インフィニット・ストラトス×家庭教師REBORN!―雪零の守護者―』   作:suzuki00

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あくまで設定です。


NO DATA

自室に戻った零士は、ドアを閉めると同時に大きく息を抜いた。

 

「……まあ、仕方ないよな〜。見られたら、しゃーない」

 

ベッドに軽く腰を下ろし、天井を見上げる。さっきまでの戦闘の緊張感はもう残っていない。あるのは、いつも通りの温度の思考だけだった。

 

「それに、観られても問題はないか」

 

端末にちらりと視線を向ける。

 

「ボンゴレ技術で、ああいう記録はちゃんと処理されるしな」

 

ログの扱いも、監視の範囲も、すでに想定内。想定外だったのは“タイミング”くらいだ。

 

「……ま、やることやってりゃ文句は来ないだろ」

 

軽く肩を回し、立ち上がる。

 

「任務は警護だしな」

 

その一言で、自分の立ち位置を再確認する。

 

戦闘でも、講師でもなく――あくまで優先順位はそこ。

 

「無茶しなきゃいい話だ」

 

そう呟いて、零士は机に向かう。

 

さっきまでとは違う“静かな時間”が、部屋に戻ってきていた。

 

 

 

数日後――管理端末室。

 

千冬は静かに端末を操作し、「白崎零士」の記録へアクセスする。

先日の戦闘、そして不可解なログ消失。その答えを確かめるためだった。

 

画面が切り替わる。

 

――《NO DATA》

その横に、異質な一行。

 

――《Vongola》

 

「……」

 

わずかに、指が止まる。

 

予想はしていた。だが、ここまで露骨とは思っていなかった。

 

その瞬間、画面にテキストが割り込む。

 

――悪いが、俺(白崎零士)に関するDATAは記録しないようにボンゴレから圧力がかかる

 

千冬の視線が細くなる。

 

「外部からの直接干渉……しかも隠す気がない」

 

呟きは冷静そのもの。

だが内心では、学園の管理権限を上回る存在が“実在する”ことを明確に認識していた。

 

脳裏に、あの放課後のやり取りが蘇る。

 

アリーナを後にし、人気のない廊下。

窓から差し込む夕焼けが、床に長く影を落としていた。

 

「千冬教諭」

 

呼び止めたのは、あの青年だった。

 

足を止め、振り返る千冬。

警戒は解かない。だが、拒絶もしない。

 

数秒の沈黙の後――零士が口を開いた。

 

「……ログを消したのは悪かった」

 

軽い調子ではない。

だが、必要以上に重くもない。

 

事実だけを置く声音。

 

「このデータだけは、残せない」

 

言い訳ではない。

説明でもない。

 

“前提の提示”。

 

千冬は何も言わず、次を待つ。

 

「……俺は敵じゃない」

 

視線は逸らさない。

 

嘘をつく人間の目ではない。

少なくとも、“この場で誤魔化す必要のある人間”ではない。

 

そして――

 

「一夏を警護する任務を受けてる」

 

そこで、会話は終わった。

 

余計な補足も、説得もない。

必要最低限の情報だけを置いて、彼は去っていった。

 

 

千冬はゆっくりと目を閉じる。

 

「……筋は通っている」

 

感情ではなく、論理で判断する。

 

・事前に許可は取っている

・ログ消去について謝罪している

・理由は曖昧だが一貫している

・目的もブレていない

 

そして何より――

 

「嘘をつく必要がない立場の人間の言葉だ」

 

だからこそ結論は明確だ。

 

「少なくとも、“敵として潜り込んだ人間”の動きではない」

 

 

だが、そこで思考は止まらない。

 

「……だからこそ厄介だ」

 

静かに目を開く。

 

敵ではない。

だが、味方とも限らない。

 

管理できない存在。

記録も残らない。

 

それでいて――戦闘能力は規格外。

 

「監視も、制御もできない人間が内部にいる」

 

それは組織にとって、

最も不安定な要素だ。

 

 

だが同時に、もう一つの結論も出ている。

 

「……一夏の警護、か」

 

そこだけは、一切ブレていない。

 

あの戦闘を見たからこそ、理解できる。

 

「適任ではある」

 

皮肉にも――これ以上ない戦力。

 

 

千冬は端末を閉じる。

 

《NO DATA / Vongola》の表示が消える。

 

だが、その意味は完全に理解した。

 

「記録に残らないなら、記憶に残すだけだ」

 

小さく呟く。

 

データが無いなら、自分で観る。

 

教師としてではなく――監督者として。

 

 

最後に、ほんの僅かだけ表情が緩む。

 

「……“敵ではない”か」

 

その言葉を反芻する。

 

完全には信じない。

だが、否定もしない。

 

「なら、その言葉――裏切るなよ」

 

それは誰に向けたものでもない。

 

だが確かに、“あの青年”へ向けられた意思だった。

 

 

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