ホモビにでただけで異象ハンターにされる男   作:ニコラス―NICORUTH―

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 ダークギャザリングとかそれこそホラー淫夢とかみてると思うんだけども、お化けとかの怪異よりも、人間の方が怖いと思うんだけども、お前どう?
それと今回、ある意味で怖い話しかもしれない。
異象ってのは怪異だからね。多少はね?


公道の見えざる魔物 後日談

 

 それから田所は、その地下施設の調査を駆けつけたE.T.D、JTFに引き継いでその場を後にした。

この辺りのレースはどうなるのかと聞いたところ白蔵曰く、

危害を加えていた異象そのものは事実上無力化されたので、問題なく執り行えるだろう、とのことだった。

 

 三日後、彼の言葉通り、レースにはなんの支障もなく、走り屋たちの熱い夜と公道が帰ってきた。

 

 

 あのラーメン屋の店主、そして走り屋の男は田所に報酬を支払ったが、指定額より倍近く貰ったことに驚きを隠せなかった。

"オレたちからの気持ちだ"とのことだった。

 

 それからさらに1週間は近く経った頃のことだ。

 

 ある時、田所はKMRより呼び出しを受けて、ある喫茶店を訪れた。

そこには、彼が見知った顔が揃っていて、あともう二人、知らない顔のスーツの男たちがいる。

キマったその身なりから、彼らが自分たちを呼び寄せたのだと田所は察しがついた。

 

「 先輩、呼び立ててすみません。 」

 

「 いや、KMRが謝ることはないです。それよりも、お前とMURはんがいるってことは、あれ絡みのことなんだろ? 」

 

 

「 その通りです。 」

 

「 アンタ誰だよ。 」

 

「 紹介するゾ田所。こちらはユグアッシュ邸所属の・・・ 」

 

「 ONDISKと申します。こちらは、私の先輩の後藤さんです。 」

 

「 よろしくな。 」

 

「 ん、おかのした。 」

 

 何処か怪しさを醸し出す男、ONDISKのにこやかや挨拶に、田所も気さくに返す。

 

「 さて、一部予定がつかずにいらっしゃらない方々を除いてこの場にいらっしゃる皆さんは、例の異象、通称"公道の魔物"の事件になにかしらの関わりがある。

これに違いありませんねぇ? 」

 

「 ないです。オレはラーメン屋でラーメン食ってたら、走り屋の兄ちゃんが駆けてきて、仲間がやられたって言ってたから、それの退治を引き受けたんだよなぁ。 」

 

「 僕は田所さんからお電話を頂いて、ぜネヴァ社のことを教えたくらいですね。

その後に送られてきたモノを見てたまげましたが。 」

 

「 オラは田所からお電話を貰ってIRHと一緒に現場に出向いたら、あの残骸があってたまげたゾ。 」

 

「 なるほど。こちらに渡った情報と差異がありませんねぇ。あぁ、失礼。本題に入る前に、一つ事実確認を行わせて頂きました。 」

 

「 大丈夫すよ。んで本題ってのは、あれのことでしょ。

なんだったんすかねぇ。 」

 

「 結論からいいますと、あの地下施設はぜネヴァ社の研究施設で間違いはありません。

ただ、田所さんも知っての通り保存状態は良好ながら、人は去って久しく、廃棄されたも同然でしたが。

現在、あのなかに保存されていた異象群はE.T.D主導で回収され、すべて解体の後に収容と相成りました。

・・・動力源であろうエネルギー機関を除けば、ですが。 」

 

「 あの心臓みたいな奴だよな? 」

 

 田所に続くように、KMRが彼が見つけた、機械の心臓のような物体について説明した。

 

「 MURさんから送られたあれを解析した結果、既存の動力源と同等のエネルギーを、無尽蔵に生み出す、一種の永久機関であることが分かりました。

中に電子を取り込んで、鼓動によって圧縮、貯蔵を繰り返す。そうすることで、膨大な量のエネルギーをあの中に貯蔵していると。

あの異象兵器は、それを基に稼働していたのでしょう。 」

 

「 いわゆる、縮退炉という奴だよな。SF作品の中の空想科学としてしか存在していなかったそれが、異象として実現した。これは直接研究室に送り込んで正解だったろう。 」

 

「 あの機関は未だにエネルギーを生み出し続けていると聞いています。

それを停止させる手段を研究室は模索しているようですが、一向に止まる気配はないそうです。

それは後々にでも解決することでしょうし、もしかしたら有効活用できるかもしれない。

問題は、三十年以上も前に滅んだはずの企業の兵器が残存していたこと、そして仮にも民間の異象ハンターが、そんなものに出くわしてしまったことです。 」

 

 

 

「 なに、オレが悪いの?アルフェードの野郎そんなにオレを悪者にしたいのか? 」

 

「 いや、局長はそこまでお前を邪険にしてないゾ。

田所があの異象を発見したことよりも、あの異象の存在そのものが面倒の元になる。

であってるかゾ? 」

 

「 そうですねぇ。アルフェード局長はそちらの田所さんの能力そのものは高く評価しておりますよぉ。

そもそもそんなに誰かを必要以上に攻撃し、追い立てるほど社交性のない方でもないですしね。

貴方が出くわした、あのサーベルタイガーのような異象。

あれこそが、管理局が尽力し、世に広めてはならないものの一種です。 」

 

「 確かに。兵器化された異象なんてものが世に知れ渡ったら、異象との共存を掲げて活動してきた管理局への信用問題に繋がる上、同じことをしようとする勢力も現れかねませんよね。 」

 

「 その通りだ。といっても、後者はその昔にそれなりに数がいたんだが、その多くが、自暴自得な末路を迎えた。

ぜネヴァだってその一つに過ぎない。

管理局の体制も整っている今、異象を利用しようだとか根絶しようだとか考えても、兵器として扱おうなんて考える奴はそうはいない。

最も、あの時代、特にたちの悪かったのも、ぜネヴァだったらしいけどな。 」

 

 

「 それで皆さんに目を通して貰いたいものがあります。 」

 

「 なんだよ? 」

 

「 これです。 」

 

 ONがなにかを取り出して三人に差し出した時、タイミングが合うように喫茶店に流れるBgmが変わる。

不安を駆り立てる不気味なピアノの旋律。

アアーアーア、アアーアーア、アアーアーア、アアーアーア・・・と女声のしっとりとしたコーラスが、その雰囲気を引き立てている。

なにか恐ろしいものにでくわした後のようで、まさしく今の彼らの心境にマッチしているようだった。

 

それは少し古くなったノートだった。

 

「 ぜネヴァが倒産して少し経った頃に、社長一家が行方を絶っていることをご存知ですか? 」

 

「 それなら白蔵から聞いた。誰も見つけられてないんだってね、三十年間ずっと。 」

 

「 これは、その誰かがつけた日記かなにかか? 」

 

「 そうなりますねぇ。それは当時、社長本人が点けていたものになります。

この一家は日記をつけるのが習慣になっていたらしく、他には夫人と嫡子のものもあるようですが、それらは未だ見つかっていません。 」

 

「 どうしてだゾ?日記だってんなら、見つけやすいように一纏めとかになってそうなものだが。 」

 

「 一家の住んでいた邸宅は、管理局が来た時にはすでに見る影もなく崩れてたんだよ。

その中から見つかったのが、それ一冊だけだった。

内容からして、出ていく際に敢えて残していったんだと思う。 」

 

 田所は両脇の他2人に見せるように、一枚一枚ページを捲っていく。

あるときは会社のこと、あるときは家族のこと。ほのぼのとした内容であったが、あるページを境に激変していく。

 

『 今日、異象なる存在が、政府から公表された。

この世ならざる摩訶不思議な存在。時として人に害することもあるが、共存している地域もあるらしい。

人に馴染めるならば、有効的に使えるかもしれない。

なんだってする。息子に、孫に、そのまた孫に、家族に多くを残せるならば。 』

 

 

「 ケツイ、感じるんでしたよね?(アンテ) 」

 

「 異象のことを知って、真っ先に兵器運用を思い浮かんだみたいだが、この時点では家族思いの親父ィ・・・の側面が目立つゾ。 」

 

「 それでもだいぶ頭いってると思いますが、次見てみましょう。 」

 

 KMRに言われた通り、ページを捲る。

 

『 調べたところ、異象には生物の形状をしている物だけでも、既にかなりの種類出てきているらしい。

であれば、どれが合うか検証してみるに越したことはない。

一先ず手頃なあの丸い奴で試すがいいか。 』

 

「 丸い奴?モフモフかゾ?次頼むゾ。 」

 

「 ん、おかのした。 」

 

『 迂闊だった。アレを捕らえようとした瞬間、姿が変わって部下たちが怪我をした。

こんなので労災が起きてしまっていては話にならない。

捕獲の為のプロセスを確立させねば。

家族にいらぬ心配もかけさせたくない。 』

 

『 他所に素体になり得る丁度良い異象があることを聞いて、写真も見せてもらったところ、強そうで一目で気に入った。

他にもいるようだが、まずこいつを抑えたい。 』

 

 そうして、社長が試作品や、既存の兵器の改良の果てにあの異象の設計、製造、開発にまで漕ぎ着けるまでの経緯が綴られる。しかし・・・

 

「 あの動力源の出処さんが書いてないですね。 」

 

「 結局アレは異象なのか分からず仕舞いってことか。 」

 

「 そうなるな。この日記には書いてないが、ぜネヴァは他にも生体兵器異象を開発していたらしい。

飛ぶように売れはしたが、そんなもんどいつもこいつもがいい顔をするわけがない。 」

 

 後藤の言葉の後、田所は再びページを捲った。

 

『 私の邸宅が、異常者どもに襲われた。

妻も息子も無事だが、家が酷く荒らされた。

そんなに憎いか、私たちが。

自分たちはただ、お前たちが蔑如したもので利益を得ているだけだというのに。 』

 

「 これは・・・ 」

 

「 どの時代も、面倒な奴らが沸くってことさ。

この頃、異象の愛護団体みたいな連中がいたらしくてな、環や企業の悩みのタネになってたんだよ。 」

 

「 断言はできませんが、恐らくその線の勢力によるものでしょうねぇ。

まったく、困った方々もいたものだ。

彼らの行動によって異象の収容活動が邪魔されたりして最悪、民間の人死がでたこともあるそうです。 」

 

 ページを捲るたびに、社長の言動は狂っていく。

田所たちも、それに充てられるような感覚を覚える。

人が壊れていく過程が、その日記の中に綴られていた。

 

『 あぁダメダメダメ!なにもかもが悪い方向に行ってしまう!

やつらめ、今度は会社に重火器まで持ち込んできた。

アレではまるでテロだ。

おのれヴィーガンもどきどもめ!

今に見ているがいい。 』

 

「 ・・・ 」

 

『 あぁーいぐいぐ逝っちゃうぅぅぅぅううううううううううううううううううう!!

逝くよぉ!工場も株価も逝くよぉ!! 』

 

『 あぁまただ!またロストだぁ!またロストだぁ!?

ロストロストアビスロストロストロストロストロストロストロストロストロストロストロストロストロストロストロストロストロストロストロストロストロストロストロストロストロストロスロスロスロスロスロスロスロスロスロスロストォォオオオ!! 』

 

『 ヘリックスに遅れを取ったぁ!!

妻が異象カルトに嵌ったぁ!?

ロストだ!なにもかも!ロスト!ロスト!

ロスロスロスと!!

息子よ、娘よ。みないでくれ。

私の、オレの、父さんのこんな惨めな姿をみないでくれ。

頼む。お願い。お願いしますゥゥゥゥウウウ!! 』

 

 

『 取り戻■たい。

すべてのロストを。でもどう■ようもない。

会社の株価はガイロや、あの忌々■い連中に買い■められかけている。

■間の問題だろう。

なにが異象の■容だ。化け物は化け物だろうが。

有効活用■て、家族の為に益を為す。

それのなにが悪いのだ。

神は、この世にいらっ■ゃらないのか。 』

 

 

『 許さない。

許さない。許さない。許さない。

なにもかも、許さない。

 

■■■■ード、お前たちは特に。

異象と共存?その為ならば、無辜の民を危険に晒すことも厭わないというのか。

 

最早、家族などどうでも良い。

あんな連中、何処へなりとも消えてくれればいい。

それで、■アワセになってくれれば。

他の連中も、どうとでもなれ。

もう、どうでも良いのだから。

だが■■■■ード、お前はダメだ。

一族郎党、末代に至るまで呪い続けてやる。

 

我が憎悪、ぜネヴァの怒り、偉大にして冒涜的なる■■■■■の御業すべてをお前とお前の妻、娘へ。

 

 

 

 

 

呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪 』

 

 

「 それ以上は読まない方がいいでしょう。

今回のことは、どうか外部に公表することがないよう、お願いします。 」

 

 そういって、ONは三人を帰した。

 

 公道の魔物の正体は分かれど、その多くが謎のまま、一連の事件は幕を閉じる。

ぜネヴァの社長は一体どうなったのか。

その家族はいずこにいるのか。

すべては未だ闇の中。

心の中に一抹の靄を浮かべながらも、三人はそれぞれの帰路についた。

 

 そして、後ほど白蔵より田所は、

 

ぜネヴァの本社、ならびに工場の一つが、あのニューヘリオスにあったこと。

社長一家の失踪、というよりあの日記が見つかる直前に、

ブラックホールのようなものが発生し本社ごと消えてなくなったことを聞かされる。

 

そのすべてに、闇を感じる田所だったが、彼自身これ以上の深追いをやめることにした。己の身の危険を感じたからだ。

 

しかし、ぜネヴァの社長夫人と、その子供たちは、今どこでなにをしているのだろうか。

なにを思い、生きているのだろうか。

それとも、とっくにその生を終えてしまったのか。

 

気にはなれど、どうにもならなかった。

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