ーーーあの子よ。例の…
ーーー何であんなのがのうのうと生きてるんだ、人殺し
またか…。何で俺だけこんな目にあうんだってばよ…。俺が何をした?俺がお前らに何をしたんだ…!
自分に向けられる理由がわからない「憎悪」、まだ幼子の少年、うずまきナルトは今日もそれに晒されていた。クソ…そんなに嫌ならこっちから…
「ナルト!」
背後から声がかかる。不思議と安心感を覚えるその声の主をナルトは知ってる。
「イルカ先生…」
「どうした?元気無いじゃないか。俺が一楽のラーメン奢ってやるから元気出せ!」
「…いいの?やったー!」
今日も何とか平常心を保つことができたナルトであった。
一楽の屋台でラーメンをたらふく食べて、元気を出したナルト。イルカの財布が軽くなったのは言うまでもないだろう。
上機嫌になったナルトを見送ったイルカ。さてと自分も帰るとするか、と思った矢先だった。
「お前も大変だな、イルカ」
「お前は暇そうだな、ミズキ」
イルカの背後から声をかけてきたのはイルカと同じくアカデミーの先生を勤める男、ミズキ。
「本当に三代目の考えが全くわからねえぜ、何で俺らがあんなヤツの面倒見ないといけないんだ」
「そう言うな。あの子が可哀想だろ」
あの子ねえ…とミズキは少し間を置いて続ける。
「お前の両親を殺した化け狐だぞ?どこが可哀想なんだよ」
ーーーザッ…
「誰だ!?」
イルカの頭が警鐘を鳴らす。その音の方を向いてはならない…
「そうか…俺、知らない間にイルカ先生にも酷いことしたんだな」
今聞きたくない声が脳裏に響く
「もういい…俺は…ここを出ていくってばよ!」
「待て!早まるな…」
声のした方には誰もいない。幻聴かと思ってミズキを見やると
「イルカ!何してる!?追え!」
やってしまった…。ミズキが禁忌を犯したからとはいえ、ナルトに彼の正体を明かしてしまった。
ワンテンポ遅れたとはいえ、音の方に向かって走り出すイルカ。ミズキは三代目火影に報告に行くと言って別行動を取った。
そして里にある森の中からガサガサと音がしたのでそちらに向かって走るイルカ。
「ナルト!どこだ、ナルト!?」
里の中とはいえここは森の中。出来うる限りの痕跡を辿り、絶望する。
「そ、そんな…」
ある地点を境に、ナルトの痕跡がプツリと途切れた。イルカはそこで膝をついた。
もしもあの時、ナルトを元気づけようとしなければ、こんなことにならなかっただろうか?
もしもあの時、ミズキに出会わなければナルトがいなくなることは無かっただろうか?
その無数の「もしも」が、イルカに突き刺さってくる。イルカの目には無数の涙が流れていた。その後、火影直属暗部がナルトを捜索したが、不自然なことに、それ以降の痕跡が消えてしまっていた。
そして、1年後。誰もが「うずまきナルト」を忘れ去ろうとしていた木ノ葉隠れの里の忍者アカデミーに、1人の転入生がやってきた。
「みんなー!静かにしろ!今日は転入生を紹介する。入れ!」
イルカは1年前の九尾失踪事件の後も教鞭を取っていた。ミズキは三代目火影、猿飛ヒルゼンからの説教により1年の謹慎を言い渡された。当然だが、既に復職してる。
閑話休題、そして、イルカの教室に新たな生徒が転入してきた。その生徒は赤髪ストレートに黄色い狐の刺繍が入った紺色のバンダナ、金色の瞳と「特徴的なヒゲみたいな紋様」があった。
(ナルト…じゃないよな、多分…)
イルカはこの1年でとある違和感を抱いていた。ナルトに対する罵詈雑言は消えたが、逆に「ナルトが最初から存在しなかった」様に振舞ってる様に見えるのだ。当然、例外はいた。まずは三代目火影の猿飛ヒルゼン。今もナルトを探してるが、見つからずに頭を抱えてる。そしてもう1人は、一楽の店主。里の中で数少ない、ナルトを気にかけてくれていた大人の1人だ。
赤髪の少年はイルカを一瞥すると生徒に向かって声高々に宣言した。
「俺の名前は、八雲メンマ。将来の夢は、歴代火影を超えることだ…」
イルカはその生徒に、うずまきナルトの面影を重ねて見た…。
前書きでも言いましたが、今作はリハビリ作品です。続くかどうかは未定です。現在続きを執筆中です。
一応NARUTO原作にある程度沿うように執筆してみようとしてます。(もう原作乖離してるって?気にしたら負け)
まあ、「結果」は同じだけど、「過程」がどうなるかなんて分からないですねえ…