内容や書きたい事を考えた結果タグが増えました。これからも増えたり消えたりするかもです。
あと感想は私の口が軽すぎて先の展開を無意識に書いちゃいそうなので返信してません。ごめんなさい! でも全部見てます。ありがとうございます!
「いやぁ、困ったね」
「そんな言葉で済む問題ではないわ。エミリア様に何かあったらどうするつもりなの」
だってエミリア子供みたいにはしゃぐんだもん。で、一瞬目を離したら何処にも居ないんだぜ? 困った子だよほんと。あと多分もう何かはあったんじゃない? 大事な徽章盗まれるとか。
「まあまあ、エミリアも大抵の状況なら自分の身は守れるだろうし、それに私とラムは王都の事ある程度は詳しいし、エミリアが行きそうな所を手分けして探せばすぐ見つかるって」
「はぁ……日暮れに竜車の場所で集合しましょう」
「はいはーい」
ラムに手を振って別れる。そして俺が向かう先はそう! 店主がどう見てもカタギに見えない果物屋、『カドモン』である。
伊達に原作知識担いできてないからな。今日までの間に必要そうな王都の地理は全部把握済みよ!
という訳で少々急ぎ足で向かっている訳だが道行く人達がみんなこっちを色々な目で見てくる。いやぁ、目立った特徴がある有名人が身内に居ると辛いぜ。髪と瞳の色見られるだけで出自が割れる。ていうか俺は名前とかまで一部には知られている。流石に市井には
そんな感じで不躾にガン見されるのは不快ではあるが、まあ変なのに絡まれる事が無くなるっていう利点もあるしな。一長一短である。
「という訳で景気はどうかな? お客さんが来たよ」
「どういう訳かは知らねぇがあんま、良くねぇな。折角だし嬢ちゃんがいっぱい買っていってくれ」
一瞬俺の容姿気にしたけど普通に接客する。うーん、好印象。こんな顔じゃなければもっと繁盛してただろうに。
「そんないっぱい買うつもりは無いんだよねー、そういえば黒髪で珍しい服着てる男の人見なかった?」
「あん? なんだ嬢ちゃん、知り合いか?」
「うーん、これから知り合う感じかな」
「なんだそりゃ……その兄ちゃんなら少し前まで居たんだが急に向こうの方に走って行っちまってな。しかも急に気絶して、起きたらすぐにだ」
「え゛」
うっそだろ、三周目じゃん! 前回と前々回の俺は何やってたんだよ! ていうかやべぇ! このままじゃスバル刺される!
リンガ二つ手に取って適当に金貨一枚投げて走りだす。マジで急がないと!
「おじさんありがと! お釣り要らないから!」
「おい! こんなに!」
なんか言ってるが無視だ無視。悪いがそれどころじゃ無い。周りの奴らも急いでる俺見て勝手に道開けてくれるし助かる。サンキュー遺伝!
そのまま近場の裏路地を巡り続ける。どこだどこだ……! 早く見つかってくれ……!
「──にしろよ!」
聞こえた!
声を頼りに急いで路地に入る。……居たスバル! でももう刺されそうじゃん! うおおおおおお!間に合ええええ!!
「いい加減にしろよ! 性懲りも無いにも程があるだろうが!」
サテラにも、俺にもやられてるのになんで何回も俺だけに絡んで来るんだこいつらは! もう構っていられない。俺はサテラを追いかけなきゃいけないんだ。
「邪魔だ、俺は行かなきゃいけない所があるんだよ」
三人の間を割るようにズカズカと足を出す。早くサテラに会って、徽章も取り戻さねぇと……!
「はいそこまで。人に刃物とか向けちゃいけないよ? 黒髪の君も、偶然私が通り掛からなかったら背中刺されたよ?」
「は……」
真後ろから知らない声が聞こえて振り向く。
「どうもー」
燃えるような赤髪に空を写したような瞳、ひらひらとした可愛らしい服に不釣り合いな剣を腰に下げた少女が居た。少女は花が咲いたような笑顔でこちらに手振り、もう片手でチンが持っていたナイフを弄んでいて……
「刺さ…れたって……」
「ほらそこ、ナイフの先端引っかかってちょっと服破けちゃってるでしょ? あ、流石にそれは許してね? 私も全速力で助けたし、命あってのものだねって事で」
少女が指す場所を見ると確かにジャージが少し破れている。つまり、この子が来て居なかったら俺は今頃刺されて……
「はぁ…!はぁ…!」
「落ち着きなって。未遂だし君に外傷は無し。でしょ?」
「……そう、だな。ありがとう助かった」
「良いよーこれくらい。それにまだチンピラくん達は残ってるしね。そろそろ君達も落ち着いた?」
「っ! だ、誰だ!お前!」
少女の言葉に反応するように固まっていたトンチンカンが動き出す。そうだ、結局こいつらは居るままじゃねぇか……! この女の子も強いんだろうけどこんな至近距離で囲まれてる状況は不味いんじゃないか……!?
「そんな顔しなくても大丈夫だよ。私に任せといて。さて、チンピラくん達。ほんとに私の事知らない? 結構有名だと思うよ私」
「……っ! アストレア! オルティア・アストレアか!」
「正解! 名前まで覚えてくれてるのは嬉しいな。で、どうする? 私が今大声で呼んだらお兄様もすぐ来てくれると思うけど?」
「冗談じゃねぇ! 割に合わねぇよ!」
俺の心配を他所にそう言い残して三人は逃げて行ってしまった。残るは俺と笑顔で三人に手を振る少女だけ。
「ふぅー、これで一件落着かな。改めて君も大丈夫?」
「あ、ああ、お陰様で……マジで助かった。えーと……オルティア……さん?」
「オルティアで良いよ、多分歳も同じくらいだろうし。えーっと……目つき悪いくん?」
「命の恩人とはいえ初対面で凄い口の利き方するな!?」
確かに目つきが悪い自覚はあるが!
「俺はナツキ・スバル。金無し、職無し、住む所無しで何もお礼してやれないけどマジでありがとう!」
「うーん、酷い自己紹介。よろしくねー、メツキ・スバルくん」
「ナツキな! ナ・ツ・キ! そんな目つきの悪さ気になるか!?」
「あはは、冗談だって。よろしく、スバル」
初対面で冗談言ってその後呼び捨てって、凄い距離の詰め方してくるな…
「じゃねぇ! 悪いけど俺急いでるんだ! 急いでサテラを探さないと」
「はいストップ、それはダメだね」
「な……!」
前に立たれて静止される。まさかこいつもエルザの関係者なのか!?
「そんな警戒しないでよ。嫉妬の魔女の名前も知らないって、スバル実は記憶喪失とかだったりする?」
「記憶はあるが……嫉妬の魔女……? それがサテラなのか?」
「うん、本人は400年前に封印されてるけどね。でも今でもその名前は語り継がれてるし、なんならそのサテラを崇拝してる魔女教っていうやばい奴らが世界中で被害を出し続けてる。他の人がいる場所でその名前出しちゃダメだよ? 他人をサテラって呼ぶなんて以ての外」
「そ、れじゃあ……」
俺はあの子に嘘を吐かれていた……?
それも、誰もが恐れるような名前をわざわざ名乗られるくらい、俺の事を遠ざけようとしていたって事か……?
じゃあ、あの時間はなんだった?
あの笑顔も、俺に向けた言葉も、全部俺が勝手に都合良く受け取っていただけなのか?
それに……『誰だか知らないけど、人を嫉妬の魔女の名前で呼んで、どういうつもりなの!』
あれは……他人のふりされて本当に突き放されたって事か……それじゃあ……
「俺は……どうすれば……」
「とりあえず少し落ち着きなよ。そんな何もかも終わったみたいな顔しないで、生きてるんだし何とでもなるよ。私も出来る範囲なら助けてあげるからまずは話そ、一人で抱え込まないでさ。あ、リンガ食べる?」
オルティアは軽い調子でそう言ってこっちにリンゴを一個差し出しながらもう一個を自分で齧った。
「ん、美味しい。あの店当たりだったなー。ほらスバル、早く取ってくれいと手が疲れんだけど」
「……なんで今食べるんだよ」
「え? あー、普通に話聞くだけじゃ味気ないから?」
「その理由で実際になんか食べはじめる事そうねぇよ……」
「あはは、良いツッコミ。ちょっとは落ち着いてきたんじゃない?」
そう、かもしれない。この子の飄々とした態度に引っ張られてかいつの間にか落ち着いている。
そうだ、まだ生きてる。例え嫌われて愛想尽かされてようと俺はあの子を助けたい。
「だからオルティア、俺に力を貸し」
「ところでスバル、この袋珍しいよね。ルグニカじゃ一回も見た事無いし。中身も全くわからない。なんか凄い物だったり?」
「おまっ! めちゃくちゃに話の腰折るな!?」
こういうのはしっかりと俺の話聞いてくれて頷いてくれる感じじゃねぇのかよ!
「……はぁ。ただのコンビニ袋だし凄くも特別でもねぇよ。中身もカップラーメンとコンポタスナッ……くで……」
あれ……
「なんで……」
ロム爺に食われた筈じゃ……まさか……! 我ながら荒唐無稽な考えだ。それでももしこの考えが合ってたら。二回とも、エルザに全員殺されてて、時間が戻ってるんだとしたら。
このままじゃきっとまたエルザに殺される。銀髪のあの子も、フェルトも、ロム爺も。なんとかしねぇと……! でも……俺が行ってもどうにもならない。なら……
「オルティアってどれくらい戦えるんだ……?」
「え? うーん、結構強いとは思ってるよ。でも荒事ならお兄様呼んだ方が確実かな。おーい、お兄様ー!」
「呼び方雑かよ……そういえばさっきも脅しみたいに使ってたけどそんなに強いのか?」
「強いよ。家族としての贔屓目無しに見てー。うーん、世界で一番強いかな」
「めちゃくちゃ贔屓してるな!」
「あはは」
でもそう言えるレベルには強い筈だ。エルザがどれくらいか分からねぇのだけが怖いが。
「オルティア頼む! 俺をお前のお兄さんの所に案内してくれ!」
「え? いやさっき呼んだじゃん。もうそろそろ来るよ?」
「は? いやあんな大声出しただけで」
「すまない。少し時間がかかってしまった」
来れる筈ない。という言葉までは言えなかった。
オルティアと同じ髪と瞳の色。整った顔立ち。爽やかな笑み。背筋の伸びた立ち姿。
見た人全員が口を揃えてイケメンって言うだろう男が、いつの間にか居て当然みたいな顔でオルティアの横に立っている。
「ね? 来たでしょ」
「いやおかしいだろ!」