Animation vs. King Orange:覚醒の緑光 作:kurikku
【第2話:虚空の剣雨】
リビングの天井が、激しいノイズと共に歪んでいく。現実世界の白い壁紙が剥がれ落ちるようにデジタルコードの裏地が露出し、そこから現れたのは、淡い紫色の光を放つ**数百本もの「虚空の剣」**だった。
それらはすべて、一撃で肉体を消滅させかねない高密度のデータエネルギーが物質化したものだ。
「消え去れ」
キングオレンジが冷酷に手を振り下ろすと同時に、頭上の剣の豪雨が一斉に自由落下を始めた。
標的は、空間拘束(ホールド)によって身動きの取れないセカンドコミングとカラー組の4人。避けることも、防御することも許されない。死の雨が彼らの脳裏に焼き付いた、まさにその瞬間だった。
ガラスが粉々に砕け散るような、凄まじい轟音が響き渡る。
「――お前が消えろ、灰色の王」
リビングの窓を突き破り、弾丸のような速度で乱入してきた影があった。黒いロングコートを大きく翻し、漆黒の髪を逆立てた青年――**Chosen One(黒)**だ。
彼はセカンドたちの前に着地すると、凄まじい眼光で頭上を睨みつけた。次の瞬間、彼の両手、そして全身から、世界を焼き尽くさんばかりの、あまりにも巨大な熱波の炎が噴き出した。
「オオオオオッ!!」
Chosen Oneが両手を天に突き出す。放たれた超火力の紅蓮の炎は、奔流となってリビングの天井を埋め尽くした。
ズバババババン!!と、耳を聾する爆発音が連続して炸裂する。降り注いでいた数百本の虚空の剣は、セカンドたちの頭上わずか数十センチのところで、Chosen Oneの放った炎の壁によってすべて空中ですり潰され、爆破されていく。
衝撃波がリビングを駆け抜け、その風圧だけで空間拘束の術式がミリミリとひび割れた。
「……Chosen Oneか」
キングオレンジが、初めて不快そうに目を細める。
「相変わらず目障りな破壊衝動だな。だが、お前一人が来たところで何が変わる?」
「変わるさ。お前のその澄ましたツラを、叩き割るくらいにはな!」
Chosen Oneの身体から、今度は漆黒の電光が迸る。
人間の肉体を得た『最強の初期作』の身体能力は、限界を知らない。彼が床を蹴った瞬間、リビングのフローリングが衝撃で消し飛び、 Chosen Oneの姿が完全に視界から消えた。音速を超えた移動。
「速いな」
キングオレンジが呟くよりも早く、彼の眼前にChosen Oneが肉薄していた。黒い電光を纏った、凶悪なまでの右拳がキングオレンジの顔面へ向けて放たれる。
空気が爆ぜるほどの拳撃。しかし、キングオレンジは動じない。手にした大剣のブレードを電光石火の速さで盾のように滑り込ませ、 Chosen Oneの拳を正面から受け止めた。
ギギギギギギギッ!!!
拳と大剣が衝突し、凄まじい火花とコードの破片が飛び散る。二人の足元の空間が、その質量に耐えかねてガラスのようにひび割れていく。
「はあぁぁぁっ!」
Chosen Oneはさらに威力を高め、目からレーザーを照射してキングオレンジを焼き尽くそうとする。だが、キングオレンジはコマンドブロックの輝きを強め、 Chosen Oneの攻撃を完全に相殺してみせた。
「無駄だと言っている。お前がどれほどの火力を誇ろうと、私はこの空間の『ルール』そのものを書き換えることができるのだ」
キングオレンジが不敵に笑い、大剣を力任せに押し返す。その瞬間、大剣の根元から放たれた紫色の衝撃波が Chosen Oneの身体を直撃した。
「くっ……!」
さしものChosen Oneも、その絶対的なシステム干渉のパワーには抗えず、リビングの壁を何枚も突き破って遥か彼方へと吹き飛ばされてしまった。
「Chosen One……!」
セカンドが叫ぶ。
最強の男が吹き飛ばされたことで、再びリビングに絶望が戻る。しかし、Chosen Oneが稼いだわずかな時間は、無駄ではなかった。彼の放った炎の熱と衝撃によって、カラー組を縛っていた空間拘束の術式が、完全に焼き切れていたのだ。
「あ、動ける……! 動けるぞ!」
Redが自由になった手を握りしめ、立ち上がる。
「みんな、 Chosen Oneが繋いでくれた! ここからは僕たちのターンだ!」
セカンドが仲間たちに視線を送る。カラー組の4人は、力強く頷いた。
人間の肉体を得た彼らの、本当のチームワークはここから始まる。傷つきながらも、彼らの瞳にはまだ闘志の火が消えていなかった。
(第3話へ続く)
特に書くことない、、