万事屋一行の『複合都市』生活   作:ex(イクス)

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またまた連続投稿です


今回でウェザエモン戦は決着となります
本当にアニメシャンフロのウェザエモン昇天シーンは何度見ても泣けますよ

それではどうぞ



第18話:最強同士の戦いは大体最後の一撃の漢字の数とフォントのデカさで勝敗が決まる

「――晴天流奥義――『晴天大征』――」

 

ウェザエモンがその名を紡いだ瞬間、満開の桜の領域が、文字通り「即死の弾幕ゲー」へと変貌した。今まで繰り出してきた『断風』『雷鐘』『入道雲』『火砕龍』『灰吹雪』のすべてが、まるでインターバルなしのバーストモードのように四方八方から同時に降り注ぐ。大気が裂け、雷が落ち、炎の龍が丘を焼き尽くしていく。

「ちょっと待つネ! これ完全に格ゲーでゲージMAXになった瞬間にボタン連打された時のコンボアル! コントローラー投げたくなるやつネ!!」

神楽が激しい爆炎の中をステップで回避しながら叫ぶ。

さらに、人型の鎧へと変形した「麒麟」が、巨大な拳と太刀を振り下ろし、胸部のレンズから無慈悲な極太レーザーを乱射してきた。

「くっ……! 攻撃は激しいですが、銀さん! この人型になった馬、さっきの四足歩行の時より、明らかに動きのパターンが単調になってます!」

新八がメガネの奥の目を光らせ、レーザーの射線をギリギリで見切って叫んだ。主であるウェザエモンの妄執が揺らいだことで、麒麟の自律プログラムも大雑把な力任せのルーティンに陥っている。

「単調だろうが何だろうが、この質量で殴られたらウチらのHPなんか一瞬で消し飛ぶんだよチクショウ! 誰か広域バリアかハシュマル米の超回復おにぎり持ってきてェェェ!!」

銀時が洞爺湖を構え、迫り来る麒麟の巨大な拳を前に冷や汗を流した、その時。

 

「――お待たせいたしました、皆様。第六課、ただいま残務処理を完了し、現戦線に合流いたします」

 

激しい爆煙を切り裂き、凛とした声が響き渡った。

そこに現れたのは、書類仕事を完璧に片付けて前線へと舞い戻った、対ホロウ第六課の副課長・月城柳!

「へへっ、課長! 良いところは全部持っていくつもりだったでしょ? 間に合って良かった!」

浅羽悠真が戦闘服の襟を正しながら不敵に笑い、その横では蒼角が「お腹が空いたから、サクッと片付けるぞー!」と巨大な鉄ののぼり旗のような武器をぶん回す。さらに、その後ろからドスドスと地鳴りを立てて現れたのは、しっかりとサイズ特注の『第六課の制服』に身を包んだ、ゴレオン将軍とゲルニック将軍の2人だった。

「おのれ、不届きなサイボーグめ! 我が六課の課長とギュメイ殿に刃を向けるとは、万死に値するわい!」

ゲルニック将軍が制服の袖をバタバタさせながら神速のバギクロスを唱え、

「おいおい、こんなきれいな桜の木の下で物騒なことをするんじゃあない! ぶっ潰してやる!」

ゴレオン将軍がその巨躯で地面を叩き割り、鉄球を麒麟の胴体へと叩き込む。

「六課のフルメンバーがガチの制服姿で押し寄せてきたァァァ!!! ていうかあのドラクエの将軍たち、すっかり公務員として馴染んでやがるゥゥゥ!!!」

新八の魂のツッコミが響く中、柳の薙刀が麒麟の関節部に鋭いエーテルの一撃を叩き込み、悠真の超高速の射撃が麒麟のレーザー砲身を次々と爆破していく。

「よし、お前ら! 頼もしいお役所仕事の皆さんが来てくれたんだ、ここで一気に攻勢に出るぞォォォ!!」

銀時の号令と共に、万事屋、真選組、そして合流した第六課の面々が、動きの単調になった麒麟に向かって一斉に飛び込んだ。

 

「ゴレオン、そこを動くなネ! そのままお馬さんの顔面をホールドアル!」

「がってんだ! ぬおおおおおっ!」

 

神楽の指示に合わせ、六課の制服をはち切れんばかりに膨らませたゴレオン将軍が、人型に変形した「麒麟」の巨大な両腕を力任せに背後からロックした。動きが単調になった超重量級の質量兵器も、夜兎の怪力とドラクエの怪力、二つの次元の「パワーインフレ」に挟まれては完全にその身を拘束されるほかない。

「逃がしません……! 悠真くん、蒼角さん、射線を開けてください!」

月城柳が薙刀を鮮やかに旋回させ、麒麟の胸部レンズ――レーザー発射口の手前にある装甲の隙間へ、高密度のエーテルエネルギーを突き刺した。

 

バチバチバチィッ!!

 

「そこだァァァ! 隠されてた弱点、見え見えなんだよコラァァァ!!」

銀時が『洞爺湖』の木刀を両手で握りしめ、剥き出しになった麒麟のコア駆動部へ向けて大気圏突入ばりの超高速で跳躍する。

「土方さん、合わせろォォォ!」

「言われなくても分かってらぁ! 沖田、新八、ぶち込めェェェ!!」

土方、沖田、そして新八の3人が放った鋭い剣気とバズーカの弾丸が、銀時の木刀と完全に一本の線となって麒麟の弱点へと突き刺さった。さらにゲルニック将軍が背後から放った最大火力の神速バギクロスが、その破壊を完璧なものにする。

 

ズドォォォォォォン!!!

 

強烈な金属の破砕音と共に、神代の遺産たる戦術機馬「麒麟」の全身が激しく爆発。白と金の美しい装甲が、満開の桜の花びらと共に丘の上へと飛び散り、光の粒子となって完全に消滅した。

「ハァ……ハァ……やった……! あの『脚の生えたダンプカー』を、ついに完全撃破しましたよ!」

新八がメガネの汚れを拭いながら、膝をついて激しく息を荒くする。

「よくやった、お前たち」

爆煙の向こう側から、静かに、しかし絶対的な決意を秘めた声が響いた。そこには、未だ全身から蒼い炎の弾幕『晴天大征』を噴き上げている、孤独な守護者・ウェザエモンの姿。そしてその正面に、抜き放った刀を正眼に構える星見雅、そして大太刀を両手で握るギュメイ将軍の2人が立っていた。麒麟という最大の盾を失い、装甲のヒビからは魂の残火が漏れ出している。ウェザエモンのゲーム的なHP、そしてその命のタイムリミットは、文字通り残り数パーセント。だが、その青く輝くセンサーアイの奥に宿る闘志は、1ミリも衰えてはいなかった。

『……来い……我が、古き友の、末裔たちよ……。我が刃を、超えて……みせよ……』

「これで残すは、あの頑固なサイボーグのじいさん一人ネ」

神楽が傘を肩に担ぎ直し、銀時の隣に立つ。銀時は何も言わず、ただ静かに、雅たちとウェザエモンの間に流れる「最後の約束」の空気を見守るように木刀を下げた。複合都市の狭間に咲く、満開の桜の木の下。数百年の妄執を断ち切り、愛する人の魂の元へ還すための、本当の最後の、一撃の交差が始まろうとしていた――。

 

麒麟を失い、全身の装甲から蒼い炎を噴き上げるウェザエモン。だが、その刀身から放たれる剣気は、先ほどまでの比ではないほどに膨れ上がっていた。彼が身を低く沈め、大太刀を天へと向けたその瞬間、満開の桜の領域が激しく鳴動する。

 

『――晴天大征、流転と手向けを以って終極と為す。晴天転じて我が窮極の一太刀。我、龍をも断つ……!』

 

その圧倒的な「死」の予兆を肌で感じた瞬間、対峙する星見雅とギュメイ将軍は直感した。

次が、間違いなく最後の一撃になる、と。

「……ギュメイ殿。我が星見の剣、合わせてもらえるか」

「フッ、言われるまでもなし。我が全身全霊、御主に託そう」

2人は静かに息を吐き、それぞれの刀をカチリと鞘へと収めた。一歩間違えれば塵すら残らない極限状態。雅の全身から吹き上がる冷徹な「気」と、ギュメイ将軍の身体から滾る圧倒的な「魔力」が、鞘の中で限界を超えて練り上げられていく。満開の桜の花びらが、3人の間でピタリと静止した――。

 

『――天晴!!』

 

ウェザエモンの大太刀が、空間ごと世界を両断する軌道で振り下ろされる!

 

「星見流奥義――『なごり雪』!!」

「天下無双――!!」

 

雅の神速を超える居合の一閃とギュメイ将軍の放った天下無双の超連撃が、光の奔流となってウェザエモンの正面へと炸裂した。

 

「「――もう、眠れ……! 墓守のウェザエモンよ!!」」

――ゴォォォォォォォォォン!!!――

 

三者の奥義が激突した瞬間、世界が真っ白にフラッシュバックした。大地を揺るがす凄まじい轟音が響き渡り、狂ったように咲き誇っていた桜の木が激しく揺れる。激しい光の渦の中。キィィィィン……と、悲しくも、どこか美しい金属の音が丘の上に響いた。

ウェザエモンが数百年もの間、決して手放すことのなかった身の丈ほどもある大太刀。それが、雅とギュメイ将軍の刃によって根元から粉々にへし折られ、宙を舞ったのである。

 

「折れ……た……」

新八が目を見開いて呟く。

クルクルと宙を舞った大太刀の破片が、満開の桜の花びらと共に地面へと降り注ぐ。根元からへし折れたウェザエモンの愛刀が、彼の背後の地面へと突き刺さった。

 

『…………見事、だ』

 

全身のヒビから蒼い炎を漏らしながら、ウェザエモンは静かに、しかしどこか満足げに呟いた。彼はゆっくりと、機械仕掛けの手のひらを上に向ける。そこへ、ひらひらと一枚の桜の花弁が落ちてきた。

 

『晴天転じて我が窮極の【天晴(てんせい)】、言葉は移りて祝に転ず……』

じっと花弁を見つめるウェザエモンのセンサーが、穏やかな光を放つ。

『……天晴(あっぱれ)である。よくぞ、我が窮極を見切った』

 

その場を支配していた重厚なシリアスブレイカーな一言に、万事屋、真選組、そして第六課の面々の肩の力が、一瞬でズッコケるように抜けた。

「「「ダジャレかよォォォォォ!!!???」」」

銀時、新八、土方の3人が、完璧にハモった魂のツッコミを丘の上に響かせる。他作品のメタ知識で「伝説の超シリアスなボス」だと思って命がけで戦っていた相手が、最後の最後に放ったのがまさかのオヤジギャグ。この複合都市のバグった空気のせいなのか、あるいは彼の本性なのか。

『……フッ、刹那にも、よくそうやって怒られたものだ……』

ウェザエモンはノイズの混じる音声で、確かに、人間のように小さく笑った。彼は地面に突き刺さっていたへし折れた大太刀を再び手に取り、重い足取りで、愛する人の墓へと向かって歩き出す。

 

『重ねて、天晴(あっぱれ)で、ある……。我が、遠き日の、末えイ、よ……』

その言葉は、じっと彼を見つめる星見雅、そしてギュメイ将軍へと向けられていた。2人の首にかけられたペンダントを見つめ、ウェザエモンは『天津気刹那』の墓の前にゆっくりと膝をつく。そして、へし折れた大太刀を墓標の傍らへと、静かに突き立てた。

『我が、身……朽ち果、テ……眠、る…………。嗚呼、セツ、ナ…………今……そコ、へ…………』

パキィィィン……と、神代の装甲が美しい光の粒子へと変わっていく。数百年の間、ただ一人の女性の墓を守るためだけに現世に縛り付けられていた最強の墓守は、かつての友の末裔たちの手によって呪縛を解かれ、最愛の人が待つ「彼岸」へと還っていく。満開の桜吹雪の向こう側、白い鎧武者の姿はサラサラと静かに塵となって崩れ、風に乗って空へと消えていった。

 

残されたのは、古びた墓標と、そこに寄り添うように突き刺さった、へし折れた大太刀の柄だけ。いつの間にか反転していた空間の色彩は元の静寂へと戻り、狂ったように咲いていた桜の木は、最初と同じ、花も葉もない枯れ木の姿へと戻っていた。

「……逝ったか」

土方が静かに煙草の煙を吐き出したその時だった。

 

「……あれ? 銀さん、あそこ……」

新八が微かに目を見開いて、誰もいないはずの墓標の傍らを指差す。

空間の歪みが完全に収まったはずのその場所に、ポツンと、まるで夕陽の残光が集まったかのような、温かい光が灯っていた。

光が集束し、そこに形作られたのは、光で構成されたかのように半透明で、儚くも美しい一人の女性の姿。

 

――『天津気刹那』

 

数百年の間、無敗の守護者に守られ続け、そして彼を現世に縛り付ける原因でもあった、その人そのものだった。

『ありがとう、みなさん。……あの子の、長すぎた未練を断ち切ってくれて』

刹那は万事屋や真選組、そして第六課の面々を見渡し、鈴の鳴るような優しい声で、心からの感謝を告げた。他作品のメタ知識で彼女の過酷な運命を知っている銀時たちも、この時ばかりは茶化すことなく、静かにその美しい姿を見つめていた。そして、刹那はそっと、自分と同じペンダントを胸に抱く星見雅の方へと視線を向け、慈しむような笑みを浮かべた。

『それから……雅』

「……っ、刹那……」

いつもは鉄の規律を崩さない雅の瞳が、微かに潤み、揺れる。

 

『いつも、そこに立ち枯れた「私」に会いに来てくれて、ありがとう。……大好きよ、雅』

 

その言葉を最後に、刹那の半透明の身体は、先ほどウェザエモンがそうしたように、優しく夜風に溶けるようにして光の彼方へと消えていった。

今度こそ本当に、愛する墓守の男と手を取り合い、遥かなる「彼岸」へと旅立ったのだろう。丘の上に、本当の静寂が戻ってきた。

「……フッ、そなたらしいな、刹那」

雅はそっと目元を拭い、いつもの凛とした表情に戻って刀を完全に鞘へと収めた。その横でギュメイ将軍もまた、「これで、真の約束は果たされたな」と満足げに腕を組む。

 

「いやー、本当に良い最終回だったネ。おじさん不覚にもちょっと感動しちゃったアル。さ、雅ちゃん。感動の対価として、ウチの口座に裏金をガッツリ振り込んで――」

「あ、坂田殿。今回の依頼ですが」

余韻をぶち壊しにきた銀時に対し、副課長の月城柳がニコリと微笑みながら、お役所仕事の書類をスッと差し出した。

「はい?」

「今回の件は『極秘の個人的な依頼』かつ『時空領域の不法占拠物(麒麟・ウェザエモン)の自主撤去作業』として処理されました。よって、対ホロウ第六課の規定に基づき、万事屋の皆様には『ボランティア活動による地域貢献ポイント』が【30ポイント】付与されます。なお、手元資金への換金は不可能です」

「……は?」

銀時の口から、魂と一緒に乾いた声が漏れ出た。

「ポイントって何ィィィ!? ウチが欲しいのはポイントじゃなくて現金! リアルマネー!! 手元資金が相変わらずの【30円】から1ミリも増えてねーんだけどォォォ!!」

新八が書類をひったくって絶叫する。

「おのれ公務員め! だったらあのアントニオ猪木みたいな格好した鋼鉄の馬の破片、どっかの裏社会に横流ししてパチンコ資金にしてやるネ!」

神楽が怒り狂うが、時すでに遅し。麒麟の破片はすでに、しっかりと制服を着こなしたゴレオン将軍とゲルニック将軍によって、「違法ゴミの回収」としてテキパキとトラックに積み込まれた後だった。

「……まぁ、いいじゃねぇか。たまには、あんな綺麗なモン見たんだ。30円ぶんの価値はあっただろ」

土方が可笑しそうに鼻で笑いながら、真選組の隊士たちを引き連れて丘を降りていく。

「あるわけねーだろォォォ! 30円じゃジャンプも酢昆布も買えねーんだよォォォ!!」

夕陽が沈み、静かに夜の帳が下りる複合都市の片隅で、万事屋の悲痛な叫びがこだまする。

宇宙規模のハッピーミュージックに振り回され、神話級のボスと命がけのレイドバトルを繰り広げても、手元に残るのはいつだって、実家のような安心感の【30円】。

さらに混沌と愛が交錯するこの街で、万事屋一行の「仕事拡大(という名のただのトホホな日常)」は、まだまだこれからも続いていくのだった。

 

 





(第2章・第18話「彼岸より愛を込めて編」 完)


はい、というわけで銀魂らしいオチまでしっかりついてウェザエモン戦閉幕です


いや~それにしてもウェザエモンホントにカッコイイんだよな

自分がシャンフロで一番好きなキャラかもしれない

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