インフィニット・ストラトス×家庭教師REBORN!―雪零の守護者―』 作:suzuki00
【日常編 第6話】『修修旅行の夜:広島・宮島、平和の光と大人の時間』
学園の修学旅行。目的地は、日本の歴史と平和を学ぶ、広島・宮島。 昼間、原爆ドームや平和記念資料館、そして宮島の厳島神社を巡る中、零士は「プロの教師」として真剣に生徒たちに平和学習の意義を説いていた。箒たち四人も、この時ばかりは零士の「教師の顔」に敬意を表し、一歩引いて真面目に講義を受けていた。
そして、夜。 宮島の最高級老舗旅館。 「零士、今夜は私がお前の部屋に――」と襲撃を企てる嫁たちを、零士は「ルールを守れ。今夜は千冬先生と大事な『業務連絡』がある。距離を置け、臨機応変にな」と、雪の炎の結界(?)で完璧にシャットアウトした。
旅館の最上階、瀬戸内海とライトアップされた大鳥居が一望できる特大の月見縁側。 そこには、浴衣姿の零士と、同じく黒い浴衣を艶っぽく着こなした織斑千冬が、一升瓶の日本酒(広島の銘酒『雨後の月』)を挟んで座っていた。
「……待たせたな、白崎」 千冬がトコトコと零士のお猪口に酒を注ぐ。
「いえ、千冬先生。生徒たち(嫁たち)の警備に少々手こずりまして。あいつら、ISのステルス機能を使って部屋に侵入しようとしていました」
「ふっ、相変わらず猛獣揃いだな。……だが、今日のお前の平和学習の講義、見事だったぞ。裏社会で生きるお前だからこそ、平和の尊さと、それを守るための『力の使い道』が言葉に籠もっていた」 千冬が自分のお猪口をクイと干し、ふぅ、と白い息を吐く。夜風が彼女の黒髪を揺らした。
「俺はただの非常勤講師ですから。あいつらが卒業して、本当に俺の『雪の部隊』として闇の世界へ来る前に……この日本の、表の社会の、何気ない平和の価値を骨の髄まで叩き込んでおきたかったんです」 零士が静かに酒を口に含む。大人の、プロの教育者としての時間が、二人の間に流れていく。
「……白崎。私は一夏の姉だ。あいつから『主人公の特等席』を奪い取った貴様を、最初は恨みもした。……だが、今の一夏のあの、どこにでもいる普通の、幸せそうな高校生の顔を見て確信した。……お前がIS学園に来てくれて、本当に良かった」
千冬が少しだけ頬を赤くし(酒のせいか、それとも別の感情か)、お猪口を零士に突き出す。 「卒業までの残り、せいぜいあいつらを厳しくしごき上げろ。……そして、イタリアへ行くその日は、私もあのボンゴレ城へ、盛大な嫌がらせ(祝辞)をしに行ってやるからな」
「……ええ。楽しみに待っています、千冬姐さん」 「姉さんと呼ぶなと、何度言えば分かる、この馬鹿者が」
パリン、とお猪口が心地よい音を立てて合わさる。 遠くの女子部屋の窓から、「むぅ、零士が千冬先生と二人きりで大人の雰囲気を……!」「不公平ですわ!」「夜這いの再作戦だよ!」「うむ、突撃だ!」と騒ぐ四人の嫁たちの賑やかな声を、瀬戸内海の静かな波の音が、優しく包み込んでいくのだった。
(IS×REBORN:学園日常編・完全完結)