(テストとモチベの低下という言い訳を書いておきます)
1554年4月 越後国
川中島の後、なんの罰ゲームか長尾景虎を娶ることになって半年ほどが経過した。
ようやく越後の国人たちと対話が行えそうになったというときにその報告がやってきた。
越中の東部を支配する国人である椎名康胤、佐渡の本間氏などが挙兵。
その裏には会津の蘆名氏が糸を引いていた。
さらに能登の畠山氏がこれを支援しているとみられる。
「…厄介なことだ」
「左様に」
呟きを拾って幸隆が言う。
椎名も蘆名も討つことは容易い、だが、武田は越後の国人から見ればよそ者だ、元より景虎に批判的な者も多い、越後北部の本庄・新発田、坂戸の上田長尾などなど信用出来ないものも多い。
佐渡に関しては海の無かった武田家は元より、長尾家も水軍が少ないから攻め込めない。
まあ、佐渡は集めても3百程だし、その上で内部での争いも絶えないそうなので後回しにする。
「飯山、岩櫃、葛尾、深志の北信濃の諸城から集めれば2千程にはなる、越後勢が4千から5千程にはなる…か」
「信頼はおけませぬが本庄・新発田を始めとする越後の国人を含めれば更に5千は増えるかと」
「蘆名が7千、本間が3百、椎名が3千程ですかな」
「いや、蘆名は1万にはなりましょう、宇佐美殿」
「いやいや、田村などへの抑えを考えればこうなりましょう」
「田村は小さいですぞ」
「常陸の佐竹が背後にありますれば」
「よし、ならば全軍を突撃させましょう!」
「どこにだ!」
急に叫ぶ景虎に拳骨をすると景虎は頭を抱えながら叫ぶ。
「蘆名に!」
「幸隆、深志の馬場を春日山に呼び寄せろ、定満、兄上に出陣の許可を。越後の国人全てに沙汰を出せ、出陣せぬは全て敵、討ち果たすと」
「御意」
「はっ!」
「惚れてくれてもいいんですよ」
「既に十分惚れておるわ…その采配にな」
「私自身には!?」
「…自分で考えろ」
そんな目で見るな、こっちまで恥ずかしくなる。
おいそこの軍師共、その生温かい視線をやめろ。
「宇佐美殿、信定様は熱でもあるのかのう」
「真田殿、景虎様も熱があるようじゃだんだんと顔が赤くなっておる」
「「それではお二方、後はごゆっくり~!」」
それだけ言って軍師sは去っていく。
「景虎」
「なんですか?」
名前を呼ぶとまだ赤い顔で振り向いてくる。
「いや、なんでもない」
その顔はとても可愛らしかった。
***
駿河国
「同盟の締結を祝って乾杯!」
「おお~」
「久方ぶりの酒じゃ、頂くとしよう」
この坊主どもは本当に俗世から離れておるのか?
当たり前かのように酒を飲んで居るが。
「お師匠、酒もほどほどに…ぐべぇ!」
「爺様、体に悪う…ぐぼぇ!」
同盟相手の二人、今川義元と北条氏康が吹き飛ばされた。
うちの勘助は坊主じゃなくてよかった。
それにしてもこの二人と二人の軍師は余程固い絆で結ばれているのだろうな。
まあ、俺ら兄弟の絆の方が固いんだが。
ああ、信定、信繁、信廉、信龍、速くまたみんなで飲みたいなあ。
1554年善徳寺において3人の大名とその軍師による会見が行われ武田・今川・北条の三国同盟が成立する。
そしてその同盟に反発し、新たな大戦を起こさんと画策する男がここに一人。
「佐竹殿、里見殿の両名が味方してくださるとは我らの勝ちは決まったも同然ですな!手始めに古河を攻め、古河公方様を我らの手中に収めましょうぞ!」
「北条を誅すべし!」(簡単に勝てるわけねえだろ!)
「北条滅ぶべし!」(ノリと勢いで敵対したけど勝てるのか?)
「三国同盟反対!」(武田も警戒しとけよバカ殿!)
上杉憲政、かつて河越夜戦において北条氏に大敗したかつての関東の覇者、関東管領が関東の諸将を味方につけ再起する。
1554年4月20日 関東大連合軍約4万が古河御所を襲撃、古河公方足利晴氏、義氏親子が捕らえられる(翌21日義氏は斬首。享年13あるいは11)
同年 4月21日 関東大連合軍によって晴氏の嫡男足利藤氏が古河公方に就任。
同年 4月23日 足利晴氏とその正妻(北条氏康娘)が殺害される(一説には藤氏による犯行とも)
同年 4月30日 上野の国衆の大半が関東大連合方に付き古河御所に参陣。上野における親北条派の大石氏を攻め、これを滅亡させる。
同年 5月3日 上杉憲政、上野に入国。平井城を奪還。
同年 5月7日 北条氏康、小田原城に帰還。武田晴信に上野への出兵を要請。
同年 5月10日 武田信定、会津にて蘆名・田村連合軍と激突。(恐らく佐竹氏の仲介、この他にも伊達氏などがこの戦に参加しているとみられる。武田氏の戦力を分散させる狙いがあったと思われる)
***
眼前には信じられない光景が広がっていた。
つい先日まで、蘆名氏と敵対していたはずの田村氏の旗が蘆名軍の横に存在していたからである。
それだけではなく相馬、伊達、大崎、葛西などといった、奥州の名だたる諸将の旗が全てたなびいていた。
「敵は約3万程に」
「此方は1万と少し、更に敵地の奥まで足を踏み入れてしまっている」
「まんまとおびき出されたわけか」
「撤退はありませんね」
「なんで、お前は嬉しそうなんだか、鋒矢の陣を組め!景虎、頼りにしている」
「…なんで鋒矢なんですか!私が貴方の左を守れないではないですか!」
「さっさと突撃してこい!左手に関してもお前のせいなんだからな」
川中島の戦いの後、左手は動かなくなった。
今もプラプラと揺らしているだけの状態だ。直接、戦うことも出来はするが、やらない方がいいと医者にも言われた。
「左は信守に任せる」
「御意!」
芦田信守、葛尾城の戦いの際に負った傷のせいで(こっちも景虎が元凶)右目を失ってはいるがそれぞれ欠損しているのが逆なので補えるということで、よく護衛にしている。
まあ、そのたびに景虎は悔しそうな顔をしているのだが。
そこがまたいい。
まあ、顔だけなんだが。
「幸隆、お前は真ん中に入り、戦況次第で兵を前線に送れ、定満は景虎を補佐、引き際を間違えないように手綱を握れ」
「いやですよ、手は握ませんからね」
「何言ってるんですか」
「大分、俗世に染まりましたなあ」
「俺も将来こうなるんすか」
「普通はならん…はずだ」
「その間は何ですか!」
将来を不安がっている男は本庄繁長、凶暴そうな見た目とは裏腹にネガティブな少年だ、これでも一軍を率いているし、なんなら家督を簒奪していた叔父を殺害していたりする。
「繁長は本陣の前だ、前で戦っている様子を後方から見て学べ」
「はいっ!」
さて、いつも兵数が不利なわけだが勝てるかねえ。
序盤に少しだけ出ていた馬場さんは越後に残って椎名氏への抑えを担当中。
大分、史実とかけ離れてきた今日この頃。
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