女体化して母親になったよ!天使な子供たちとファンタジー世界で幸せになります   作:きさまち

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皇帝謁見

 娘たちにはお父さんを好きになってもらいたい。

 その一心で、旦那様について赤裸々な情報公開をしてみた結果…

 

「父さんのことは、無駄に顔が良いドSの殺戮マシーンだと思っていましたが、そうではなかったのですね」

「ママの前では情けない奴になっちゃうパパ…つまりママが最強ってことになるよね!」

 

 娘たちは父親という存在に親しみを持ってくれたようだ。

 旦那様の珍プレー好プレー集はまだまだたくさんあるので、折を見て発表して行こうと思う。

 

 旦那様の記念碑も見物し終えたことだし、帝都広場に来た目的を果たすとしますか。

 実はここである人物と待ち合わせをしているのだ。

 さてさて、何処いるのだろう?

 時間にルーズな人ではないので、たぶんもう来ていると思うだけど。

 

「おーい、コルりん!こっちだよ、こっち」

 

 広場の端に立ち並ぶ露店、そこのオープン席にツバの広い三角帽子を被った少女がいた。

 非常に可愛らしく人目を惹く少女が元気よくこちらに手を振っている。

 やはり先に到着して待っていてくれたらしい。

 手を振る彼女の下へ私は娘を連れて馳せ参じた。

 

「お久しぶりです。ラキエス先輩」

「おひさ~、相変わらずの美少女っぷりだ。コルりんってば全然変わってないね」

「それはこっちのセリフですよ。見事なアンチエイジングに敬服します」

「はははっ、褒めても何も出ないよーだ」

 

 この人は【氷絶の魔女・ラキエス】

 私の先輩魔女であり、師匠であるバルダーナの厳しい修行をクリアした同門の姉弟子でもある。

 魔女になる試練で八大迷宮を攻略する際に、サポート要員として来てくれたのだが、私を可愛がることに夢中になるあまり結局足を引っ張ってくれた残念な魔女の一味だ。

 

 師匠に大目玉を食らい反省してからは、面倒見の良い先輩魔女として何かと手助けをしてくれている。

 連絡先の交換もしている信頼のおける人物だ。

 懇意にさせてもらっている先輩魔女は他にもいるけど、その人たちの話はまたの機会としよう。

 

 氷絶の魔女という異名は伊達ではなく、水属性の氷を操る魔法では彼女の右に出る者はいない。

 まさに氷雪系最強の魔女。氷輪丸卍解できそう。

 

「コルりんは魔女帽子かぶってないの?」

「そんなのかぶってるの師匠と先輩たちだけですよ」

 

 先輩がかぶっている帽子は『いかにも私が魔女です!』と周囲に存在を主張している。

 レシアン王国等、魔女への迫害が著しい地域では狙ってくれと自分からアピールしているようなものだ。

 私を含む、一般の魔女連中は面倒事を避けるために基本的に魔女の帽子はかぶらない。

 

 魔女らしい格好をしているのは『文句ある奴はかかって来い!』という、血の気の多い戦闘狂たちだと思っていい。

 師匠とか先輩たちとかが、まさにそういう感じ。

 私のように大人しくて繊細な魔女は真似をしないのだ。

 

「ここは帝国だよ。魔女は皆から尊敬される存在さ」

「それは、わかっているんですけどね」

 

 私は魔女であることに誇りを持っているし、聞かれたら『どうも夢幻の魔女っス』と素直に答えて来た。

 でも、隠しておいた方が良い場面では魔女ということは極力伏せる。

 その方が有利になるし、人間関係も円滑に進むというものだ。

 何事も時と場合を考えて行動しないとね。

 

 久しぶりに再会した先輩とキャッキャウフフしていると、娘たちが服の袖を引いて来た。

 あらら、放置されたと思って、寂しくなっちゃったかな?

 ごめんごめん。忘れてないからね。

 

「コルりん、その子たちはもしや!?」

「事前にお伝えしていた、私の子供たちです。さ、二人ともご挨拶して」

 

 娘たちに気付いた先輩の瞳がキラーンと怪しく輝いた。

 今の輝き、初めて先輩に会ったときに見た気がするぞ。

 まあいい、二人ともリハーサルどおり挨拶決めちゃって!

 

「お初にお目にかかります。私はミカエリアスと申します。以後お見知りおきを」

「ルシフェルトです。ママがいつもお世話になってます。私とも仲良くしてください」

 

 いいね!とっても良い挨拶だった。感動した!

 お母さん、二人に100点満点をあげちゃう!

 フフッ…圧倒的じゃないか、我が娘たちの優秀さは…

 

「うひゃぁぁ!何コレ何この子たち!超カワイイー!!」

 

 可愛くて当然だ。

 だって、世界一カッコイイ旦那様の血を引いているのだから。

 私の劣勢遺伝子にも負けず、美貌と気品を備えて生まれて来た、うちの子たちは最高なのだ!

 もっと賛美してくれていいのよ?

 

 思った通り、先輩は娘たちを見てテンションMAX。

 一足飛びに娘たちへと接近して、頭を撫でたり頬を触ったりしている。

 待て、誰が勝手に触っていいと言った?

 娘たちにベタベタしていいのは母親である私の特権なのに!

 

「おさわりは別料金になりますよ?」

「固いこと言わないでよ。わぁ…髪サラサラ、ほっぺプニプニ~、こいつぁ暴力的な可愛さだよ」

「あ、あの、母さん?どうしましょう」

「むうー、反撃してもいいの?」

 

 初対面の人に、突然ベタベタされて娘たちが困惑している。

 ごめん、害は無いと思うから少しの間だけ我慢して。

 

「かわいい~本当にかわいいよぉ~、いいなぁ、お持ち帰りしたいな~」

「ダメですよ。その子たちは私の命より大切な宝物です」

「宝物か…二つあるんだから、一つくれないかな?」

「あ゛?」

 

 聞き捨てならぬ言葉であった。

 

「先輩、ちょっとあっちの路地裏までツラかせや」

「調子に乗りましたごめんなさい。怖いから指の関節バキバキ鳴らすのやめて」

 

 失言をした先輩がその場でジャンピング土下座をした。

 私の殺気を諸に受けてヤバいと思ったみたい。

 

 私から子供を奪うつもりならば誰だろうと容赦はしない。

 それが例え先輩魔女でも、そんなの関係ねぇ!

 一つくれだと?二つとも私のもんじゃいボケ!!

 

「本当にごめん!ほんの出来心で、ただの冗談だったんだよ」

 

 とは言え、先輩相手にいきなり殺気を向けたのは大人気なかったな。

 反省しているようだし、今回はイエローカードということで許そう。

 

「ふぅ~、焦ったぁ。今日が命日になるところだった…」

「怒った母さんも素敵です」

「ママの殺気ビリビリ来ちゃうね」

 

 本気で怒った訳ではない。キレてないですよ。

 冷静かつ温厚な私は滅多なことではキレたりしないのだ。

 もし、キレたら相手の尻に大根をねじ込むぐらいはやる。

 

 ラキ先輩の小さな尻を破壊できる大根なら、すぐにでも用意できるのだが、準備しておいた方がいいのかな?

 

「コルりん、人のお尻をガン見しながら『ぶっさしたらぁよ』って何回も呟くのやめてくれる?本気で怖いから」

 

 おや?先輩が尻を押さえて後退ったぞ。

 見た目は少女でも中身は70オーバーのお婆ちゃんだ。

 尻や肛門に人には言えない不自由を抱えている可能性がある。

 空気の読める私は、デリケートな部分に配慮ができる女。

 心の中で『お大事に』と告げて、先輩の尻には触れないよう心掛けた。

 

 ●

 

「改めまして、私はラキエス。水魔法が得意な魔女さ。よろしくね、可愛い双子ちゃんたち」

 

「二人とも本当に可愛いね。目元がコルりんにソックリだよ」

 

 先輩の屈託ない笑顔に娘たちはすぐに警戒心を解いた。

 私に似ていると言われたことが娘たち的にはすごく嬉しかったみたい。

 人見知りしがちなミカも、先輩を安全な人物だと判断したようで楽しく会話に参加している。

 

「ラキぱいせんは魔族の人なの?」

「くっ、こんなに早く私の正体がバレてしまうとは」

「僭越ですがバレバレです」

 

 魔族の尻尾が最初から丸見えだったぞ、隠す気ないだろ。

 先輩は魔女帽子を外して、頭にある小さな角も見せてくれた。

 髪でほとんど隠れてしまっているが、黒い突起が側頭部から生えている。

 以前、何気なく触ってみたら『私と結婚する気かぁ!?』とか言われて怒られたことがある。

 魔族の角を撫でる行為は求婚を意味していると後で知り平謝りした思い出だ。

 

「翼はキミたちと同じ魔力で出し入れできるタイプだよ、こんな風にね」

 

 先輩の背中から黒い翼が出現する。

 相変わらず真ゲッターみたいでカッコイイな!

 翼は滅多に出さない人なのに、今日の先輩はサービス精神旺盛だ。

 これも娘たちの愛くるしさのなせる技か。

 

「コウモリを連想させる禍々しくもスタイリッシュな膜状の翼、よくお似合いです」

「お~、そういう形も強そうでいいね」

「ありがと。二人の翼も見たいけど、ここじゃ騒ぎになっちゃうから後でね」

 

 先輩には事前に娘たちが天使であると知らせてある。

 翼の見せ合いっこは人目のない場所でやってもらおう。

 

「ラキエス様は天使を見ても異常行動をしないのですね」

「私は帝都生まれじゃないから、天使に会っても『あ、そう』ぐらいにしか思わないよ。でも、可愛い双子の天使ちゃんは大好物さあ!是非とも仲良くしてほしいな!うーん、ペロペロしたーい」

「これはこれで身の危険を感じる」

 

 ペロペロされたくない娘たちがサッと私の背中に隠れた。

 それを見た先輩が『のぉぉ好感度が下がった~』と嘆いたけど自業自得なので放っておく。

 

「二人とも、先輩がウザい思ったらすぐお母さんに教えて。師匠仕込みの折檻でわからせるから」

「「はーい」」

「くそぉ、こんなに可愛い子たちを前にして指を加えて見ているしかないとは、せめてティー子がいれば…」

 

 同じくカワイイ物好きの先輩魔女を巻き込もうとしないでください。

 あの人は今頃、故郷に帰って自堕落な生活をしているはずだ。

 

「いい時間だし、そろそろいこっか?」

「そうですね。お待たせするわけにはいきません」

「??…ママ、どこか行くの?」

 

 おっと、娘たちにはまだ行先を説明していなかったな。

 今から偉い人に会いに行くから、お行儀よくしてね。

 

「エロい人?鳩じいちゃんみたいな?」

「えらい人ですよ……ゼルフィード様は偉くてエロい畜生です」 

 

 当たらずとも遠からず。

 エロくはないと思うが、帝国では一番偉い人に違いない。

 

「この国のトップ、皇帝陛下に会いに行くんだよ」

「なるほど、皇帝が母さんに挨拶したいということですか。良い心掛けですが、そっちから来るのが礼儀でしょうに…」

「皇帝すらもママにとっては下僕にすぎないんだね。さっすが!」

 

 薄々気付いていたけど、娘たちは私を過大評価しすぎている。

 今の発言は絶対に訂正させておこう、じゃないと私が不敬罪でお縄になるよ。

 

「コルりん、なんて教育をしているんだ…」

 

 あ、先輩がドン引きしている。

 ち、違う、誤解なんです。

 この子たちはお母さん大好きっ子なので私のことを宇宙の帝王か何かと勘違いしているだけなんです。

 普段から『私が天に立つ』とか言ってないですから!

 

 帝都の北側、皇帝の居城や帝国政府が入る壮麗かつ巨大な宮殿があった。

 私たちは皇帝に会うために宮殿へと向かう。

 

 ●

 

 ラキエス先輩に案内され宮殿内部へと通された。

 先輩のおかげで、ここまで全て顔パスである。

 さすが、帝国軍の顧問をやっているだけはあるなと感心した。

 

「じゃあ、私は双子ちゃんたちと楽しんでいるから、陛下によろしくね」

「先輩、くれぐれも頼みますよ」

 

 謁見の間には私一人で行く。

 少々不安だが、娘たちは先輩に預けることにした。

 私が戻ってくるまでのは、先輩が宮殿内を見学させてくれる手筈になっている。

 ほんとマジで頼みますよ!

 

「二人とも、先輩の言うことをちゃんと聞きいてあげてね。セクハラされそうになったら全力でシバき倒していいから。自分の身を最優先で守るのよ」

「了解です。母さんが戻るまで、ラキエス様のおもりをします」

「いや、私がおもりする方なんだけど…」

「皇帝と戦うなら私を呼んでね。すぐに駆けつけるから」

「どこかズレているんだよなあ…コルりんの血、怖いなぁ…」

 

 先輩、なんか失礼なことを考えてません?

 

 ・・・・・・・・・

 

 だだっ広い待合室で娘たちと分かれ、謁見の間へと入室する。

 大きな扉が開くと、赤い絨毯が真っ直ぐ伸びているのが目に入った。

 赤絨毯の上を進んでいる最中、壁際に待機した近衛兵たちからの視線を感じるが、そういうのには慣れっこなので気にならない。

 部屋の奥、床から数段高い位置に設けられた二つの玉座あり、そこに帝国の最高権力者たる存在が腰かけていた。

 

「おお!久しいな、コルニクスよ。また会えたこと嬉しく思うぞ」

 

 玉座に座ったまま気さくに声をかけて来た魔族の男性。

 その顔には隠し切れない喜色が溢れていた。

 

 この方こそが、ムール帝国の現皇帝〖ハウザー〗陛下である。

 旦那様ほどではないが、なかなかの美丈夫だ。

 頭から伸びる立派な角、しなやかな尻尾、翼も大きくてとても力強い。

 皇帝自身、魔族の中でもかなり強い魔導士だと言われている。

 

「お目通りが叶いましたこと、至上の光栄に存じます。皇帝陛下におかれましては、ごきげんうるわしゅう……」

「待て待て、余とそなたの仲ではないか、そのような堅苦しい態度をされては寂しいぞ」

 

 そうだった、陛下はこういう感じの人だったな。

 さすがにタメ口をきく訳にはいかないが、常識的な丁寧語で会話すればいいだろう。向こうもそれを望んでいる。

 

「お元気そうで安心しました。帝国の繁栄と陛下のご活躍、旅先でも聞き及んでおります」

「うむ。余ひとりで成し遂げたことではないが、昨今の技術的進化や発展には目覚ましいものがある。これも臣民たちの献身あってのことだな」

 

 人の上に立つ者に相応しい人格者。

 言葉の端々から、国とそこに住む民を大事に思っているのが伺える。

 

「本日、陛下にお話があって参上しました」

「フフフ、皆まで言わなくてよい。これでも余は皇帝だ、そなたの用件ぐらいお見通しよ」

 

 さすがでございます。

 いや~話が早くて助かりますよ。

 

「やっと余の側室になる覚悟ができたのだな!待ちわびたぞ」

 

 アカン、この皇帝なんにも見通せてないよ。

 

「案ずるな。こんなこともあろうかと、既に式の準備はしてある。身内だけの簡素なものになってしまうが、それは許すがよい。式が終わったら臣民たちに大々的に発表して盛大な宴を催すつもりだ。帝国全土を挙げての祭典となるであろう、そしてその後は待ちに待った…初夜が!!」

 

 おい、エンペラー!いきなり初夜とか言うな。

 男の人っていつもそうですね…!私のことなんだと思ってるんですか!?

 

 土下座して頼めばヤらせてくれる尻軽女だと思ってない?

 言っときますけどねえ、私はこれでも身持ちが固いんですよ。

 今も旦那様一筋なのは変わってないので、誰ともそういう行為をする気はサラサラございません。

 

 陛下は私との初夜妄想を垂れ流して大変ご満悦だ。

 不敬罪を覚悟してツッコミを入れるべきか悩んでいると、私より先に動いた人物がいた。

 

「なんなんだ?今のは?」

「ひっ!?ち、違う、これは浮気ではなくて、コルニクスたっての願いを余が叶えてあげ……ぐあぁぁぁぁぁ!?!?」

 

 玉座は二つあった。

 そのひとつには皇帝が座り、隣りには皇后様がずっといたのだ。

 そのことを忘れて、初夜だのなんだのと口走った皇帝は、ただいま皇后様のアイアンクローで宙吊りとなり顔面に深刻なダメージを受けていた。

 

「陛下(ダーリン)、お前だけは簡単に死なさんぞ」

「うぉ…ぉぉぉ…コル…ニクス…たすけ……」

「皇后様、その辺で勘弁してあげてください。陛下が崩御してしまいます」

「ふん。今回はコルニクスに免じて許そう。だが、次は無いぞ、わかったなダーリン?」

「は……ぃ…わか…り……ましゅ…た」

 

 虫の息になった陛下をぶん投げて解放する皇后様。

 自らの玉座にぶつかって倒れ伏した皇帝に、ようやく動き出した近衛兵たちが『陛下!お気をたしかに』と言いつつ慌てて介抱している。

 なるほど、皇后様が怖くて動けなかったのね。

 

「まったく、ダーリンにも困ったものだ。我と言うものがありながら、堂々と側室を娶るなどと」

「陛下が本当に愛しておられるのは、皇后様だけですよ。今のはあの方なりの冗談ですよ、きっと」

「それにしては随分と用意周到だった気が?ともかく、ダーリンの戯言はすべて忘れてくれ」

「わかってますよ」

 

 皇后様は女性でありながら、大変たくましい肉体の持ち主である。

 その姿は伝説のスーパー魔族と称されるほどに筋骨隆々だ。

 足音がギュピッギュピッ!と、鳴るのも強そう。

 身長も軽く2メートルを超えていると思われる。

 

 皇后様の名前は〖メガフレア〗

 ドラゴンの口から出る必殺技みたいな名前だ。

 

 皇帝に見初められる前は、帝国最強の戦士として数々の武勲を立て続けた女傑だ。

 皇帝陛下は強い女がタイプらしい。

 

 彼女も魔族なので、当然に角と尻尾と翼がある。

 ここだけの話、コスプレをしたブロリーにしか見えない。 

 あ…悪魔たん……

 

「コルニクス、我が戦友よ。息災なようでなによりだ」

「皇后様も、お変わりないようで安心しました」

「できれば、以前のように『メガ』と呼んでくれ。その方がお互い気安すかろう」

「ではそのように、メガ様」

「さあ、コルニクス。まずは再会の抱擁をさせてくれ!」

 

 たくましいメガ様にぎゅーっと抱きしめられてしまう。

 彼女なりの愛情表現なのだが、これたぶん私以外の人だったら骨が折れるか内臓が破裂していると思う。

 100%善意でやっていると分っているので、されるがままですけどね。

 

「やはりお前は華奢だな。ちゃんと飯を食べておるのか?」

「私結構食べますよ。ひとりで丼三杯ぐらい余裕です」

「そうかそうか。この小さき身に我を圧倒する力を秘めておるのだったな」

 

 抱擁が終わるとメガ様はガハハ!と豪快に笑いながら、私の背をバンバン叩いた。

 ちょっと痛いけど我慢する。

 

「陛下がお目覚めになったら、お話を再開したいのですけど?」

「む?まさか、本気で側室になりたいと言うのではないだろうな。いや、我としてもお前ならば認めてやらぬ事も無いが、どうしたものか…」

「その話ではなくてですね」

 

 私がメガ様と会話をしている間に皇帝は復活していた。

 玉座に深く腰掛けながら、ニヤニヤした顔でこちらを見つめている。

 

「ハハハハハァ!いいぞぉ!周りの理解など待つ必要はない!メガ、今のお前のパワーでコルニクスを余の側室にしてしまえ〜!」

 

「余とメガとコルニクスの帝国は、ゑゑゑ!?ん(永遠)に不滅になるというわけだぁ!ふぁ~あぁはははははは」

 

 またもや妄想を垂れ流し始めた皇帝陛下。

 彼の脳内では私とメガ様が陛下を支えて帝国が栄光の日々を送る未来が見えているのだろう。

 ため息をついたメガ様が『すまんな』と一言だけ告げて、陛下の下へギュピギュピ歩みを進めた。

 あ、額に青筋が浮かんでる。皇帝陛下終わったな。

 

「見苦しいぞダーリン、血祭りにあげてやる」

「シュワット!?…やめろメガ!それ以上気を高めるな!やめろメガ!落ち着けぇ!」

「ふぬんばらっ!!」

「ふおぉっ!?…………あーぅ」

 

 メガ様の上腕二頭筋から繰り出される、殺人ラリアットを食らった陛下は謁見の間の壁に叩き付けられ意識を手放した。

 わー、例の岩盤みたいだあ。

 

「終わったな。所詮ダーリンはクズなのだ……」

「やりすぎなのでは?」

「ダーリンはあれで最も格式の高い魔族だ。数分後にはピンピンしているぞ。まあ、いつものことだ気にするな」

 

 いつもこんな感じなんだ…

 旦那様、私たちを超える変な夫婦がここにいましたよ。

 非常に物騒ですが見ていて楽しいです。




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