ホモビにでただけで異象ハンターにされる男 作:ニコラス―NICORUTH―
「 エンドレス地獄だ・・・ 」
「 そう(無関心)じゃけん配達しましょうね。 」
「 いいよ。 」
「 頼んでおいていいよなのか・・・(困惑) 」
「 エンドレス地獄だ・・・ 」
「 エンドレス地獄だ・・・ 」
「 エン」「エン」「エン」 「エン」
「「「「 エンドレス地獄だ・・・ 」」」」
「 えぇ・・・(困惑)まぁ、受けるけどよ。 」
「「「「 いいよ。 」」」」
「 それ人にもの頼む態度じゃないってそれ一番・・・ 」
「「「「 いいよ。 」」」」
「 んにゃぴ・・・ 」
車で街中を彷徨っていたところ、例に溺れずエンドレス地獄もとい注文の殺到に悶絶する配達業者を見つけた田所は、その仕事を引き受けることにした。
運び終わってギャラを貰ってまた業者を見つけては運んで、ギャラを貰ってまた業者を見つけての永久機関である。
普通車から運送トラックに乗り換えての運転となるが、彼にとっては手慣れたものだ。
どれだけ離れた距離でも、無事故で運搬できる自信がある。
そして今回も無事に配達しきり、いつものようにギャラをもらって、トラックを放置してその場を立ち去ろうとしたその時だった。
「 浩二、お前浩二じゃないか。 」
車を呼び出そうとした時、誰か、聞き覚えのある声に呼び止められた。
後ろを振り返り、相手の顔をよく見る。
そこにいたのは、人と呼ぶにはあまりにも異形な、
声も見た目もハスキーな彼であった。
配達のエンドレス地獄に悶絶していて見落としていた田所だが、彼の顔を見る為振り向いたその時に店の名前もよく分かった。
"壱のコーヒー"というらしい。
「 翳・・・お前なにしてんの?(困惑)
E.T.Dはよ。 」
「 お前こそ、こんなところで会うとは思わなかった。
・・・なにかだすか? 」
「 アイスティーオナシャス! 」
突然の旧友との再会に戸惑いながらも、田所は翳のお言葉に甘えて、一杯馳走になることにした。
「 そうか。あれから色々聞かされたのか。 」
「 他言無用と言われたけどよ、どうにも気になっちまってよ。 」
「 だが、知ったところで、オレたちにできることなんて殆どない。あくまでオレたちは異象の収容が仕事なのであって、大昔の事件の調査は公安なり探偵の管轄だからな。
それで、あれからミゲル区はどうだ? 」
「 大丈夫すよ。レース中になにかしらの妨害とかはでてないみたい。あの一帯はアレで打ち止めでいいみたいっすね。 」
「 しかし白蔵に呼び出されて来てみればたまげたものだ。まだオレが生まれてもいないような過去の産物があそこに眠っていたんだからな。 」
「 お前は例のアレどう思うよ? 」
「 うーん、なんとも言えん。だが、その当時は異象を警戒する人間が多かったんだろうが、今は違う。
過去の負の遺産など、残してはいけない。
それだけは確かだ。 」
「 そういえば、あれから白蔵はどうしてるんだよ? 」
「 いつもと変わらん。サボってばかりいる。
お前も大丈夫か? 」
「 MURはんが抜けたときから変わらねぇよ。
今はオレ一人。募集はかけてはいるんだけどよ、誰も来なくてなぁ。 」
一番テーブルに腰掛ける田所は、翳からだされたアイスティーに、砂糖をサーッ(迫真)と入れ込み、掻き回しながら語る。
やがていい感じに砂糖が溶け込んだと判断して、カップに口をつけて、口内にグビッと入れ込んだ。
「 あぁ~うめぇなあ。やっぱり翳が入れるアイスティーは美味いな。しっとりとしてベタつかない、爽やかな味だ。
茶葉はディンブラを使用したのかな? 」
「 いや、アールグレイだ。 」
「 おお、いいねぇ。・・・それはそうとよ翳。 」
「 なんだ? 」
「 Aiタギドって知ってる?今朝ネットで記事がでててよ、流行ってるみたいだよな。 」
「 ああ、ここでもそれか。 」
翳は頭に手を当てて、参ったような様子をみせた。
「 なんだ、E.T.Dも流行にのってんのか? 」
「 レクイエムがな、しょっちゅう見てるんだよ。
トマトジュース片手にゲラゲラ笑っててなぁ。
よくないとは思うが、あの動画のAiは異象じゃないからなぁ・・・ただ。 」
「 ただ? 」
「 そのうち、オレたちが出張ることにはなるかもしれない。 」
「 どういうことな、あっ(察し)、ふーん。 」
「 こないだ、レクイエムがトマトジュースの自販機を破壊する映像がネットで流行ってな、遂には異象にまでなった。 」
「 ミーム異象か。対処法が確立されてないから厄介な相手ッスね。 」
「 今回はあの時よりも、ミームの広がり様が酷い。あまりに広く普及してしまっている上、バリエーションも豊かだ。
近いうちにでも異象ハンターの仕事になるかもしれないことを、覚えていてほしい。 」
「 オッスオッス! 」
「 それともう一つ、オレ個人で懸念していることがある。 」
「 なんすかそれ? 」
「 それはな・・・ 」
「 タギド本人に、このミームのノリが飛び火する可能性が否めないということだ。 」