モブ娘転生 ~推しの主人公がいないのでモブの私が代わりをしていたら、SSRヒロインたちの依存先になりました~   作:百合スキー

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MISSION2:部活を作ろう

 

 

 ルルカ様にあって、今の私に決定的に足りていないものがある。

 情熱、理念、優雅さ、勤勉さ、そして何よりも~~~~。

 

 

 

 

 

「部活動が足りない……!」

「はぁ?」

 

 

 

 

 

 昼休み。ミココと一緒にいつもの屋上で弁当を食べていた時に、ふと口に出た言葉だった。

 

「そう、部活動。ルルカ様はお助け部を設立していたのよ!!」

「でもこの学園にお助け部なんて無いよ?」

「無いなら創ればいいじゃない!!」

 

 びしぃ、と唐揚げを箸に挟んでミココに向ける。

 もぐっ、と食べられた。まぁいいけど……。

 

 ミココはいつもパンだし、なんならミココのために多めに作ってきてるし……。

 

「でもリリちゃん、部活動は三人からだよ? あと一人足りないかも」

「ミココは入ってくれる前提なんだ」

「体育会系よりは面倒くさくなさそうだし~」

 

 ミココの身体能力ならどこ入っても、優秀な成績が取れると思うけれど。

 でも、この娘面倒くさがり屋だから続かなさそうか。

 

 しかし女子しかいないとはいえ、胡座を掻いているのはいただけない。

 ちゃんと私のように股を閉じ、くの字に座るべきだと思う。

 緑色のカエルちゃんパンツが丸見えよ。もっと色気のあるパンツ履け。

 

「じゃあメンバーを集めなきゃいけないわね」

「いひっ、ちなみに候補とかいるの?」

「ここはもちろんメインヒロインを誘うべきでしょう!!」

 

 ソシャゲ「リリカル・アカデミア」のメインヒロイン。

 

 栗色の髪をした少女、栗原ルイナ。別名イナちゃん。

 しょっちゅう否定ばっかりしてるのでイナちゃんである。たしか原作だと主人公であるルルカ様にイジメられっ子から助けられて、お助け部に入るんだったかしら……。

 

 はぁ!! この世界にはルルカ様がいないからまだイジメられてるんじゃ……!!

 

「こうしちゃいられない!! 早くメインヒロインを助けに行くわよ!!」

「亀の王様にでも攫われてるの?」

 

 ミココのいつも通りの皮肉が飛んできたが、今はそんな場合ではない。

 私のせいで……! いや私のせいではないのだけれども…………!!

 

 しかし、私がルルカ様の代わりをすると誓ったのだから、私が助けなければ!!

 うぉおおお!! イナちゃん、待ってなさいよ―!!

 

 

 

 

 

 ◆MISSION2:部活動を作ろう◆

 

 

 

 

「アンタ、ちょっと可愛いからって生意気じゃない?」

「レイジ様に色目使っちゃってさ」

 

 ドン、と栗毛の少女がトイレの壁に叩きつけられていた。

 もさもさとした髪は癖っ毛で、制服は未改造だが、その上から黒いパーカーを羽織っている。

 さながら私服のようになってしまっているが、それをこの学園で気にするものはいない。

 

「そ、そんな……色目なんて……」

「使ってんのよ!!」

「気に入られているじゃないの!!」

「あうう……」

 

 複数の少女に囲まれ、髪を引っ張られたり蹴られたりしている。

 まさにイジメのような現場だ。しかしそれを遠目に凝視していた私は走りながら叫んだ。

 

「やめなさぁあああああああああああああい!!!」

 

 凄まじい勢いで女子トイレへと突撃する。

 その勢い故か、囲んでいた少女たちもビクリと肩を震わせた。

 

「イジメなんて最低で卑怯な行いよ!!」

「これはイジメじゃないわよ」

「そうそう!! 焼き入れてんのよ!!」

 

 煩わしい言い訳の数々。

 

「私がアンタらに焼きを入れてやりましょうか!!」

 

 そう言って私は古流武術の構えを取る。

 その構えに怯えたのか、少女たちは「もう行こ行こ」と言って去っていった。

 ふん、雑魚どもが……こちとらイジメられ慣れてんのよ……。

 

「大丈夫?」

 

 そう言って、探していた娘────イナちゃんに手を差し伸べると、トイレの中だと言うのに、彼女は膝をつき、私に向かって祈り始めた。

 

「リリさま……!!」

 

 感嘆し、涙を流している。

 そんなに泣くほどのことなの? ていうかなんで私の名を……。

 い、いや怖かったんでしょうね……。

 

 そう思い、私は思いっきり彼女を抱きしめた。

 

「もう大丈夫よ、ええ……!」

「リリリリ、リリさま!?」

 

 

 

 

 

 

「ああ~~~!! リリちゃんがセクハラしてる~~!!」

 

 遅れてやってきたミココがきぃきぃとさえずっている。

 うるさいな……こういうのを役得と言うのよ……ククク……!!

 

 ……イナちゃん、意外とおっぱいあるな。

 

「あうあうあうあうあう……」

 

 しばらく抱きついていたけれど、ミココが嫉妬して引き剥がしてくるので、しかたなく離れた。

 イナちゃんの顔が真っ赤になっている。ふっ、メインヒロインには刺激が強かったか。

 とりあえずこんなトイレから出て空き教室ででも話し合わないと。

 

「そ、それじゃあイナちゃん、そこの教室入ろっ、ねっ」

「リリちゃん……ヤバい不審者みたいな顔になってるよ」

「ななな、なってないわよ!!」

 

 私、女の子好きだから……!!

 特にこの娘はリリカルアカデミアのメインヒロイン。

 そりゃあ、こうちょっとは……ねぇ? 同人誌もいっぱい集めてました(小声)

 

 ともあれ、私たちは空き教室に移動することに。

 

「というわけでイナちゃんには、私たちの部活動に入ってほしいの!」

「もちろん入らせていただきます」

 

 即決だった。この娘、怪しい宗教とかに入れられないか、心配……!

 教卓にソシャゲヒロインみたいなだらしない座り方してたミココも、思わずずっこけている。

 

「そんな即決していいの~~? 怪しい連中かもよ」

「いえ、リリさまにお助けいただいたのは二度目なのです」

「え?」

 

 いつの間に助けたっけ。

 こんな可愛い娘を助けるようなイベント、そうそう忘れないと思うけれど……。

 

「実は少し前に起きた銀行強盗の際、人質にされていたのがわたくしなのです」

「あ、あの娘だったの!?」

 

 フードを被ってて全然わからなかった。

 くっ……この紅葉山リリア、一生の不覚……!!

 

「その時の台詞、わたくし感服いたしました!! 自分こそが正義の味方だと!」

「い、いや、あれは知人の受け売りで……」

「ぜひとも、この不肖、栗原ルイナを傘下に加えていただきたくっ!!」

 

 ずずい、と迫ってくるイナちゃん。

 うっかり黒板へと追い込まれてしまった。

 ま、まぁ情熱があるのは悪いことじゃないし……!!

 

「じゃあこの創部届けにサインしてちょうだい!!」

 

 と言って、貰っておいた創部届を渡す。

 既に私とミココの分は描かれている。

 

 言葉通りにすぐさまイナちゃんはサインしてくれた。

 よし、これで三人……! 創部できるぞ―!!

 

「じゃあこれを生徒会に持っていくわよー!!」

「しかしレイジさんが通してくれるでしょうか……」

「レイジ……ああ、生徒会長ね」

 

 たしか一ノ瀬レイジとか言ってたかしら。ちゃんと男よ。

 黒髪の、ラノベ主人公みたいな昼行灯風な青年だったと記憶しているわ。

 

「わたくしも行きましょう。彼とは幼馴染なので多少のワガママは聞いてくれるかも」

「おお、それは心強いわね!!」

「むむむ……」

 

 ミココがなにやら面白くなさそうな顔をしていた。

 多分、私が他の娘と仲良くしているから焼いているのね。

 まったく嫉妬深いんだから………。

 

 後でめっちゃナデナデしてやろうか。

 

 

 

 

 そうして私たちはステップを踏んで生徒会に行ったのだけれども……。

 

「駄目に決まってるだろ」

 

 レイジ生徒会長はふんぞり返ってその書類を突き返してきた。

 

「な、なんでよ!! 三人いれば創部できるんじゃなかったの!?」

「それは生徒会が認めた場合だ。原則的に三人程度で認めることはない」

「なんですって……!!」

 

 私がわなわなと震えていると、レイジ会長がイナちゃんを指差した。

 

「そもそもイナはうちの書紀になる予定なんだ。変な部活動に貸してやるつもりはない」

「なっ!? わたくし聞いてないのですよ、レイジくん!!」

「当たり前だ。まだ言ってなかったのだからな」

 

 珍しく強気に距離を詰めるイナちゃん。流石に幼馴染の距離感だ!

 別に男女の関係とかそういうのじゃないと思うけど、なんとなくムカつくわね……。

 

 そんな二人の掛け合いに首を突っ込んだのは、ミココだった。

 バン、と机を叩く。

 

「お助け部って社会奉仕になると思うけど? イナちゃんを手放したくないだけでしょ?」

「そうだが?」

「……リリちゃん、こいつ恥って概念がないよ!!」

 

 ほとんど愛の告白に近いわ!!

 言われた当人はきょとんと首を傾げてるけど……!!

 

「そもそもお助け部というが、具体的に何を助けるんだ」

「そりゃあもう、何でもだよねぇ。リリちゃん」

 

「ええ、公共の得になることなら基本的には何でも!!」

「私に一日中添い寝とかしてくれるんだよねぇ」

 

「それは公共の福祉になるのかしら!?」

 

 ブー、と頬を膨らませて私の裾を引っ張ってくるミココ。

 こんな時に甘えないでほしい。

 

「ふんっ、何でも言ってみなさい。私が解決してやるわ!!」

「ほぉ、それならば校内の不良グループをひとつ懲らしめてほしい」

「複数あるみたいな言い方……!!」

 

 バン、とレイジ会長が書類を出してきた。

 書類は三枚。いずれも不良そうな生徒の顔写真が乗っている。

 

「こいつらがやっている愛羅風(あいらびゅー)とかいうグループ……相当悪い噂が流れていてな。校内にも合法的なドラッグを流しているらしい」

 

「合法なら良いんじゃないのかしら……」

「使い方が良くないんだよ」

「い、いっぱい飲むとか……!?」

 

 私がそう言うと、会長はコクリと頷いた。

 そんな……おくすりは容量用法を守って飲まないと逆に健康を崩すのに……!!

 

「まぁ、リリちゃんはお子様だからあんまりパッと思いつかないかも」

「フン、ともあれ本当に役立つのなら連中をこの場に連れてこい。その態度で評価する」

「わかったわ!!」

「まぁ、私たちなら簡単なお仕事だね」

「ええ、頑張るのです」

 

 そう言って、離れようとしたらガシッとイナちゃんの手が掴まれた。

 

「おまえは行かなくて良い」

「いやわたくし、お助け部の入部候補なので」

「いかんでいい」

 

 ああ!! イナちゃんが心底何いってんだこいつ……という顔をしている!!

 でも幼馴染を心配する気持ちは理解るわよ、レイジ会長。

 私もミココが不良グループを討伐してくるなんて言い出したら、心配するもの!!

 

「良いわよ、イナちゃん。貴方は今回の報酬みたいなものだし」

「……………まぁリリさまがそう仰るのであれば」

「フン、礼は言わんぞ」

「なんでおまえが礼を言う必要が?」

 

 心底冷たい声でレイジ会長にそう言うイナちゃん。

 もしかしてこの娘、滅茶苦茶正義感が強かったりするのだろうか。普段ビビりなだけで。

 でもほとんど薄れたストーリーの記憶だと、そんな気もする……。

 

「いぇ~~、じゃあ二人でデートだね、リリちゃん♥」

「はいはい、言ってなさい」

 

 

 

 

 

「…………白瀬ミココ」

 

 背後から心底恨めしそうな声が聞こえたけれど、聞こえなかったことにした。




【栗原ルイナ】
リリカルアカデミアのメインヒロイン。別名イナちゃん。
自分に自信がなくよく否定ばかりするそうだが、今回は違うね?

もさもさの栗毛を腰まで伸ばし、緑の目をしている。
無改造の制服だけど、いっつもパーカーを上に羽織っている。
背は低いが意外とおっぱいは大きい。

【一ノ瀬レイジ】
短めの黒髪をしたラノベ主人公みたいな見た目の青年。生徒会長。
いつも昼行灯のようなすっとぼけた表情をしている。
ルイナの幼馴染で彼女のことを気にかけているみたい。
実は一歳年上で二年生だったりする。
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