インフィニット・ストラトス×家庭教師REBORN!―雪零の守護者―』 作:suzuki00
青い空、どこまでも続く白い砂漠、そして照りつける太陽。
『インフィニット・ストラトス(IS)』学園の一行がやってきたのは、南国のリゾート地を思わせる美しい海岸だった。
その喧騒から少し離れた場所――
パラソルの影の下では、まったく別の時間が流れていた。
波音をBGMに、簡易テーブルの上にはビール缶が二つ。
「……こうして見ると、本当にただの臨海学校だな」
白崎零士は缶を軽く揺らしながら、砂浜の様子を眺める。
隣では、黒のビキニを無駄なく着こなした織斑千冬が、同じように視線を海へ向けていた。
鍛え抜かれた体にシンプルな黒――余計な装飾が一切ない分、その完成度が際立っている。
「不満か?」
「まさか。むしろ……」
零士は一口飲んで、小さく息を吐く。
「こういう時間の方が、珍しい」
「……だろうな」
イタリアに居る時は、ゆっくり出来る時間は余りないのでね。と言い、零士も缶を傾け飲み干す。
短く返しながらも、千冬もまた缶を傾ける。
一瞬の静けさ。
だが、それも長くは続かない。
「おーい! 何やってんのよ二人ともー!」
リンの声が飛んできた。
振り向けば、水色のビキニが太陽の光を弾きながら駆けてくる。
その後ろには、箒、セシリア、シャルル、ラウラ――全員が揃っていた。
「教師が二人してサボり? 良くないんじゃない?」
「サボりじゃない。監視だ」
即答する零士に、リンは呆れた顔をする。
「どう見ても酒飲んでるだけでしょ」
「それも仕事のうちだ」
「どんな仕事よ……」
そんな軽口を交わしながら、零士はゆっくりと立ち上がる。
そして――視線を一人ずつへ。
「まあ、監視対象がこれだけ目立てばな」
その一言に、全員が一瞬きょとんとする。
「……どういう意味ですの?」
セシリアが首を傾げる。
零士は少しだけ口元を緩めた。
「そのままの意味だ。目立ちすぎだろ」
そう言って、まずリンへ視線を向ける。
「鳳。動きやすさ重視の水着だな。お前らしい。無駄がないし……目が行く」
「なっ……!? い、いきなり何よ……!」
顔を赤くしながらも、まんざらでもなさそうにそっぽを向くリン。
次に箒へ。
「篠ノ之。似合ってる」
短いが、まっすぐな言葉。
「その……控えめなデザイン、逆に目立つな」
「なっ……!?」
箒は一瞬で顔を真っ赤にし、視線を逸らす。
「お、お前は……そういうことを平然と言うのか……!」
「思ったことを言っただけだが?」
さらに、セシリアへ。
「オルコット。さすがだな」
「え?」
「高級感が違う。似合いすぎてて……周囲と格が違う」
「……っ!」
セシリアは一瞬言葉を失い、その後ふわりと笑う。
「ふふ……当然ですわ。ですが……悪くありませんわね、その評価」
次はシャルル。
「デュノア」
「う、うん……」
「反則だな、それ」
「え?」
「自然すぎて、無防備に見える。……一番危ないタイプだ」
「な、なにそれ……」
照れながらも、少し嬉しそうに微笑むシャルル。
最後にラウラ。
「ボーデヴィッヒ」
「なんだ」
「似合いすぎだ」
「……それだけか?」
「いや――」
ほんの少し間を置いて、
「強さがそのまま出てる。ああいうのは、真似できるもんじゃない」
ラウラは一瞬黙り、そして小さく鼻を鳴らす。
「フン……当然だ」
だが、その耳はわずかに赤かった。
一通り言い終えた零士は、再び缶を手に取る。
「で、監視対象は満足したか?」
「満足なわけないでしょ!!」
リンのツッコミが炸裂し、場の空気が一気に弾ける。
笑い声が広がる中――
千冬はその様子を見ながら、静かに呟いた。
「……お前、意外と器用だな」
「何がです?」
「空気の作り方だ」
零士は少しだけ肩をすくめる。
「これくらい出来ないと、やってられませんよ」
「違いない」
そう言って、千冬はビールを飲み干した。
その視線の先では――
再び始まる騒がしいやり取りと、弾ける笑顔。
束の間の平和。
だが確かにそこにある、かけがえのない時間だった。