腰に残った最後のボールを外すと、向こうではドオーがぺたりと腹を地面につけたまま待っていた。さっきまでトドグラーが転がっていた白い跡も、ビブラーバが開けた穴もそのまま残っていて、コートのあちこちが朝に来た時とは別物になっている。二匹続けて負けた。残っているのは、もうこいつだけだ。
「キルリア、頼む!」
投げたボールが開き、白い光の中からキルリアが飛び出した。両足で着地すると、その勢いのままくるりと身体を回してドオーを見つけ、赤い角を前へ向ける。
『ドオーだ! 最後はやっぱりこの子なんだね』
「嬉しそうだな」
『だってやっと出番だもん。二人とも頑張ってたし、ここからはわたしがやる!』
両腕を広げながら前へ出るキルリアに対し、ドオーは腹をつけた姿勢のまま「ドォ」と短く鳴いただけだった。やる気があるのかすら分かりにくい顔だけど、前に戦った時からこいつが見た目通りの相手じゃないことくらいは知っている。
「準備いい?」
「ああ」
『いつでも!』
アイが片手を上げる。それが下がるより早く、キルリアも足を開いた。
「キルリア、“サイコショック”!」
青紫色の光がキルリアの周囲へ浮かび、腕を振ると同時にドオーへ飛んだ。ドオーは走って逃げようとはせず身体を低く伏せたが、光は頭から背中へ続けて叩き込まれ、大きな身体が腹で地面を擦りながら後ろへ押されていく。
「ドッ……!」
『入った! ユア、もう一回いけるよ!』
「言われなくても! 続けろ!」
キルリアが次の光を集め始めると、ドオーが身体を起こすより先に顔だけを持ち上げた。
「ドー、“マッドショット”」
口から吐き出された泥をキルリアが横へ跳んでかわす。けれど二発目は身体じゃなく逃げた先の地面へ落ち、べちゃりと広がった泥を踏みかけたキルリアが慌てて足を引いた。その頭上を紫色の塊が越えていく。
「“ヘドロばくだん”」
「キルリア、前!」
『うん!』
泥を避けて斜め前へ抜けた直後、背後へ落ちた“ヘドロばくだん”が弾けた。さっきまでいた場所に紫色の液体が飛び散り、後ろへ戻れる幅が一気に狭くなる。キルリアは振り返らずにドオーの側面へ走り、俺もそのまま前を指した。
「そこから“サイコショック”!」
『いっけぇ!』
走った勢いを残したままキルリアが腕を振り抜き、低い位置から飛び出した光がドオーの横腹へぶつかった。一発目で身体が傾き、そのまま残りも続けて当たると、地面についていた前脚まで浮いて大きな身体が横へずれる。
「ドォ……!」
キルリアは立ち止まらず、泥のない場所へ抜けながらドオーの正面から外れていく。ドオーも追いかけはせず、腹を地面につけたままゆっくり身体の向きを変え、丸い目だけはずっとキルリアから外さなかった。
「右からもう一回!」
『任せて!』
「ドー、“ハイドロポンプ”」
ドオーの口が大きく開き、太い水流が一気に噴き出した。キルリアは身体を沈めて横へ駆け、水がすぐ後ろを通り過ぎる。外れた水流はそのままコートへ叩きつけられ、ビブラーバが崩した土を巻き込みながら低い場所へ流れ込んでいった。
『危なっ! あれ絶対痛いやつ!』
「だったら喋ってないで走れ!」
『走ってるもん!』
言い返しながらもキルリアの足は止まらず、水しぶきを避けてドオーの背後まで回り込む。ドオーが重たい身体を返そうとしたところでキルリアがこちらを見たため、俺も同じ場所へ目を向けた。
「今だ、“サイコショック”!」
振り返りきる前の背中へ青紫色の光が降り注いだ。最初の一発で身体が沈み、続いた光まで受けたドオーが低い声を漏らす。さっきまでほとんど位置を変えなかった身体が大きく押され、腹の下には何本もの跡が残った。
『ユア、押せてるよ!』
「ああ、まだ行ける! 次は左!」
キルリアが切り返す。アイはすぐには指示を出さず、走るキルリアの足元とドオーの位置を交互に見ていた。泥を避けて大きく回ったところで、ドオーがまた口を開く。
「“マッドショット”」
飛んできた泥をキルリアは一歩後ろへ引いて避け、その勢いのまま横へ踏み込んだ。ドオーの狙いが足元へ落ちた直後、キルリア自身が腕を上げる。
『今ならいける!』
「やれ!」
“サイコショック”が真正面からドオーの頭へ叩き込まれた。大きな身体がぐらりと揺れ、腹をつけたまま一度横へ倒れかける。ドオーはすぐに前脚をつき直したものの、呼吸に合わせて背中がさっきより大きく上下していた。
キルリアも追撃しようとはせず、泥とヘドロの間から抜けて距離を取る。額には汗が浮いているのに、こっちを見た顔はまだ余裕がありそうだった。
『ね、次も同じ感じでいけそうじゃない?』
「調子乗んな。まだ倒れてねえって」
『でも、さっきより動くの遅いよ』
「それは俺も見えてる」
言い合っている間に、ドオーがゆっくり身体を起こした。まだ立っている。それでも最初に出てきた時みたいにのんびり腹をつけてはいない。前脚を広げて踏ん張りながらキルリアを見ている。
向こうでアイがドオーへ一度視線を落とし、それから俺を見た。
「……ユア、ほんとに強くなったね、それだけ強くなったなら、そりゃアカギに負けたのも悔しいよね。だからボクと沢山学ぼう、そのひとつがこれ、パルデアだけの特別な秘密特訓……ドー!!!【テラスタル】」
アイはポケットからモンスターボールのような形の水晶を取り出し、ドオーに向かって投げた。
「は?」
水晶が空中で強く光り、その輝きがドオーまで一気に広がった。足元から透明な結晶が伸び、身体の表面まで硬いガラスみたいな光に覆われていく。頭の上にも大きな結晶が現れ、さっきまで泥まみれだったコートの真ん中で、ドオーだけが別の場所から切り取ってきたみたいに輝いていた。
『なにこれ!? ドオー、キラキラになった!』
「見りゃ分かる! なんだよあれ!」
アイは答えず、こちらへ向けていた手をそのままドオーへ向けた。
「続けるよ」
「上等! キルリア、“サイコショック”!」
何が起きたのかは分からない。でも、今まで一番効いていた攻撃なら変化を見るには十分だ。キルリアも迷わず光を集め、ドオーへまとめて叩き込む。
全部当たった。
ところがドオーは身体を揺らしただけで、さっきほど後ろへ押されない。キルリアも腕を下ろさず、首を傾げながらドオーを見た。
『あれ? さっきより元気じゃない?』
「回復した感じじゃねえな……キルリア、“マジカルリーフ”!」
『じゃあこっち!』
キルリアの周囲へ色とりどりの葉が広がり、一斉にドオーへ向かった。身体を伏せたドオーの横を通り過ぎるように見えた葉が途中で曲がり、背中から横腹へ次々と突き刺さる。
「ドォッ!」
今度は大きく沈んだ。
「……効いた?!」
『こっちの方が痛そう!』
「なら続けるぞ!」
もう一度葉を広げようとしたキルリアへ、アイがすぐに声を重ねる。
「ドー、“ヘドロばくだん”」
紫色の塊が高く飛び、キルリアの少し先へ落ちて弾けた。足を止めたところへ二発目が来るのを見て、キルリアは腕を伸ばしたまま横へ滑るように逃げる。“マジカルリーフ”も途中で消さず、そのまま曲がってドオーへ飛び込んだ。
『当たった!』
「前見ろ!」
ドオーの口が開いている。
「“ハイドロポンプ”」
「キルリア、右!」
太い水流が迫り、キルリアが地面を蹴る。最初の勢いなら全部避けられたはずだったが、足元にはさっきまでの泥が残っていた。踏み込みが少し遅れ、水流が背中から脇腹へ引っかかる。
『きゃっ!』
「キルリア!」
小さな身体が押し飛ばされ、地面を転がった。キルリアはすぐに片手をついて起き上がろうとするが、肩で息をしながら一度膝をつく。その横を水が流れ、ビブラーバの“あなをほる”で低くなった場所へ集まっていった。
『……いったぁ。あれ、もうちょっと細くならないの?』
「ドオーに言えよ」
『アイに言った方が早くない?』
「どっちでもいいから立てるか?」
『立てる!』
勢いよく返事をしたものの、立ち上がったキルリアは一度肩を押さえた。さっき“ヘドロばくだん”がかすめた場所も汚れている。
俺が次にどう動かすか考えている間、キルリアの足元で水面が小さく揺れた。ドオーの頭上にある結晶の光が水へ映り、波が動くたび細長く曲がっている。
そこへ目が止まった。
「……キルリア」
『なに?』
「その水、使えるかもしれない」
『水?』
俺が足元を指すと、キルリアも視線を落とした。水面に映った光を見てから自分の手を見つめ、すぐに顔を上げる。
「水に当てろ。斜めに、こっちへ返せるか?」
『あ、それ面白そう! やってみる!』
「キルリア、“いやしのはどう”!」
両手の間に柔らかな光が集まり、水面へ向かって斜めに放たれた。光が触れた瞬間、水が大きく揺れて一部が横へ散ったものの、その中心だけが水面を撫でるように跳ね返る。
『こっち来た!』
キルリアが半歩位置を変えると、返ってきた淡い光が身体を包んだ。さっきまで上下していた肩がゆっくり落ち着き、キルリアは両腕を開いて自分の身体を確かめる。
『ほんとに回復した! ユア、今のもう一回できるかな?』
「今はいい! 向こう来るぞ!」
『えー、ちょっとくらい喜ばせてよ!』
「勝ってからな!」
向こうで一瞬目を丸くしていたアイが、水たまりからキルリアへ視線を戻した。
「……何だよ」
「別に。ドー、“マッドショット”!」
「絶対なんか言いたかっただろ!」
返事を待つ暇もなく泥が飛んできた。キルリアが横へ駆け、地面へ落ちる泥を避けながら再びドオーへ距離を詰める。回復した分だけ足取りも戻っていて、二発目の“マッドショット”を小さく跳んでかわすと、そのまま両腕を広げた。
「“マジカルリーフ”!」
『まとめていくよ!』
葉が左右へ広がってドオーを囲み、別々の方向から一斉に曲がる。ドオーは前脚を踏ん張って受けたものの、背中へ何枚も突き刺さると身体がまた沈んだ。
「ドォ……!」
「押せる! そのまま行け!」
キルリアがさらに葉を集めようとしたところへ、ドオーが頭を持ち上げる。
「ドー、“ハイドロポンプ”」
「また来るぞ!」
水流が地面すれすれを走り、キルリアは大きく横へ逃れた。今度はまともに当たらず、そのまま通り過ぎた水がコートの窪みへ流れ込む。さっきできた水たまりと繋がり、ドオーの近くまで濡れた場所が広がっていった。
ドオーが身体の向きを変えるために一歩動く。
前脚が水へ入った。
ぱしゃり、と小さな音がした。
俺はその足元を見たまま、さっき水面から跳ね返ってきた光を思い出した。
「……キルリア」
『うん?』
顔を向けてきたキルリアに、ドオーではなく足元を指す。
「水だ! ドオーじゃなくて水を狙え! “チャージビーム”!」
『えっ……あ、そっか!』
キルリアの両手の間へ黄色い光が集まる。
その瞬間、アイの視線が俺の指先から水面へ落ちた。
「ドー、“がまん”!」
黄色い光線が水へ突き刺さる。
水面が眩しく光り、枝分かれした電気が一気に広がった。水に入っていたドオーの前脚まで光が走り、大きな身体がびくりと跳ねる。
「ドッ……!」
『効いた!』
「よし!」
ドオーへ直接撃ったわけじゃない。それでも水に広がった電気は確かに届き、ドオーの脚から背中まで細かな光が走っている。
そこで、俺はアイがさっき何を言ったのか思い出した。
「……待て」
ドオーは水から逃げようとしていない。
身体を低く伏せ、四本の脚を広げてその場へ踏ん張っている。電気を受けたまま、身体の周りへぼんやりと光が集まり始めていた。
「キルリア、もう撃つな!」
『え?』
「止めろ! あれ“がまん”だ!」
キルリアがすぐに両手を下ろし、“チャージビーム”が途切れる。追加で攻撃しようとしていた葉も出さず、ドオーから距離を取るように走り出した。
『ビブラーバがやったやつ!』
「ああ! これ以上入れんな!」
アイも次の技を出さない。ドオーは腹を地面へつけたまま、受けた電気を抱え込むように動きを止めていた。さっきまで技が飛び交っていたコートで、キルリアの足音と水を踏む音だけが続く。
「できるだけ離れろ!」
『離れてる! でもこれ、どこまで来るの!?』
「俺に聞くな!」
キルリアが泥のない場所を探しながら走る。その間にもドオーの身体に集まった光が強くなり、前脚が地面へ食い込んでいった。
「ドー!」
アイの声と同時に、溜め込まれていた光が弾けた。
「キルリア!」
キルリアは横へ逃れようと身体を捻ったが、広がった衝撃が追いついた。身体ごと押し飛ばされ、濡れた地面を何度も転がってから止まる。
『うぅ……っ』
「キルリア、大丈夫か!」
前より返事が遅い。
それでもキルリアは片手を地面へつき、もう片方の腕で身体を支えながら起き上がった。膝が一度震えたものの、歯を食いしばるように口を結んでドオーを見る。
『まだ……やれるよ』
「無茶すんな」
『ユアがそれ言う?』
「俺はポケモンじゃねえからいいんだよ」
『ずるい!』
口ではいつも通り返してくる。だったら、まだ終わらせるつもりはないらしい。
向こうのドオーも余裕はなかった。“チャージビーム”を受けた前脚を水から抜き、身体を起こしたものの、何度も受けた“サイコショック”と“マジカルリーフ”が残っているのか呼吸は荒い。頭上の結晶だけが変わらず輝き、水面へその光を揺らしていた。
「キルリア、行けるか」
『もちろん!』
「なら最後まで付き合え。“マジカルリーフ”!」
『いっけぇ!』
色とりどりの葉が一斉に広がる。ドオーの正面へ集中させず、左右へ大きく回した葉が逃げ道ごと囲むように迫り、背中と横腹へ立て続けに当たった。
「ドォッ!」
ドオーの身体が沈む。キルリアもその隙に前へ走り、距離を詰めながら次の攻撃へ腕を上げた。
「もう一回!」
「ドー、“マッドショット”」
泥がキルリア本人ではなく、その前の濡れた地面へ叩きつけられた。水と混ざった土が一気に跳ね、進もうとしていた道が茶色く濁る。
「そっち行くな! 右の乾いてる方!」
『分かってる!』
キルリアが進路を変えたところへ、今度は“ヘドロばくだん”が高く飛んだ。狙われた場所を見てキルリア自身がさらに内側へ切り込み、俺もドオーの頭がこちらを向く前に叫ぶ。
「“サイコショック”!」
青紫色の光が正面からドオーへぶつかった。最初ほど大きくは崩れない。それでも頭が下がり、“ヘドロばくだん”の狙いがずれてキルリアの後ろへ落ちた。
『まだ効いてる!』
「少しでも入るなら使える! そのまま抜けろ!」
キルリアがドオーの横を走り抜けようとする。逃げ道を選んだ判断は間違っていない。泥も避けている。
けれど、“がまん”を受けたあとから右脚の踏み込みが少し浅い。
ドオーがそれを待っていたように頭を持ち上げた。
「ドー、“マッドショット”」
泥がキルリアの足そのものではなく、次に踏み込もうとしていた場所へ落ちた。
「止まれ!」
キルリアが寸前で身体を引く。前へ行けなくなり、横へ切り返そうとした先にはさっきの“ヘドロばくだん”が残っていた。
『ユア、こっち狭い!』
「戻るな! 前の乾いてるとこまで跳べ!」
『やってみる!』
キルリアが助走なしで地面を蹴った。泥を越え、向こう側へ届く。着地した瞬間に右膝が大きく曲がったが、それでも転ばず片手を地面へついて身体を支えた。
判断は間に合った。
ドオーはもう口を開いている。
「“ハイドロポンプ”」
「キルリア、立て!」
『今、立つ!』
片手で地面を押し、キルリアが身体を起こす。横へ跳ぼうと右脚へ力を入れたところで、さっきの着地で曲がった膝が一瞬だけ沈んだ。
太い水流が迫る。
「キルリア!」
キルリアは避けきれないと見たのか、最後まで逃げようとはせず両腕を前へ向けた。
『だったら、こっちも!』
「“マジカルリーフ”!」
色とりどりの葉が水流へ飛び込み、その向こうにいるドオーまで曲がっていく。何枚かは水に押し流されたが、残った葉がドオーの顔や背中へ当たり、大きな身体が揺れた。
「ドォッ!」
同時に“ハイドロポンプ”がキルリアへ届いた。
『きゃあっ!』
身体が持ち上げられ、後ろへ飛ぶ。
キルリアは水と一緒に地面へ落ち、二度転がって止まった。濡れた髪が頬へ張りつき、片腕を地面へ伸ばしたまま動かない。
「キルリア!」
返事がない。
俺はボールを握ったままコートへ一歩出た。
「おい、キルリア!」
指先が動く。
ゆっくり腕を曲げ、地面へ手をついた。
『……まだ』
「もういい」
『まだ、ちょっと……』
身体を起こそうとしたところで腕から力が抜け、もう一度地面へ伏せる。俺はそこでボールを向けた。
「終わり。戻れ」
『……むぅ』
「文句は元気になってから聞く」
『じゃあ……あとでいっぱい言うから』
「はいはい」
赤い光がキルリアを包み、手元のボールへ戻ってくる。俺は受け止めたボールをしばらく握ったまま、向こうへ目を向けた。
ドオーも立っているのがやっとだった。最後の“マジカルリーフ”まで受け、頭を低くしたまま荒く息を吐いている。アイが近づくと、ドオーは丸い目だけをそちらへ向けた。
「ドー、ありがと。もう大丈夫」
「ドォ……」
アイがボールを向け、ドオーも赤い光の中へ消えていった。コートには三戦分の泥と葉と穴が残り、“ハイドロポンプ”でできた水たまりの上には、さっきまでドオーの頭上にあった結晶の光だけがもう映っていなかった。
俺はキルリアのボールを腰へ戻し、アイの方を見る。
「……ボクの勝ち、だね」
「ああ」
アイは少し間を置き、荒れたコートを一度見回してから俺へ顔を戻した。
「でもボクがチャンピオンだから勝てた訳じゃない。キミの課題もある程度見えた、キミの苦手分野、ボクが徹底的に鍛えてあげる」
「よろしく頼むよ先輩」
そう返すと、アイの口元が少し上がった。
「ふふっ、次は負けないから」
「それ俺のセリフな?」
「早い者勝ち」