万事屋一行の『複合都市』生活   作:ex(イクス)

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連続投稿です


前回のラストで折角手に入れた報酬を目の前で消されてしまった銀さん……

とうとうブチ切れて反撃(?)に移ります!




第24話:財布のバグを直すために世界のシステムエンジニアどもを集めたら大体デスゲームのサーバーが爆誕する

 

「もう許さねぇ。銀さんね、今までの理不尽な家賃回収とかは『まぁ様式美だしな』って大人の余裕で流してきたよ? でも、せっかく大怪盗の手から街を救って手に入れた福沢諭吉の束が、目の前でサラサラと光の粒子になって【30円】にモーフィングしたあの瞬間、銀さんの中で何かが音を立ててブチ切れた。これは戦争だ。作者か世界か知らねーが、ウチの財布のレギュレーションを決めてる大いなる意思(システム)を、俺は力ずくでハッキングしてバグごと粉砕してやる」

 

万事屋の居間で、坂田銀時は禍々しい暗黒のオーラを全身から噴き上げながら、30円のコインをギチギチと指でへし折らんばかりに凝視していた。その隣では、本格的に24時間体制の介護シフトに入ったオカルン、モモ、アイラの3人が「坂田さんの目がガチの復讐鬼のそれになってるよォォォ!!」と抱き合ってガタガタ震えている。

「でも銀さん、オカルトのプロである星子ママをして『押さえ込むのが精一杯』って言わしめた超重量級のメタ因果ですよ!? 霊能力でダメならどうするんですか!」

新八が慌ててなだめるが、銀時は不敵にニヤリと口元を歪めた。

「新八、オカルトでダメならな……科学と、プログラムと、因果律と、現代呪術のトップランナーどもを全部煮こごりにしてぶち込めばいいんだよ。幸い、ウチには第1章の悪魔学校の臨時教師時代に作った、最強の『専門家コネクション』があるからな」

 

――数十分後。

万事屋の狭い居間に、複合都市の地盤すら一瞬で歪ませかねない、文字通りの【各界のチート級専門家】たちが、何食わぬ顔でゾロゾロと集結していた。

 

「フム……世界のバグによる経済的因果の強制収束ですか。興味深い現象ですね。私のグランゾン、あるいはヴォルクルスの呪術理論を以てすれば、その『30円の特異点』をブラックホールに変換して特異点ごとシステムを消滅させることも可能ですが?」

静かにコーヒーをすすりながら、天才科学者にして『因果律の専門家』、シュウ・シラカワが恐ろしいログをノートPCに走らせる。

 

「ハーーーッハッハッハッハ!!! バグだと!? 稼いだ金を一瞬でデータリセットするその悪質な仕様、まさにクソゲーの極み!! だが忘れるな! 私はゲームの神、神の才能を持つ男・檀黎斗だァァァ!!! その30円のプロテクトなど、私が一晩で『万事屋・ゴッドマキシマムガシャット』を開発し、プログラムの根本からバグごとデバッグしてやろう!!!」

『プログラムの専門家』の黎斗神が、万事屋の天井に頭をぶつけそうな勢いでガシャットを掲げて高笑いする。

 

「……騒がしいな。だが、デジタルワールドの法執行官として、その『世界線を歪める悪質なデータ』の存在は見過ごせん。私の聖剣グレイダルファーを以て、空間のバグごと一刀両断に削除してくれよう」

漆黒の鎧を纏った孤高のロイヤルナイツにして『悪質データ除去の専門家』、アルファモンが、居間の畳がメキメキと悲鳴をあげるほどの圧倒的なデジタルオーラを放って佇んでいる。

 

「いやー、みんな相変わらず物騒だねぇ。ま、僕の『無下限呪術』なら、その30円に収束する呪いの概念自体に無限を割り込ませて、永久にお金が減らない最強のバフをかけることもできるよ? 先生に任せなさい」

アイマスクをクイッと上げ、最強の『呪いの専門家』こと五条悟が、親指を立てて軽快に笑った。

 

その、集まったメンツのレアリティと戦闘力インフレの渋滞っぷりを完璧に網膜に捉えた瞬間。介護ボランティアのオカルンは、顎が床に突き刺さるほどの絶叫を響かせた。

「ひ、ひぃぃぃぃ!!! 坂田さん、いくら財布のバグを直したいからって、スパロボの隠しボスと、仮面ライダーの元凶の神と、デジモンの頂点と、呪術廻戦の最強を同時に四畳半の居間に呼び出すんじゃねぇェェェ!!! この人たちが一斉に『専門知識』を発動したら、財布のバグが消える前にこの複合都市のサーバー自体が物理的に爆破されて消滅しちゃうよォォォ!!!」

オカルンがメガネを落として叫ぶ。

「確定だ! 確定演出が入って世界線の寿命が残り3分になったアル!!」

神楽が叫ぶ。

「平成から令和の天才と最強が揃ったネ! これもうお祓いとかじゃなくて、万事屋の30円の財布の底を舞台にした、全次元最高峰のシステムハッキングレイドバトルが始まるフラグアル!!」

「誰かこのインフレの塊どもを止めろォォォ!!! 30円のために世界を創世し直すんじゃねぇェェェ!!!」

新八のメガネが割れんばかりのツッコミが響く中、シュウ、黎斗、アルファモン、五条の4人はニヤリと不敵に笑い、同時に万事屋の財布に向けてそれぞれの『神の力』を起動させた。財布のバグ(呪い)を力ずくで消滅させるための、世界のシステムをハッキングする前代未聞の戦いが、今まさに幕を開けようとしていた――!

 

「よし、全員揃ったな。早速だがこの薄汚い【30円の特異点】をハッキングする作戦をデッチ上げるぞ。おい、専門家ども、プロの知恵ってやつを絞り出しやがれ」

四畳半の居間で暗黒オーラを放つ銀時に促され、呼び出されたチート級の天才と最強たちは、驚くほど真面目に(いや、技術者としての知的好奇心を狂ったようにギラつかせて)ホワイトボードを囲み、作戦会議を始めた。

 

「まずは私が動きましょう」

シュウ・シラカワが、薄型ノートPCのキーボードをエレガントに叩く。

「私のグランゾンに搭載された対異次元用OSを経由し、デジタルおよび物理的因果律の双方から、この財布に張り付くバグの座標を強制特定、アクセスポートを開きます」

「フハハハハハ! 門戸が開いた瞬間が私の独壇場だァァァ!!」

檀黎斗が自身の神の才能を1000%詰め込んだ特製の漆黒のガシャットをパチパチと弄びながら高笑いした。

「シュウが開けた因果の穴へ、私が一晩でバグのDNAを解析して作り上げた『ゴッド・デバッガー・ワクチンプログラム』を直撃させる! これにより、財布の底にこびりついたバグの概念を、無理やり剥離させるのだァァァ!!」

「なるほど、引き剥がされて実体化したバグの処理が、俺たちの役目というわけか」

アルファモンが背中のマントを静かに揺らし、黄金の聖剣の柄に手をかける。

「電子の海で蠢く悪質なデータの残滓は、私の『グレイダルファー』を以てデジタル方面から1ビットも残さず消去しよう」

「じゃあ、そこから漏れ出たスピリチュアルというか、オカルト的な『お約束の因果』の呪いは僕が担当するよ」

五条悟がアイマスクの奥で不敵に笑う。

「無下限呪術の『赫』か『領域展開』で、概念ごとまとめて宇宙の彼方へお掃除してあげる。ね? 完璧でしょ」

その、作戦のあまりの規模のデカさと、一歩間違えれば複合都市のシステムそのものを全削除しかねない危険性に、介護スタッフのオカルンは頭が割れんばかりの絶叫を響かせた。

「ひ、ひぃぃぃぃ!!! 因果律ハッキングからの特製ワクチン、さらにロイヤルナイツと特級呪術師の同時一斉攻撃(バースト)とか作戦が凶悪すぎるでしょォォォ!!! 30円の財布を直すためだけに、なんで劇場版のラストバトルみたいな総力戦のタイムラインを組んでるんだよォォォ!!」

オカルンがノートを振り回してツッコむ。

「新八ィィィ! 確定ネ! 完全に決行の準備が整ったアル!」

神楽がすでに『洞爺湖』の木刀を銀時に手渡しながら鼻息を荒くする。

「これでもうパチンコで大勝ちしたお金がお登勢のババアにステルス回収されることもなくなるネ! 早くやるヨロシ!」

「いや、ちょっと待って! さすがにここでそんな神々のレイドバトルを始めたら、1階のスナックお登勢の常連(篁さんたち)がウイスキーこぼした衝撃で街を三つ折りにしちゃうわよ!」

モモの極めて冷静な指摘により、一行は念のため、ご近所さんの被害が出ない街外れの『無人廃墟エリア』へと移動することにした。

 

――数十分後。崩れかけたビルが立ち並び、完全に静まり返った廃墟エリアのど真ん中。

ドラム缶の上に、ぽつんと置かれた銀時の「30円の財布」。その周囲を、シュウ、黎斗、アルファモン、五条、そして万事屋とダンダダン一行が完璧な包囲網で取り囲む。

「グランゾン、因果アクセスコード承認。これより、万事屋の経済特異点――すなわち『30円の仕様』のプログラムを、白日の下に引き剥がします!」

シュウ・シラカワの厳かな宣言と共に、廃墟エリアの空間がデジタルノイズのようにバリバリと歪み始めた。ドラム缶の上に置かれた銀時の財布が激しくガタガタと震え、周囲には何十もの防護ネットを張ったはずのご近所さんたちが「おいおい、万事屋の奴ら、今度は何をやらかす気だ?」と固唾を呑んで見守っている。

「今だァァァ! 神の才能を喰らえェェェ!! ガシャット起動!!」

檀黎斗が特製のガシャットを真っ赤なレバーに叩き込むと、虹色のワクチンプログラムがレーザー光線となって財布の底へと直撃した。

 

ピキィィィィィン!!! ドゴォォォォォォン!!!

 

強烈な爆発音と共に、財布から黒と赤の禍々しいウイルスデータが、まるで火山噴火のように噴い出した。ワクチンによって無理やり因果の底から引き剥がされ、ついに『複合都市のバグ(30円の呪い)』がその姿を現したのだ。しかし、その実体化したデータの巨大な影を見た瞬間、黎斗神の高笑いがピタッと止まり、メタ知識を持つ万事屋とオカルンの顔から、一瞬で血の気が完全に引き去った。

「……は? 嘘だろ。おい、ちょっと待て。なんでお前がそこにいるんだよ」

銀時の木刀を握る手が、ガタガタと恐怖で震え始める。

 

黒い霧を吹き消しながら廃墟の街に君臨したのは、金色の不気味な装甲を纏い、無数のバグスターウイルスの怨念を背負った、世界の終焉を司る究極のラスボス。

――【ゲムデウス】

仮面ライダーエグゼイドにおける最凶にして最後のバグスター、全知全能の神が複合都市のバグと完全に融合し、万事屋の財布を媒介にして現世に降臨してしまったのである。

 

「ひ、ひぃぃぃぃ!!! 坂田さん、黎斗さん! ワクチンが強すぎて、財布のバグが『仮面ライダーの歴史上、最も凶悪なラスボスの一角』にモーフィングして実体化しちゃったよォォォ!!!」

オカルンがメガネを落として絶叫する。

「な、何よあの金ピカの化け物はァァァ!!! 周りの瓦礫が一瞬でゲームエリアに書き換えられていってるじゃないのォォォ!!」

モモがサイキックの手を展開するが、ゲムデウスが発する超重量級のゲーム領域の覇気に、障壁がピキピキと音を立てて軋み始める。

「ハーーーッハッハッハッハ!!! 面白い、実におもしろい!! 我が特製ワクチンに呼応して、かつて我が神の才能を脅かした究極のバグが、複合都市のシステムを乗っ取って復活したというわけかァァァ!!」

黎斗神だけは相変わらず狂ったように喜んでいるが、事態は完全にキャパオーバーだった。

ゲムデウスは巨大な剣と盾を構え、その赤い複眼を冷酷に光らせると、廃墟エリアの全員を見下ろして、世界を震わせる重低音の音声(システムボイス)を響かせた。

『――我ハ総テノゲーム(世界線)ノ神ナリ……。万事屋ノ財布ノレギュレーション(30円)ハ、我が不滅の法度。これを侵す不届き者どもよ……このエリアごと、デリートしてくれよう――』

「新八ィィィ! 確定だ! 完全に最悪の確定演出が入ったアル!!」

神楽が叫ぶ。

「財布の30円のバグを消そうとしただけなのに、1発殴られたら都市ごとデータ全削除されるレベルのガチのレイドボスがポップしたネ!!」

「30円のために世界を滅ぼすボスを召喚するんじゃねぇェェェ!!! 誰がこのインフレゲームの難易度を『ナイトメア』に設定したんだよォォォ!!!」

 

「いやー、流石は複合都市のシステムを巻き込んだバグだ。僕の攻撃を真っ向から受けて消滅しないなんて、特級呪霊でもそうそういないよ?」

「フフ……私のデジタルワールドの法執行官としてのデータ消去シーケンスすら、その因果の肉壁で強引に減衰させるとはな」

 

爆煙の向こう側で、五条悟が放った空間ごと物質を消滅させる紫の光『虚式・茈(むらさき)』と、アルファモンが放った多次元演算の魔力光『デジタライズ・オブ・ソウル』の同時直撃という、文字通り世界を創世し直せるレベルの合体技をモロに食らいながら、ゲムデウスは未だその金色の巨躯を廃墟エリアに直立させていた。だが、他作品のメタ知識を持つシュウ・シラカワが、グランゾンのモニターに走る因果律の数式を鋭い目で見つめ、即座に叫んだ。

「いえ、効いています!アルファモンさんのデジタルと、五条殿のオカルト(呪術)による『両面同時干渉』は、あの世界のバグに対して論理的な矛盾を強制的に引き起こしている! 確実に弱っています、全員で一斉に畳み掛けますよ!!」

「よっしゃァァァ!! 確定だ! 1発殴ったらデータが飛ぶクソゲーのボスなら、攻撃が当たる前にボタン連打でハメ殺すのがゲーセンの鉄則アル!!」

神楽が『洞爺湖』を構えた銀時を背中に乗せ、夜兎の超跳躍でゲムデウスの懐へと一直線に飛び込んだ。

『――不届き者どもガ……我がゲーム領域(30円)を……侵すなァッ!!』

ゲムデウスが巨大な盾を掲げ、ウイルスを纏った無数のエネルギー弾を乱射する。だが、その猛攻をモモの超能力の手が完璧に弾き飛ばし、変身したオカルンが「坂田さん、今です!!」と、ターボババアの推進力全開のタックルでゲムデウスの盾を強引に弾き開けた!

「おい、そこのでかい金ピカァァァ!! お前がウチの財布のレギュレーションを握ってていいのはなぁ、ジャンプの発売日の前日までなんだよォォォ!!」

銀時が魂の咆哮と共に跳躍し、剥き出しになったゲムデウスのコアへ向けて、全霊の『洞爺湖』の木刀を真っ直ぐに突き立てた。同時に、真選組の総攻撃、朱鳶やカンナの過剰な銃撃、そして黎斗神の「神のデバッグパンチ」が完全に一丸となって炸裂する。

 

――ゴバァァァァァァァァァン!!!――

 

強烈な爆発音と共に、ゲムデウスの金色の装甲が粉々に砕け散り、廃墟の街に光の粒子となって霧散していった。

床に転がった銀時の財布は元の静寂を取り戻し、周囲のゲーム領域のエフェクトも嘘のように消え去っていく。

「ハァ……ハァ……! や、やった……! やりましたよ銀さん! 仮面ライダーの最凶のラスボスを、僕たちの執念でついに完全撃破しました!!

新八が割れたメガネを拾いながら、勝利の歓声をあげた。

「ふぅ……マジで死ぬかと思ったアル。これでようやくウチらの財布は令和最新版のメガミリオン仕様になるネ……」

神楽がへたり込み、銀時も「終わった……銀さんの30円の暗黒時代が、今、遂に終わりを告げたんだ……」と、感動の涙を流そうとした、まさにその刹那。

 

――ザ、ザリッ――ピキピキピキピキィッ!!!!

 

突如として、複合都市の全空間から、これまでの比ではないほどの不気味な「バグのエラー音」が響き渡り、空の色がドス黒い真紅へと染まり始めた。

「な、何!? デバッグは完了したはずなのに、因果律のグラフが計測不能なレベルで逆流している……!?」

シュウ・シラカワが目を見開き、五条悟も「おや、これは僕の六眼でもちょっと予測がつかない領域だな」と、アイマスクを完全に外して虚空を睨みつけた。

 

霧散したはずのゲムデウスのデータが、ドラム缶の上の「30円の財布」の底から、より禍々しい怨念となって再集束していく。

そこから現れたのは、もはや人型の姿すら捨て去った、世界の真の終焉の具現。

全身の至る部分に不気味な「眼」が充血したように張り付き、両腕は凶暴な「龍」そのもの。そして下半身は丸ごと巨大な「剣の刃」と化し、剣と龍が完全に融合したかのような、圧倒的な神話級の異形。

――【超ゲムデウス】

財布の30円の因果を力ずくでデバッグしようとした結果、世界のシステムが防衛本能として最悪の「進化・覚醒」を引き起こし、ゲームの難易度を『絶対即死』へと引き上げてしまったのだ。

 

『――我が法度(30円)に背く者よ……世界ごと、永遠の、エラーの彼方へと……消え去るがいい――』

超ゲムデウスの巨大な龍の両腕が天へと掲げられ、廃墟エリアの空間そのものがメキメキと崩壊を始める。万事屋の財布の底から現れた、複合都市最大のシステム崩壊の危機。本当の地獄のデバッグレイドバトルは、ここから【後編】へと続いていくのだった――!

 

 





(第2章・第24話「バグ(呪い)消滅・前編」 完・次回へ続く)


はい、というわけで第2章のラスボス『ゲムデウス(30円の呪い仕様)』が降臨です

果たして銀さんたちはこいつを倒して30円の呪いを解くことができるのか……!?

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