転生したら甲斐の虎の弟になった   作:淡々鬼

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多分ホラーじゃないです。


夏と言えば、ホラー回!

 1560年 甲斐国

 

 この日の躑躅ヶ崎館には私こと武田信定、武田信繁を始めとする一門衆、飯富虎昌、馬場信春らの譜代衆、保科正俊らの信濃衆、長尾景虎、直江景綱らの越後衆、小幡憲重、沼田顕泰らの上野衆など武田家の主だった家臣のほとんどが集まっていた。

 

 今までにないほどの大規模の招集であったこともあって多くの者たちが戸惑う中、兄上が口を開いた。

 

「今川義元が死んだ」

 

 兄上の言葉が広間に響く、広間に集まっていた者たちが静まり返る。

 今川義元、我ら武田家の同盟相手の一人であり、駿河・遠江・三河の三か国の太守、海道一の弓取りと謳われたお方だ。

 

 今年、尾張の織田某を討ち取るために約5万とも言われる大軍を動かしていた。

 

「実際は2万程ですよ兄上」

「それでも十分だったであろうに」

 

 信繁に訂正された。口には出していないのに解せぬ。

 義元が討とうとしたのは織田某、下の名前は忘れた。前世の記憶も朧気だししょうがない。

 

「信長です。上総守の」

「ああ、例の」

 

 また信繁が耳打ちしてくる。うちの弟が万能すぎる件。

 例のと言ったのには訳がある数年前に兄上が各地に放っている歩き巫女からの報告で話題になったものがあったのだ尾張の織田弾正家の新当主が上総守を名乗っているという物だった。本来、○○守という物は国のトップをが名乗る官位なのだが(まあ、現在ではそのほとんどが自称なのだが)中でも上総・上野・常陸に関しては親王のみが任命される物で武士が勝手に自称していいものではないという暗黙の了解のようなものがあったのだ。

 それを若造が破ったと知った時の兄上は『こいつは大物になるぞ』などと言っておったが本当にそうなるとはな。(音から知ったことだがこの時点では上総守をやめて上総介にしていたらしい)

 

「義父上が…義父上が負けるわけがありませぬ!…何かの…間違いではないのですか父上!」

 

 などと考えていると、義信が声を上げる。義信は兄上の長男で義元の娘を正室にしている。

 

「落ち着け義信、これは本当のことだ、武田の次期当主がこの程度のことで狼狽えるな」

 

「父上は敵が減って嬉しいのでしょうな!自らを脅かす存在が減って!」

 

「こ、これ、義信殿、自らの父君に向かってなんということを!」

 

「やかましいわ!信廉!大した功もない癖に俺に指図するな!」

 

 義信が周りに怒鳴り始めるとそれを抑えようと信廉が叱るが義信を逆なでするだけに終わり、義信の機嫌はますます悪くなる。

 

「落ち着かれなされ、義信殿、いえ、若様」

 

「ヒェッ!」

 

 信繁が静かに義信の名を呼ぶ。怒っている気配がするが、顔が笑顔なのが恐ろしさをより際立たせる。

 呼ばれているわけではない私が冷や汗をかく。辺りを見回すと広間に集まっていた全員が硬直し、動かない。

 

 ポツンッと汗の落ちる音だけが響き続け、約半刻。

 

「も、申し訳、ありませぬ。父上。ち、取り乱してしまい、ました」

 

 義信の謝罪の言葉が聞こえたような気がする。

 そこから先の記憶はない。恐らく信繁を除く全員が覚えていないだろう。

 

 ただ、一言だけ聞こえたのは

 

「他言無用でお願いします」

 

 という、言葉のみであった。

 

 

 そして、気づけば布団の中にいた。

 話によればあの日、広間に集まっていた全員が丸一日寝坊していたそうだ。

 

 その日の会議で今川義元の死が兄上から伝えられたが義信は冷や汗を流すだけだったという。

 

 

***

 

「っていう怖い話」

 

 カルデアにおいてマスター君に怖い話が聞きたいと言われたので話している。

 

「あったな、そんなこと」

 

「ありましたね、あれって結局全員が同じ夢を見ていたのでしょうか」

 

 懐かしそうに兄上と景虎も話している。

 

「まあ、そうなんじゃないか。ほら、現代の漫画とかでよくあるホラー回ってやつ」

 

「それはもうちょい、ひねっとるじゃろ」

 

「うるせぇ、上総守」

 

「人の黒歴史を掘り返すなぁ!」

 

 今の季節は夏なのか?まあ、夏の特異点とやらも発生しているし夏か。

 

 いやぁ~それにしても

「一番ビビっているのが君とは意外だなぁ~ライネス」

 

「…ロリコン」

 

「有罪」

 

 ちょっと弄っただけでか?

 

「怖い話というより…」

 

「…武田家で一番怖いのは信繁さんだという話だったような気が」




 後半部分はカルデアでの生活。
 まだ、生前編は続きます。
 できれば、FGOの夏イベが終わるまでに終わらせてFGO編に入る予定。

 一応、今回の話に出てきたカルデアの面々との関係(現時点ものなので変更するかも)
 藤丸立香:マスターであり、よく恋愛相談に来る。マシュと結婚するのが一番幸せそう。
 マシュ・キリエライト:サーヴァントであり今を生きる人である。偶にハッチャケているけど、ハッチャケられるくらいのメンタルになったのが嬉しい。(後方保護者面)
 武田晴信:兄にして主君。この人への感情に関しての説明を入れるとネタバレになるので省略。(一言で言うと申し訳ない)
 長尾景虎:正妻。生涯、彼女の生前に妻を娶ることはなかった。カルデアでの戦闘狂っぷりも可愛いと思っている。(それはそれとして怪我をさせたくないので戦いを挑まれたら逃げる)
 織田信長:宿敵。上総守の分際で偉そうに。一生、上総守は擦り続けた。(信定が書いた手紙において信長を上総守と書くのは専門家の間では常識である。結果、上総守が誰かの論争が半世紀近く続いたとか)
 ライネス(司馬懿):とある世界線での友の義妹であり、悪友。その世界線では彼女の護衛もしていたそう。(ライネスやグレイ、晩年にとった弟子や死後にとった弟子が原因でロリコンと主に晴信や信長に弄られている、景虎は嫉妬する)

年数を一気に進めるのあり?なし?

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