インフィニット・ストラトス×家庭教師REBORN!―雪零の守護者―』   作:suzuki00

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戦闘終了後:洋上から砂浜へ

■ 戦闘終了後:洋上から砂浜へ

シルバー・ゴスペルが美しい氷の粉となって消え去った後、空中には一つの人影が残されていた。ゴスペルに無理やり乗せられ、システムの暴走に巻き込まれていた少女――パイロットのナターシャ・ファルサスである。

 

「一夏、受け止めろ!」

 

「おう!」

 

零士の指示に一夏が瞬時に反応し、意識を失って落下していくナターシャの身体を『白式』の腕で優しく抱きとめた。機体は完全に消滅したものの、ボンゴレの「存在そのものを凍結・浄化する」断罪の刃は、ナターシャの生体反応だけを完璧に保護し、無傷のまま切り離していたのだ。

 

「よかった……。この子、どこにも怪我はないみたいだ」

シャルロットがナターシャの容態を確認し、胸をなでおろす。

 

「フン、あのデカブツの装甲だけを都合よく消し去るとはな……。やはり、あの男の力は底が知れん」

ラウラは誇らしげに、そして熱い視線を零士へと向けた。

 

■ 砂浜の木陰:霧の調律

ビーチへと帰還し、ナターシャが医療班へと引き渡された後。

一夏や代表候補生たちが安堵に包まれる中、零士は一人、喧騒から離れたパラソルの影へと歩みを進めていた。

 

今回の一件で、一夏たちや学園の教師陣は、零士が放った「死ぬ気の炎」の圧倒的な波動を間近で目撃してしまった。世界のパワーバランスを揺るがしかねないボンゴレの「炎」の概念を、これ以上表の世界の住人に深く追及させるわけにはいかない。

 

並木の影に差し掛かったその時、空間がぐにゃりと歪み、藍色の霧と共に一人の男が姿を現した。

 

「クフフ……。ずいぶんと手荒な『調律』でしたね、零士」

 

三叉槍を携えた六道骸が、不敵な笑みを浮かべてそこに立っていた。

 

「待たせたな、骸。……例の件、頼めるか」

 

「ええ。あなたがあそこまで派手に炎を撒き散らしては、後始末をするこちらの身にもなってほしいものです。IS学園の生徒や教師たちの脳内に直接干渉し、あの『炎』に関する記憶だけを、不自然のない戦闘記録へと書き換えておきましょう。……もっとも、タダで動くほど僕は安い男ではありませんが?」

 

骸がオッドアイの瞳を悪戯っぽく細める。零士はあらかじめ用意していた、保冷機能のある小さな高級デパートの袋を、無造作に骸へと放り投げた。

 

「お前の取り分だ。イタリアの老舗ブランドの最高級ダークチョコレート。お前が霧の幻術(カモフラージュ)で裏社会のハッカーどもを綺麗に片付けてくれた報酬も兼ねている」

 

受け取った袋の中身を確認した骸は、満足そうにフッと口元を和ませた。

 

「クフフ……話が早くて助かります。僕の好物をよく分かっているじゃないですか。これほどの逸品をいただけるのなら、そのお安い御用、完璧にこなしてみせましょう」

 

骸が静かに右手をかざすと、彼の右目に「六」の文字が浮かび上がり、濃厚な霧の炎がビーチ全体へと、誰にも気づかれないほど優しく、精神の奥底へと染み渡るように広がっていった。

 

■ 黄昏のビーチ:書き換えられた記憶

数分後。

夕日に染まる砂浜で、一夏や箒たちは、集まって何やら首を傾げていた。

 

「あれ……? シルバー・ゴスペルを倒した時って、白崎先生、確かものすごい『ビーム』か何かを撃ってなかったっけ?」

一夏が頭を掻きながら、記憶のモヤを振り払うようにつぶやく。

 

「何を言っているの一夏。先生のVISが、あの圧倒的な『絶対零度結界』でゴスペルの動きを完全に停止させて、最後は長刀で一刀両断にしたに決まっていますわ」

セシリアが当然のように胸を張る。

 

「そうそう! あの氷の粒子が光って、まるで銀河みたいに綺麗だったよね!」

鈴やシャルロットも、何の違和感もなくそれに同意した。

 

彼女たちの記憶の中からは、あの禍々しくも神聖な「漆黒の死ぬ気の炎」の光景だけが、綺麗に「VISの超高出力な氷結エネルギーの演出」へと書き換えられていた。千冬や山田先生の観測データも同様に、ボンゴレの技術(ハッキングと幻術の融合)によって、完璧に「第4世代型ISの未知のエネルギー」として処理されている。

 

「おい、お前たち。いつまでそうやって群れている。さっさと宿舎に戻って夕食の準備でもしろ」

 

ブラックスーツのジャケットを肩にかけ、何事もなかったかのように歩いてくる零士の姿に、ラウラと箒がパッと顔を輝かせて駆け寄る。

 

「白崎先生! 先ほどの戦い、見事だった!」

「先生、あの、暮桜を……私を守ってくださって、本当にありがとうございました!」

 

「フン、自分の身くらい自分で守れるようになれ。……行くぞ」

 

ぶっきらぼうに歩き出す零士の後ろを、一夏や少女たちが賑やかに追いかけていく。

 

表の世界の記憶は綺麗に「調律」され、残されたのは、圧倒的な強さで自分たちを救ってくれた『白崎先生』への、さらに深まった信頼と恋心だけ。

ボンゴレの影に守られたIS学園の日常は、こうして再び、穏やかな夕暮れの中へと溶けていくのだった。

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