どうも!
7話となります!
今回はあの『伝説のエルフの魔法使い』が登場です!
「……なぁ、新八。俺、今さっき自分の目が老眼か『世界の歪み』のせいでバグったかと思ったんだけどよ。ちょっと下見てみろよ。なんだよあのサイコホラーなピクニックは」
万事屋の二階の窓辺。坂田銀時は、死んだ魚の目を限界まで引きつらせながら、新設された『スナックお登勢・テラス席(ただのトタン屋根付き木製ベンチ)』を見下ろしていた。
「銀さん、僕だって二度見、三度見して、最終的に眼鏡の度数を上げなきゃいけないか悩んでますよ……。なんなんですかあの、『各作品の戦闘力とメンタルの癖が強すぎるトップランナーたちの女子会』は!!」
志村新八が、震える指で窓の外を指差す。
テラス席では、初夏の風に吹かれながら、以下のとんでもない面子が普通にオムライスを突っついていた。
「——ほう。お登勢殿の特製オムライス、なかなか美味いな。機械の身とはいえ、脳の味覚センサーが喜んでおるよ。大佛殿、その丸鋸の油を少し分けてくれんか?」
公安のアンドロイド(『ゼンゼロ』の青衣(チンイー))が、のんきに仕込み棍をベンチに立てかけている。
「……いいですよ。でも、この油は特注だから、玉ねぎと一緒に炒めると神々廻さんがキレます。……夜桜さん、そのちっちゃい手で、それ以上私の丸鋸の刃を素手で握り潰そうとするのやめてください。割れます(丸鋸が)」
ゴスロリ衣装を血に染めることなく、巨大な丸鋸を磨いている『ORDER』の大佛。
「フン! 私の夜桜式柔術の握力にかかれば、ORDERの最高級の鋼だろうが何だろうが、お菓子のクッキー並みに粉微塵にできるさね! ほら、青衣さんももっと肉を食べるが良いわさ!」
ちっちゃな体を誇らしげにのけぞらせ、素手で空間ごと相手を握り潰さん程のオーラを放っている『夜桜さんちの大作戦』の長女、夜桜二刃。
「治安維持局とORDERとスパイ一族が一緒にランチ食ってんじゃねーよォォォ!!! 外の空気の殺気と法執行機関のパワーバランスが完全に狂って、お向かいの坂本商店のシンくんが恐怖でレジの下に隠れてるからね!?」
新八のツッコミが響き渡る中、神楽は神楽で「フン、あの3人の中に私の酢昆布をドロップインして、誰が一番早く物理的に更地にできるか賭けをするネ!」と鼻の穴をほじっていた。
万事屋が下界の怪物たち(常連客)の恐怖に怯えていた、その時。
トントン、と。
またしても、この複合都市の暴力とは一切無縁に見える、信じられないほど静かで、かつ歴史の重み(魔力)を感じるノックの音が響いた。
ドアが開くと、そこに立っていたのは……長いツインテールを揺らす、小柄な白髪のエルフの少女だった。
「——こんにちは。ここが、悪魔学校(バビルス)のサリバンから紹介された、何でも屋の『よろずや』? 私はフリーレン。ちょっと、人探し……じゃなくて、仕事の依頼にきたんだけど」
入ってきたのは、数千年の時を生きる高名な魔法使い——『葬送のフリーレン』のフリーレンだった。そしてそのすぐ後ろには、ふくれっ面で巨大な杖を構える弟子のフェルンと、「なぁ、フリーレン、本当にここで合ってんのかよ……」と戦々恐々としている戦士の少年、シュタルクが控えている。
「ふ、フリーレン一行ォォォ!!! サンデーの歴史を塗り替えた、あの圧倒的ローテンションの旅の御一行様がなんでジャンプのボロ何でも屋にいるんだよォォォ!!! サリバン理事長、昔の古い知り合いって悪魔学校を飛び越えてガチの異世界のエルフのレジェンドのことかよ!!」
新八が秒速でメタ絶叫を上げる。
「おいおいおいおい、待て待て待て、フリーレンちゃん!!」
銀時が椅子から転げ落ちるようにしてソファのクッションを引っ掴んだ。
「知ってんだぞ、お前! アニメの作画が毎回映画クオリティで、戦闘シーンのたびにツイッター(現X)のトレンドを爆破していく、あの今一番ノリにノってる売れっ子様だろ! うちみたいな、連載終了してコンプライアンスの残骸みたいなロートル何でも屋に、何の用だよ!」
「サリバンがね、君たちは『どんな理不尽な世界のルールも、力ずくで(ギャグの力で)ねじ伏せるプロだ』って言ってたの」
フリーレンは感情の起伏がない声で淡々と言い、懐から一冊の古ぼけた魔導書(のようなもの)を取り出した。
「実はね、この複合都市の『古代遺跡エリア』の地下に、新しくできたばかりの【未攻略のダンジョン】が見つかったんだって。私はそこに眠る『見たこともない魔法の魔導書』が欲しいんだけど……フェルンとシュタルクだけじゃ、ちょっと手(というか前衛の肉壁)が足りなくてね。一緒に行って、ダンジョンの攻略を手伝ってほしいんだよ」
「ダンジョン攻略ゥゥゥ!?」
新八が目玉を丸くする。
「いやいや、フリーレンさん! 僕たちの世界のダンジョン(かぶき町地下)って、せいぜいハタ皇子の逃げ出したキモいペットか、ゲリラ戦やってる攘夷志士が潜んでるレベルですよ!? 異世界の本格的な迷宮なんて行ったら、僕たち今度こそ魔物の粘液まみれになって、コンプライアンスの彼方に消滅しませんか!?」
「大丈夫ですよ、志村さん」
フェルンが静かに前に出て、冷たい目で銀時たちを見下ろした。
「フリーレン様の魔法があれば、大体の魔物は一般攻撃魔法(ゾルトラーク)で塵にできます。ただ……今回は複合都市のダンジョンなので、中に入っている『宝箱(ミミック)』の仕様が、ちょっとだけ私たちの知っているものと違うみたいで……」
「……ん? ちょっと違う?」
銀時が、一昨日ザメルの砲撃(ガルパン)を喰らった時と同じ、強烈な不穏の予感を察知する。
「はい。ちなみに、もし手伝ってくれたら、報酬としてこれ(金貨の袋)と……サリバンから預かった『悪魔学校のプレミアム購買部で売っている、どんな服でも一瞬ですけすけになる魔法の薬』をあげるけど、どう?」
「……フェルン、シュタルク。明日の朝一番で、冒険者ギルドの前に集合な」
銀時は1秒の躊躇もなく、ビシッと親指を立てた。
「すけすけの薬につられてんじゃねェェェ!!! 完全に大人の下心が最速の可決を見てるよ!!」
「フッ、ダンジョンといえば、美味い魔物の肉の宝庫ネ。神楽ちゃんが、あの『ダンジョン飯』って漫画みたいに、魔物の歩くキノコとか巨大サソリを大鍋でグツグツ煮込んで、特製の酢昆布スープにしてやるアル!」
「よその人気ファンタジー漫画の料理システムを勝手にパクるなァァァ!!」
新八の必死の制止も虚しく、すけすけの薬とダンジョン飯への欲望に目が眩んだ万事屋一行は、フリーレンたちと共に、翌朝『冒険者ギルド』へと向かう契約を交わしてしまうのだった。
こうして、万事屋一行の「複合都市・ダンジョン攻略編」の幕が上がる。しかし彼らはまだ知らなかった。フリーレンの言う「ちょっと違うミミック」が、他作品の『開けた瞬間に世界が滅びるレベルの、あの伝説のトラウマ箱』の部類であるということを——。
「おいおいおいおい、待て待て待てフリーレンちゃん!! 合流したはいいけど、何だその一晩で『格闘ゲーム界の核弾頭』と『今やネットミームの女王と化した魔族』をブレンドしたような絶望的な追加メンバーはァァァ!!」
翌朝、複合都市の中央広場。約束の場所に現れたフリーレン一行の後ろ姿を見た瞬間、坂田銀時は持っていたお守り(黒こげのクローバー)を床に落としそうになっていた。
「だって、前衛のシュタルクだけじゃ心許ないから。そこの赤い服の人は、昨日そこらの居酒屋でビール樽を片手で握り潰してたからスカウトしたの。あと、こっちのツノの人は……なんか街のゴミ捨て場で『フリーレン……フリーレン……』って呪詛を吐きながら生ゴミ漁ってたから、服従の魔法で強制労働させてる」
フリーレンが感情の起伏がない声で淡々と言うと、追加メンバーの二人が凄まじいオーラ(と不満)を放った。
「チッ、おいエルフ。俺は『聖騎士団』も『終戦管理官室』も辞めて、この街で静かにジャンクフード貪りながらギアの調査をしてえんだよ。なんでお前のダンジョン観光の肉壁にされなきゃならねえ……!」
背中に巨大な大剣『ジャンクヤード・ドッグ』を背負い、不機嫌の極みといった顔で頭を掻く格闘ゲーム界の絶対的レジェンド——『GUILTY GEAR』のソル・バッドガイ。
「な、なによこれぇぇぇ!!! なんで七崩賢のこの私が、ジャンプのボロ何でも屋と、週刊サンデーの低血圧エルフと一緒に、奴隷の首輪(魔力)を嵌められてピクニックに行かなきゃいけないのよォォォ!!! アウラ自害しろって言わないで! 本当に言わないで!!」
涙目で自らの天秤を握りしめ、ガタガタと震えている断頭台のアウラ。
「アウラさん、大人しくしてください。フリーレン様の手を煩わせるなら、私が今すぐ一般攻撃魔法(ゾルトラーク)でそのツノを1ミリ残さず消し飛ばします」
フェルンが完全に「害虫を見る目」でアウラを睨みつけている。
「追加メンバーのカロリーとネットの悪ノリが大渋滞を起こしてんじゃねーかァァァ!!! ソル・バッドガイにアウラぁぁぁ!? ソルが本気で一撃(一撃必殺技)打ったら、ダンジョンどころかこの古代遺跡エリアごと『HEAVEN OR HELL』の彼方に消し飛ぶわ!!」
志村新八のツッコミが、ギルドに入る前から最高風速を記録する。
そんな無法なパーティを引き連れ、一行は『複合都市・中央冒険者ギルド』の重厚な扉を開けた。しかし、そこで彼らを待っていた「ギルド幹部」の顔ぶれもまた、別のベクトルで理不尽の極みだった。
「——ちょっと! 遅いわよフリーレン! 悪魔学校のサリバンから連絡は受けてるけど、いくら未攻略のダンジョンだからって、ギルティギアの賞金首と、人食い魔族と、かぶき町の浮浪者(万事屋)を同じパーティに入れるなんて、私のギルドのコンプライアンス管理をどう思ってるのよ!!」
受付の奥の豪華な執務机で、腕を組んでツンツンと怒鳴り散らしていたギルドマスターは、11歳の見た目のまま人理継続保障機関の所長を名乗る少女——『Fate/Grand Order』のオルガマリー・アニムスフィアだった。
「まぁまぁ、ギルドマスター。彼らもサリバン殿の紹介、そしてこれだけの高火力が揃っていれば、迷宮の踏破確率もグンと上がるというもの。……ほら、皆さんに例の資料を」
そのオルガマリーの横にギルドマスター補佐として控え、にこやかにお茶を淹れながら素晴らしい安心感(お人好しオーラ)を放っていたのは、新ノウム・カルデアの所長——ゴルドルフ・ムジークだった。
「オルガマリー所長にゴルドルフ新所長ォォォ!!! 『FGO』の、あの第2部を支える究極のツンデレ&お人好しコンビが冒険者ギルドのトップに就いてんじゃねーよ!!! 誰だこのシフト組んだやつ! 完全に万事屋をカルデアのマスターにする気だろ!!」
新八がカウンターを叩いて絶叫する中、オルガマリーはフンと鼻を鳴らし、机の上の巨大な複合都市の魔導マップを広げた。
「いい? 今回見つかった古代遺跡エリアのダンジョンだけど、サリバンが言ってた『珍しい魔導書』だけじゃないわ。私たちの魔力スキャンによると、その最奥には、古代文明の超ハイテク技術で造られた【未知の遺産】が眠っているっていう噂よ。……もしそれを無事に回収してきたら、ギルドから通常の10倍のプレミアム報酬を出してあげるわ!」
「古代文明の……遺産……」
その言葉を聞いた瞬間、フリーレンの目が「きらきら光る星の金貨」を見た時の銀時と同じ、究極のオタクの輝きを放ち始めた。
「……フェルン、シュタルク。これは、行くしかないね。未知の古代技術……きっと『一瞬で固くなったパンを焼きたてにする魔法』とか、『絶対に錆びないスプーンを作る技術』が眠っているに違いないよ……!」
「フリーレン様、それ絶対にただのガラクタです。テンションを上げるのは勝手ですが、後ろの万事屋の目が完全に『パチンコ屋の軍資金』の形になってますよ」
フェルンが冷たいツッコミを入れる。
「フン、古代の遺産だの最終兵器だの、神楽ちゃんには関係ないアル。最奥に『1万年熟成された伝説の超特大・酢昆布の壺』が眠っていれば、それで契約成立ネ。行くぞ、アウラ! お前は私の酢昆布の壺を持つ専用のトランク(奴隷)アル!」
「ひ、ひえぇぇぇ!!! 魔族の私が、今度は夜兎のゴリラ娘の荷物持ちにぃぃぃ!! フリーレン助けて!!」
「アウラ、うるさい。……よし、それじゃあ出発しようか」
「銀さん……僕は今、確信しました。このダンジョン、最奥に行く前に、身内の火力の暴走で、僕たちの肉体が分子レベルでデジタル分解されますよ……」
「新八、泣くな……。これが……これがサンデーと集英社とアークシステムワークスとTYPE-MOONが、裏でどんな利権のサバトを開いたか分からねー【複合都市・ギルドのルール】だ……。俺たちはただ、最奥の古代技術の中に『CRミリオンゴッドの確率を常に100%にする裏コマンド』が眠っているのを祈るだけだ……」
「パチンコのために人類の遺産を悪用しようとすんなァァァオオオ!!!」
フリーレンの異常なモチベーションと、金に目が眩んだ万事屋の欲望、そして強制労働させられるアウラの悲鳴が響き渡る中、一行はついに、全次元のトラウマがポップする未攻略ダンジョンへの扉へと足を進めるのだった——!
「アウラ、そこの宝箱開けて」
「ちょっと待ちなさいよフリーレン! さっきから『矢の罠の盾』にされたり『落とし穴のクッション』にされたり、魔族の労働基準法を完全に無視してない!? 絶対に嫌よ! 私は高貴な——」
「アウラ、宝箱を開けろ」
「ひゃいっ!? ……あ、開ければいいんでしょ開ければ!!」
ドドドドドドッ!!(矢が100本ほどアウラの盾(物理)に突き刺さる音)
古代遺跡エリアの地下ダンジョンを進む一行は、混沌とした『複合都市』の迷宮を、これ以上ない最悪かつ見事な連携(奴隷制)で突き進んでいた。
「おいおい新八、見ろよ。魔族のトップランナーがただのデコイとしてガリガリHP削られてるぞ。うちの神楽の荷物持ちまでやらされて、もはや完全にただの『都合のいい居酒屋のパシリ』みたいになってんじゃねーか」
坂田銀時が死んだ魚の目をのんきに泳がせながら、木刀『洞爺湖』を肩に担ぐ。
「銀さん、アウラさんに関しては完全に自業自得(過去の行い)ですけど、この迷宮の火力のインフレは別の意味でおかしいですからね!?」
志村新八の悲鳴が響き渡る。その視線の先では、
「——五月蝿ぇ。まとめて灰になりな!!『タイランレイブ!!!』」
通路の奥から押し寄せていた数千匹の凶暴なオークの群れが、ソル・バッドガイが放った『GUILTY GEAR』の一撃必殺級の特大火炎によって、通路の壁、天井、そして生態系ごと一瞬で灰へと焼き尽くされていた。
「ソ、ソルさんが技を出すたびにダンジョンの作画が格闘ゲームの最高峰アークシステムワークス仕様になって、僕たちの輪郭線が劇画調に濃くなるからね!? 火力が過剰なんだよ!!」
そんな激しい戦闘が繰り広げられる中、通路のあちこちに、不自然なほど豪華な「宝箱」や「調度品」が並んでいた。
「あ、魔導書が入ってそうな宝箱……。フェルン、これは絶対に本物の宝箱だよ。私の100年の収集家としての勘がそう言ってる」
「フリーレン様、やめてください。このダンジョンに入ってからもう20回は騙されて頭から貪り食われてるじゃないですか」
フェルンの制止を無視して、フリーレンが宝箱にダッシュし、ハッチを開けた、その瞬間。
『——ゲゲゲゲゲゲゲ!!!』
ガブゥゥゥッ!!!と、宝箱から巨大な牙が生え、フリーレンの上半身がスッポリと丸呑みにされた。
「ほら見ろォォォ!!! またミミックじゃねーか!! 暗いよー、怖いよーって言う割に学習能力ゼロかよあのおばあちゃん!!」
新八が叫ぶ中、銀時もまた、横にあった「タンス」に目を輝かせていた。
「おいおい新八、あっちのエルフはバカだな。タンスだぞ、タンス。こんな異世界の迷宮のド真ん中にあるタンスなんて、100%『パチンコの演出信頼度99%の超激アツ・ゴールド軍資金』が入ってるに決まって——」
銀時がタンスの引き出しを開けた、その瞬間。
バサァァァッ!!!と、タンスから生々しい長い舌と巨大な眼球が飛び出した。
『引き出しを開けるなァァァ!!!』
ガブゥゥゥッ!!!
「ぎゃあああああ!!! 銀さんまで『たんすミミック』に頭から丸呑みにされたァァァ!!! 何してんの主人公!!」
「フリーレン様、銀時さん、離れなさい!」
フェルンが冷たい目で杖を構え、一般攻撃魔法(ゾルトラーク)でミミックたちを爆破。ベシャァァァン!と粘液まみれになった銀時とフリーレンが地面に転がった。
「ふぅ……。おのれミミック……。私の数千年の歴史の中で、これほどまでに執拗なトラウマを植え付けてくるとは……」
「ああ、中がめちゃくちゃ生臭くて、パチンコの負けオーラよりドロドロしてやがる……。っていうか、おい、お前ら……」
銀時が天然パーマの粘液を拭いながら、通路の先を見渡した。
全員の脳裏に、今、全く同じ「一つの疑問」が浮かび上がっていた。
「……なぁ、新八。このダンジョン、ミミック系のバリエーションがスクウェア・エニックスの限界突破レベルで多すぎねぇ?」
彼らの視線の先、次の大部屋に広がっていたのは、まさにトラウマ箱の『大見本市』だった。
・ 一般的な緑色の宝箱の姿をして「痛恨の一撃」を狙ってくる【ミミック】。
・ 一見すると最高級の黒塗り+金縁の宝箱なのに、開けた瞬間に『ザラキ』を連発してパーティを全滅させる最凶の箱【パンドラボックス】。
・ 鍵がかかった頑丈な鉄の箱に見えて、開けた瞬間に手と胴体が生えて『なめまわし』を仕掛けてくる変態箱【トラップボックス】。
・ 引き出しから舌を出して妖しく踊る、家具の概念を全否定した【たんすミミック】。
・ さらに宝箱ですらなく、ただの素焼きのツボのフリをして『メラミ』をぶっ放してくる【あくまのツボ】。
「ドラクエのトラウマ擬態モンスターが全員集合してんじゃねーよォォォオオオ!!! 各フロアの家具と宝箱の9割がガチの捕食者じゃねーか!!」
新八のツッコミが、迷宮の防音壁をぶち抜いて響き渡る。
「フフン、いいじゃないネ新八。これだけタンスやツボがいるなら、片っ端からソルの炎で丸焼きにして、お土産の鏖魔(おうま)の肉と一緒に『ドラクエ風・闇鍋ダンジョン飯』にしてやるアル!」
神楽が不敵に笑う中、アウラは「もう嫌……! 宝箱もタンスもツボも、全部私より強そうじゃないのよぉぉぉ!!」と涙目でフェルンの後ろに隠れていた。
「銀さん……僕、もう宝箱恐怖症になりました。この迷宮、最奥の古代遺産にたどり着く前に、僕たちの精神が『ザラキ』の連発で分子レベルで即死しますよ……」
「新八、泣くな……。これが……これがサンデーと集英社とスクエニが、裏でどんなえげつないライセンス契約を結んだか分からねー【複合都市の迷宮のリアル】だ……。俺たちはただ、あのアウラを『パンドラボックスのザラキの身代わり』として使い潰しながら、10円玉を探す泥臭い前進をするだけだ……」
「魔族の扱いをゴミ以下にするのを当然の作戦みたいに言うんじゃねェェェェエエエ!!!」
ミミックたちの不気味な笑い声と、アウラの悲鳴が響き渡る中、万事屋一行とフリーレンパーティは、もはや「何が本物の家具か分からない」究極の疑心暗鬼に包まれながら、さらなるカオスの地下深層へと突き進んでいくのだった——!
「もう嫌よぉぉぉ!!! なんで魔族の私が、宝箱から生えた変態(トラップボックス)に捕まって、全身ベトベトになるまで『なめまわし』されなきゃいけないのよォォォ!!! 顔が、顔が精神的な意味でヤバい顔になってるじゃないのよぉぉぉ!!」
断頭台のアウラが、もはや七崩賢のプライドをドブに捨てて裏路地の泥水をすするような絶望の悲鳴を響かせる。
その後も、万事屋一行とフリーレン一行の地下深層サバイバルは、全次元の理不尽なハプニングをこれでもかと凝縮したドタバタ劇の連続だった。
「アウラ、静かに。自業自得だよ。……あ、フェルン、戦闘の余波で服のボタンが外れかかって——」
「あ」
プチィィィン!!!と、激しい魔法戦の衝撃波でフェルンのタイトな上着のボタンが限界を迎え、音速を超えて弾け飛んだ。
ヒュンッ!!! ドガァァァッ!!!
「ギャァァァッ!? な、なんだよ!? 俺の眉間に今、一般攻撃魔法(ゾルトラーク)より重いクリティカルヒットが直撃したんだけどォォォ! 骨が、おでこの骨がミリ単位で陥没したぞ!?」
前衛で斧を構えていたシュタルクが、ただの服のボタンを眉間に喰らってのたうち回る。
「シュタルク様、何を変な目で見て避けてるんですか。……銀時さん、神楽さん、そこの廊下から別の家具が——」
——ガシャァァァン!!!
「ぎゃあああああ!!! 今度はタンスやツボじゃなくて、廊下に展示されてた美術品の『うごくせきぞう』がガチの重量で僕を踏み潰しにきたァァァ!!! 何してんの警備体制!!」
志村新八の、本日4回目の眼鏡の予備が粉砕される絶望のツッコミが響き渡る。
そんな数々の不条理なトラウマと、思春期の事故(ボタン直撃)をなんとか乗り越え、ソル・バッドガイが「めんどくせえええ!」と通路のせきぞうごと壁を『タイランレイブ』で強引に消し飛ばしながら、一行はようやく迷宮の最深部——【B100F:最後の部屋】の巨大な鉄の門の前にたどり着いたのだった。
「ふぅ……。ついに、ついに最後の部屋だね。私の数千年のエルフの歴史、そして万事屋のパチンコへの欲望が、今ここに結実する……!」
フリーレンが、珍しく拳をぎゅっと握りしめてテンションを上げる。
「そうだな、フリーレンちゃん。この門の向こうには、俺の明日のCRミリオンゴッドの軍資金(通常の10倍の報酬)と、お前の大好きなガラクタ魔導書が眠って——」
銀時が笑顔で鉄の門に手をかけようとした、その瞬間だった。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!
最後の部屋の扉そのものが、文字通り「激怒した大巨人の顔」に変形し、空間の気圧が一瞬で数千ヘクトパスカル跳ね上がるほどの狂暴なオーラが吹き荒れた。
『——我が眠りを妨げる、不届きな雛鳥どもめ……。これより奥は、古代の領域なり。我が怒りの鉄槌をもって、全次元ごと分子レベルで叩き潰してくれるわァァァ!!!』
門の前に、地面の石畳と瓦礫を瞬時に巻き込んで出現したのは、全身を怒りの炎と岩石の装甲で包んだ、ドラクエシリーズ屈指の超重量級の巨大ボス——【怒りの魔人】だった!!
「い、怒りの魔人ンンンン!!!? ドラクエの、あの攻撃力と防御力がバグレベルで高くて、毎ターン『痛恨の一撃』クラスの超巨大な拳を振り下ろしてくるガチの殺戮兵器じゃねーかァァァ!!! 門番の次元が違いすぎるだろ!!」
新八の魂の叫びが、最深部の空気を震わせる。
「おいおいおいおい、待て待て待て!!」
銀時は死んだ魚の目を限界まで点にしながら、見上げるほどの巨体の前に木刀を構えた。
「なんで最後の部屋の前に、あんな週刊少年サンデーのラスボスでも一瞬で踏み潰されそうな、エニックスの誇るガチの脳筋巨人が立ちはだかってんだよ!! 完全にレーティング上限の暴力だろ!!」
『——チッ。話が通じねえデカブツなら、俺の剣の錆にしてやるだけだ!!』
ソルが不敵な笑みを浮かべ、全身から絶対的な炎のオーラを爆発させる。
「銀さん……僕、もう分かりました。この複合都市のダンジョンは、僕たちを『冒険者』として育てる気なんてこれっぽっちもありません……。ただの『生肉(ミンチ)』として分別処理する気です……!」
「新八、泣くな……。これが……これがサンデーと集英社とアークとスクエニの大人たちが、裏でどんなえげつないサバトを開いたか分からねー【最深部のリアル】だ……。よし、みんな! アウラをあの怒りの魔人の『拳のクッション(身代わり)』として突撃させつつ、俺たちは今のうちにソルの背中に全力で隠れるぞォォォ!!」
「やっぱり私はゴミ以下の扱いじゃないのよぉぉぉオオオ!!!」
怒りの魔人の超巨大な拳が、通路全体の天井ごと粉砕しながら振り下ろされる絶望のカウントダウン。万事屋一行とフリーレン一行の、命(と報酬)を賭けた「最深部・最終ボス決戦」が、これ以上ない大爆発と共に幕を開けようとしていた——!
「——シュタルク、ソルさん、前衛をお願い。フェルン、いくよ」
「はい、フリーレン様。……一般攻撃魔法(ゾルトラーク)、最大出力!!」
怒りの魔人が放つ、空間ごと叩き潰すような痛恨の一撃に対し、ついに一行の全火力が火を噴いた。
フリーレンとフェルンの杖から放たれた、部屋を真っ白に染め上げるほどの極大の魔力光線。さらにその光の演出を追い追い抜くように、前衛の二人が地を蹴る。
『——これでお終いだァァァ!!! ヴォルカニックヴァイパァァァァァァ!!!』
「おおおおお!! 閃天撃だァァァ!!」
ソル・バッドガイが放つ『ギルティギア』の超絶作画の爆炎コンボと、シュタルクの魂の斧の一振りが、魔力の閃光と完全にシンクロした。その衝撃波だけで、後ろで盾(身代わり)として突撃させられていたアウラが「ひぎゃあああ!!」と泡を吹いて天井に突き刺さる。
ドゴォォォォォォン!!!
「グ、ゴオォォォ……ッ!?」
ドラゴンクエストの誇る最凶の門番、怒りの魔人は、全身の装甲をバリバリと砕かれ爆発霧散したのだった。
「ハァ……ハァ……やった……。僕たちの、僕たちの命がけの10倍の報酬への扉が、ついに……っ!」
アフロヘアーになりかけた志村新八が、粘液と爆風でボロボロになった眼鏡をかけ直し、涙ながらに最後の部屋の巨大な鉄の扉を押し開けた。
その先に広がっていた光景。それは、万事屋一行の想像を遥かに超える、言葉通りの【古代文明の超ハイテク技術の結晶】だった。
「う、うおおおっ!? 何これぇぇぇ!? 宝箱じゃない! 部屋のあちこちに、見たこともない近未来的なホログラムの電子基板や、黄金に輝く古代のオーパーツ(遺産)が山ほど転がってるんですけどォォォ!!」
新八が目玉を丸くする中、神楽は「フン、私にはこれが全部、1万年熟成された宇宙酢昆布の貯蔵庫に見えるネ!」と、落ちていた謎の古代回路(歯車)を齧って歯を痛めていた。
「おいおい新八、宝の山じゃねーか。これ全部ギルドのオルガマリー所長に持っていったら、家賃どころかパチンコ屋のビルを丸ごと買い取れるレベルの国家予算ギルになるぞ……。……って、ん? 部屋のド真ん中、なんか神々しいロボットが1分の1スケールで眠ってねー?」
坂田銀時が死んだ魚の目を限界まで開いて指差した先。
部屋の最奥、眩いばかりの青い古代魔力の光の中に、しゃがみ込むようにして鎮座している、白を基調とした配色の高貴な人型兵器。
それは、なぜかこの複合都市の法則により、人間サイズ(全高2m強)にダウングレードされた、『スーパーロボット大戦X』の主役機——【魔従機ゼルガード】だった!
「ぜ、ゼルガードォォォ!!! 『スパロボX』の、あのアル・ワースの法と魔術の全てを結集して造られた、古代の最高級・魔導ゴーレムじゃねーかァァァ!!! なんで人間サイズになってカプセルの中に眠ってんだよ!!」
新八が秒速でメタ絶強いを上げる。
フリーレンはそのゼルガードの前にスルスルと歩み寄り、その白く美しい装甲にそっと小さな手を触れた。
「……すごいな。このゴーレム、全身から数千年前の、失われた究極の『オートメーション魔法回路』の匂いがする。……ちょっと魔力を流してみるね」
フリーレンの指先から、純度100%の莫大な魔力がゼルガードへと注入された、その瞬間。
ツインアイが「キィィィン!」と発光し、胸の魔導結晶が眩しく輝いた。
『——システム起動。……魔力の認証を完了。貴殿を、我が古代の法に基づく『主(マスター)』として認定する。私はゼルガード。マスターの歩む旅路の、絶対的な盾とならん』
「古代の最強ロボットが、フリーレンちゃんをマスターに認定して起動しちゃったァァァオオオ!!!」
新八が頭を抱えて叫ぶ。
「何これ!? 魔法使いが、ガチのオートマチックの自律型戦闘AIロボット(スパロボの主役機)を使い魔にしてんじゃねーよ!! 旅の仲間のバランス調整どうなってんだ!!」
「フリーレン様……。なんか、もの凄く頼りになりそうな前衛が、シュタルクの100倍くらいスタイリッシュな挙動で仲間になっちゃいましたよ」
フェルンが冷たい目でシュタルクを見つめる。
「なぁフェルン、俺をそんなゴミを見るような目で見るなよ! 俺だって頑張っただろ! 怒りの魔人の拳を斧で受け止めたろ!?」
「フフ……すごいね。これで『一瞬で固くなったパンを焼きたてにする魔法』の魔導書を自動で検索してくれそう」
フリーレンがテンションを上げてゼルガードの頭をポンポンと叩く。
「銀さん……僕、もうお腹いっぱいです。この迷宮、古代遺産っていうか、僕たちの万事屋の時給の次元を遥かに超えた、国家最高機密のロボット製造工場じゃないですか……」
「新八、諦めろ……。これが……これがサンデーと集英社とアークとスクエニとバンダイナムコが、裏でどんな壮絶な利権の握手を交わしたか分からねー【複合都市の最深部の現実】だ……。俺たちはただ、あのゼルガードの装甲を1枚剥ぎ取って、ギルドのオルガマリー所長に『これ、古代の超激アツ・ゴールドプレートです』って嘘ついて換金してもらうだけだ……」
『——マスターの不届きな隣人よ。我が装甲の剥ぎ取り(部位損壊)は、古代の法によって死刑の対象となる。即刻その木刀を収めるが良い』
ゼルガードが、無言のまま腕の魔導砲を銀時の眉間にロックオンした。
「ロボットのAIが、俺の下心をミリ単位で正確に読み取って威嚇してんじゃねーよォォォオオオ!!!」
怒りの魔人を撃破し、無数に眠る古代のオーパーツと、最強の魔導ゴーレム『ゼルガード』を手に入れた一行。しかし、万事屋一行の命がけの「ダンジョン攻略編」は、いよいよこのお宝をギルドに持ち帰り、大人の事情のプレミアム報酬を精算しに向かうのだった——!
「——何よこれえええ!!! 未攻略のダンジョンから、何で『スパロボ』の世界観をそのまんま人間サイズに縮小したような、とんでもない超ハイテク魔導ゴーレムを連れ帰ってきてんのよォォォ!!!」
複合都市の中央冒険者ギルドの執務室。
ギルドマスターのオルガマリー・アニムスフィアは、机を両手でバンバンと叩きながら、フリーレンの背後に恭しく控える白の機体を見上げて絶叫していた。
「まぁまぁ所長。サリバン殿の紹介ですし、これだけの歴史的遺産が無傷で回収されたのです。ギルドとしても、国際魔術組織としても、これ以上ない大金星というものですよ」
技術顧問のゴルドルフ・ムジークが、にこやかに淹れ立てのお茶をオルガマリーに差し出しながら、万事屋一行へ約束通りの『通常の10倍のプレミアム報酬』が入った、ずっしりと重い袋を手渡してくれた。
『——ギルドマスターの少女よ、安心するが良い。私はすでにフリーレンをマスターとして認識している。この都市の治安維持と、彼女の「一瞬で固くなったパンを焼きたてにする魔法」の捜索任務に、我が魔力と古代の法を100%捧げる所存だ』
ゼルガードが、渋い機能音声で完璧な敬礼を決める。
「な、なによそれ……! 私のカルデアのサーヴァントたちより、よっぽど自律型AIとしてのコンプライアンスがしっかりしてるじゃない……!」
オルガマリーがツンとして顔を伏せる中、フリーレンは「うん、ゼルガードは優秀だよ。本棚の隙間の埃も一瞬でデジタル分解してくれるし」とのんきに微笑んでいた。
こうして、未攻略ダンジョン『B100Fのトラウマ箱大忘年会』は、七崩賢の生き残り(アウラ)をデコイとして使い潰し、古代の最強魔導ゴーレムを仲間に加えるという、これ以上ない大団円で幕を閉じたのだった。
「う、うおおおおお!!! 勝ち取ったァァァ!!! 怒りの魔人の痛恨の一撃をソルの背後に隠れてやり過ごし、ついに俺たちの明日の『CRミリオンゴッド・全ツッパ資金』を勝ち取ったぞォォォ!!」
夕暮れ時のかぶき町エリア。坂田銀時は、涙目でずっしりと重い報酬の袋をギューッと抱きしめ、我が家(万事屋の建物)の階段をルンルン気分で駆け上がっていた。
「銀さん、今回ばかりは僕も認めますよ! 全身ミミックの粘液まみれになって、うごくせきぞうに踏み潰されかけた甲斐がありました! これで今夜は、お土産の鏖魔(おうま)の肉を使った特製の『ドラクエ風・闇鍋ダンジョン飯』で、盛大に打ち上げ——」
志村新八が笑顔で居間の引き戸を開けた、その瞬間だった。
シュパッ!!!
「——はい、ご苦労さん」
「げぇっ!?」
銀時がマヌケな声を上げる。
いつの間にか居間のソファにどっかりと腰掛け、煙管をくゆらせていた大家のお登勢が、電光石火の早業で、銀時の手元から報酬の袋をシュルッと奪い取ったのだ。そのスピード、ソルの『タイランレイブ』や坂本店長のスリムモードすら凌駕していた。
「ば、ババア!? お前何してんの!? それは俺たちが命がけで、エニックスの誇る即死トラップと戦って手に入れた血と汗と粘液の結晶だぞ! 返せ! 今すぐ返さねーと、隣のガンダムの家からトマトの苗を全部毟り取ってきてお前の店の前に不法投棄するぞ!!」
「フン、何言ってんだい。あんたたちが先週、悪魔学校から貰った金で『今までの滞納分』を多少払ったのは認めるよ。だけどねぇ……」
お登勢は煙をフゥーッと銀時の死んだ魚の目に吹きかけ、奪い取った袋の中から、なけなしの「10円玉3枚」だけをポロンと畳の上に放り投げた。
「あんたたちが昨日、ダンジョンに行く前に、うちの1階の新設テラス席でORDERの大佛や夜桜の長女たちと一緒になって、うちの店の最高級酒(魔界仕様)を勝手に『これ、ダンジョン前の景気付けネ!』って言って10本も空けたろ? その【前払いの飲食代(ツケ)】と、さらに【】として、この金はキッチリ全額回収させてもらうよ」
「……え?」
銀時の顔から、スーッと全ての血の気が引いていき、一瞬で『断頭台のアウラ』が自害を命じられた時と同じ白目の表情へと変貌した。
「の、残りの滞納分ンンンン!!!?ババア、むしり取るスピードと名目がヤクザの追い込みよりえげつねーよ!!」
新八が頭を抱えて畳に崩れ落ちる。
「フン、ケチケチするなヨ銀ちゃん。男なら家賃のことは忘れて、神楽ちゃんが1階のテラス席からちゃっかりコソ泥してきた、大佛さんのお気に入りの『丸鋸の特製特級油(高級品)』を鏖魔の肉に塗って、最高にジューシーな近未来型ダンジョン飯を食べるネ!」
神楽がすでに居間の網の上で肉を焼き始め、いつの間にか夜桜一家から拉致され返されて頭にクローバーの炭を乗せたアルマジロのジョンが「ヌー……」と力なく鳴いていた。
「銀さん……僕、分かりました……。僕たちがこの【複合都市】でどれだけ命を削って国家予算級の報酬を稼ごうが、最終的な経済の終着駅は、すべて1階のババアのレジの中に吸い込まれるように世界の理(ルール)が書き換えられてるんです……」
「そうだな、新八……。これが……これが集英社とサンデーと全ゲーム会社の利権を裏で一手に握る、大家のババアの『絶対的な集金能力(チートスキル)』のリアルだ……。俺たちは……俺たちはただ、明日からまた、両隣の極貧何でも屋(ニコやアル)のプレハブの扉を叩いて、『おい、何か10円貰える裏仕事ねーか?』って頭を下げる、いつも通りの最底辺のサバイバルを続けるだけだ……」
「結局、引っ越してきた初日から経済状況が1ミリも進歩してねェェェェエエエ!!!」
新八の魂の絶叫が、ネオンと古代の魔力が混ざり合う複合都市の夜空へと虚しく響き渡る。
家賃は払えた(というか奪われた)けれど、財布の中身は常に30円。万事屋一行の、あらゆる世界のルールを無視した混沌のドタバタ劇は、これ以上ないいつもの「極貧オチ」を迎えるのだった。しかし、彼らの前に、明日からはさらなるカオスな第2章の幕が容赦なく開ける——!
第1章・第7話「ダンジョン編」 完
はい、というわけでダンジョン……というかミミック回でした!
皆さんは他にどんなミミックを知っていますか?
それではまた次回!