インフィニット・ストラトス×家庭教師REBORN!―雪零の守護者―』 作:suzuki00
第三部・『日常への帰還(リターン)、あるいは嵐の前の平穏』
1. 翌朝、地獄のグラウンドにて
「おい、白崎非常勤講師」
翌朝、雲一つない快晴のIS学園第1グラウンド。 仁王立ちする織斑千冬の足元には、昨日泡を吹いて倒れたはずの山田先生が、ゲッソリとした顔でストップウォッチを握りしめている。そしてその前には、体操着姿の零士、そして箒、セシリア、シャルロット、ラウラが並んでいた。
「……はい、千冬姐さん。じゃなかった、織斑先生」
「貴様らが昨日、アリーナでコソコソと『イタリアへの逃亡(バカンス)計画』を練っていたことは、すべて山田の耳に入っているぞ。風紀を守った功績は認めるが、学園のルールを乱そうとした事実に変わりはない。……全員、死ぬ気の腕立て伏せ3000回、スタートだ」
「織斑先生、私は昨日、真っ先に零士の説得に応じたのだが!」 ラウラが理不尽さに抗議するが、千冬の鋭い視線に一瞬で黙らされる。
「連帯責任だ。ほら、早くしろ! 手を動かす!」
グラウンドの隅では、同じく巻き添えを食らって1000回の腕立て伏せを命じられた織斑一夏が、プルプルと腕を震わせながら乾いた涙を流していた。
「……なぁ、鈴。俺、やっぱりあっちの『ファミリー』に入らなくて本当に良かったよ……。あそこにいたら、結婚初夜の前に筋肉痛で肉体が消滅してる……」
「だから言ったじゃない、一夏。あんたは私の焼きそばパンだけ食べてればいいのよ」 隣で付き合う篁鈴も、呆れ果てた顔でカウントを取っていた。
2. 購買部裏の密談:リボーンの「合格点」
昼休み、ようやく地獄のペナルティから解放された零士は、購買部の裏でボンゴレ特製の暗号化スマートフォンを取り出した。 コールは一回。
『ちゃおっす、零士。風紀委員長(ヒバリ)みたいな真似をして、お嬢さん方を大人しくさせたそうだな』
「リボーンさん……。耳が早いですね。おかげさまで、卒業までは『講師と生徒』の距離感を維持できそうです。一夏の安全も確保できましたし、何より、仮にも『高卒』の認定を彼女たちに取らせることができますからね」
『はん、堅気の学歴なんざボンゴレには関係ねぇが……まあ、お前がそうやって「教師」としての責任を全うしようとする姿は、ツナも安心させてるぞ。……さっき、正一から連絡があってな。城の「雪の部隊」の専用区画のリフォーム予算、ツナが泣きながら一発で通したぞ』
「それは助かります。セシリアが専属メイドを全員連れて行くと息巻いているので、かなりの大部屋が必要になりますから」
リボーンはフッ、と不敵に笑う。
『いいじゃねぇか。賑やかで。……だが、忘れるなよ、零士。お前たちが学園にいる残り数年は、彼女たちが「表の技術(IS)」と「裏の力(死ぬ気の炎)」を完全に融合させるための、一番貴重な猶予期間(モラトリアム)だ。次にあの城の門を潜る時、彼女たちはただの花嫁じゃねぇ。ボンゴレの歴史の片翼を担う、最強の『家族(ファミリー)』だぞ』
「……分かっています。そのために、俺はここで最後まで、容赦なく彼女たちをしごき上げるつもりです」
『期待してるぞ、非常勤講師』
短い通信が切れる。零士はスマートフォンをポケットに仕舞い、カサリ、と落ち葉の踏まれる音に視線を向けた。