インフィニット・ストラトス×家庭教師REBORN!―雪零の守護者―』 作:suzuki00
ゴスペル奪取作戦と、裏の防衛線
1. 亡国機業の影と、ボンゴレの密命
臨海学校での『シルヴァリオ・ゴスペル』戦の傷も癒えぬ頃。
アメリカから緊迫した報せが届いた。ゴスペルの正式な操縦者(テストパイロット)であるナターシャ・ハルファスが、機体の移送中に何者かの襲撃を受け、日本近海で行方不明になったというのだ。
「――やはり、動いたか」
深夜のIS学園、教員用宿舎の一室。白崎零士は、ボンゴレ本家(十代目)からの暗号通信を端末で受け取っていた。
『零士、アメリカから奪われたゴスペルとナターシャさんの行方を追ってほしい。襲撃したのは「亡国機業」。だけど、彼らの後ろには、ボクたちの敵対勢力である欧州の過激派マフィア連合が深く関わっているみたいだ。彼らの狙いは、ゴスペルのコアにマフィアの技術(匣兵器など)を組み込み、軍事バランスを崩すこと……』
「了解しました、十代目。学園(こちら)の防衛線は死守します」
亡国機業の幹部・スコール・ミューゼル、そして一夏に酷似した容姿を持つ謎の少女、織斑まどか。彼らがマフィアの資金と技術を隠れ蓑にして、再び日本へ牙を剥こうとしている。
零士は静かに立ち上がり、首元の雪のロザリオに触れた。
学園にはまだ、この危機は知らされていない。だが、すでに零士の「助手席の記憶」を共有する4人の花嫁たち、そして裏の同盟を結んだ更識楯無は、それぞれの情報網でこの異変をいち早く察知していた。
2. 襲撃の夜、コンテナドックの罠
数日後、亡国機業の潜伏先である臨海エリアの放棄されたコンテナヤード。
スコールとまどかが率いる襲撃部隊は、拘束したナターシャと、強奪したシルヴァリオ・ゴスペルを密輸用のコンテナ船へ積み込もうとしていた。
「ふふ、これで『ゴスペル』のコアは私たちのもの。欧州の“あの方たち”も、さぞお喜びになるわ」
煙草を燻らせながら不敵に笑うスコール。その傍らで、黒いIS『黒騎士』を纏った織斑まどかが冷酷な瞳で海を見つめている。
「……待ちなさい」
闇を裂いて現れたのは、セシリア、シャルロット、ラウラ、箒の4人だった。彼女たちは学園の命令ではなく、零士の戦いに自らの意思で同行してきたのだ。
「あら、IS学園の可愛いお人形さんたち。一夏くんなしで何ができるのかしら?」
まどかが嘲笑うと同時に、周囲のコンテナから、マフィアの最新鋭の重火器で武装したサイボーグ兵士たちが一斉に姿を現した。
「私たちは、もうただ守られるだけの存在ではありませんわ!」
セシリアの『ブルー・ティアーズ』が展開し、シャルロットの『ラファール・リヴァイヴ』の銃口が火を噴く。ラウラと箒もまた、軍人としての戦術と、暮桜・調律型の圧倒的な出力でマフィアの兵隊を圧倒していく。
だが、敵の真の狙いは彼女たちではなかった。
「油断したわね、お嬢さんたち。――システム起動。ゴスペル、暴走(ハック)しなさい」
スコールが端末を叩いた瞬間、厳重にロックされていたシルヴァリオ・ゴスペルが、禍々しい赤い光を放って強制起動した。囚われたナターシャの意識を乗っ取り、都市一つを壊滅させかねない超高出力のエネルギー波が、セシリアたちに向けて放たれようとする。
「しまっ――防壁が間に合わない!?」
ラウラが叫んだ、その刹那。
3. 漆黒のポルシェ、戦場を凍てつかせる
キキィィィィッ!!! と、夜の静寂を切り裂いて、一台の漆黒のポルシェ911がコンテナの壁を突き破ってエントリーした。
凄まじい横滑りでゴスペルの射線上に滑り込んだポルシェ。その運転席から、全身から微細な白銀の気配を立ち上らせた白崎零士が降り立つ。
「俺の身内(ファミリー)に、無粋な光線を向けるな」
――展開(リリースカスタム)。
零士が『雪のロザリオ』を解放した瞬間、ゴスペルが放った一撃も、亡国機業の重火器の嵐も、零士の纏う白銀の装甲(VIS)に触れた瞬間にエネルギーを完全に『凍結・停止(フリーズ)』され、パラパラと無害な光の粒子となって霧散した。
「な……何よあの男は!? ISじゃない……あんな不条理な防壁、聞いたこともないわ!」
スコールが初めて驚愕に顔を歪める。
「セシリア、シャル、ラウラ、箒。ナターシャを救出し、ゴスペルの身柄を確保しろ。……あいつらは、俺が間引く」
零士が巨大な大鎌を構え、白銀の死神として亡国機業の軍勢へと突撃する。
血飛沫も爆音もない、絶対的な『静止』の処刑。4人の花嫁たちは、零士への絶対的な信頼を胸に、息の合った連携でゴスペルのコクピットへと肉薄し、囚われていたナターシャを無事に救い出した。
「チッ、ここまでね。まどか、撤退よ!」
零士の圧倒的な力(ボンゴレの雪の技術)の前に、スコールとまどかは悔しげに奥歯を噛み締めながら、闇の中へと逃走していった。
4. 境界線の保護
戦いが終わり、救出されたナターシャ・ハルファスは、気絶したままポルシェの助手席へと優しく寝かせられた。
「……お疲れ様、死神くん。こちらの情報操作も完璧よ」
通信端末から響いたのは、学園の管制室で更識家のネットワークを駆使し、この戦いのすべてを日本政府やアメリカ(CIA)から隠蔽(カモフラージュ)しきった生徒会長・更識楯無の声だった。
「ナターシャとゴスペルのコアは、ボンゴレ財団の医療班と技術班が保護する。これでアメリカ側も文句は言えまい」
零士は装甲を解き、冷徹に告げた。
怪我を負ったナターシャを保護し、亡国機業の計画を水際で阻止した零士たち。しかし、スコールとまどかを逃したことは、これがまだ「始まり」に過ぎないことを意味していた。
裏で糸を引く欧州マフィア連合は、この敗北を経て、ついにIS学園そのものを抹殺するための『総力戦』へと舵を切ることになる。
セシリア、シャルロット、ラウラ、箒の4人は、傷ついたナターシャを見つめながら、自分たちが守り抜いた「裏の勝利」の重さを、改めてその肌で実感していた。
(これでいい……。私たちは、あなたの隣で、この世界を最後まで守り抜く)
日常の裏側で、絆を深めたファミリーの戦いは、ついに亡国機業との「大風呂敷の最終決戦(IS学園沈黙の日)」へと繋がっていく。
(第四幕:ゴスペル奪取作戦と、裏の防衛線 完)