インフィニット・ストラトス×家庭教師REBORN!―雪零の守護者―』   作:suzuki00

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修学旅行は広島から、日本の古都である奈良、そして京都を巡るコースへ

修学旅行は広島から、日本の古都である奈良、そして京都を巡るコースへ。 4泊5日(3泊4日からの延長も含めた濃密な旅路)の後半戦は、昼間は4人の嫁たちとの全力観光、そして夜はライトアップされた古都の街並みを見下ろしながら、お待ちかねの「大人たちの時間」が幕を開ける。

【修学旅行・後半戦】『古都の風と、大人の夜語り:奈良・京都編』

1. 昼の部(奈良・京都):白銀のエスコートと古都の修羅場

「零士、見てくれ! 鹿だ! 鹿が私のドレス(制服)の裾を噛んで離さん! 撃破して良いか!?」 「ラウラ、ダメに決まってるだろ。ほら、鹿せんべいだ。臨機応変に手からあげろ」

奈良公園。東大寺の大仏殿を背景に、零士は相変わらず四人の嫁たちに囲まれていた。 修学旅行の後半、奈良に入っても彼女たちの「零士争奪戦」は衰えることを知らない。

「まぁ! 大仏様の厳かさも素晴らしいですが、零士、次は京都の金閣寺ですわよ! アルコット家の総力を挙げて、あの金閣よりも輝く特等席の料亭を予約しておきましたわ!」 セシリアが縦ロールを揺らして零士の右腕をキープすれば、京都の嵐山へと移動した途端、シャルロットが竹林の木陰からすっと左腕を滑り込ませてくる。 「金閣寺もいいけど、嵐山のトロッコ列車、零士と二人で乗りたいな……。あ、霧の炎で『二人きりの幻影』を作っちゃおうか?」

「抜け駆けは私が斬る。白崎、いや零士、京都の清水の舞台からは、一度決めた覚悟を飛び降りる覚悟で挑むのが日本の武士(もののふ)の流儀だ。……私はもう、お前という舞台から飛び降りているがな」 箒が紅椿のリングを嵌めた手で、恥ずかしそうに零士のジャケットの裾をギュッと握りしめる。

「お前たち、観光地でISの出力や炎を混ぜるな。あと、一夏が遠くから死んだ魚の目でこっちを見てるぞ」 遠くでは、鈴に宇治抹茶ソフトクリームを「ほら、一夏、あーんしてあげようか?」と迫られている一夏が、「あはは……先生、そっちの修羅場に比べたら、俺なんて本当に平和だよ……」と、静かに涙を流しながらソフトクリームを齧っていた。

2. 夜の部(京都の宿):月下の特等席と、おねむな山田先生

夜。京都の東山、祇園の夜景と鴨川の流れが一望できる、最高級和風旅館の最上階テラス。 今夜も零士は、部屋に押し入ろうとした嫁たちを「学園の風紀(雪の炎の結界)」で完璧にシャットアウトし、千冬の待つ大人の席へと赴いていた。

そこには、京都の地酒『玉乃光』の一升瓶を抱えた浴衣姿の織斑千冬と、すでに目がトロンとして真っ赤になっている山田真耶先生の姿があった。

「遅いぞ、白崎。……貴様の嫁どもは、今夜は大人しく引き下がったか?」 千冬が冷たい夜風に黒髪を揺らしながら、手慣れた手つきでお猪口にトトト、と酒を注ぐ。

「ええ。流石に昼間の清水寺と金閣寺の強行軍で疲れたのか、今は部屋で四人雑魚寝の状態で爆睡しています。……臨機応変に、寝顔に布団をかけておきました」

「ふっ、お前が『教師』の顔をしている時は、あの猛獣どももただの女子高生だな」 千冬がお猪口をクイと干したその時、隣から「うにゅぅ……」という気の抜けた声が聞こえた。

「もふぅ……白崎先生ぇ……。お酒、美味しいですぅ……。でもぉ、山田はもう……限界、です……。白崎先生が格好良すぎて……公序良俗がぁ……すぴー……」 山田先生は、眼鏡を少しズラしたまま、座布団の上にコテンと横たわり、絵に描いたような寝息を立てて完全に眠ってしまった。手には、飲みかけの梅酒のグラスがしっかりと握られている。

「……はは。山田先生、先に逝かれましたね」 「気にするな。こいつは元々酒に弱い。IS学園の激務と、貴様が持ち込んだマフィアの国際問題のストレスで、キャパシティを超えたのだろう。……寝かせておけ」

千冬は山田先生に自分の羽織をそっとかけてやると、再び零士と向き合い、お猪口を突き出した。

「さあ、白崎。残ったのは私と貴様、本物の『大人』の時間だ。……広島、奈良、そして京都。この修学旅行を通じて、あいつらはまた一段と強くなった。……いや、貴様を『ファミリーのボス』として迎える覚悟が、その瞳に定着してきたな」

「……ええ。昼間、金閣寺の前で箒たちが『イタリアの城の広間は、これよりも広くて美しいのかしら』と話していました。彼女たちの視線は、もう卒業のその先、ボンゴレの未来を見ています」 零士が静かに酒を口に含む。月光に照らされた京都の夜景が、白銀の暗殺者であり、非常勤講師である彼の瞳を優しく彩る。

「千冬先生。俺は、あいつらを裏の世界へ連れて行くことに、今でもほんの少しの罪悪感があります。……彼女たちは、表の世界の、眩しい光の中にいるべき存在だったのかもしれない」

その言葉に、千冬はフッと鼻で笑い、木刀の代わりに手元にあったお猪口の底で、零士の額をコツンと小突いた。

「馬鹿者が。あいつらの顔を見たか? 誰一人として、無理やり連れて行かれるような顔はしていない。……貴様という『白銀の孤独』を、自分たちのISの翼と死ぬ気の炎で、隣で支えると決めたんだ。女の覚悟を、男の勝手な罪悪感で汚すな、白崎非常勤講師」

「……千冬姐さん。流石に、言うことが手厳しい」

「姉さんと呼ぶなと、旅の初めにも言ったはずだ」 千冬は少しだけ頬を赤くし、しかし最高に綺麗な、信頼に満ちた微笑みを零士に向けた。 「……だが、お前がその優しさを持ち続けている限り、あいつらは絶対に不幸にはならん。……そうだろ、リボーン?」

千冬が突然、テラスの闇の向こう、庭の木々に視線を向けた。 すると、ガサリと音がして、小さな黒いタキシード姿のヒットマンが、トレードマークの帽子を直しながら姿を現した。

『ちゃおっす、千冬の姐さん。いい勘してんじゃねぇか。レオンも驚いてるぞ』 リボーンが不敵に笑い、零士の隣に座る。

「リボーンさん、京都まで尾行してきたんですか」 『はん、尾行じゃねぇ、新婚旅行の『査察』だ。ツナがな、「零士くんたちが日本の古都で、ちゃんと仲良くやってるか心配だよー!」って、並盛からずっとハラハラしてたからな。……だが、その必要はなさそうだ』

リボーンは眠っている山田先生をチラリと見やり、それから零士と千冬のお猪口を見つめた。 『表の最強(チフユ)と、裏の白銀(レイジ)。そして、未来を担う4人の花嫁と、平穏を掴んだ一夏。……この学園の風紀は、お前が思っている以上に、完璧なバランスで保たれてるぞ、零士』

「……ええ。お前たちがいるからな」 千冬が笑い、リボーンに向けて、空のお猪口を差し出す。 リボーンは帽子の上のレオンをクルリと回すと、緑色の高級トカゲが小さな徳利へと姿を変え、千冬のお猪口に極上のイタリアワインを注ぎ込んだ。

「「……乾杯」」

月が中天に昇り、古都の夜が深く静まり返る中。 寝息を立てる山田先生の横で、裏社会の頂点と、表社会の最強の女、そして二つの世界を繋ぐ非常勤講師は、卒業までの残された愛おしい日常を噛み締めるように、静かに、そして誰よりも熱い大人の杯を交わし続けるのだった。

(IS×REBORN:修学旅行編・真・完全完結)

 

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