インフィニット・ストラトス×家庭教師REBORN!―雪零の守護者―』 作:suzuki00
2年目の文化祭:【模擬店:雪の守護者の極上かき氷・ジェラート店】
〜天性の「雪の炎」を、初めて平和のために使う日〜
2年目の文化祭、秋晴れの心地よい日差しの下、学園の中庭には未だかつてない大行列が形成されていた。その行列の先にあるのは、白銀の装飾が施された特設の模擬店。
看板には――『降雪庵(こうせつあん) 〜雪の守護者の極上ジェラート〜』。
「まさか、ボクの『雪の炎』を、戦闘や暗殺ではなくスイーツのために完全解放(パワード)することになるとはな」
調理場の中央で、零士は苦笑しながら両手を掲げていた。その手元から溢れ出すのは、かつて亡国機業の巨大兵器を文字通り沈黙させた、絶対零度の『雪の死ぬ気の炎』。
零士は自身の『調理師免許』の知識と、死ぬ気の炎の出力を極限まで繊細にコントロール。熱運動を分子レベルで「静止」させることで、氷の結晶を極限まで細かく、シルクのように滑らかな食感へと変えていく。口に入れた瞬間に体温で淡雪のようにフワリと消える、近代科学の冷凍技術すら置き去りにした「奇跡のジェラート」が、次々と器に盛られていった。
「零士! 箒ちゃんの和風抹茶ジェラート、本日分がもうすぐ完売しそうだよ!」 シャルロットが、フリル付きのエプロンを揺らしながら嬉しそうに報告する。
「ふん、私の考案した『漆黒のシュバルツバルト風カシス』こそが、零士の氷に最も相応しい。一番に完売させてみせる!」 ラウラが鋭いオッズ・アイを輝かせ、トッピングのベリーを盛り付ける。
4人の嫁(予定)たちは、それぞれ自分の国や個性をイメージした特製トッピングの看板娘として、学園中の一般客を呼び込んでいた。箒の抹茶小豆、セシリアの気品溢れるロイヤルミルクティー、シャルロットの甘酸っぱいフランボワーズ、そしてラウラのカシス。
そこへ、再び一般客のフリをしてやってきたボンゴレ一同が並ぶ。
「うわぁ、本当に零士くんの雪の炎だ……! 懐かしいな、未来の戦いでこの炎に助けられたっけ。でも、まさかかき氷になってるなんて……うん、美味しい!」 ツナが一口食べて、その至福の食感に目を輝かせる。
「クハハハ! 零士のくせに美味いものを作るじゃねぇか! ほら、ランボ様にもっと高級なシロップをかけろ!」 大人ランボが、周囲の女子生徒たちに黄色い悲鳴を上げさせながらジェラートを貪る。
「おい、アホ牛、十代目の前で騒ぐな! ……しかし、零士。この氷、ただ美味いだけじゃねぇな。雨の炎の『鎮静』にも似た、精神を極限まで落ち着かせる効果がある。……これなら、うちのボスの怒りも静まるかもしれねぇ」 獄寺が感心したように呟く。
「……ん? XANXUSさんも来てるのか?」 零士が周囲を見渡すと、中庭の木陰にある特等席の長椅子に、ドカリと座って無言でジェラートの器を握りしめている王の姿があった。
「うおぉぉぉい! 零士ィ! ボスが『悪くない』と仰っているぞ! 早くおかわりを持ってきやがれぇい!」 スクアーロの声が響き渡り、一般の生徒たちが「な、何あの人たち……めちゃくちゃ怖いんだけど……」と怯えだす。
そんな中、行列の最後に並んでいた私服姿の織斑千冬と山田真耶を見つけ、零士は特製の裏メニュー――「大人のビターリキュールを添えた白銀ジェラート」を差し出した。
「織斑先生、山田先生。連日の学園警備、ご苦労様です。これを」 「……ふん。マフィアの氷など、私の胃袋には通用せんぞ」 千冬は不機嫌そうに木刀を抱え直しながらも、一口食べた瞬間、その完璧な温度管理と甘みに目を見開いた。 「……悪くない。いや、悔しいが……美味いな」 「織斑先生、顔が綻んでますぅ! ああ、白崎先生、私にもこれ一つください!」
天性の呪いだったはずの冷たい炎が、今、たくさんの人々の笑顔を創り出している。その光景を眩しそうに見つめながら、零士は、隣で自分の袖をぎゅっと握る4人の少女たちを引き寄せ、静かに微笑むのだった。
3年目の文化祭:【学園全体イベント:暗殺者(アサシン)からお姫様を守れ!リアル逃走中】
〜卒業前の最終作戦! 嫁たちの戦闘力が限界突破〜
そして、様子見の期間の集大成となる3年目の文化祭。更識楯無の悪ノリと、ヒロインたちの「卒業前に、零士に本気で私を奪い合ってほしい!」という熱い要望が融合し、学園の敷地すべてを舞台にした前代未聞の全校イベントが開催された。
その名も、『プリンセス・レスキュー・バトルロワイヤル』。
ルールは至ってシンプル。学園の四方に配置された「お守り(お姫様)」である箒、セシリア、シャルロット、ラウラの4人を、非常勤講師である白崎零士が制限時間内に全員救出し、アリーナの中央へ送り届けるというもの。ただし、学園のIS部隊や一般生徒、さらには「特別ハンター」が暗殺者(アサシン)役として学園中に配備され、生身の零士を全力で妨害する。
「まったく……卒業前だからと言って、こんな作戦(イベント)を立案するとはな。だが――」
零士は黒のスーツのネクタイを締め直し、自身の『狩猟免許』『特殊作戦指導員資格』の知識を脳内で展開した。
「マフィアの『雪の守護者』からターゲットを奪えると思うなよ。全員、3分以内に無力化(ホールド)してやる」
スタートの合図とともに、零士は漆黒の死神のごとく学園内を疾走した。 曲がり角から飛び出してきたIS学園の防衛部隊。零士はISのロックオンのラグを『戦闘心理学』で完全に予期し、生身の体術だけでセンサーの死角へと滑り込む。
「な、消えた!? どこに――」 「そこだ。凍りついて眠れ」
シュパァァン! と、最小限に出力を絞った雪の炎が敵の駆動部を掠め、ISの全システムを強制停止(フリーズ)させていく。その動きはあまりにもスマートで、冷徹なまでに美しかった。
「ひゃははは! 零士、甘いなぁ! 僕たちの防衛線を突破できるかい!?」 中央広場に立ち塞がったのは、特別ハンターとして参戦したミルフィオーレの真・6弔花――桔梗とザクロ、そしてブルーベルだった。
「お前たちまで楯無の悪ノリに乗るな。……だが、容赦はしない!」 零士は雪のロザリオを駆動させ、足元に巨大な氷結魔法陣を展開。広範囲の熱運動を一時的に停止させ、真・6弔花たちの足元を瞬時に凍りつかせた。 「うわっ、冷たっ!? 零士のやつ、本当に容赦ないじゃん!」
敵の防衛線を完璧に各個撃破した零士は、まず東の塔で待つ箒の元へ到達した。
「待たせたな、箒」 「零士……! 信じていたぞ!」 零士は迷うことなく箒を横抱き(お姫様抱っこ)にすると、そのまま西の庭園へと跳び、セシリアの手を力強く引いた。 「まぁ……! 殿方、本当に来てくださるなんて……!」
さらに南の校舎でシャルロットを背後に庇い、北の格納庫で待っていたラウラを背負う。 その姿は、もはや一人の男が4人の国宝級の令嬢を同時に救出している、圧倒的な「王(ボス)」の絵面そのものであった。
「はぁ、はぁ……おい零士、お前、生身なのに代表候補生4人を抱えたまま、なんでそんな速度で走れるんだよ……!?」 ハンター役としてボロボロになりながら追いかけてきた一夏が、地面に突っ伏しながら絶叫する。
4人の少女たちを腕の中に抱いたまま、零士はアリーナの中央へと堂々と着地し、完全勝利のブザーが学園中に鳴り響いた。 救出されたヒロインたちの顔は、羞恥と、それ以上の極上の幸福感で真っ赤に染まっている。
「言っただろう。俺が一度『俺のファミリー』だと決めたものは、たとえ世界が相手でも絶対に離さない」
零士が静かに告げると、アリーナの大型モニターに、突如として見慣れた暗号化通信の画面が表示された。
『ちゃおっす、零士。そしてお嬢さん方、卒業と、ファミリーの結成おめでとう』
画面の向こうから響いたのは、ボンゴレの絶対的家庭教師――リボーンの声だった。その背後には、ツナや守護者たちが、温かい拍手と共に笑顔を見せている。
『3年間、しっかりとあいつらの覚悟を見極めたようだな。堅気の学校の文化祭を利用して、最高のファミリーの初陣(お披露目)を見せてもらったぞ。ツナ、例のものを』
「うん! ……零士くん、4人のみんな。これからボンゴレの『雪の部隊』、そして君たちの新しいファミリーの誕生を、心から祝福するよ。イタリアでの結婚式の準備は、完璧に整えてあるからね!」
ツナの優しい笑顔と、リボーンの不敵な笑み。 アリーナ中が歓喜の渦に包まれる中、ラウラが「当然だ!」と零士の首に抱きつき、セシリアが涙を拭い、シャルロットが満面の笑みを浮かべ、箒が「……一生、お前に尽くす」と、その胸に顔を埋めた。
かつて孤独の中で資格を貪り、心を縛り付けていた白銀の騎士は、今、かけがえのない4人の絆と、世界最強の家族(ボンゴレ)に見守られながら、失った青春のすべてを塗り替えるような、最高の幸福のワルツを踊り続けるのだった。
(白崎零士・IS学園裏マフィア譚 ―― 大団円・完)