インフィニット・ストラトス×家庭教師REBORN!―雪零の守護者―』 作:suzuki00
■ 終焉の処刑:神域の断罪
「ガ、アアアアアアアアッ!!!」
セカンド・シフトを遂げ、神の如き威容を誇っていたシルバー・ゴスペルが、本能的な恐怖に駆られたように咆哮する。ハバクク(広域エネルギー集積展開翼)から、最大出力の熱線と光弾が、逃げ場のない全方位へと狂ったように解き放たれた。
しかし、空間そのものを完全に支配する『絶対零度結界・極』の前では、その絶大なる破壊の光すら無意味だった。
零士の周囲に迫った熱線は、直撃するよりも早く熱運動を強引に停止させられ、光の軌跡を残したままパリパリと不気味な音を立てて空間ごと凍りついていく。
「無駄だ。俺の領域(世界)では、光も、熱も、時間すらも俺の意志に従う」
漆黒の死神の翼をはためかせ、残像すら置き去りにする超高速で突撃する零士。その手にある巨大な『大鎌』が、死ぬ気の炎と氷結エネルギーの共鳴によって、不気味なマーブル状の輝きを放つ。
「……消え失せろ」
すれ違いざま、零士が静かに大鎌を振り抜く。
ただの一閃。しかしそれは、対マフィアモード時に解放される、すべての次元に干渉する断罪の一撃だった。
キィィィィィィン――!!!
金属の擦れるような、世界の悲鳴のような音が響き渡る。
次の瞬間、ゴスペルの誇る強固な装甲と、臨界点を超えていたエネルギー回路が、斬られたという事実すら置き去りにして、根元から「漆黒の氷結晶」へと変質していった。
「な……なにあれ……。ゴスペルのエネルギー反応が、消滅していく……!?」
ラファール・リヴァイヴのセンサーを見ていたシャルロットが、驚愕に声を震わせる。
大鎌に触れた部位から順に、ゴスペルの存在そのものが凍結・浄化され、粒子となって虚空へと消え去っていくのだ。それは破壊ではなく、存在の抹消。死神の翼を持つ騎士だけが許された、絶対的な調律だった。
■ 決着:そして、日常の光
シルバー・ゴスペルだった白銀の巨体は、最後の悲鳴をあげることも許されず、大気ごと完全に凍りつき、最後は美しい氷の粉となって夏の青空へと霧散していった。
静寂が、洋上の空域を支配する。
あれほどの脅威だった暴走ISが、傷一つ残さず「消滅」させられたのだ。
「はは……。やっぱり、あの先生には敵いそうにねえな……」
一夏が白式の武装を解きながら、呆然と、しかし深い安堵をため息に乗せて漏らした。
「白崎、先生……」
箒が機体を静かに下降させ、ゆっくりとこちらへ舞い降りてくる零士を見つめる。
役目を終えた零士のVISは、漆黒の翼を光の粒子へと還し、ゆっくりと通常の形態、そしていつものブラックスーツ姿へと戻っていった。
零士は口元の血を親指で乱暴に拭い、まだ硬直している生徒たちを退屈そうに見遣る。
「……終わったぞ。おい、織斑、箒」
「は、はい!」
箒が背筋を伸ばして応じる。
「お前の姉の技術と、ボンゴレの調律は本物だった。あの状況でお前が機体の制御を失わなかったからこそ、俺も余計な心配をせずに済んだ。……及第点だ」
「白崎先生……! ありがとうございます!」
箒の瞳に、今度は嬉し涙がじわりと浮かぶ。
セシリアやラウラ、シャルロットに鈴も、一斉に零士の周りへと集まってきた。
「もう! 本当に心臓が止まるかと思いましたわよ!」
「先生、怪我の具合は!? 私が看病してあげる!」
「いや、ドイツの医療技術を私が……!」
またしても始まった少女たちの騒がしいアプローチに、零士は盛大にため息をつき、通信回線を開いた。
「織斑先生、聞こえるか。……バカ騒ぎの片付けは終わった。これより帰還する。冷たいビールでも用意しておいてくれ」
『……フッ、了解した。よくやった、白崎』
千冬の、いつもより少しだけ柔らかい声が通信の向こうで響く。
イタリアのモニター室では、ツナたちが「よかったぁ……!」と崩れ落ちるように安堵し、リボーンがニヤリと不敵に笑っていた。
波乱に満ちた臨海学校。しかし、ボンゴレの最強の調律師(暗殺者)と、真の優しさを得た専用機たちの絆は、この激戦を経てより一層、強固なものへと変わっていくのだった。