ちょっ、ッッま...自分まで巻き込まれる必要なくないかぁ!!??   作:大塩tune八郎

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三連休、来ましたね。
もしかしたら何処かの電柱が7色に光り輝いてるかも?
いや、あったところで普通に考えて赤ちゃんの世話できる自信ないな彩葉スゲ-。


月に叢雲

 

人気インフルエンサー2人の後押しを受け、かぐやの注目度はうなぎ登り滝登りに高まった。

それにちゃっかり乗っかった形で自身のchもちょっぴり伸びていった。

まぁ、だからと言ってノリノリで活動する訳じゃないけど。

自分は自分の日々に戻るだけだ。....最近全然書いてないし。

 

一方かぐやは配信のモチベが爆上がりしたらしく、今までの比にならない速度で激辛食品動画、恵方巻き1口食べ切りチャレンジ、ホラゲー倍速動画、ツクヨミ内鬼ごっこ動画、ホキナリ家突撃チャレンジ、等など......ライバーらしいことを片っ端からやっていた。

 

急に連絡きたかと思えば『KASSEN一緒やろ!ていうかやって!』って。こちらの有無を言わせずに強制参加だ。

 

 

城郭の最上。大将落としに続く階段に構えているのは五色の玉が列なった鞭を携えた残った相手。

ぐるぐると八の字に自慢の鞭を振り回しながら少しずつ加速し勇ましく突っ込んでくる。

 

.....が、短剣二刀のうち一本を相手の眼を目掛けて投げ、その隙に紙一重で暴れ回る鞭を避けながら間合いまで入り込みあっさり倒してしまった。

 

「あと頼んだ〜」

「おっしゃぁ!お迎え勝ち確ゥ!!」

 

後ろから着いてきたかぐやは階段を駆け上り、バチコーンとだるまの爽快な音を耳に響かせ、天守閣を爆☆発させる。

.....あれ、なんか前よりも、

 

「上手くなった?」

 

試合終了後、次のマッチングを待つ間に聞いてみると、

彼女はヒッシッシッシと腕先のピースサインを突きつけながら、

 

「クーと一緒にやりたかったから、練習したっ!偉いっしょ〜」

 

最上級の笑顔で、童帝()を絶対勘違いさせる魔法を唱えるのだった。

 

 

 

 


 

 

 

ある日、かぐやの配信を見ていると

 

『¥20000:かぐやちゃん結婚して!』

『¥11300:いや俺が』

『¥1640:可愛い〜!!!』

『¥18000:結婚して〜ちょ〜』

 

いつの間にか創作料理を話題にした配信は1つの赤スパ求婚コメによって流れが完全に変わってしまった。

 

「んーじゃあかぐやに勝ったらいいよー」

 

おいおい、大丈夫かよ。SETSUNAは全然やってないでしょう。

そして待ったをかける者も無く。始まってしまった視聴者参加型かぐや争奪合戦。

 

あぁ、1本取られてまたもう1本も.....あ、負けそう。

 

リスナーの華麗なコンボによって圧倒され続けるかぐや。正直もうこれは出来レースだ。

このままじゃ何処の馬の骨かも知らない無職足毛ボーボーのおっさんにntrてしまう。

ここは自分が行くことで事なきを....ん。

 

突如かぐやのアバターが人でも変わったかのように動き始める。

わぁ〜☆すっごいコンボ☆こんなの初めて見るじゃんね☆(小並感)

さっきまでの敵の勢いはなくなり、そのままストレートで勝ってしまう。

 

絶対中身彩葉だ、これ。

負けそうになって交代してもらったな。

 

そのまま選手変わらず、かぐや(彩葉)は見事な腕前で挑戦者全員を撃破していった。

視聴者の夢も虚しく打ち砕かれ、

そして無事、かぐや姫への求婚事件はいろかぐてぇてぇという結果で幕を閉じたのだった。

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

ある日の夕方前。

夕焼けに入ろうと太陽が準備する時間帯に1本の電話がスマートフォンにかかってきた。

 

「珍し...」

 

こんな時間にかけてくるのは決まってかぐやだ。

けれど今日は彩葉とお出かけすると言っていた。

だからこっちには連絡来ないと思ってたんだけど....。

 

「はいもしm『くすり!急いでお薬買ってきて!』..どうした?何があった」

 

着信を受け入れるとまっさきに飛んできたのはかぐやの焦りと悲しみが混じった声。

たるんでいた脳みそが一気に目を覚ます。

 

 

『彩葉が!──』

 

 

 

───

 

 

──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀

 

 

5歳の夏。

蝉の声が止まぬ猛暑日。

隣に新しい一家がやってきた。

その家族が挨拶にきた時のことを、まだ鮮明に覚えている。

 

「──────」

「─────────」

 

両親に連れられ何もする訳でもないまま、玄関前に立つ。

そんな、大人達が定型文のような会話をしている間、脇に立っている一人の男の子と目が合った。

その子はただ見つめるだけで、特に何かを言うわけでもなく、大人達の挨拶が終わるその時まで私をジッと見つめ続けていた。

 

そんな子に何故か私は、強く、強く惹かれた。

理由もわからなかったけど、惹かれていた。

 

それから、同じ保育園に通う中で親しくなり、名前も知った。

 

名前は"いちかわ くすり"と言うらしい。

 

そして、家族としての交流も多くなり、だんだんと親しく、友達として仲を深めていった。

一緒にお父さんからお歌を教えて貰ったり、

お兄ちゃんとくすりとお揃いのゲーム機を買ったり、

海に行ったり、

ゲームをしたり、

映画館へ一緒に遊び行ったり、

雪だるまを作ったり、

学校へ一緒に通ったり、色々なことをくすりと経験した。

 

このままずっと、くすりと一緒に歩んでいけると思っていた。

楽しくてたまらない人生を、謳歌しながら歩んで行けると、

この時は、まだ、思っていた。

 

 

 

小学2年、夏の手前、雨が降りしきる梅雨の時期。

 

お父さんが、死んだ。

 

不慮の事故だった。

 

葬式にはたくさんの人が来てくれて、その中にはくすりの家族も居た。

 

一番前の席からでもよく聞こえた。後ろから啜り泣く音が、布を取り出す音が、死を受け入れる音が。

 

私も大好きなお父さんがいなくなって、ずっと泣いていた。

 

でも、お母さんとお兄ちゃんは泣いてなかった。

 

どっちも真剣な眼差しで、ただ黙々と前を見ていた。

 

だから聞いた。

なぜ泣かないのか。

 

『あんたには分からへん』

 

ただ、そう返ってきた。

 

意味が分からなかった。

なぜ私には分からないのか、どうすれば分かるのか。

 

....だから、答えを求めて、くすりの方を向いたのかもしれない。

 

けど、目に映った現実は、私をさらに孤独にさせるだけだった。

 

くすりは....いや、くすりも涙を流すことなくお父さんの遺影を見つめていた。

その目はとても、何かを知ったような目で。

 

誰よりも、綺麗な目で。

 

 

 

 

それから周りが変わった。

 

お母さんは前よりも厳しくなっていった。

 

以前なら何も言わなかったことでも口うるさく言うようになった。

 

お兄ちゃんは笑顔を見せる時が減った。

 

一人でいる時間が増えていった。

 

くすりの両親とは疎遠になっていった。

 

何故か、避けられているように感じた。

 

 

けど、くすりだけは前と変わらず、一緒に過ごしてくれた。

冗談を言って、私を頼ってくれて、変わらない笑顔を見せてくれた。

お母さんのようにジメジメと正しさを垂れることもなく。

お兄ちゃんのように冷たさを持って接することもない。

いつの間にか心の支えのようになっていた。

 

だからか、そんな日常が続いていつしか私は、くすりのことが、

 

 

 

 

 

『──────。』

 

 

 

 

 

ある日、放課後にくすりの部屋を覗いたことがあった。

 

「(何話してるんだろ)」

 

そこでは、くすりが誰かと話している声が聞こえてきた。

パソコンのモニター画面に写っているのは名前も知らない、凄く賢そうな人達。

そして話題にあるのは、恐らくこの歳で話すことではない、難しい話。

くすりが時折、周りとは違う本を読んでいたり、全く違う視点から物事を捉えていることは学校でも多々あったし、知っていた。

 

だから興味本位でくすりの本を借りて呼んでみた。

 

普通にまっったく分からなかった。

 

そこで私は小学四年生ながらにも理解してしまった。

くすりと自分は生きる世界が違うんだ、と。

 

現実を見せられて、お花畑だった世界は高く果ての見えない壁に囲まれていると気づいてしまった。

 

だけど、それを理解した上で諦めなかった。

諦めたくなかった。

 

だから先ずは、勉強をすることにした。

今から少しでもくすりに近ずけるように。

 

お母さんもこれには感心してくれた。

お兄ちゃんも一緒に勉強を教えてくれた。

くすりには......恥ずかしいから言わないでおいた。

 

それから新しい日常が始まった。

私はどんどん成績をあげて、今まで話したことが無い人とも話す場面が増えていった。

仲のいい友達もたくさん出来た。

自分自身でも笑顔が増えていると感じれた。

くすりも、私が楽しそうにしているのを見て嬉しそうだった。

 

上手くいっていた。

 

努力が、全てを良くしてくれた。

 

少しでも近ずいて、くすりを感じたかった。

 

だから、あとはくすりに追いつくだけだった。

 

 

なのに.....なのに、レールの終わりは予感を感じさせることなく唐突に来た。

 

 

 

「彩葉。俺、海外に行くことなった」

 

 

「......ぇ?」

 

 

くすりは笑みも悲しみもない、無な表情で淡々と言い放った。

その瞬間、私は、どん底に落とされた。

部屋の雑音が少しずつ薄くなって無音に近ずいていく。

 

なんで?どうして?私、頑張ったんだよ?

 

「来週にはもう行かないといけない」

 

くすりと一緒にいるために頑張ったのに...。

 

「それともしかしたら、もうこっちには帰ってこないかも」

 

ねぇ、なんでそんなこと言うの?

 

「だから、最後□お別れ言いに□たんだ」

 

気づいてたんでしょ...? 私の気持ち。

 

「彩□。7年間、一緒にいて□□てありがとう」

 

私がくすりのこと...どう思ってるか。

 

「俺、彩□□□と一生忘□□いよ」

 

ねぇ...、何か言ってよ....くすり、ねぇってば....。

 

「□□□、彩□。ま□な」

 

............。

 

「うん。くすり、また、いつかね..」

「□□、たまに連□□□よ」

 

小学五年生の冬。

最後に短く、そう言葉を交わして、くすりは某国に行ってしまった。

 

普通、今生の別れになるかもしれないのに。

 

何故か、飛行機が見えなくなるまで、

 

 

涙は溢れなかった。

 

 

︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀︿﹀

 

 

 

「........」

 

気が付くと、私はいつもの部屋でいつもの布団に寝かされていた。

なんか、凄く懐かしい夢を見ていた気がする。

 

ていうかなんで、家にいるの?確か不動産屋に連れていかれて....。

もしかしてかぐやが運んでくれたのだろうか。だとしたら力強っ。いやさすがにタクシー使ってるか....。

 

慎重に慎重に首を回すと、台所にたっているかぐやの後ろ姿が目に入った。

......髪伸びたなぁかぐや。

真っ直ぐな金髪がお尻を隠すほどにまで伸びている。初めてここでオムライスを食べた時は背中ぐらいまでだったのに....。

 

「違う!ヤバい....バイト」

 

慌てて跳ね起き上がろうとしたが、布団にしがみつかれて離れられないように身体が持ち上がらない。

 

「彩葉、しんどい?」

「平気、すぐ出るから」

 

駆け寄ってきたかぐやに強がって見せたがやはり身体は言うことを聞かない。

 

「バイト休む連絡入れといたから。彩葉、もう休んで」

「......え、かぐやが?」

「あと、いっぱいふかふか置いといたから、いっぱいふかふかしてね」

「ふかふか?あぁ、ふかふかか」

 

曇った眼鏡をかけたような視界で見回せば、選りすぐりのふかふかぬいぐるみたちが布団の周りを包囲しているのが見えた。

 

「....ありがと」

 

ぬいぐるみの1つを抱きしめてそう言った。まさか、かぐやがここまで気を回してくれるなんて。素直に嬉しかった。

 

「あっ、あと病院!病院行こっ、一緒に」

「え、病院?......は、お金がかかるからやだ」

「そんなもん、かぐやに任しときっ」

 

お玉を持った左手で力こぶを作ってみせるかぐや。....でも、

 

「やっぱり、無理だよ....」

 

「全部ギリギリで予定組んでるから....休日も休んだら、もう追いつけないよ......そしたら奨学金も.....出ないかも....」

 

身体が弱っているせいだろうか、悪いイメージが連鎖する。

考えすぎだってわかっていても止められなかった。

 

「彩葉.....」

 

そんな私をかぐやは潤んだ目で見つめて、

 

「何で彩葉は、そんなに一人で頑張らないといけないの?」

 

生まれて初めて聞くような弱々しい声を漏らした。

 

「うっ、うっ.....かぐやのせい?かぐやのめっちゃ無理言っちゃったし.....彩葉死んじゃったらヤダぁ〜〜〜〜」

 

嘘、泣くの?

みるみるうちにかぐやの大きな瞳から大粒の涙が押され溢れてくる。そこからはもう洪水だ。

 

「お、大げさな....死にやしないよ」

「だって、映画とかだと人間ってすぐ死ぬじゃん!そんでゾンビになって生まれ変わって転生して宇宙に旅立って.....わー、彩葉行っちゃやだー!」

「何個の映画がごちゃ混ぜになってるのよ、大丈夫だから」

 

感情豊かなかぐやだけど、ここまで泣いたのは初めてかもしれない。

さすがに、今日は勉強もやめとくか。

何故か病人の私が看護人のかぐやの背中を擦りながらそう思うのだった。

 

 




短めのお話になっちゃったけど見逃してね〜。

1つ聞きたいことあるんですけどいいですか?いいですね()
昔のこと(小学生時代)って覚えてる人ってどれくらいいるんすかね。
感想とか評価のところからコメントしてくれると作品の参考になるんでおなしゃす。

ちなみに自分はほとんど覚えていなかったです。
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