女体化して母親になったよ!天使な子供たちとファンタジー世界で幸せになります 作:きさまち
私は今猛烈に感動している!
苦節15年、夢にまで見た光景が現実のものとなったからだ。
「母さん…本物の母さん…ぁ…会いたかった、ずっと会いたかった」
「ママだ…私のママなんだよね。お願い…もうどこにも行かないで…」
私にしがみついて嗚咽を漏らしているのは双子の天使。
ミカエリアスとルシフェルト、私の愛しい子供たち。
会いたくて会いたくて仕方がなかった我が子が今、腕の中に…
生きてて良かったぁ。
義弟であるガブリゼルさんからの連絡で、子供たちの卵が半年以上も前に孵化していることを知った。
そればかりか、二人の子供たちは私に会うために天界から脱走したのだという。
話を聞いた私はパニックになりながらも、二人を捜索するため家を飛び出した。
玄関を開けてすぐ雪に埋もれたボロボロの子供たちを発見しちゃった!
なぜ二人がここにいるのか?
どうして満身創痍なのか?
そして、なんで女の子なのかなぁ!?!?
疑問は尽きないが、今は後回し。
私は幸せを噛み締めるので、いっぱいいっぱいなのだ。
お母さんもね、あなたたちに会いたかったんだよ。
「わ、わだじぼ…ウェ…あ゛い゛…オェ…だがっだよぅ…オォォォヴォエ!!」
自分の口から母親にあるまじき汚ねぇ音が出た。
涙と鼻水と強烈な吐き気が一度にこみ上げて来たとはいえ、これはない。
「か、母さんから異音が!?大丈夫ですか?」
「ママ!?二日酔いのガブおじみたいな顔してる!」
大丈夫だよ~、嬉しさのあまり吐きそうになっただけだから。
今吐いたらヤバいって!子供にゲロぶっかける母親にはなりなくない。
頼む、鎮まってくれ私のゲロよ!
「問題ありません。母さんの吐瀉物なら、かけられても全然平気です」
「むしろ望むところだよね!」
わおっ!なんて優しい子たちなのだろうか。
でも『さあどうぞ』みたいな顔でゲロ待ちするのはやめようね。
そういう上級者向けのコミュニケーションは、教育上よろしくないと思うの。
何とか吐き気を抑え込むことに成功した。
ふぅ…やれやれ、感動シーンが台無しになるところだった。
「ミカエリアス、ルシフェルト、ごめんね。ずっと離れていて本当にごめんなさい」
「謝らないでください。母さんの事情は理解しています」
「そうだよ。ママは悪くない。悪いのは、卵のままだった私たち…ママを、ひとりにしちゃった」
卵で生まれて来るのは天使の生態なので仕方がない。
二人の傍にいられなかったのは、ひとえに私が弱かったせいだ。
もし私が旦那様みたいに強かったら、ずっと卵を見守ってこれたはずなのだから。
孵化する瞬間に立ち会いたかったなあ。
「ありがとう二人とも、こんな私を母親だと思ってくれて」
「そんなの、当たり前じゃないですか」
「ママはママだよ!誰がなんて言おうと私のママなの」
本当にいい子たちだ。
ずっと寂しい思いをさせて来た私を恨むことなく、気遣ってくれるなんて…
ああ…良かった。
この子たちを産んで良かったと、心から思う。
きっと、天国の旦那様もそう思ってくれますよね?
「ミカエリアス、ルシフェルト、私の愛しい子供たち」
「生まれて来てくれてありがとう」
「二人とも本当に大好きよ」
優しく、それでいて力いっぱい二人を抱きしめる。
抱きしめ返してくる、小さな我が子たちが堪らなく愛おしい。
「私もです。私も母さんが好き、大好きです!」
「私だって好きだもん!今までもこれからもずっとずっと、大好きだよ」
あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~~!!!!
最高に可愛いぃぃぃんじゃぁぁぁ~~!!
うちの子、天使かな?
本物の天使だったわwww
●
親子三人でしばらく抱き合っていた私たち。
『くしゅん!』とミカエリアスが可愛いクシャミをしたことで、ここが玄関前だということを思い出した。
雪の舞う寒空の下、このままずっとこうしているわけにはいかない。
「ここは冷えるわ。家の中に入りましょう」
私にくっついて離れない子供たちをヒョイと担ぎあげ、家の中へ。
あら?思った以上に軽いじゃないの。
ちゃんとご飯食べているのかしら?
「ママ、力持ちだね」
「そう?あなたたちが軽すぎるのよ」
「はぅ…母さんに抱っこされてしまいました///」
子供二人ぐらいなら身体強化を使うまでもなく余裕で運べる。
我が子の重みを感じられて幸せ。
「お、お邪魔します」
「おじゃまするよ。で、いいのかな?」
家の中に入ると、二人がおずおずといった様子で『お邪魔します』と言った。
そういえば旦那様の家に招かれた私も最初はこんな風だったなあ。
「ここはあなたたちの家でもあるから『ただいま』でいいのよ。試しに言ってみてくれる?ほら、さんはい」
玄関で二人を降ろし促してみる。
顔を見合わせた二人は意を決したように言葉を発した。
「ただいま、帰りました…///」
「ただいまー!」
「はい。お帰りなさい二人とも」
このやり取りなんかいいな。すごくいい!
今みたいな何気ない日常をこの子たちと送りたかったのだ。
それは二人も同様だったようで、少し照れながらもその顔はほころんでいる。
あーもう!本当に可愛いなぁぁ!!
とりあえず抱きしめよう!
我が子の抱き心地は最高だ。
きっとこの先、何度やっても飽きることはない。
・・・・・・・・・・
二人の着ていた衣服は酷い有様だった。
元がどんなデザインなのか判別できないボロ布と化している。
天界の服は見た目に反して防御力が高いと、旦那様が教えてくれたはずだが?
一体何があったのだろうか?
「結界層を無理に抜けたせいでこうなりました」
「うん。確かそういう設定で…」
「設定?」
「オホンッ!母さん、ルーの発言は聞き流して結構です」
二人とも、私に嘘をついている。
恐らく、ここに来るまでの道中で大喧嘩でもしたのだろうな。
旦那様の血を引いてるから、姉妹喧嘩のスケールも相当なものだったと思う。
そうか、服がボロ布になるぐらいの戦いを繰り広げたのね…
だ、大丈夫だよね?誰か巻き込んで殺してないよね?
信じるからね!
二人にはお風呂で綺麗サッパリしてもらう事にした。
修復不可能なボロ布はこちらで処分するしかない。
オール魔導化住宅の〖どこでもホーム〗はお湯張りも簡単に出来て、温かいシャワーだってすぐに使えるのだ。
脱衣所で素っ裸になった二人が風呂場へ向かう。
裸を見てしまった訳だが…うん、何度見ても女の子でしたね。
実は男の娘でした!みたいな展開はありません。
「わーい!一番風呂だ」
「ちょっと待ちなさい。まずはかけ湯をしてからなでないと…」
ふふ、元気だなぁ。
玄関前で見つけた時は立つのも辛そうだったのに、今は仲良くはしゃいでいる。
私の魔法と薬が効いたのもあるが、やはり天使は回復力が他種族とは段違いだ。
旦那様曰く『
細かいことを言えば、子供たちは天使と人間のハーフになる。
天使と異種族の子は必ず天使として生まれて来るので、この世界ではハーフという言われ方はしない。
娘たちは父親と同じ立派な天使なのだ。
さて、天使な我が子が入浴している間に、ガブリゼルさんへ一報を入れておく。
『子供たちは無事に見つかりました』
『二人のことを黙っていた件は、後ほど詳しく説明してください』
これでいいだろう。
私が今どこにいるのかは教えてあげない。
しばらくは、親子水入らずで過ごすんだもんね。
風呂場から楽しそうな声聞こえて来る。
次からは私もご一緒していいかな?
母親だし、女同士だからいいよね!
子供と一緒にお風呂……
オラ、すっげぇワクワクすっぞ!
「ママー、上がったよー」
「ふぅ…いいお湯でした」
風呂上りでサッパリした子供たちも可愛い。
用意していたバスタオルで二人を優しく包みながら拭いてあげる。
「はーい、じっとしててね」
「わっぷ、エヘヘ…ありがとうママ」
「母さんに体を拭いてもらえるなんて、幸せです」
体を拭いた後、魔法で温風を発生させ、二人の髪の毛も丁寧にドライヤーを施した。
綺麗な髪だから大事に手入れしないと勿体ないからね。
今の私、なんだかすごーく母親っぽくない?
この上ない嬉しさと温かな気持ちが溢れて来る。
こういう母親らしい事をずっとしてあげたかったのだ。
ヤバい、油断するとまた泣きそうになる。
子供たちに会ってから次々と夢が叶っていく、もうずっと感動しっぱなしだよ。
子供たちの着替えは無地のシャツとショートパンツを用意した。
以前、魔法で衣服の洗濯乾燥をした際の失敗作でかなり縮んでしまった物だが、捨てずにとっておいて正解だった。
サイズも丁度いいみたいだし、今はこれで我慢してもらおう。
「体はもう大丈夫?どこか痛い所があるなら、すぐに教えてね」
「お気遣いありがとうございます。身体機能問題なし、数時間後には対軍戦闘も可能になります」
「魔力もちょっとづつ回復中~。神器の最大出力解放まで…三日後ぐらいかな?」
何と戦う気なの?
旦那様もそうだったけど、天使って物騒な思考をする癖があるよね。
お風呂の後は夕食でもいかがかな?
「カレー作ってあるんだけど、良かったら食べる?」
「食べるぅぅぅ!」
「母さんの手料理!?絶対に食べます!」
自分用に調理しておいたカレーを温め直す。
多めに作っておいてよかった。
「いい匂い~。これ絶対美味しいヤツだ」
「期待してくれるのは嬉しいけど、ただのカレーよ?」
「母さんが作ったと言うだけで、どんな美食より価値ある品です。異論は認めません」
「大袈裟ねw」
そういえば、この子たちの食生活はどうなっているのだろう?
天使の中には食事を全くせずに、大気中の魔力を吸収するだけで長年生きている人もいるらしいから、少し心配だ。
「野菜を中心にした栄養バランスのとれた食事が好ましいです」
「うーん、別に拘らないかな。お腹が満たせれば何でもいいよ」
「あなた一時期、お菓子ばかり食べてましたね。早死にしますよ?」
「またまたぁwそうやってミカは私を脅すんだから」
ルシフェルトには食事の大切さを教えないといけない。
体にいいものを食べて、子供たちには健康で長生きしてもらいたいものだ。
お皿に適量ご飯をよそい、カレーをかけて完成だ。
コルニクス特製、具沢山カレーライスの出来上がり~。
「はい、どうぞ。召し上がれ」
「「……??」」
あれ?子供たちがカレーライスを見たまま固まったぞ。
本当はカレー嫌いだった?
「母さん、これは一体何ですか?」
「カレーライス」
「なんでご飯ついてるの?」
「カレーライスだから」
「ご飯も意味不明ですが、カレーに肉やら野菜やらが混入しています」
「具が多過ぎたかしら?」
「カレーは茶色いスープのことだよね?こんなに具が入ってるの不思議」
子供たちのカレー対する認識がおかしい。
話を聞いたところ、天界で提供されるカレーとはスパイスの利いたピリ辛スープのことであり具は入っておらず、ご飯と一緒に食べるものでもないらしい。
食文化の違いか?それとも天界にカレーを紹介した奴の怠慢か?
理由は不明だが、これはよろしくない。
そういえば、旦那様に初めてカレーを振舞ったときもビックリしていたっけ…
母として、地上で一般的に食されているカレーというものを教えてあげなくては!
「警戒しなくても大丈夫よ。このカレーライスはね、あなたたちのお父さんも大好物だったんだから」
「父さんが?」
「そうよ。美味しいって、いつもいっぱい食べてくれたのよ」
「む~、パパばかりズルい。私も食べるもん!」
「わ、私も、いただきます」
二人がスプーンでカレーとご飯を掬い、口に運ぶ。
一口食べた瞬間に目を見開き、驚いた顔のまま咀嚼して、ゆっくりと飲み込んだ。
ど、どうかな?私的には美味しいと思うのだけど…
「おいしい!!こんなにおいしいの初めて食べた!」
「なんですかこれ、美味しすぎます。口の中に暴力的な旨味が広がって…脳がしびれましたよ」
よかった。気に入ってくれたみたいで、ホッと一安心。
「おいしい~おいしいよう。もう私ずっとこれ食べ続ける~」
「さすが母さんです。料理の腕前も超一流ですね」
「もう、二人とも褒めすぎよ」
味が相当気に入ったらしく、子供たちは夢中になってカレーを食べている。
スプーン片手に一生懸命咀嚼する姿が可愛い。
我が子に自分の作った料理を『おいしい』と言って食べてもらえる。
なんて幸せなのだろう。
カレーを食べている時の嬉しそうな顔、旦那様そっくり…
「焦らなくてもいいから、ゆっくり味わって食べてね。おかわりもあるわよ」
「おかわり!?してもいいの?やったー!」
「やはり母さんは神です」
夕食は大好評だった。
二人が食後のお茶を飲んでまったりしているうちに洗い物を済ませ、簡単に入浴もしておく。
頭から冷水を被って少し精神を落ち着けたい。
「ふぅ……まさか我が子があんなに可愛いとは…」
二人のことは男性だとずっと思っていたから、女性だと知った時の衝撃たるや……今もまだ尾を引いている。
しかも小さな女の子だった!うちの子マジでロリ天使!
人間の子供に当てはめると、外見年齢8歳ぐらいに見える。
有り体に言って、最高じゃないか!!
いやね、母としては性別なんてどっちでもよかったのよ。
男だろうが女だろうが平等に愛していたと思う。
でも、女の子のあの可愛さはヤバいわ~ズルいわ~。
私が元男性だということもあるのだろうが、女子に対してなんとなく憧れというか神聖なものを感じてしまうのよね。
ちょっと娘自慢していい?駄目って言ってもするね!
ミカエリアスは真面目で礼儀正しいお姉ちゃん。
腰まで伸びた長い金髪に私と同じブルーの瞳。
理知的でクールな印象を感じる、綺麗でとても可愛い子だ。
私に少し遠慮しながらも、懐いてくれる様は非常に愛らしい。
服の端をちょんとつまんで来たときは、可愛すぎて鼻血噴くかと思ったわ。
照れながら見せる、はにかんだ笑顔、クッソッッかわええ!
ちっくしょー!大大大好きだぁーーー!
ルシフェルトは天真爛漫で無邪気な妹ちゃん。
セミロングのふわっとした金髪に旦那様と同じアメジストの瞳。
愛想がよく表情がコロコロ変わる、見ていて飽きない非常に可愛い子だ。
私に対し全力で甘えて来るので、こちらも応えねば無作法というもの。
『ママ~』と言いながらスリスリされたときは、可愛すぎて昇天するかと思った。
直視できないほど眩しい笑顔、超絶かわええ!
ちくしょーめ!こっちも大好きに決まってんだろーがぁ!
おわかりいただけただろうか?
つまり、何が言いたいかというとね。
私の娘はむちゃくちゃ可愛くて最高ってことよ。
ツライわ~、娘二人が可愛すぎて辛いわ~。
●
入浴中に娘愛をぶちまけたおかげか、少し冷静になった。
リビングに戻ると、二人の天使が待ってましたとばかりにくっ付いて来る。
「母さん、お風呂で何か叫んでいたようですが?」
「気のせいよ」
「『チクショーメッ!』って聞こえたけど?」
「それはお風呂の妖精、バーサークフューラーの仕業ね」
「初めて聞く妖精です。どんな姿なのですか?」
「チョビ髭のおっさんよ」
「変なのwwねえねえ、そのオッサンは必殺技とかあるの?」
「人を惹き付ける巧みな弁舌と…荷電粒子砲」
「「なんかすげぇ強そう!?」」
私の苦しい言い訳を純真な二人は信じてくれたようだ。
しまったな、知らず知らずのうちに娘自慢を声に出していたか…
次からは気を付けよう。
今日はいろいろあって疲れてしまった。
娘たちも、天界を脱出してからここまで大変だったはず、私以上に疲れているだろう。
「よし、そろそろ寝よっか?」
「ええー、まだママと話したい~」
「ルー、我儘を言ってはいけません」
駄々をこねるルシフェルトの気持ちもわかる。
私だって、まだまだ全然話し足りないからね。
でも、時間はこれからたくさんあるのだ。
少しずつ家族の幸せな時間を積み上げて行ければいいと思う。
「二人とも疲れてるでしょ?続きはまた明日にして、今日は寝ましょう?」
「…わかった。約束だよ」
「うん。約束するわ」
「母さん、私とも約束…してください…」
「ふふ、ミカエリアスとも約束ね」
娘たちの頭を撫でて、明日また語らうことを約束する。
もっと撫でてという風に頭を押し付けてくるのが可愛い!
可愛いの権化かよ!
ベッドは二人に使ってもらうとして、私は床に布団でも敷いて寝るか。
「あの、母さん…お願いしてもいいですか?」
「ん?何、私に出来ることならいいわよ」
「い、一緒に…寝て、ほしいです///」
「一緒のベッドで寝ようよ、ママ!」
「なん…だと…」
一緒に寝るだとぉ!?
娘二人と川の字になって寝ていいと申したか?
いや、いくらなんでも初日からそれは…
「ダメ…ですか?」
「えぇ…そんなぁ…グスッ」
「全然ダメじゃないよ!!一緒に寝よう!!」
「「やったー!」」
シュンとして泣きそうになる娘に逆らう事などできぬぅぅ!!
少し大きめのベッドは親子三人で寝るのに丁度いいサイズ感だ。
私はベッドの真ん中に寝て、両側を娘たちに挟まれた。
あびゃ~!娘サンドしゅごいよ~!
ここが天国か…
アカン、幸せすぎて死にそう…
「……旦那様、今お傍に…」
「母さん、死んではダメです!」
「ママ!死なないで!」
「冗談よ。ごめんね」
死なないよ。
あなたたちが立派な大人になるところを見届けるまでは、何があっても絶対に死んでやらないから。
「あったかいな~。二人ともポカポカね」
「ママもあったかいよ。もっとくっ付いちゃおっと」
「母さんの匂い…好きです…」
我が子のぬくもりが心地よい。
子供特有の高い体温を感じながら、私は目を閉じる。
今夜はいい夢が見られそうだ。
読んでくれた全ての人に感謝を。
ご意見ご感想、評価を頂けるととても嬉しいです。
誤字報告をしてくださった方、誠にありがとうございます。