インフィニット・ストラトス×家庭教師REBORN!―雪零の守護者―』   作:suzuki00

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砂浜:『暮桜・調律型』のテスト起動

■ 砂浜:『暮桜・調律型』のテスト起動

束が去った後、箒が一人で佇んでいると、砂浜の向こうから織斑千冬と白崎零士の二人が歩み寄ってきた。

 

「おい、箒。一人で何をぼさっとしている」

 

「千冬、姉……。それに白崎先生も」

 

箒はハッとして、先ほどまで握りしめていた銀のサクラのチャームをそっと掲げた。

 

「あの、千冬姉……さっき、お姉ちゃんが来ました」

 

「! 束が……!?」

 

千冬が驚きに目を見開く。いつもなら「あのバカが」と吐き捨てるはずの彼女だったが、箒の口から語られた束の言葉――「今の自分が近づくと迷惑になるから」「元気にやってるよと伝えて」という、かつての奔放な狂気からは考えられない『良識ある親友としての気遣い』を耳にし、千冬は複雑そうに視線を落とした。

 

「そうか。あいつなりに、弁えていたというわけか……」

 

「ええ。それにこれを、私に。出力を尖らせただけの以前の失敗作ではなく、世界で一番安全で優しいバランス型に作り直した、と言っていました」

 

その言葉に、千冬は隣に立つ零士をチラリと見た。零士はいつも通り、退屈そうに海を見つめたまま、フッと口元を綻ばせる。

 

「言ったはずだ、織斑先生。ボンゴレの調律師(スパナや入江)の手が入ったんだ。あれはもう、世界を狂わせる欠陥兵器じゃない。持ち主を絶対に傷つけない、ただの『優しい力』さ。……箒、さっそく起動してみろ。テストの立ち会いは俺と織斑先生が引き受ける」

 

「はい!」

 

箒がチャームを胸に強く念じると、彼女の内に眠る『雪の守護者候補生』としての透明な「雪の炎」が無自覚のまま起動回路へと安全に変換される。

瞬時に光が弾け、彼女の身体を包み込んだのは、純白と淡い桜色の装甲を持つ『暮桜・調律型(シンフォニア)』であった。

 

そのあまりにも調和の取れた、IS特有の荒々しいプレッシャーを一切放たない穏やかな波動に、遠巻きに見ていた各国の代表候補生たち――セシリア、リン、シャルロット、ラウラも、驚愕の声を漏らす。

 

「な、なんて美しい機体ですの……!?」

「それに、あの安定感……IS固有の反動が全く感じられないわ」

 

千冬もその完璧なバランスに目を見張った。

「これが、束とボンゴレの技術か……。信じられんほどに安定している。これなら箒の身体への負荷は皆無だ」

 

 

■ 急転:シルバー・ゴスペル襲来

しかし、その穏やかな空気は、突如として引き裂かれた。

 

アリーナの管制室から、激しい警告音がビーチのスピーカーを通して響き渡る。

『緊急警告! ハワイ沖にて実験中だったアメリカ・イスラエル共同開発の第3世代型IS【シルバー・ゴスペル】が暴走! 超高速で本ビーチへと接近中! 生徒は直ちに退避してください!』

 

「チッ、始まったか……!」

 

千冬が表情を険しくする。

遠くの水平線の彼方から、凄まじい衝撃波を撒き散らしながら、巨大な銀色の翼を持つ怪物――シルバー・ゴスペルが、その圧倒的な軍事出力を暴走させながら迫り来るのが見えた。

 

「一夏! 他の代表候補生たちを指揮して避難誘導を急げ! 箒、お前はまだテスト起動の段階だ、無理をするな!」

 

「ですが、千冬姉!」

 

防戦一方になりかける学園の面々。しかし、その怪物の前に、一人の男がゆったりと歩み出た。ブラックスーツのネクタイを緩めながら、白崎零士が水平線を冷徹に見据える。

 

「ハワイからのお出ましとは、随分と行儀の悪い兵器だな。……織斑先生、生徒たちのバックアップは任せたぞ。ここからは、ボンゴレ(俺たち)の領域だ」

 

零士が胸元のロザリオに手をかけると同時に、彼の携帯端末にイタリア本部からの暗号通信が入る。

 

『九代目、および沢田綱吉より直命。シルバー・ゴスペルの暴走の裏に、裏社会の新興マフィアによる制御OSの強奪・ハッキングを確認。これよりボンゴレ部隊、現地の抑止とハッカーの排除に動く』

 

「了解した。これより迎撃(調律)を開始する」

 

零士の言葉に応じるように、彼の身体が眩い光の粒子に包まれる。

 

■ 氷零の終焉騎士、再び

光が収まった砂浜に君臨したのは、左右で性質の異なる一対の翼――純白の氷晶翼と漆黒の氷刃翼を広げた、圧倒的な威容【氷零の終焉騎士(フロスト・エンドワルツ)】。

足元の砂浜が一瞬で凍りつき、完璧な幾何学模様の『絶対零度結界』がビーチ全体を覆うように展開される。これによって、シルバー・ゴスペルが放つ熱線や衝撃波は、生徒たちに届く前にすべて空気ごと凍結され、霧散していく。

 

「な、何ですのあの圧倒的な結界は……っ! 私たちの障壁とは次元が違いますわ!」

 

避難誘導中だったセシリアが、その美しくも絶対的な防御力に目を奪われる。

 

「おのれ、バカげた出力で我が物顔をするな、デカブツが」

 

零士は武装一覧から、左右の連結が可能な大型重火器『ツインバスターライフル』を瞬時に新造し、両手に構えた。

 

「凍りつけ」

 

極限まで圧縮された氷結粒子が、咆哮を上げてシルバー・ゴスペルへと放たれる。その一撃は、ゴスペルの誇る強固な絶対障壁を紙切れのように凍らせて粉砕し、その機動力の象徴である銀色の翼を、一瞬で片方、完全に氷漬けにして沈黙させた。

 

ギチギチと悲鳴を上げるシルバー・ゴスペル。

だが、物語はこれだけで終わらない。零士の圧倒的な迎撃と連動するように、周囲の空間の『霧』が急速に濃くなっていく。

 

「クフフ……表の兵器がどれほど進化しようとも、闇に潜むマフィアの小細工など、ボンゴレの敵ではありませんよ」

 

霧の向こうから、冷酷な笑い声とともに六道骸の幻術の炎が燃え上がる。

シルバー・ゴスペルを裏で操っていたテロ組織の通信回路は、骸の精神支配によって完全にジャミングされ、ハッカーたちは自らの仕掛けた暴走システムに逆に脳を焼き切られ、次々と沈黙していった。

 

「一気にケリをつけるぞ、織斑箒! 新しいその機体の力、俺に見せてみろ!」

 

零士がツインバスターライフルを長刀へと変形させ、突撃の構えをとる。

 

「はい、白崎先生……! お姉ちゃんが、みんなが繋いでくれたこの力で……私はみんなを守る!!」

 

焦燥を捨て去り、真の『調和』の力を得た箒の暮桜が、純白の光を放ちながら零士の背中を追って大空へと飛び立った。

ボンゴレの闇の調律と、新生したISの力が交錯する、真のシリアスな戦闘が幕を開ける――。

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