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1554年
トントントントン……
小刻みに指で音を鳴らしながら信定は落ち着かない様子でいた。
「信定様、落ち着いて下さい、あの方ならば大丈夫でしょうから」
「そうはいってもなあ、景虎だぞ、大丈夫とはわかっていても心配になる。本人も言っていたが、前のような人外じみた強さが少しづつだが消えて行っているというし」
「だからと言って、大将が落ち着きがなければ本陣が浮足立ちます。表面上だけでも繕ってください」
そうきっぱりと言い切るのは直江景綱。
越後与板城の主であり、元長尾家家臣である。
「…う~む、分かった、できる限り善処はしよう」
「…頼みますよ」
***
一方、奥州連合の陣では
「ここで叩くべきだ!」
「所詮1万程度、数の有利を生かしてすぐにでも攻め込みましょう」
「いいや、防衛に徹するべきだ」
「武田は強い、長尾の家臣団を加え更に強くなっておる。それに暫く待てば、椎名が背後を突くはずだ」
「田村に二階堂、貴様らは長期戦になれば我らの所領が疲弊するからそのような悠長なことを言っておるのであろう!」
「何を!お主らこそ前線におる我らの兵を使いつぶす気であろうが!」
所詮は烏合の衆というべきか蘆名を筆頭とする短期決戦派と田村・二階堂を筆頭とする長期決戦派に分かれて争っていた。
「双方、落ち着かれよ」
争いを仲介する落ち着いていて、かつ威厳のある声が響く。
声の主は白髪であり、痩せこけてはいたがその目には未だ野心が滾っていた。
名を伊達稙宗。
先代の伊達家の当主であり、かつて東北全土を巻き込み現在の奥州における対立・同盟の原因でもある天文の乱の元凶の一人である。
「ああ!?糞爺、てめえ、喧嘩の邪魔をすんじゃねえよ!てめえはあの奇妙な術だけ使ってればいいんだよああ!」
稙宗を背後から突き飛ばした凶悪な顔をした男の名を伊達晴宗。父親である伊達稙宗と天文の乱で争った男であり、乱の実質的な勝者である。
この天文の乱はいうなれば奥州全土を巻き込んだ空前絶後の親子喧嘩である。
因みにこの乱には越後も密接にかかわっているが、これに関してはここで話すのはやめておくとしよう。
「フォッフォッフォ、お主の様なもののために儂が術を使うとでも、あり得ぬなあ!ありえなさ過ぎて…うっぷ、蘆名殿、厠はどこですかな」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……厠に案内して差し上げろ」
***
とまあ、そんな風に奥州連合がまとまらなかったこともあり、武田軍が奥州では有利に戦を進めていた一方で関東においては武田・北条軍は苦戦を強いられていた。
上野国箕輪城
「小幡様敗走!」
「飯富様撃退された模様!」
「信繁様が手傷を負われたとのこと!」
上杉憲政が結成した関東連合を破るために上野に侵攻した武田軍は野戦においてほぼ同数の2万の上杉軍を撃破し、破竹の勢いで上野西部を蹂躙した。
しかし、そんな武田軍の前に一人の老将が立ちはだかった。
名を長野業正、上州の黄斑と呼ばれる名将である。
この男が守る箕輪城の前に武田軍は敗れ、一度撤退することになる。
更に
「成田氏が寝返りました!」
「太田氏も寝返ったようです!」
「小田氏治が援軍を要請しております!」
「余裕がない上に小田とは約定を結んでおらんから無視しろ!爺様、留守は任せます。綱成!お主は太田と成田の抑えを任せる。河越城に入って守りを整えろ!」
「承りました」
「野戦じゃねえのかよ!まあいいや、守り切ってやる!」
「抑えだけでいいからな!攻めるなよ!」
北条氏康は叔父の北条幻庵に小田原城を義弟の北条綱成に河越城をそれぞれ任せ、自らは1万2千の兵を率いて国府台に集まっている里見・結城・千葉軍を破るべく出陣する。
字数を増やしたいけど、語彙力と表現力がないのもあってなかなか書けない。(毎日投稿で数千字書いてる人とかは本当に尊敬してます)
生前編の後をどうするか
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