インフィニット・ストラトス×家庭教師REBORN!―雪零の守護者―』 作:suzuki00
クラス対抗戦が幕を閉じ、アリーナでの大騒動が一段落したその日の夜。
一夏とシャルの寮生活も板についてきた頃、シャルロットの元にフランスの実家(デュノア社)から一通の極秘通信と書類データが届いた。画面に映る父親の顔は、かつての悲壮感が嘘のように、覇気に満ち溢れていた。
「シャルロット、信じられないことが起きた。我がデュノア社に、イタリアの巨大複合企業から天文学的な額の融資が入った。それだけではない。彼らが提供してくれた次世代エネルギー制御の特許技術により、我が社のIS開発は世界トップへと一躍返り咲いたのだ! お前がもう、男の振りをして命の危険を冒す必要すらなくなるかもしれない!」
「え……? そんな、奇跡みたいなこと……」
通信が切れ、シャルロットは送られてきた契約書や融資元、技術提供の仲介データの暗号を、自室のベッドの上でIS端末を使って何気なく解析していた。実家を救ってくれた謎の巨大資本の正体を知りたかったのだ。
だが、何重にもカモフラージュされた電子の海を遡り、その資金調達の決済シグナル、そして技術提供の承認サインの末端に刻まれていた「暗号化された個人認証コード」を復元した瞬間――シャルロットは息を呑んだ。
『認証者:S. REISHI』
「え……? しら、さき……? 白崎先生……!?」
頭に浮かんだのは、いつもブラックスーツを完璧に着こなし、あの朝、ラウラの手首を冷徹に掴んで自分たちを守ってくれた特別非常勤講師の姿。
そしてつい数時間前、あのバトルフィールドで規格外の白銀の武装【氷零の終焉騎士】を纏い、暴走したVTシステムを一刀両断にしてラウラを無傷で救ってみせた、あの圧倒的な絶対強者の姿だった。
「嘘……。フランス政府すら動かせなかったデュノア社を、世界トップ企業に一晩で返り咲かせるような技術と資本の影に……どうして、あの先生がいるの……?」
昼間見た、ISを遥かに超越したVISの力。そして夜に知った、世界を裏から動かす天文学的な資本と権力の力。
そのあまりにも規格外な規模の大きさと、何より、男の振りをしていずれ壊れるはずだった自分を、自分の家族を地獄の底から完璧に救い出してくれたのが、身近にいる「あの男」だったという衝撃。
クラス対抗戦の熱が冷めやらぬ夜、すべてを察したシャルロットは、携帯端末を胸に抱きしめたまま激しく顔を赤らめ、トクトクと高鳴る鼓動を抑えることができなかった。
(白崎先生……貴方は、一体何者なのですか……?)
翌朝、教壇に立つ零士の姿を見たシャルロットは、いつも通り「シャルル」として振る舞おうとするものの、胸の奥がキュッと締め付けられ、猛烈に彼を意識して視線を赤面したまま彷徨わせてしまうのだった。