ヒカ碁の世界で緒方精次となったからには、打倒saiを掲げたい。 作:くま子
新緑がまぶしい五月に幕を開けた本因坊戦七番勝負は、緒方が初戦を華麗な打ち回しで制したものの、その後は現本因坊・桑原の粘りに苦しめられ、盛夏の中、ついに最終局へともつれ込んでいた。
老舗ホテルの一室での一局。
1日目は緒方の封じ手で幕を閉じた。
夕食へ向かう関係者たちの輪から外れて歩いていた緒方へ、桑原がゆるりと声をかけた。
「ところでキミ、封じ手はちゃんと書けたかな?」
「は?」
何の用かと思えば、要は盤外戦術だった。
緒方にとって、挑戦手合いはこれが初めてだ。しかも、ここまでの六局はすべて桑原が封じている。
慣れない封じ手で、疲労や迷いから誤った選択をしなかったか──そう揺さぶりをかけに来たのだ。
(クソジジイが……)
実は緒方にとって、桑原は忘れ難い相手だった。
人生2周目を生きているとはいえ、緒方にも慣れないこと、初めてのことは山ほどある。その最たるものが、囲碁のプロ棋士になるということだった。
その第一歩となる新初段シリーズ。
緒方を迎え撃ったのは、桑原本因坊だった。
顔合わせからわずか数分。新しい世界への期待に胸を躍らせていた緒方は、桑原の盤外戦術に見事に呑まれ、縮こまった惨めな碁を打たされることとなった。
対局後、あれほど情けなさに顔を赤くした一局は、後にも先にもあれきりだ。今でこそプロの洗礼のひとつとして飲み込めているが、当時は随分引きずったものだった。
「ふひゃひゃ。不安になってくるじゃろう」
散々煽った末に不敵に笑う桑原に対し、緒方は意外にも静かに笑っていた。
(……そういえば、原作でもこんな流れだったか)
いつか見た
だが、揺らがないのは既知の展開だからではない。
「確かに二択で迷いましたね」
「そうじゃろう」
「ですが問題ありません。どちらに打っても、俺が勝つので」
「……ほぉ」
迷いなく言い切った緒方に、桑原の眉がわずかに跳ねた。
2人きりの廊下に、ヒリついた空気が流れる。
「爺さん。悪いが、その名は必ず貰うぜ」
ガラリと口調を崩した緒方が、悠然と笑う。
「俺が、その名でもって迎え討たなきゃならない奴が、上がってくるんでな」
この世界は、原作から随分とずれてしまった。
それでも、佐為がヒカルのために存在しているのなら、遠からず扇を託して消えるはずだ。
だがそれは、師弟として最も重要な真剣勝負を交わさぬまま、2人が別れるということでもあった。
その事実に思い至った時、緒方は思わず身震いした。
もし、自分がタイトル戦に挑む前に塔矢行洋が引退してしまったら。
間に合わなかったことを、どれほど悔やむだろう。どれほどやりきれない思いを抱くだろう。
だが、緒方には佐為の喪失を防ぐ術など思い浮かばない。
それに──たとえ方法があったとしても、実行する気はなかった。
ならば、せめて代役を務めるべきだろう。
仮にも師を名乗る身であり、佐為に黒星をつけた人間なのだから。
なにより、あれほど
「そんなビッグイベントが控えておるなら、老骨に鞭を打たんといかんなぁ」
「ああ。引退後の楽しみにしておいてくれ」
睨み合った両者はそれ以上言葉を交わすことなく、互いに背を向けた。
季節は巡り、夜の長さが日ごとに増す9月。
きらびやかなホテルの大宴会場。就位式の壇上でスポットライトを浴び、允許状を記者たちへ掲げているのは、新本因坊となった緒方だった。
白紋付に縞袴。紫の羽織紐を合わせたその姿は、恵まれた体格も相まって、威風堂々たる風格を漂わせていた。
『なんと麗しい……』
会場の隅で、立食パーティーのローストビーフに目を輝かせる制服姿のヒカルの隣で、佐為がうっとりと壇上を見つめていた。
(かっこいいのは認めるけどさ。白い着物って、なんか結婚式みたいじゃね?)
『何を言うのですヒカル。 あれは武家の白ですよ!』
佐為は興奮したように身を乗り出した。
『ご覧なさい、あの御衣の凛とした美しさ! そして胸元の深紫を!なんと粋なことでしょう‼︎まさに、本因坊の家督を継ぐ者にふさわしい、品格と佇まいです』
(テンションたっけぇ……)
佐為は緒方に、並々ならぬ恩義と情を抱いている。
現役最強と謳われる棋士に引き合わせてもらい、孤独な夜を慰める膨大な棋譜を与えられ、さらには世界中の棋士と打てる環境まで整えられた。
そして、今世で最も多く盤を挟んだ好敵手でもある。
今や佐為は、緒方のためなら──死んでいるのだが──命すら惜しまないのではないかと思えるほど傾倒しており、七番勝負が始まってからは、その勝敗に一喜一憂するあまり、余波を受けるヒカルがぐったりする始末だった。
一局終わるごとに緒方と検討を重ね、自ら桑原の棋風を研究し、勝負の前には必ず緒方の武運を祈る。
その熱の入りようは、棋院で緒方を見かけた際に、『ふれーふれー、お・が・た!』と、どこで覚えたのか今風の応援をし始め、ヒカルを驚愕に固まらせるほどだった。
アイドルを前にしたファンのようにキャーキャー騒ぐ佐為とは対照的に、ヒカルは手持ち無沙汰に壇上を眺めていた。
知り合いもほとんどおらず、立食パーティーが始まるまでは暇なのだ。
(なんか、『俺の時代だ、文句あるか』って感じだなぁ……)
本人に聞けば、緊張してんだよと返ってくるだけなのだが、その泰然とした印象に、ヒカルには己の師が酷く遠い人のように思えた。
盾の授与など興味のない話題が続き、ヒカルの視線がふらりと逸れる。
なんとなく目に留まったのは、会場の中でもひときわ注目を集める一団だった。
塔矢名人と、その門下生たち。
その中で凛とした佇まいで壇上を見つめるアキラに、ヒカルの胸がチクリと痛んだ。
名人に挨拶に伺った時、アキラはヒカルに一瞥すら投げてよこさなかった。
若獅子戦の時と、同じだった。
あの時も、院生など意識するにも値しないとばかりに無視され、1回戦で敗退したこともあり、結局その背を遠くから眺めることしかできなかった。
今一度、壇上へ視線を戻す。
ヒカルは、まだ一度も緒方と互先で打ったことがない。常に置き石があり、今もなお二子局だ。
けれども、盤の向こうに座る勝負師としての緒方を、ヒカルは何度も間近で目にしている。
(早く、強くなりたい。プロになって、もっともっと強くなって──)
そうすれば、アキラだけでなく、緒方の視線も自分を捉えてくれるのではないだろうか。
プロ試験開始まで、後数日。
まだスタートラインにすら立てていない自分を実感しながら、ヒカルは憧れだけではない眼差しを壇上へ向ける。
そんなヒカルを、佐為だけが静かに見つめていた。
467 :検討中の名無しさん
緒方本因坊のブログにおめでとうしに行ったら
とんでもねぇ内容が更新されてやがる
469 :検討中の名無しさん
RX-7お前かよwwwwwww
470 :検討中の名無しさん
sai、マウス持つのも難しい身の上って……
472 :検討中の名無しさん
真っ赤なRX-7乗ってる緒方九段説、正解で草
475 :検討中の名無しさん
お前らがネタにし続けた結果 本人から答え合わせ来たぞ
476 :検討中の名無しさん
saiおじいちゃん…… (´;ω;`)
480 :検討中の名無しさん
急に重い話来てビビった
482 :検討中の名無しさん
だからネット対局だけなのか
484 :検討中の名無しさん
身バレすると周りに迷惑かかるから本名明かさないって なんか納得したわ
488 :検討中の名無しさん
緒方本因坊ブログまとめ
・RX-7=緒方本因坊本人でした
・saiの代理人やります
・saiは身体的事情でネット対局のみ
・碁石やマウス持つのも困難
・身バレすると周囲に迷惑かかるので本名等非公開
・今後もWGN継続
・実力者との対局希望
・申し込みは緒方本因坊経由で
以上
490 :検討中の名無しさん
>>488
有能
496 :検討中の名無しさん
five君、マウス操作までしてあげてたのか……
497 :検討中の名無しさん
「おじいちゃん、今日は韓国の人来てるよ」
503 :検討中の名無しさん
ちょっと泣けてきた
505 :検討中の名無しさん
急に家族愛スレになるな
508 :検討中の名無しさん
five君、寝たきりのお爺ちゃんの面倒見ながら
囲碁覚えたのか
510 :検討中の名無しさん
隣で「そこはコスミじゃ」 とか言われ続ける環境
513 :検討中の名無しさん
英才教育すぎる
514 :検討中の名無しさん
なんで孫説が確定みたいな流れになってんだよ
519 :検討中の名無しさん
>>514
saiはおそらく寝たきりやで
可愛い孫でも妄想しないと、重すぎるやん
520 :検討中の名無しさん
世界中から対局申請届いてるだろうな
523 :検討中の名無しさん
本因坊の窓口業務想像したら草
528 :検討中の名無しさん
「sai先生、本日は韓国の李九段から申し込みが」
「ほう……受けてみるか」
530 :検討中の名無しさん
緒方本因坊のせいで、俺の中のsaiが組長に
538 :検討中の名無しさん
RX-7=緒方本因坊確定した今 あの観戦拒否対局の価値ヤバくね?
541 :検討中の名無しさん
見せろォ!!!!!!
棋譜を見せろォ!!!!!!!!
567 :検討中の名無しさん
実力者との対局希望
オラワクワクしてくっぞ
572 :検討中の名無しさん
韓国勢絶対申し込むだろこれ
576 :検討中の名無しさん
HanRiver来るか?
580 :検討中の名無しさん
redstarも絶対来る
595 :検討中の名無しさん
でも緒方本因坊が窓口じゃ 下手な奴対局申し込めなくね?
597 :検討中の名無しさん
sai先生と打ちたいです!二段です! とか送れる空気じゃない
601 :検討中の名無しさん
実質プロ高段者専門窓口だろこれw
602 :検討中の名無しさん
緒方本因坊が選別してるの想像すると怖い
606 :検討中の名無しさん
「……君では役不足だ」 とか普通に返ってきそう
608 :検討中の名無しさん
誤用発見。役不足警察だ!
619 :検討中の名無しさん
>>601
本因坊になってから代理人名乗ったのって そういうことだろ
621 :検討中の名無しさん
タイトル保持者が窓口なら変なの弾けるし
622 :検討中の名無しさん
sai側の事情考えるとまあ妥当ではある
629 :検討中の名無しさん
タイトルホルダーがマネージャー業すんのか
さすがsai
634 :検討中の名無しさん
緒方本因坊「本日の挑戦者はこちらです」
636 :検討中の名無しさん
インテリヤクザをアゴで使うsai
やはり組長では?
638 :検討中の名無しさん
ポジション的に名人が組長
saiは会長だろ
640 :検討中の名無しさん
面接を突破できる気がしない
643 :検討中の名無しさん
つまり何も変わらないな
644 :検討中の名無しさん
そいや俺らfive君に蹴られてんのか
646 :検討中の名無しさん
「おじいちゃん今疲れてるから」 カチッ
649 :検討中の名無しさん
地味にfive君権力持ってて草
652 :検討中の名無しさん
five君がマウス持ってるとは限らないわけで
658 :検討中の名無しさん
saiおじいちゃんと孫のfive君って
緒方ブログ読んでも否定されてなくね?
660 :検討中の名無しさん
むしろ補強まである
731 :検討中の名無しさん
緒方本因坊って塔矢門下なんだし 名人vs.saiはないんですか
736 :検討中の名無しさん
実現したら鯖落ちだな
740 :検討中の名無しさん
緒方本因坊なら普通に組めそうなんだが
744 :検討中の名無しさん
塔矢名人がネット碁やるイメージ無さすぎる
748 :検討中の名無しさん
でもsaiの存在知ってるよな絶対
753 :検討中の名無しさん
緒方本因坊、君には期待しているよ
758 :検討中の名無しさん
期待と言えば
次から観戦開けてくれるんですよね?
762 :検討中の名無しさん
開いてなかったらブログに突撃する奴が出るぞ
オレとか
803 :検討中の名無しさん
これからsai見ると安心しそう
808 :検討中の名無しさん
生存確認扱いで草
812 :検討中の名無しさん
キターの代わりに生存レスですねわかります
817 :検討中の名無しさん
(´;ω;`) 長生きしてくれsaiおじいちゃん
就位式は時系列的に、第十一話とばして第十二話の途中らへんなんですが、ここに入れると収まりが良いので入れました。