インフィニット・ストラトス×家庭教師REBORN!―雪零の守護者―』   作:suzuki00

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閑話

アリーナ

セシリアとの激闘、そして白崎零士による驚愕のエキシビションマッチから数日後。

放課後のチャイムが鳴り響き、クラスメイトたちが部活や寮へと引き揚げていく中、織斑一夏は一人、自分の席から動けずにいた。

 

机の上に置かれているのは、2枚のバインダー。

それは先ほど、織斑千冬と白崎零士という学園の「二大トップ」から直々に手渡された、明日からの特別補習の計画書だった。

 

「……なぁ、これ、本当に人間のこなす量か?」

 

一夏は誰もいない教室で、ぽつりと呟いて頭を抱えた。

 

まず、姉である千冬から手渡された【IS実技・操縦基礎見直しメニュー】。

そこには、一夏の『白式』の特性を見抜いた上での、容赦のないメニューが並んでいた。

『限界駆動時の関節負荷耐性訓練:3時間』

『出力微調整のためのホバー静止維持:2時間』

『千冬直卒による、近接ブレード実戦シミュレーション:100本ノック(※障壁完全消耗まで)』

 

「100本ノックって何だよ……。ISでやる練習メニューじゃないだろ、これ。姉貴のやつ、本気で俺をスクラップにする気か……?」

 

だが、それ以上に一夏を戦慄させていたのは、もう一枚。

黒いバインダーに挟まれた、特別非常勤講師・白崎零士の【メンタル・フィジカル統合強化メニュー】だった。

セシリアを「お手玉と四則演算」で劇的に進化させたあの零士が、一夏のためだけに組んだというオリジナルメニュー。

 

『朝5時:外周路ランニング(※背後から零士の愛車「86」が一定速度で追尾。エンジン音の間隔で距離を把握する聴覚・危機察知訓練)』

『午前中座学:IS稼働におけるミリ秒単位のマルチタスク脳内シミュレーション』

『午後実技:目隠し状態での周囲360度からの実弾(ゴム弾)回避訓練』

『夜間:白崎による、対人近接格闘および精神防壁の構築カウンセリング』

 

「……朝5時から背後を車にピタッとつけられて走るって、どんな精神へのプレッシャーだよ……。ちょっとでもペース落としたら轢かれるんじゃねえか、これ……」

 

一夏はバインダーを机に放り出し、椅子の背もたれに深く体重を預けて天井を見上げた。

夕暮れ時の赤い光が教室に差し込み、静まり返った空間が一夏の孤独感をさらに際立たせる。

 

世界で唯一の男性IS適合者。

その肩書きのせいで、周囲からは珍しがられ、時にはセシリアのように敵視され、文字通り魔境のような学園生活が始まったばかりだ。確かに、セシリアに勝てたのは運が良かった。それは自分でも分かっている。実力なんて、まだ何一つ伴っていない。だからこそ、強くならなければならないのは分かっている。

 

「強くならなきゃいけないのは分かってる。分かってるんだけどさ……」

 

二人の規格外の教師による、愛の鞭というにはあまりにも重すぎる「鬼メニュー」。

明日からの地獄のような日々を想像し、一夏はただ一人、迫り来る筋肉痛と、背後から迫る86の重低音の予感に怯えながら、夕闇に染まりゆく教室でいつまでも佇んでいるのだった。

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