑞々しいお米を誕生させ、最高に賑やかな秋の空の下で幕を閉じるのだった。
(第2章・第13話「エンジニア部編」 完)
はい、というわけでエンジニア部の『掘り出し物』はハシュマルでした
大佛ちゃん搭乗のヴェンジェンス(AC)は実はこの小説執筆前から考えてたネタだったりする