**【第22話】 太陽の咆哮と、世界で一番頑丈な『特注の耳(マイク)』**
### Scene 1:午後3時15分・警報(クリッピング)と太陽の咆哮
カバー株式会社、地下第1テクニカル・コントロールルーム。
その日、チーフ・テクニカル・プロデューサーである■■春樹のメインモニターには、まるで心電図の異常を知らせるような、真っ赤な波形(オーディオ・スペクトラム)が絶え間なく表示されていた。
『ちょっと待てェェェェェ!! お前ら、それどう考えてもおかしいッスよね!?』
防音壁を物理的に貫通してきそうなほどの、圧倒的な声量。
ホロライブ2期生、大空警察署長にしてホロライブの『ツッコミ王』――**大空スバル**の咆哮だ。
春樹の目の前にあるデジタル・ミキサーのレベルメーターは、完全に振り切れていた。
緑、黄、赤という安全域を瞬時にぶち抜き、システムが「これ以上の音圧は処理できない」と悲鳴を上げる『クリッピング(音割れ)』の警告ランプが激しく点滅している。
「……第2リミッター、突破された。コンプレッサーのアタックタイムを最速(0.1ms)に設定しろ。レシオは無限大(∞:1)だ。これ以上ゲインが上がったら、マイクのダイヤフラム(振動板)が物理的に破れるぞ」
春樹はキーボードを凄まじい速度で叩きながら、隣に座る若手の音響スタッフに指示を飛ばした。
「チ、チーフ! ダメです! スバルさんの突発的なツッコミ(大声)の立ち上がりが早すぎて、ソフトウェアのコンプレッサーが追いつきません! 入力段のハードウェアで歪んでます!」
「クソッ。またか」
『だからスバルは悪くないッスよぉぉぉ!! しゅばばばばばば!!!』
再びモニターに真っ赤な波形が走り、同時に、春樹のヘッドホンから『ビリッ』という、コンデンサーマイクの回路が限界を迎えた不吉なノイズが響いた。
「……終わったな」
春樹は深くため息をつき、ヘッドホンを外してデスクに置いた。
「チーフ……」
「ああ。第3スタジオのメインマイク、ご臨終だ。今月で2本目だぞ。あのカモ、どんだけ肺活量鍛えてるんだ」
春樹はこめかみを強く揉みほぐした。
ホロライブのタレントたちは皆、それぞれに特徴的な声を持っている。しかし、こと『音圧(Sound Pressure Level)』という純粋な物理的破壊力において、大空スバルの右に出る者はいない。
彼女の元気すぎる声は、リスナーに活力(エナジー)を与える最強の武器であると同時に、音響エンジニアにとっては機材を破壊する『災害』に等しかった。
### Scene 2:マイクの墓場と、ツッコミ王の苦悩
数時間後。
スバルの配信が終わり、コントロールルームの分厚い防音扉が、申し訳なさそうにゆっくりと開いた。
「……チーフぅ。生きてるッスか……?」
ひょっこりと顔を出したのは、私服のスタジャンを着た大空スバルだった。
普段の元気ハツラツな態度はどこへやら、狐につままれたような、しょんぼりとした顔で春樹のデスクに近づいてくる。
その手には、コンビニの袋(おそらく差し入れのエナジードリンクと唐揚げ棒)が握られていた。
「……生きてるが、俺の管理している機材は一つ息を引き取った」
春樹は、デスクの横に置かれた段ボール箱を指差した。
そこには『大空スバル・被害者の会』と書かれたテープが貼られており、過去に彼女の声圧でダイヤフラムがイカれたり、回路がショートした高級マイクが数本、無惨に転がっている。
「うわぁぁぁん! ごめんなさいッス!!」
スバルは差し入れをデスクに置き、ジャンピング土下座の勢いで頭を下げた。
「いや、わざとやってるわけじゃないからスバルは悪くないって思ってるんスよ!? でも、なんかコラボとかしてると、周りのホロメンがヤバすぎて、気づいたら全力でツッコミ入れちゃってて……!」
「わかってる。頭を上げろ」
春樹は呆れながらも、新しいマイクのカタログをめくっていた手を止めた。
「お前の『ツッコミ』は、今のホロライブの配信において絶対に必要なファクターだ。あれがないと、うちのタレントどもの無法地帯(カオス)は収拾がつかなくなるからな」
春樹の言葉は事実だった。
デビュー当初の大空スバルは、家が燃えたり、ASMRで鼓膜を破壊したりと、ホロライブの中でも屈指の『破天荒(カオス)な問題児』だった。
しかし、ホロライブに次々と強烈な個性の新人が加入し、全体のカオス度が増していく中で、彼女の持ち前の「常識的な感覚」と「周りをよく見る観察眼」、そして「誰にでも真っ直ぐにぶつかる優しさ」が、自然と彼女を**『ホロライブ最強のツッコミ役』**へと進化させたのだ。
誰かがボケれば、全力で拾う。
誰かがスベりそうになれば、笑い声で場を温める。
彼女は、いつしかホロライブという巨大な家族の中心で、すべてを明るく照らす『太陽』のような存在になっていた。
「……でもさ、チーフ」
スバルはパイプ椅子に座り、膝を抱えるようにして少し俯いた。
「スバル、声がデカすぎるッスよね。リスナーさんからも『音量注意』とか『鼓膜破壊助かる』とか言ってもらえて、ネタになってるからありがたいんスけど……。裏でチーフたちがこんなに苦労してるのを見ると、やっぱり、もうちょっと落ち着いたキャラになった方がいいのかなって……」
その言葉から滲み出ていたのは、周囲を気遣うスバルならではの深い悩みだった。
彼女は、自分がただ騒いでいるだけで、本当の意味で周囲に迷惑をかけているのではないかと、常に心のどこかで恐れているのだ。
春樹は、カタログをパタンと閉じた。
そして、スバルの頭に無骨な手をドンッと置いた。
「痛っ! なにするんスかチーフ!」
「アホなことを考えるなと言ってるんだ。お前が落ち着いたキャラになったら、ホロライブの太陽が沈むだろうが」
春樹は立ち上がり、コントロールルームのメインモニターに、過去のスバルの配信の『音声波形』と『リスナーのチャットの盛り上がり(トラフィック)』を重ね合わせたグラフを表示した。
「見ろ。お前が全力で叫んだ瞬間、リスナーのチャットの流量が爆発的に跳ね上がってる。お前の声はな、ただうるさいだけじゃない。感情が100%乗ってるから、聞いてるやつの心に直接火をつけるんだ」
春樹はスバルの顔を真っ直ぐに見下ろした。
「お前は、今まで通り腹の底から声を張って、全力で笑って、全力でツッコめばいい。マイクが壊れるのはお前のせいじゃない。お前のその『圧倒的なエネルギー(太陽)』を受け止めきれない、既存の音響機材のスペック不足が原因だ」
「チーフ……」
スバルの大きな目が、パチパチと瞬きをする。
「安心しろ。お前がどれだけ叫んでも、絶対に壊れなくて、かつお前の声を世界で一番綺麗に拾えるマイクを、俺が用意してやる」
それは、カバー株式会社のチーフ・テクニカル・プロデューサーとしての、プライドを懸けた宣戦布告だった。
### Scene 3:既存技術の敗北(ダイナミックレンジの暴力)
それから1週間。
春樹は、世界中の音響メーカーから、あらゆる種類の名機と呼ばれるマイクを取り寄せ、スバルの声を想定した耐久テストと音質テストを繰り返していた。
「……ダメだ。ShureのSM7B。ダイナミックマイクの最高峰だが、スバルの突発的な超高音のツッコミには高域の抜け(トランジェント)が追いつかず、声が少しこもって聞こえる」
春樹はデータを見ながら、次々とマイクを切り替えていく。
「NeumannのU87Ai。コンデンサーの王道。普段のトークや囁き声の解像度は完璧だが、あいつの『しゅばばばば!』という破裂音と声圧が同時に来た瞬間、内部のプリアンプ回路が飽和して致命的なクリッピングを起こす」
「SennheiserのMD441。かなり惜しい。ダイナミックレンジは耐えられるが、スバルの声の持つ『温かみ(中低域のふくよかさ)』が削ぎ落とされて、機械的な冷たい音になってしまう」
春樹はデスクの上に散乱する十数本のマイクと、分厚い周波数特性のデータシートを睨みつけ、ギリッと奥歯を噛み締めた。
「……どれもこれも、一長一短だ。あいつの声のダイナミックレンジ(最小音量から最大音量までの幅)が、常識の範囲を逸脱しすぎている」
普段は女の子らしい可愛い声で囁き。
次の瞬間には、プロのロックボーカリスト顔負けの音圧でシャウトする。
この天と地ほどある音量の差を、1本のマイクと1つの設定でシームレスに処理することは、現在の商用マイクの設計思想では物理的に不可能に近かった。
「……チーフ、もう諦めませんか?」
見かねた若手スタッフが声をかける。
「配信用のソフトウェア(OBS)側でリミッターをガチガチにかければ、音割れ自体は防げます。音質が少し平坦(ペラペラ)になるのは、配信の仕様上仕方ないかと……」
「仕方ない、だと?」
春樹の目が、零下まで冷え込んだ。若手スタッフがヒッと息を呑む。
「俺たちが妥協したその『ペラペラの音』で、リスナーはスバルの感情を受け取るんだぞ。あいつが全身全霊で放つエネルギーを、機材の限界を理由に間引いて届けるなんて、エンジニアの恥だ」
春樹はデスクの上のカタログをすべてゴミ箱に叩き込んだ。
「既存の機材でダメなら……。**俺がゼロから、大空スバル専用のマイク(兵器)を設計(ビルド)する**」
### Scene 4:太陽専用武装・カスタムメイドDSP
その日から、コントロールルームの一角は、春樹の『電子工作の工房』へと変貌した。
ハンダごてから立ち昇る松脂の匂いと、オシロスコープの緑色の波形が、深夜の部屋を占拠している。
「……マイクカプセル(収音部)は、大口径のダイナミック型と、小口径のコンデンサー型のデュアル(二重)構造にする」
春樹は極小のピンセットを使いながら、二つの異なる特性を持つマイクパーツを、一つの筐体の中に緻密に組み込んでいく。
「小声や通常のトークはコンデンサーで拾い、高解像度の音を届ける。そして、スバルの音圧が規定値(120dB SPL)を超えた瞬間、瞬時にダイナミックカプセル側へクロスフェードさせる」
しかし、マイクを物理的に切り替えるだけでは、音色の変化が不自然になる。
そこで春樹が目をつけたのが、マイクの内部に直接組み込む『特注のDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)』だった。
「音をPCに送る前に、マイクのハードウェア内部で処理を完結させる。FPGA(書き換え可能な集積回路)を使って、俺がゼロからC言語でマルチバンド・コンプレッサーのアルゴリズムを書き下ろす」
カタカタカタカタカタッ……!!
ハンダごてを置き、今度は凄まじい速度でキーボードを叩く。
「スバルの『ツッコミの帯域(2kHz〜4kHz)』だけをリアルタイムで監視し、突発的なピークが来た瞬間に、コンマ0.01ミリ秒の速度でその帯域だけをピンポイントで叩き潰す。これなら、声の全体のボリューム感や『温かみ』を損なわずに、音割れだけを完全に防げる……!」
それはもはや、放送局で使う数百万の機材の処理能力を、一本のマイクの筒の中に無理やり詰め込むような、狂気のオーバーテクノロジーだった。
「……ううっ、熱っ!」
不意に、ハンダごての先が春樹の指先に触れ、ジュッと嫌な音が鳴った。
水ぶくれができそうになるが、春樹は絆創膏を雑に巻きつけ、すぐに作業に戻る。
『プシュッ』
「……チーフ。また徹夜してるッスか」
深夜2時。
コントロールルームに現れたのは、スバルだった。
彼女の手には、ほかほかに温められたコンビニの肉まんと、ホットコーヒーが握られていた。
「スバルか。……こんな時間まで起きてると、肌荒れするぞ」
「チーフに言われたくないッスよ。ほら、夜食」
スバルは肉まんをデスクに置き、春樹の手元を覗き込んだ。
そこには、バラバラに分解されたマイクのパーツと、複雑な基板、そして何本もの絆創膏が巻かれた春樹の指があった。
「……チーフ。それ、もしかしてスバルのために……?」
「ん? ああ。既存のマイクがお前の声圧にビビって使い物にならないからな。俺が直々に、お前専用の無敵の防具を作ってるところだ」
春樹はあっけらかんと答えたが、スバルの瞳は微かに揺れていた。
「……なんで、そこまでしてくれるんスか」
スバルの声が、いつもよりずっと小さく、震えていた。
「スバルなんて、ただうるさいだけで、機材壊して迷惑ばっかりかけてるのに……。チーフの指、火傷だらけじゃないッスか。そこまでして、スバルの声を拾う意味なんて……」
「あるに決まってるだろ」
春樹はハンダごての電源を落とし、スバルに向き直った。
「スバル。お前は自分のことを『ただうるさいだけ』って思ってるかもしれないが、俺たち裏方や、ホロメンのみんなはそうは思ってない」
春樹は、肉まんを一つ手に取り、真っ二つに割って半分をスバルに差し出した。
「お前がホロライブに来てくれてから、どれだけのメンバーが救われたと思ってる? 個性が強すぎて孤立しそうになる奴や、ボケ倒して収拾がつかなくなる奴。そんな不器用な連中の間に、お前がいつの間にか入り込んで、全力でツッコんで、笑い声で包み込んでくれた」
スバルは、渡された肉まんを受け取ったまま、春樹の言葉をじっと聞いていた。
「お前のその『大声』はな、迷子になりそうなあいつらを照らし、導くための『灯台の光』なんだよ。……だから、俺はお前の声を、1デシベルの欠落もなく、完璧な状態で世界に届けなきゃいけない。これは俺の、技術者としての意地だ」
春樹の真っ直ぐな言葉に、スバルの大きな瞳から、ポロポロと大粒の涙がこぼれ落ちた。
「……っ、チーフぅ……っ」
「おいおい、泣くな。塩分で基板がショートする」
「だってぇ……! チーフが、そんなかっこいいこと言うから……っ!」
スバルは袖で乱暴に涙を拭い、肉まんを大きな口でガブリと頬張った。
そして、涙と笑顔がぐちゃぐちゃに混ざった、最高に眩しい顔で春樹を見た。
「……ありがとッス、チーフ。スバル、もっともっとでっかい声出して、ホロライブのみんなを、世界中を、あっかるく照らしてやるッス!!」
「ああ、その意気だ。……だから、今は食ってさっさと寝ろ。明日には完成させてやる」
「はーいッス!! おやすみ、チーフ!!」
嵐のように駆け出していくスバルの背中を見送りながら、春樹は冷めたコーヒーを飲み干し、痛む指先を少しだけ摩った。
「……さて。太陽を完璧に演算するコードの仕上げだ」
### Scene 5:世界で一番綺麗な『大声』
翌日の午後。
3DスタジオBには、異様な緊張感が漂っていた。
スタジオの中央に立つスバルの目の前には、チーフ・■■春樹が3徹の末に組み上げた、特注の無骨なマイク――通称**『サンフレア・エディション(春樹命名)』**がセッティングされている。
コントロールルームには、春樹の他に、スバルのテスト配信を見守るためにAちゃんや、偶然居合わせた白上フブキや猫又おかゆたちも集まっていた。
「……シグナル、オールグリーン。DSPの同期完了」
春樹がインカムのマイクをオンにする。
「スバル、聞こえるか。テストを始める。まずは普段のトーンで喋ってみろ」
『あ、あー、テステス。本官は大空警察署長の大空スバルッス!』
スピーカーから流れてきた声に、フブキとおかゆがハッと息を呑んだ。
「すごい……! スバルちゃんの声、すごくクリアで温かい! まるで隣で喋ってるみたい!」
「んー、ASMR用の高級マイクみたいな解像度だねぇ。チーフ、やるじゃん」
春樹はニヤリと笑い、再び指示を出す。
「よし、解像度はクリアだ。……次は本番だぞ、スバル。今出せる限界の音量で、俺に向かって全力でツッコんでみろ。一切の手加減は不要だ」
スタジオの中央で、スバルが大きく息を吸い込む。
その小さな体のどこにこれほどの肺活量が隠されているのかというほど、胸が大きく膨らんだ。
そして。
**『ていうかチーフ!! 徹夜しすぎで顔が完全に死霊術師(ネクロマンサー)になってるッスよぉぉぉぉぉ!!!!!』**
鼓膜を突き破るような、大空スバルの全力の咆哮。
しかし。コントロールルームのスピーカーから出力されたその声は――
「……嘘だろ」
若手エンジニアが、信じられないものを見るようにレベルメーターを凝視した。
**『クリッピング(音割れ)、ゼロ』。**
スバルの圧倒的な声圧(エネルギー)はそのままに。
耳を劈くような不快な破裂音(ノイズ)だけが、マイク内部の特注DSPによってコンマ0.01ミリ秒の精度で完璧に間引かれ、極めて滑らかで、聞き心地の良い『超大声』としてスピーカーから鳴り響いたのだ。
「……よしっ!!」
春樹は拳を強く握りしめ、ガッツポーズをした。
『チーフ!? どうッスか!? 今のスバルの全力のツッコミ!!』
マイク越しに、スバルが期待に満ちた声で尋ねる。
「……完璧だ。お前の声の温かさも、勢いも、1ミリも損なわれてない。世界で一番綺麗な『大声』だ」
春樹が答えると、スタジオの中のスバルは、両手を天に突き上げて飛び上がった。
『やったぁぁぁぁぁぁ!!!!! これでスバル、機材を気にしないで全力でツッコめるッスね!!!!』
『ちょ、待てスバル! 今度はマイクスタンドごと振り回すな! 物理的な衝撃は計算外だ!!』
『あはははは! しゅばばばばばば!!!』
スタジオの中で大はしゃぎするスバルと、インカム越しに慌てて静止する春樹。
その光景を見て、コントロールルームにいた全員がドッと笑い声を上げた。
「……本当に、チーフはタレントに甘いですね。マイク一本に徹夜で基板から設計するなんて、狂気の沙汰ですよ」
Aちゃんが、呆れながらも優しい笑顔でメガネを押し上げる。
「仕方ないだろ。あいつがホロライブの太陽なら、俺はその光を絶対に絶やさないための『発電機(システム)』でいなきゃならないからな」
春樹は照れ隠しに前髪を掻き上げ、モニターの中で無邪気に笑い転げるスバルを見つめた。
破天荒からツッコミ王へ。
そして、みんなを照らす太陽へ。
大空スバルがこれからどれだけ成長し、どれだけ規格外のエネルギーを放とうとも。
彼女の足元と、その声を届ける機材は、カバー株式会社の天才エンジニアが、命に代えても守り抜く。
「……さあ、スバル。思い切り吼えろ。お前の声は、もう絶対に途切れない」
防音ガラスの向こう側。
世界で一番頑丈で、優しいマイクに向かって、太陽のような女の子の笑い声が、今日も響き渡っている。