女体化して母親になったよ!天使な子供たちとファンタジー世界で幸せになります   作:きさまち

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暴力という魔法

「母親の命が惜しかったら、おとなしく投降する事だな」

 

「それとも母親の命を引き換えにしても我々にたてつくつもりか?」

 

 鋭い爪を私に突き付け、どこぞのサイボーグ兵のような台詞を吐く獣人。

 虎っぽい顔をしているこいつのことは、トラ男と呼ぶことにしよう。

 私を人質にしたトラ男とその仲間たちは、ニヤニヤと娘たち嘲笑った。

 

「おのれ卑怯者!」

「このゲス、顔覚えたからな!」

 

 私の身を案じた娘たちは、心底悔しそうな顔をしながらも戦闘体勢を解除する。

 ミカは魔力で生成していた武器を霧散させ、ルーは魔法の展開を止めてしまった。

 

「ミカ、ルー、私に構わずやっちゃっていいよ」

「できません。母さんの安全が第一です」

「ママ、絶対助けるからね」

 

 なんて優しい子たちなの!

 こんな時だけど、母親想いの娘たちに感動するわ。

 でも、困ったな。

 このままだと、母娘共々ろくな事にならない。

 

「くくく…母親が脆弱な羽無しだったことを呪うがいい」

 

 襲撃犯たちのリーダーである天使の男もなんか言い出した。

 こいつは性格が悪そうなので、仮にクズ男としておこう。

 クズ男たちは勝利を確信して調子に乗っているご様子。

 羽無しという、おそらく私を侮辱する言葉を聞いた娘たちの目に強烈な殺意が宿る。

 しかし、私が人質に取られている手前、動くに動けない。

 

「くっ…私が不甲斐ないばかりに…」

「ママ、ごめん…」

 

 待って、なんでスッカリ諦めムードなの?

 二人ならこの程度の相手が何人束になっても余裕なはずでしょ?

 私の身を案じてくれるのは嬉しいのだけど、これはちょっと頂けない。

 

「美しい母娘愛、感動的だな…だが無意味だ」

 

 クズ男うるさいぞ。無意味じゃないやい!

 私たちの母娘愛は誰にも断ち切れないほど尊いのだよ。

 まあ、クズにはわからないか、この領域(レベル)の話は…

 

 抵抗しなくなった娘たちを拘束しようと敵がにじり寄っている。

 汚い手で娘たちに触ってほしくないなあ。

 

「まったく…しょうがない子たちね…ガブリゼルさんは一体何を教えていたのかしら?」

「母さん?」

「ママ?」

「おいおい、俺たちを無視してお喋りとはいい度胸だな」

 

 虎男が私の首を掴む手に力を込めながら、威嚇するように顔を近づけて来た。

 女性の扱いがまるでなっちゃいない、きっとこいつはモテない男だ。

 おまけに息がクセェ!歯磨いてますか?

 

 まあいい、人質ごっこも飽きたのでそろそろ反撃させてもらおう。

 

 「トラ男さん、グー、チョキ、パー、どれがいいですか?」

 「誰がトラ男だ!安直な名前付けてんじゃねー!」

 

 私の質問のトラ男が激昂した。

 うるさいなあ、耳元で怒鳴るなよ。

 

 「あなたの今後を左右する大事な質問です。いいから選んでください、ほら、はよ」

 「なんだよこの女、チッ…じゃあパーで」

 「パーですね。承りました」

 

 訝しみながらも律儀に答えるトラ男。

 娘やクズ男たちも私の意図がわからず困惑している。

 結果はすぐにわかるから安心してね。

 

「ジャンケンでも始めようってか?お前、今の状況がわかって…」

 

 バチンッッ!

 

「べびょッッ!!」

「「「…………なっ!?」」」

 

 トラ男が眼前から消え失せる。

 大柄な獣人の体は自身が破壊した窓から外へと高速でぶっ飛んで行った。

 遠くの方から衝突音が響いたので、森の樹木にでもぶつかったのだろう。

 獣人の肉体は頑丈だ。顔の骨を少しを砕いた程度なので死んではいないはず。

 死んでいたら、まあ、運が無かったね。

 

 何をしたのかって?

 ちょっと、トラ男の横っ面にビンタをかましてやっただけだ。

 首を握られていただけで、手は自由だったからね。

 私を無力化せずに隙だらけだったのが悪いと思う。

 因みに、グーを選んだら鼻を陥没させるパンチ、チョキなら眼球破壊の目潰しをするつもりだった。

 

 自由になったというか、元々自由に動けた私はトラ男が現れる前に回収していたティースプーンを2本、音もなく投擲する。

 娘たちに近寄っていた不届き者たちの眉間にスプーンが突き刺さり、瞬く間に昏倒させた。

 フォークだったらもっと深く刺せたけど、殺すのが目的ではないので、これでいい。

 

 我が子の安全が最優先だ。

 唖然としている娘たちの手を引き、私の背後へ移動させる。

 

「お父さん言ってたわよ…?

 何事もあきらめたら“そこで終わり”だって」

 

 娘たちの戦闘能力は予想以上に高かった。

 しかし、幼い子供なのもまた事実である。

 活動するようになってからまだ半年の彼女たちには、経験値というものが圧倒的に不足している。

 今回のように人質を取られピンチに陥ったことなど初めてなのだ。

 だから、簡単に動揺してしまい勝ち筋が残っているのに諦めてしまった。

 冷静に状況を観察すれば、私が人質として機能していないことは一目瞭然だったのにね。

 

 シングルマザーの私は父親が教えるべきことも娘たちに伝授しなければならない。

 そう思えば、クズ男たちの襲撃もいい教材になると思う。

 

「旦那様に代わり、この私がしっかりレクチャーしてあげるわ」

 

 これから生き残っていく術を、強大な力の使い方を、

 そして…あなたたちの母親が、

 守られるだけの存在じゃないってことを教えてあげる!

 

 ●

 

 守らなければ、

 大事な母を、この尊い人を守らなければ…

 

 私たちは天使だ。それも大きな力を持つ天使。

 か弱い人間である母を守護することこそが至上命題。

 それが生まれて来た意味だと、自分たちにならそれが出来ると信じていた。

 

 だが、蓋を開けて見ればどうだ?

 守るべき母を人質に取られ投稿を余儀なくされる始末。 

 こんなに強い力を持っているのに、これでは何の意味もないではないか。

 悔しくて情けなくて、何よりも母に申し訳なくて、死んでしまいたい。

 自分が死んで母が助かるというのなら、

 それもいいかと思うほどに…

 

 私は、私たちは、何のために…

 今は亡き父よ。

 あなたに託された使命ひとつ満足に果たせない愚かな娘たちを、

 どうか罰してください。

 

 無力感に苛まれているとき、それは起こった。

 

 虎顔の獣人が母の平手打ちを食らい、家の外へと吹き飛ばされたのだ。

 母のしなやかな手が、獣人の頬骨と顎骨を砕く瞬間がスローで見えた。

 うわっ、超痛そう!

 

 信じられないものを見た私たちは唖然とするしかない。

 それは襲撃者たちも同様だったようで、思考と共に動きを止めてしまった。

 その隙を見逃す母ではない。

 私たちの背後に迫っていた敵が声も出せずに床へ崩れ落ちた。

 奴らの眉間に何か刺さっている…スプーンだと!?

 どれ程の速度と威力で投げればこうなるのか?

 そもそも、母の動きがまるで見えなかった。

 天使の動体視力を上回るだなんて…

 

 『あきらめたら、そこで終わり』

 母は父の遺した言葉を教えてくれた。

 そして、私たちを庇うように敵へと立ちはだかる。

 『よく見ておけ』と、その背中が語っていた。

 

 ああ、何と言う事だ。

 私たちはとんでもない思い違いをしていた。

 人間だから弱いのは当然だと、最初から決めつけてしまっていた。

 これでは母を羽無しと呼んで見下していた連中と変わらない。

 知らず知らずのうちに、傲慢になっていた己が恥ずかしい。

 

 母の美しい肢体から溢れる魔力は、絶対的強者のそれ。

 

 戦闘体勢に入った母の魔力は団欒をしていたときの数十倍に膨れ上がっている。

 魔力の上昇が止まらない、バカな…まだ上がるだとぉ!?

 人間に許された力の範疇をいとも簡単に凌駕してみせる母…

 あの人は、本当に人間なのか?

 

(この魔力、ウリエノール様を超えている!?)

(いやいやいや、本気のオカマ先生レベルってどういうこと!)

 

 不甲斐ない気持ちとは裏腹に、私たちの胸中は歓喜に満ちていた。

 母は守護されるだけの弱者ではなかった。

 天使と肩を並べて戦える…いや、それ以上の存在。

 私たちをより高みにいる者、生命としての格が一回りも二回りも違う。

 

 15年という歳月は母を世界有数の猛者へと変貌させていた。

 人間がその領域に至るまで、どれ程の研鑽を積み、どれだけの地獄を経験して来たのか想像する事すらおこがましい。

 その過程が全て、私たちを想っての事だと言うのだから敬服せざるを得ない。

 

 あまりの感動にこの身が打ち震える。

 私たちが待ち望んでいた人は想像していたよりも、もっとずっと…

 

 最高に素敵な母親だった。

 

 ●

 

「何をしている!その女を殺せ!」

 

 ようやく我に返ったクズ男が仲間に指令を下す。

 だが、遅い。

 体内の魔力炉心(リアクター)から溢れる魔力は全て身体強化に回す。

 

「ぎゃっ!」

「ぐべっ!」

「おぼろっ!」

 

 拳に蹴りに肘鉄、瞬く間に三人の意識を刈り取った。

 スイッチを切り替えるように、戦闘モードへと移行した私の動きに有象無象は全くついて来れない。

 今の私は素手で巨大モンスターの首もぎ取ることも可能だぞ。

 

 え?魔女の癖に魔法を使わないのかって?

 わざわざ魔法を使わなくても、殴る蹴るした方が早いんだよ。

 師匠も『レベルを上げて物理で殴ればいい』と、教えてくれたのだ。

 

「くぅ…この蛮族がぁ」

 

 仲間を倒されたクズ男が慌てて逃走する。

 追いかけてもいいが、娘優先で行動しよう。

 

「私たちも外に出るよ、二人とも動けるね?」

 

 娘たちはコクコクと頷いた。

 キラキラした目で私を見て来るのがカワイイ。

 

「ありったけの魔法を放てぇー!家ごと焼き払ってしまうんだ!」

 

 逃げたクズ男の叫び声がする。

 直後、我が家に向けて様々な属性の攻撃魔法が一斉に放たれた。

 家の外にも複数の仲間を待機させていたらしい。

 

 私を人質にして娘たちを支配下に置くプランはどうなった?

 予想外の事態にテンパって当初の目的を忘れているなアイツ。

 なんであんなのが指揮官をやっているのか謎だ。

 

「ママのお家が!」

「あいつらぁ、許しません!」

 

 娘たちと外へ出たのと同時に、魔法の直撃を受けた家が爆発した。

 どこでもホームは犠牲となったのだ。

 家の修繕費どうすんだよこれ!

 

 誠に遺憾ながら、どこでもホームを収納形態であるキューブに戻す。

 こうしておけば消火の手間も省けるし、これ以上の破壊も起こらない。

 どうやって直すかはまた後で考えよう。

 

「羽無し風情が!何なんだよお前はぁ!」

「あなたこそ何なんですか!人の家を滅茶苦茶にして!」

 

 無傷の私たち母娘を見て、クズ男がヒステリーを起こす。

 怒りたいのはこっちなんだけど!

 

「もういい、殺せ!早くそいつらを殺せぇぇー!」

 

 恐慌状態に陥ったクズ男が唾を飛ばしながら仲間に命令する。

 引きつった顔で私たちを囲むクズとその仲間たち。

 あのさぁ、ここから巻き返せると本気で思ってるのか?

 逃げた方が懸命だと思うよ?逃がさないけど。

 

「ミカ、ルー、背中を任せていい?」

「はい。露払いはお任せください」

「カッコ悪いところを見せちゃった分、頑張るね」

 

 娘たちの戦意は十分、これなら大丈夫そうだ。

 両手に新たな武器を生成したミカ、複数の魔法を同時展開するルーは意気揚々と敵集団へ突っ込んで行く。

 奴らを殲滅するのは時間の問題だろう。

 私はクズ男とちょっとお話しないといけない。

 もちろん、肉体言語で。

 

「なめるなよ羽無し!座天使である俺の力にひれ伏すがいい」

「座天…上から三番目か」

「三番目言うな!」

 

 座天使《ソロネ》…天使階級の上から三番目。

 まあ、そこそこ強いんじゃないの?知らんけど。

 

「串刺しにしてやる!」

 

 クズ男は魔力でレイピアを生成し、無数の刺突を繰り出して来た。

 おー、なかなか速い速い。

 バッチリ見えているから躱すの余裕だけど。

 

「クソッ、クソクソクソッ!俺は座天使なんだぞ!それが人間の羽無し如きに何故遅れを取る?」

「シンプルに弱いからでは?」

「うるさいうるさいうるさい、うるさぁーいぃぃ!」

 

 いや、絶対お前の方がうるさい。

 

「何故だ、何故お前のような奴が存在する?人間は脆弱で愚かな下等生物のはずだ。そうあるべきなのだ!」

 

 うへぁ、選民思想が極まっているなあ。

 こういう迷惑な奴が天使全体の評判を下げるんだよ。

 娘たちに風評被害が及ぶ前に排除しちゃうぞ。

 ワンパターンで芸の無い刺突を避け、クズ男の背後を取る。

 隙だらけだぞ。

 

「……な、貴様ぁ!」

「魔女らしく魔法で終わらせる」

 

 覚悟しろ!大して強くないクズ天使め!

 

「必殺魔法!ジャーマン・スープレックス!」

「それ絶対魔法じゃな……がぼあッッ!?!?」

 

 相手の腰を抱え込み、そのまま後ろへ反り投げてブリッジで固めてフォールを奪う。

 『プロレスの芸術品』とも称される美しい技が決まった。

 

 ほら見て、魔法のように美しいでしょ?

 師匠に初めてこの技を披露したときは…

 『魔女辞めてルチャドーラ目指せ、くそバカ!』

 と、キレながら褒めてもらった。

 

「凄いです。母さんの魔法、なんて素晴らしいのでしょうか」

「今の魔法?ただのプロレス技なんじゃ…」

「魔法です。母さんが魔法だと言ったのなら魔法なのです」

「ああ、うん。もうそれでいいよ」

 

 早々に敵を片付けた娘たちが私の戦いを見守ってくれていた。

 立っている敵はもういない。

 襲撃者たちは死屍累々の様相で転がっており、クズ男は泡を吹いて気絶していた。   

 死にかけのカニみたいだ。

 

「これで終わりかな?」

「周囲一帯に敵性反応なし、ママと私たちの勝利だ!」

「ですが、母さんの家が…申し訳ありません」

「家はまた直せばいいよ。二人が無事で良かった」

 

 悪いのは襲撃者たちであって、娘たちに非はない。

 全員無事だったのだから、今はそれを喜ぼう。

 

「母さん、とても強かったのですね!私、感動しました」

「ママすっごいカッコ良かった!私にもさっきの技、教えて~」

「ふふ、それなら毎日スクワット1万回ね?」

「やっぱり魔法じゃないよね」

 

 やれやれ、家が壊れてしまった。

 こんなこともあろうかと、収納鞄の中にはキャンプ道具も一式揃っている。

 数日の野宿ぐらいは可能だが、娘たちのこと考えると近くの集落まで行って宿を見つけた方がいいかな。

 魔女なんてやっていると、多少のトラブルでは動じなくなる。

 家が壊れたのは悲しいが、生きてさえいれば人生なんとかなるさ。

 

 せっかく雪も積もっていることだし、娘たちと雪だるまを作って遊んだ。

 雪だるまのムーバブルフレームにはクズ男たち使ったので、少々見栄えが悪い。

 手足の飛び出た雪だるまが数十体出来上がる頃…

 

「あねうえぇーー!!ご無事ですかぁーーー!!」

 

 遅ればせながら、義理の弟がやって来てくれたようだ。

 

「仕事のストレスでハゲ散らかしそうな、この声は?」

「失礼ですよ。胃に穴が空きそうと言いなさい」

 

 娘たちの言いようが酷い。

 でも、なんかわかる気がする。

 空を飛んで現れた、青髪イケメンの天使が墜落しそうな勢いで着地した。

 

「ぜぇ…はぁ…あ、姉上、ガブリゼル…はぁ…只今…参上いたしました」

 

 肩で大きく息をするガブリゼルさんは疲労困憊といった感じだ。

 服装と髪型も大いに乱れている。

 ここまでの道中、娘たちを必死に探してくれたのだろう。 

 一家揃って苦労かけてすまんね。

 

「おお、ミカエリアスとルシフェルトも無事だったか、良かった…」

「来たのですね、叔父さん」

「ガブおじ、疲れてる?雪だるま食べていいよ」

 

 その雪だるま、中に人肉が入っているから食べちゃダメ。

 私はガブリゼルさんに回復魔法をかけ、魔力補給用のポーションも手渡す。

 ポーションを一気飲みしたガブリゼルさんは、呼吸を整えて私に向き直った。

 

「さっそくですが姉上、今すぐここからお逃げ下さい」

「穏やかじゃないですね。何事ですか?」

「ミカエリアスたちの力を狙う者たちが動き出したとの報告が上がっています。奴らは姉上を人質にして、その力を悪事に利用するつもりです」

 

 情報が古い!

 もう襲われた後なのです。

 

「そいつらなら、もう倒しましたよ」

「なんと!さすが、兄上の子供たちだ」

「クズ天使を倒したの、ママだよ」

「はははは、ルシフェルトも冗談を言うのだな。いくら魔女でも座天使に勝てる者など早々いるわけ………マジか?」

「マジです。母さんの必殺魔法が炸裂するの瞬間をこの目で見ました」

「ジャーマンだけどね」

 

 半信半疑のガブリゼルさんに雪だるま1号の中身を見せてあげた。

 気絶したまま低体温症になったクズ男の顔面は血色が悪い。

 それを見たガブリゼルさんは天を仰ぎ『マジかぁ』と呟いた。

 

 くるっぽー!

 

「あ、鳩ポッポだ」

「不敬ですよ、ルー」

 

 一羽の鳩が雪だるま1号の頭に止まった。

 あらら?この鳩、普通じゃないぞ。

 いかにも生物っぽく振舞っているが、魔道具に近い存在だ。

 

「双子ちゃん、無事に見つかって良かったのう」

「本当です。ゼルフィード様にもご心配をおかけしました」

 

 鳩から老齢な男の声がした。お爺ちゃん?

 そしてガブリゼルさんが鳩に敬語を使い頭を下げている。

 この鳩、天界のお偉いさんなのだろうか?

 

「初めましてじゃのう、コルニクス…ふむ、噂に違わぬ別嬪で嬉しいぞい!」

「ゼルフィードさま、自重してください」

「本当に元男なのか……ちょっと乳揉ませてくれんか?」

 

 なんだこのセクハラ鳩は?

 

「嫌ですけど」

「10秒、いや、5秒だけ……2秒ならどうじゃ!」

「おいコラ鳩、焼き鳥にするぞ」

 

 ガブリゼルさんが鳩を乱暴に鷲掴みした。

 この鳩、天界のスケベジジイなのだろうか?

 

「ワシはゼルフィード、天界で聖皇をしているものじゃ」

「せいおう?」

「天界で一番偉い人です」

「え?こんなセクハラ鳩畜生が、天界のトップ!?」

「悲しいけど、本当なんだよ」

「なんかワシの扱い酷くね?超々偉い聖皇様なんじゃが?」

「妥当だろエロジジイ」

「傷ついた!ワシの繊細なハートが傷ついたぞ。これはもう、母性あふれる美少女系未亡人に『ぱふぱふ』で癒してもらうしか…」

「「「くたばれッッ!!!」」」

 

 こんなのが天界の最高権力者、もうダメかもわからんね。

 




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