真・女神転生 聖園ミカの終末世界紀行   作:塞翁が馬

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シンジュクへ

 中年の男からの一悶着の後、少し時間をおいて気を取り直してきたミカと、新たに現れた三人の少年たちで自己紹介を行った。

 

 まず、眼鏡をかけた荒々しそうな少年の名は須藤力也(すどうりきや)。潔白そうな少年の名は立川法二(たちかわほうじ)。そして、中年の男と同じ機械を右腕に付けている少年の名は世代中道(よしろなかみち)というそうだ。

 

 ただ、この三人も事情があってこの世界の現状は分からない…らしい。という訳で、情報収集の為にシンジュクという所を目指す事となる。因みに例の中年の男は、茫然自失状態のミカと言い合いを始めてしまった力也と法二の隙を突き逃げてしまった。

 

 そして歩くことしばし、目的の地…シンジュクにて、直ぐに情報が入ってくる事となる。倒壊激しいビル群の中で唯一生きていたスクリーン付きのビル。そのスクリーン越しに、メシア教徒を名乗る女性が説教を行っていたのだが、その説教の中に情報が含まれていたのだ。

 

「三十年…!? この日本を襲った大破壊から三十年も経過していたのか!?」

 

(二ホン…? それって、先生が言っていた…。じゃあ、やっぱりここって…?)

 

 驚愕の声を会える法二。力也と中道も驚きに目を見開いている。一方、ミカはその時に法二が口にした二ホンという単語に意識を移す。ミカがティーパーティーから除名された事件以降、先生とは雑談を交わせるほどの仲にはなったのだが、そうして行った数々の雑談の中で語られた先生の故郷に、この名前があった記憶があるのだ。

 

「おい! こんなとこでうだうだ考えてても埒が明かねぇ! とりあえず街中に入るぞ」

 

 四者四様に止まっていたが、いち早く我に返った力也の声に全員が我に返り、移動を再開する。

 

 

 

 

 

 シンジュクに足を踏み入れた四人。早速情報収集を…と、言いたいところだが、まずは物資…というより、銃の弾薬の補給を優先する。自室から突然この世界に飛んできたミカに予備の弾薬などある筈もなく、少年たちにしても残弾が心もとなかった様子。

 

「おお~! ちゃんと銃と弾が売られてる! よかった、これで弾切れの心配はないね! …ん? 神経弾? 何この変な弾…」

 

 店の中に入るやいなや、安堵と興味の声を上げるミカ。

 

「すげえ…。銃器が堂々と店頭に並んでるぞ…。大破壊前は軍からの横流し品を買うしかなかったってえのに…」

 

「悪魔が闊歩しているこのご時世ですからね…。銃刀法がどうだとか言っていられないのでしょう…」

 

 一方、三人の少年たちは目の前の光景が信じられないのか、目を見開きながら辺りを見回している。

 

 そして実際の買い物だが、実を言うと手持ちにそんなに余裕がない。ミカは当然無一文だし、少年たちの持っていた通貨も古すぎて使えないと断られてしまったのだ。

 

 ただ、運よく古銭収集家が居合わせ、現代の通貨…マッカ(魔ッ貨)に代えてくれたのだ。まあ、10:1という法外なレートを吹っ掛けられてしまったが、物資の補給は勿論、中道もアクマ使いなのだが、その召喚にも今までの通貨が使えなくなっており、マッカを使うしかない為、背に腹は代えられない。

 

 というわけで、購入は弾薬のみ。強そうな銃や役立ちそうな防具なんかも売られていたが、現時点では到底手が届かない。

 

「あの…。三人とも、代金立て替えてくれてありがとね…。お金かぁ~…。やっぱり、どんな世界でもお金は大事なんだね~…」

 

「ふん、使えそうだから金を出してやっただけだ。その分、戦闘では頑張ってもらうからな」

 

「いえいえ、困ったときはお互い様ですよ」

 

 少年たちに礼を言った後、一発分だけ購入した神経弾を手に取りながら呟くミカ。対して、力也はぶっきらぼうに、法二はさわやかな笑顔で返事する。そして、今度こそ一行は情報収集に繰り出した。

 

 

 

 

 

 暫くの情報収集の甲斐もあり、いくらかこの世界の情勢が分かってきた。

 

 まず、この地…トウキョウにおいては、メシア教とガイア教という二つの宗教が争っている事。信徒の数だけで言えばメシア教に分があるが、神の救いを信じる…という経典(けいてん)故に戦えない者も多く、逆に力のみを信ずるガイア教は信徒の総数の分は悪いものの、個人個人は屈強な者が多いため、勢力は拮抗しているのだ。

 

 ただ、今いるシンジュクはまた少し事情が違う。上記二つの宗教も出張っては来ているのだが、このシンジュクの地を今、支配しているのはオザワという人物なのだそうだ。なにやら、強力な悪魔の力を借りて、さらに私設警察を動員して外部や悪魔からの関係をシャットアウトしているそうだ。

 

 そのため、シンジュクにいる間は宗教争いに巻き込まれたり悪魔に襲われる心配はない。ただし、その対価として、オザワや私設警察は圧政を敷き好き放題しており、逆らう者は容赦なく刑罰に処し、酷いものでは精神をいじくり洗脳までしてしまうというではないか。

 

「せ、洗脳!? 流石にそれは行き過ぎてるよ!」

 

「―――オザワの野郎…! どうやら三十年前と何も変わっちゃいねえようだな…っ!!」

 

 洗脳という物騒な言葉に非難の声を上げるミカ。同じく、怒りの声を上げる力也だが、どうも彼はオザワという人物を以前から知っている様だ。

 

 更に、ここでとんでもない人物と出会う。複数ある酒場のうちの一つに入った一行だったのだが、そこに赤いスーツを着た車いすの男がいたのだ。

 

「あんたは…まさか、スティーヴンか!? 生きていたのか…」

 

「ん…? おお、中道君ではないか、良かった、君も生きていたんだね」

 

 ここまで殆ど喋らなかった中道が、ミカが聞く限りでは初めて感情的な声を上げる。「誰なの?」と聞くミカに中道は衝撃的な言葉を放った。

 

「この人はスティーヴン。俺やあの中年の男が使っていた悪魔召喚プログラムの開発者だ」




 この辺りから、本作オリジナルの設定が出始めます。先生の出自はブルアカ本編では一切出ていない、スティーヴンと再会するのは本来なら銀座に向かう地下道の途中…等です。

 また、少し先の話ですがメガテン本編ではただ倒されてメモリーボードを出すだけだったマッドサイエンティストも、少し重要な役割を与えるつもりです。
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