インフィニット・ストラトス×家庭教師REBORN!―雪零の守護者―』   作:suzuki00

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【臨海学校:眩しい砂浜と、分別ある男の優雅な休息】

【臨海学校:眩しい砂浜と、分別ある男の優雅な休息】

青い空、どこまでも続く白い砂漠、そして照りつける太陽。

『インフィニット・ストラトス(IS)』学園の一行がやってきたのは、南国のリゾート地を思わせる美しい海岸だった。

 

「おーい、一夏ー! 早く来ないと置いてっちゃうぞ!」

ビーチバレーのネット際で、水色のビキニに身を包んだリンがブンブンと手を振っている。その隣では、どこか恥ずかしそうにフリルの付いた白い水着の裾を引っ張っている箒が佇んでいた。

 

「まったく、織斑くんは準備が遅いですね。イギリスのレディを待たせるなんて、万死に値しますよ?」

パラソルの下で、いかにも高級そうなセレブ水着をまとい、優雅にトロピカルジュースを飲んでいるのはセシリア・オルコットだ。しかし、その視線はチラチラと、男子更衣室の出口へと向けられている。

 

「……一夏、遅い。……早く一緒に、泳ぎたい」

スクール水着風ながらも身体のラインが強調された水着を着たシャルルが、砂浜に座り込んでポツリと呟く。さらにその影から、黒いビキニをクールに着こなしたラウラが、腕を組んで鋭い視線を走らせていた。

 

「フン、我が嫁(一夏)との『初めての共同遊泳』だ。邪魔者は容赦せんぞ」

 

「お、待たせたな、みんな!」

ようやく海パン姿の織斑一夏が姿を現すと、ビーチの空気が一変した。

少女たちの視線が一斉に一夏の鍛え上げられた肉体に集まり、一瞬の静寂ののち、目に見えない火花が散る。

 

「一夏! 私とビーチバレーのペア組みなさいよ!」

「なっ、リン、ずるいぞ! 織斑くん、私と砂の城を作る約束を……!」

「何を言っているのですか、お二人とも。織斑くんは私と海のお散歩(パラセーリング)に行くのです!」

「……一夏、日焼け止め、塗ってほしいな?」

シャルルが少し上目遣いで、日焼け止めのボトルを差し出す。その破壊力抜群のセリフに、周囲の女子たちが「なっ……!?」と息を呑む。

 

「ほう。ならば私は、一夏に日焼け止めを『塗ってやる』ことにしよう。安心しろ、軍隊仕込みの完璧なマッサージ付きだ」

ラウラが不敵に笑いながら身を乗り出す。

 

「え? ああ、みんなありがとな。じゃあ、まずはみんなでスイカ割りでもしないか? ほら、先生がスイカ持ってきてくれたぞ」

一夏が緊張感ゼロの爽やかな笑顔で指さした先には、ジャージ姿のままビール缶を片手に持った織斑千冬と、それをオロオロと準備する山田真耶先生の姿があった。

 

「一夏、お前が最初に行け。外したら、今日の晩飯は抜きだ」

「えぇっ!? 姉貴、臨海学校なのにそんなサバイバルなルール!?」

 

結局、目隠しをされた一夏が、女子たちの「もっと右よ!」「いえ、左ですわ!」「一夏、私の声だけを信じろ!」というバラバラな指示に翻弄され、最終的にすっ転んで砂まみれになる、というお約束の展開に。

 

「あはは! 一夏、顔が砂だらけ!」

リンが笑いながら、ハンカチで一夏の顔を拭う。

「も、もう……世話が焼けるな、お前は」

箒が顔を赤くしながらも、嬉そうに一夏の手を引いて立ち上がらせる。

 

「……ふふ、やっぱり来てよかったね、一夏」

シャルルが隣で優しく微笑み、セシリアも「ですわね」と満足そうに頷く。ラウラは一夏の腕をがっしりとホールドして「これで私の勝ちだな」と勝ち誇っていた。

 

そんな一夏を巡るいつもの狂騒劇を、少し離れたパラソルの特等席から、サングラス越しに眺めている男がいた。

学園から一人、愛車のTOYOTA 86を駆って先着し、IS学園が泊まる宿への荷物搬入と機材の初期調整を完璧に終わらせていた非常勤講師――白崎零士である。

 

ラフな海パンに薄手のシャツを羽織った零士は、冷えたドリンクを片手に、隣のチェアに腰掛ける千冬へと視線を向けた。

 

「千冬先生、真耶先生。……ほら、言ったでしょう。俺が車で先に来て正解だった、と」

 

零士が呆れ半分、確信半分のトーンで呟く。

もし自分がバスに同乗していたら、あるいは車で来ることを事前に彼女たちに知られていたら、今頃一夏に向けられているあの猛烈な熱量の半分以上が、自分へと向かって地獄の争奪戦を引き起こしていただろう。一夏が砂まみれで済んでいるのは、ある意味で零士が身を隠しているおかげでもあった。

 

千冬はビール缶を傾け、楽しげに砂浜を走り回る生徒たちを見つめながら、フッと口元を緩めた。

 

「フン、認めざるを得ないな。あいつらのあのエネルギーを二等分、いやお前に一極集中させていたら、出発前にバスが物理的に大破していたところだ。お前の『分別』に感謝するよ、白崎」

 

「え、ええ……。本当に白崎先生が秘密裏に先回りしてくださって良かったです……。もしバレていたら、今頃ビーチの平和が……」

真耶先生もホッとしたように胸をなでおろしている。

 

「俺はあくまで非常勤講師、裏方ですから。……さて、一夏のライフが完全にゼロになる前に、そろそろ機材の最終チェックにでも戻りますかね」

 

零士はグラスを置くと、パラソルの影から立ち上がり、砂浜の喧騒とは一線を画すように、大人の余裕を纏って静かに歩き出す。

 

波の音と、女子たちの賑やかな笑い声。

IS学園の臨海学校は、一夏を巡るいつもの騒がしさと、少しの甘い空気、そしてそれを遠巻きに見守る有能な講師の存在によって、最高の夏色に染まりながら更けていくのだった。

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